麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年12月11日(金)9時53分~10時14分)

【冒頭発言】

平成27年度の補正予算について、18日の概算決定に向けて、今与党とも御相談をさせていただきながら編成作業を進めております。先程の閣議において、私の方から現時点での調整状況を報告しております。

地方交付税を除く追加歳出の規模ですが、3.5兆円程度となっております。

主な内訳としては、「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」の目標に直結する施策などに0.4兆円程度を充てる。低所得の高齢者に対する臨時給付金などの一億総活躍社会の実現に向けた対策が1.2兆円程度となっております。

また、TPP関連政策大綱を踏まえ、攻めの農林水産業への転換などに向けた施策に0.3兆円程度を充てることとしております。これによりTPPを通じた強い経済の実現を目指してまいりたいと考えております。

このほか、災害復旧、防災・減災事業に0.5兆円程度、復興の加速化に0.8兆円程度を計上し、テロ対策などの喫緊の課題への対応も行うこととしております。

補正予算の編成に当たっては、今年度の基礎的財政収支赤字対GDP比半減目標を堅持することとしております。こうした大枠に沿って最終調整を目下進めているというところであります。

【質疑応答】

問)

昨日、与党両党で議論があった税制改正大綱についてお尋ねします。軽減税率を除く部分は昨日両党とも了承しました。内容を見ると法人税の改革であるとか、それを受けて財界からは評価する声が上がっているようですけれども、大臣の今回の大綱に対する評価をお聞かせください。もう1点関連して、軽減税率の協議がまだ続いていますが、現在対象を食料品全般に広げる方向で協議の大詰めを迎えていると伺っています。ただ、それを受けて自民党内などからは財源の確保がちゃんとできるのか、財政健全化目標の達成に影響が及ぶのではないかというような声もあると聞いています。そういった懸念について大臣どうお考えかお聞かせください。

答)

与党の平成28年度税制改正の大綱において、安倍内閣の最重要課題である資産デフレ不況からの脱却、経済の再生に向けた一億総活躍社会を目指した様々な税制上の措置を決定していただいたものだと思っています。具体的には法人税改革をさらに大胆に推進して、外形標準課税等の拡大、課税ベースの拡大などによって財源を確保しつつ法人実効税率を20%台というものを実現しております。また、子育てしやすい環境を整備するための3世代同居に対応した住宅リフォームに係る特例の導入、前からの話です。また、教育再生のための国立大学法人等に対する寄付への税額控除制度の導入、地方創生を推進するための地方法人課税の偏在の是正、いわゆる大都会に集中する法人税、地方税というものを地方にということで、前からやっている分の話です。同じく地方創生応援税制の創設など、前向きな取組をまとめていただいたものだと私共としては感謝をいたしております。軽減税率、目下、自民党と公明党との間で、幹事長間で対象品目等いろいろやっておられると思いますので、その状況を見守ってまいりたいというところです。

問)

今の大臣のお話の最後に軽減税率については、自公の幹事長会談の行方を見守ってまいりたいとおっしゃられました。今私共の取材やいろいろなメディアが伝えるところでは、この対象品目は当初、税と社会保障の一体改革の中で用意されていた4,000億円の規模を大幅に超えて、最大で全ての飲食料品や外食まで含める1兆円規模までの範囲も話されているのではないかと思われます。仮にこうしたことで幹事長会談がまとまった場合に、大臣の今おっしゃられている「見守りたい」ということであれば、財源をどうするのかを財務省としては迫られます。大臣は常々、安定財源以外のことは考えられないと言われていました。そうすると安定財源でこの財源を賄うとなると幾つかの選択肢に絞られてくると思います。それは新たな税金を取るのか、それとも今の減税措置のどれかを前倒しでやめるのか、赤字国債を発行するのか、あるいは社会保障の充実策を切り詰めるか、このうち、今大臣としては何が考えられると思われているのでしょうか。

答)

基本的に今言われた質問というのはずっと前から繰り返している話をまとめた質問ですよね。私共としては、今言われたように、財源がなければこれは駄目なので、例えば、あまりよくわかっていない人が上振れとかよく言っているけれども、下振れしたときはどうするのですか。その時はどこから持ってくるのですかというと、それは答えない。上振れの分の話しかされませんから、私共としてはそういったような安定的な財源がない限りはこういったようなことには応じられないということはずっと申し上げてきたとおりです。したがって、御質問のところは、いろいろ言われる方がきっと安定財源も探されるのだろうと思いますので、何を探されるか、税制調査会の方、与党の方で財源も併せて探されるということで、減税だけ言っていても税制調査会としてはいかがなものかと思いますので、入ってくる分の財源を何にされるのか、私共は見守ってまいりたいと思っています。

問)

同じく軽減税率の質問をさせていただきます。2017年4月からの消費税10%引上げ時から軽減税率を導入するということになると、当初、生鮮食品だけに限定してもかなり厳しいというスケジュール感であったと思います。これを加工食品まで拡大するとなると、全飲食料品になりますと関係する事業者は800万事業者、生鮮食品だけ主に扱う事業者だと30万者で、全然対象となる事業者が違うと思います。大臣は常々、混乱なく導入するということをおっしゃっていますが、本当に全飲食料品に拡大して、あと残り1年強で本当に混乱なくこの制度を発足させることができるのでしょうか。

答)

私達は基本的に、以前から混乱なくという条件がついているのであればこれは極めて難しいと。だから10%時と書いたのはそういう意味であって、導入と同時にとは書いていないと思いますので、これは極めて物理的な問題としていろいろな問題を混乱なくやろうと思うと極めて難しい。よく言われている300万者、プラス500万者、800万者という話にどんどんなっていますけれども、BtoC、事業者から消費者への話しか報道されていないです。事業者間同士はどうやってやるのでしょうか。生鮮食品で受けて加工食品にしてまた変えて、その加工食品の中でまた分けていくというような話は、事業者間同士でやるとすごく手間がかかるような話になるのだと、商売していた人間からしたらそこが一番問題なので、BtoCの消費者の混乱は書いてあるけれども、事業者の混乱の方がしんどいだろうと、私にはそう見えますから、これはそんな簡単な話ではないのだろうと思います。

