麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年11月27日(金)11時13分~11時26分)

【冒頭発言】

先程の閣議において、総理から補正予算編成の指示をいただいておりますので、これを受けて私の方から補正予算の考え方を申し上げ、速やかに編成作業に向けて各大臣の協力をお願いしたところです。政府においては、TPPを真に我が国の経済再生や地方創生に資するものにするという観点から、「TPP関連政策大綱」を25日、一昨日に決定しております。また、一億総活躍社会の実現という大きな目標に向けて「緊急に実施すべき対策」についても、国民会議の方で精力的な議論を経て、昨日取りまとめが終えられたところであります。したがって、平成27年度の補正予算においては、これらのほかに災害復旧その他の緊急に必要な対応を同時に行っていくことになります。御存じのように今年度は基礎的財政収支赤字対GDP比半減目標の達成を確実にするということでもありますので、日本が今直面する課題の解決に直結する施策に重点化しつつ、これをしっかりと実施していくことができるよう編成を進めてまいりたいと考えております。

【質疑応答】

問)

昨日開かれた官民対話について、経団連から来年の春闘での賃上げを会員企業に呼びかけるという話と3年後の国内設備投資が10兆円ぐらい増えるであろうという見通しが示されました。ただ、設備投資に関しては条件みたいな話で、法人実効税率の来年度の20%台引き下げなど9項目、政府が環境整備してくれればというふうなお話だったと思うのですが、そういう昨日の経済界からの意思表示を聞かれて大臣の受け止め、特に法人税の引き下げについての検討の是非についてお聞かせください。

答)

法人税については財源なき減税はしない、ずっと同じことしか言っていないので変わりありません。今の10兆円という話ですけれども、株が一番高かったのはいつですか。1989年12月29日、3万8,915円、それが史上最高値。その時の日本の経済界の設備投資は幾らだったか。79兆4,000億円。それからいくと今の80兆円という話は、別にそんなにおかしな数字でもないと思います。なぜなら、経常利益があの時よりは今の方が良いから当然のこととしてそれぐらいの話があってもおかしくはないと思っていますので、我々としては今株価や内部留保が高い割に設備投資がという話はそう思いますけれども、同時にあの当時に比べて今の方が海外におけるM&Aとか当時にはなかった取引が多いし、海外における工場の設備投資が多いということも事実です。

問)

昨日、軽減税率の導入に伴う新たな経理方式を党の方でまとめましたけれども、内容を御存じでしたらそれに対する御所見と、いわゆるみなし特例というものが暫定措置としてインボイス導入までのつなぎで入るということで、ただ、それに対してもさらにいわゆる益税が膨らむのではないかという指摘が出ていますけれども、それに対する御所見をお願いいたします。

答)

話が出たことは知っていますが、簡素なやり方というものがたたき台として示されたものだというように承知していますので、これで通るかというのは別の話ですね。

問)

法人実効税率の引き下げの問題についてお伺いいたします。引き下げの時期をめぐっては、この前の経済財政諮問会議で菅長官が、来年度に20%台にというようなお話をされておられます。同じ会合で大臣と高市総務大臣の方からは、やはり課税ベースの拡大が必要だということで外形標準課税の拡大ということをおっしゃっております。20%台にするためには外形標準課税の拡大ということは有力な財源の1つというふうに大臣自身はお考えでしょうか。

答)

財源なき減税はしないという基本をまず頭に入れておいた上で、今言われたようななるべく早めということに関しましては全く反対しませんが、それに当たってはしかるべき財源が要りますと。その財源は何になさるのですか。軽減税率というのはいろいろな話がありますけれども、傍ら消費税を上げるわけですから、その一方で法人税を下げるという話をしているわけでしょう。私達から見たら、一般的には他の税金を上げて企業は税金を安くしてという話が世間で通るのかと。まず基本的にそう思いますので、その分に当たってはそれを賄う税、いわゆる財源というのは必ず要ることになりますので、外形標準課税以外にもいろいろありますから。租税特別措置の見直しを全面的にやりますか。1つの方法ですよ。財界はそれでよろしいのですかと言ったら、みんな、とんでもないという話を言うわけでしょう。だったらこの間のところで、いわゆる外形標準課税で8分の4で納得したわけですよ。今年、来年と上げますから、また再来年3年続けて外形標準課税を上げますかと。それで納得するのですか。だけど、私達からみて8分の1といったらそこそこのお金ですから、そのお金を3年続けて8分の1上げてくる、それは実効税率として20%台に落とせるということはできますよ。それをやった場合に、それを払う方の立場からいったら、こっちが安くなってこっちが上がるというので帳消しですから、そういった意味では1年待って再来年にしてもらえば応じられると言っている会社が多いのは知っていますけれども、それを前倒しにして来年といった先行減税を財源なくやるつもりはありません。

問)

財源なき先行減税ができないという話はよく理解しました。ただ、多年度税収中立という考え方もあるのではないかということで、例えば去年でありますと3年間で結局税収中立に持っていくという考え方で法人減税を実行いたしました。同じように、例えば将来そういった財源を確保されるのであれば一時的に減税を先行させるということも選択肢としてはあり得るのではないかと思うのですが、大臣はどうお考えですか。

答)

ないです。

問)

昨日まとめられた一億総活躍社会の取りまとめの中で、低年金者に対して1人3万円、額はまだ決まっていないようですが、給付金を補正予算に計上する、補正かどうか、それも未定かもしれませんが、そういった方針が明らかになりましたけれども、麻生政権でも給付金というのは行いました。この消費喚起策ですとか、消費喚起への影響や貢献、その辺りのこの3万円に対しての大臣の受け止めを教えていただければと思います。

答)

総理の方から指示があって、経済の下振れリスクに対応するというふうな観点からもきちんとそういった低所得者の高齢者世帯への臨時給付金というようなものを支給するという考え方の指示がありましたので、それに対応して今検討しているというところなのですが、まだ額やら何やらというのが決まっているわけではありませんが、そういった形での所得格差などに対応していくということから今のような話があるというのは事実です。

(以上)

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