麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年11月6日(金)10時44分~10時59分)

【質疑応答】

問)

日本郵政グループの3社が4日に上場いたしました。株価も売り出し価格から値上がりするなど当面堅調に、順調な滑り出しと思われます。上場につきまして大臣の率直な所感をお願いします。それと同時に自民党内から、ゆうちょ、かんぽの上限額の引き上げを求める声がまた高まっておりますが、経営陣が今慎重な姿勢を示しております。大臣の所感をお願いいたします。

答)

この上場は、日本郵政等の民営化という意味においては大きなプラスなのだと思っています。上場によって新しく民間主体の株主が大量に生まれることになりますので、経営に対するマーケットからのいろいろな規律が入っていくことになるのだと思いますので、企業価値の更なる向上が期待されます。また、郵政グループ3社の株式を民間の方に広く持っていただくということは、我々がよく言う「貯蓄から投資」といった意識が出てくるということで経済の好循環につながっていくきっかけになれば良いなというところですかね。限度額については、7月の初め頃、総務大臣と一緒に郵政民営化委員会に対して調査審議を要請したところなので、今いろいろなことを詰めておられるのだと思います。郵政グループが上場企業になりましたので、その企業価値の向上が重要な課題であり、今般の上場を踏まえ、こうした点について幅広くいろいろ議論をしていただくということで、今の段階でどうのこうのと申し上げる段階ではないです。

問)

昨日公開されたTPPの協定文書の中で為替政策の協調に関する決定があったので、そこについてお尋ねします。この共同宣言文では実質為替レートが経済のファンダメンタルズに沿うよう調整されることが対外不均衡を直して均衡のとれた経済成長を促すと書いてありますし、さらに、特に為替政策については、国際競争力を目的として為替レートを誘導しないということが明記されています。併せて年1回、マクロ政策を担当する高官を首席代表とする会合を開いて為替政策や経済政策を評価するとあります。ということはこのTPPが発効すると、少なくとも年1回、為替介入実績などを問いただされる可能性があるのか、また、結果として日銀の追加緩和政策などが円安をもたらすようなことも批判を受けるような場になり得るのでしょうか。この共同宣言文の意味するところを教えてください。

答)

この為替の話というのは、こういった話がTPPの中に入ることをアメリカ議会が期待していたということは知らないわけではありませんけれども、基本的にこういったものは、IMFとかそういったところで決めていかれる話で、TPPで金融とか為替とかそういったものを含めるというのは筋が違うということは大体皆認識していますので、TPPが発効した後ということになりますけれども、今後、取組の詳細なことはいろいろ詰めていくことになるのだと思っていますけれども、拘束力を持つ、そういったようなものになるということはありません。

問)

軽減税率についてお伺いします。一昨日の与党協議の中で公明党が求める生鮮食品に加工食品あるいは外食まで含める案というのは実務的に線引きが非常に難しいということが改めて示されたと思うのですけれども、公明党が求める外食あるいは加工食品まで入れてしまった場合に、大臣もこれまでも何度も御指摘されているところだと思うのですが、財源の観点から非常に厳しいという面があるのではないかと思うのですが、この点について財政を所管する大臣としてのお考えを改めてお伺いさせていただければと思います。

答)

何回も同じようなことを言っていると思いますが、答えは今までと同じです。

問)

加工食品や外食を入れるというのは財政の観点からは問題があるということでしょうか。

答)

基本的には財源、区分経理をどうやって公平性を保つか、高額所得者にも同じようなことになりはしないか等、ずっと同じことしか言っていません。その中で我々としてはという案を示したのですけれども、それは良くないということで、公明党と自民党とで今協議をしておられるのでしょう。それをこちらにいろいろ聞かれても答えようがありません。

問)

法人税の実効税率の引下げのことでお伺いしたいのですけれども、先日の経済財政諮問会議で民間議員の中から来年度に20%台に引き下げてほしいという声がありました。財源についてはネット減税、財源を確保しない形で下げてほしいということなのですけれども、これも改めてになってしまいますが大臣のお考えを教えてください。

答)

法人税減税についてはこれまでもずっと、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」という考えのもと、我々としては十分に対応できるようなものにしていかなければいけないということで、この改革の初年度の27年度の税制改正から踏み込んで対応をしたのだと思っています。これを含めて今後ということなのだと思いますけれども、前にも言いましたように税金が安くなって企業の純利益が増える、増えた純利益は何にされるのですか。儲けたお金はそのままじっと内部留保ですか。今後とも内部留保のままですか。一昨年24兆円増やして、昨年26兆円増やして、また今年も同様に増えるでしょう。何のために増やすのですか。増やして何をするのですか。はっきりしてもらいたい。そうでないと減税する意味がない。国際競争力を企業が得てそれで何をするのですかと言われると、何かみんなもぞもぞしておられて言われる方がないので、特に大企業の方なりはそれに対する反論をしっかりしてもらいたいと思っています。中小企業の場合は、自己資本というものがないと銀行がお金を貸してくれない、一時のように債務超過になっているというならともかく、そうではない状況になって、今でもということも言われる方もいらっしゃいます。今これだけ金利が安くて、銀行は資金に余裕があり、銀行の貸し出し、マネーストックが増えているのなら良いですよ。マネーストックは増えず、企業は内部留保をためている。第3の矢というのは民間がやらなければいけないという話をしているのではないのですかね。それならば、内部留保に対する扱い方を考えなければいけないとか、そういったようなことになりますので、税金の話はそういった点の答えも出していただかなければいけないので、それも加えて減税した分だけその他の部分で課税ベースを拡大するということも考えないと、話としては筋が通らないのではないかという感じがします。これもほぼ同じような話を、内部留保がたまり始めてからですから、一昨年ぐらいからしていると思いますけれども、20年もデフレをやっていますので、そんなに簡単には頭の切替えができるとは思いませんけれども。

問)

先程のTPP協定の為替の部分のお話なのですけれども、先程大臣は拘束力を持つことはないというふうにおっしゃったのですけれども、これは要するにこれまでの日本の為替政策が変更を強いられるとか、何か日本の為替政策に影響を与えるとか、そういうことはないという理解でよろしいでしょうか。

答)

ないです。

問)

年1回集まるというお話なのですけれども、これは例えばG20とか春季・秋季のIMF・世銀の会合もあるわけですが、そういった場を使って例えばそういったTPP関係のマクロ経済政策の会合を開催していくということで、特別に集まる機会を設けるとかそういうことではないという理解でよろしいですか。

答)

そうだと思います。

問)

高官レベルというお話なのですけれども、これは大臣クラスですか。それとも財務官クラスですか。

答)

財務官とか。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る