問)

そうするとBtoBの方の取引が混乱するのはある程度避けられないということですか。

答)

BtoBの混乱が起きないように努力はしなくてはいけないのだと思いますが、これは経済産業省が主にやっておられるのだと思いますけれども、きっと経済産業省はそれなりの目安が立っておられるのだというように、私共はそう思っています。こういうことになったらBtoBは必ず騒ぎになると前々から経済産業省には言ってあるはずですから、当然そういった点は検討していただいているのだと思います。いずれにしてもそこらのところの混乱が起きると、消費者はもちろんのこと、業者も非常に迷惑しますし、混乱を避けたいというのは最初から申し上げているとおりなので、意外とこれは、よほどしっかりやらないと難しいだろうなというのが率直な実感です。

問)

重ねて軽減税率、まだ協議がまとまっていないところで恐縮なのですけれども、政府高官からはその財源としてたばこ税の増税や、あるいは外為特会にまで言及があったのですけれども、そうしたものは安定財源として考えられるのか、大臣のお考えを教えていただけないでしょうか。

答)

外為特会は安定財源というものの範疇には入らない。為替は上がったり下がったりしますからね。この間まで123円だったけれども、今121円台まで、そういうふうに1週間ぐらいで上がったり下がったりしますから。そういった意味では、とてもではないけれども外為特会は、今あったからといってもあっという間に下がったりしますから。石油だってついこの間まで110ドルが今日36ドルぐらい、ドバイは35ドルぐらい、そんなものだと思います。そういったようなものまで含めて基本的にこういったものは、恒久財源としてカウントするのに当たっては、とてもではないけれども、自然増収の話と同じようなレベルの話だと思います。たばこの話については、これはちょっと全然聞いていません。税制調査会の話だと思いますので税制調査会に聞いていただいた方がいいと思います。

問)

冒頭、大臣が御説明された補正予算案の進捗状況についてお尋ねします。この中で低所得の高齢者に対しての臨時給付金について言及されました。この予算規模は3,400億円の補正予算を計上すると伺っています。この臨時給付金は、そもそもは消費税が10%になった時に用意されているものと承知していますけれども、今回これを前倒しして、さらに対象となる方々も1,250万人程度とされています。こう見ますと、その緊急性に鑑みると私共記者はどうしても来年の参議院選挙に向けたバラマキではないかという原稿を書きたくなりますし、そうした放送も1回しました。大臣はバラマキもやむを得ないと思われるのか、バラマキというのは全く心外であるというお考えでしょうか。

答)

この給付金を配るというのはバラマキではないかという指摘、簡単に言えばそういうことを言っているのだと思いますけれども、11月27日に総理から指示があったのは、アベノミクスの果実というものを利用して、来年前半にかけて個人消費の下支えを行っていかなければいけないのではないかと。経済の下振れリスクに対応する、確か11月末というのはだんだん景気がどうたらという話をメディアで言われている頃ですよね。だからそれに合わせて低所得の高齢者世帯に対する臨時給付金というものを速やかに支給するように補正予算の中で対応しておいた方が良いのではないかというような指示があったので、私共はその給付金の内容や規模において政府内で検討中であるというように承知しています。ただ、軽減税率の話にしても、これは高額所得者も扱いは一律ですから、低額所得者に対する対応はどうするのですかという話がどうして出ないのか、さっぱり私には理解できないけれども、もうしばらくすると党から出るのだと思っているのですけれども、それはまた別のお金ですからね。どうされるのかなと。私達は低額所得者というものを考えて確実にお金が行く給付金の方が良いのではないかと、私はそう思って最初にその話を申し上げたのですけれども、それよりは軽減税率だというお話だったから、軽減税率になると所得の高い人も低い人も一律になりますからということを申し上げてきたのですけれども。今のところその話はされず、高額所得者も低額所得者も同じ扱いで一緒にやるのだというお話をしておられる方が随分いらっしゃるようですけれども、私らから見ると低額所得者の点を考えてこういったような対応をやっておく必要があるのではないかと私自身はそう思っています。

問)

軽減税率について確認させてください。軽減税率の最終的な導入に伴う歳出と歳入の辻褄をどのように合わせるかという点で、そのための財源をどう確保するのか、また充実策をどのように見直すのか、こういった作業とか調整はどれくらいの時間が必要なのか、近々にまとまるような、固まるような内容なのか、それとももっともっと時間をかけていく必要があるのか、そこはどうでしょうか。

答)

まず、いきなり数千億円以上のお金を簡単に今日明日で出てくるはずがないので、これが始まるのは来年の話ですから。来年までの間に時間をかけてやっていくというのが実態であり、いつまでにということが決まっているわけではないので、できるだけ早く取りまとめるということだと思います。

問)

軽減税率の関係なのですけれども、先程、事業者の混乱ということを考えると再来年4月というのは難しいのではないかといった趣旨の発言、再来年4月に事業者の混乱ということを考えると非常に混乱が起こるのではないかというような趣旨の発言がありました。その中で10%時にという言い方をこれまでしている、つまり同時にとは言っていないということを言われておりました。その上で再び4月というものを遅らせることを求めるという考えはあるのでしょうか。

答)

ありません。少なくともどういうような形で混乱が起きるだろうかというようなことはいろいろ今から与党税制協議会の中で議論されるのだと思います。

(以上)

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