麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年12月15日(火)12時18分~12時37分)

【質疑応答】

問)

消費税軽減税率をめぐる与党協議が政治決着いたしました。酒類・外食を除く食品全般を対象にすることで大筋合意したわけですが、コンビニのイートインとかファストフードの持ち帰りなど外食と加工食品の間の線引きの難しさが指摘されております。こういった限界事例の扱いについて外食関係者らも注目しておりますが、事務当局として線引きできるメドは立っているのかどうか、またいつ頃までに示されるのか、お答えください。

答)

まず、今般の自由民主党と公明党の幹事長合意においては、軽減税率制度の導入に当たって、財政健全化目標を堅持し、安定的な恒久財源を確保することについて、自民党・公明党両党で責任を持って対応するとされたものだと私共はそう承知をしております。したがって、具体的な財源等については28年度、来年度末に向けて検討を今から1年かけてされていくものだと理解していますが、いずれにしてもこれは社会保障と税の一体改革というのが原点になっておりますので、安定的な恒久財源を確保していただくということは必須なものなのだと私共はそう考えております。

問)

質問は線引きのことだったのですけれども、外食と加工食品の間の曖昧さとか、そういったものについていつ頃までに示されるのか、示すメドは立っているのか。

答)

対象食品の線引きという話は、消費者と事業者の話がよく出ますけれども、事業者間でもこれは極めて、加工品まで増やしたことによって対象品目が増えるということになりますので、できるだけ明確なものにする必要があるということははっきりしているのだと思います。詳しい内容については、今後与党で取りまとめられる28年度税制改正大綱においていろいろ示されていくのだと思いますので、財務省としてはこの大綱というものが出て、その後の法案作業の中で線引きが明確になるように対応していくということだと思います。いつまでかと言われると、それは簡単なものではないということは理解していますので、私共としては速やかにでき上がることによって対応が円滑にできるようにしていきたいと思っています。

問)

財源が1兆円近くに上るということになっていますけれども、そもそもこの検討で安定財源の確保が軽減税率導入の前提だったと思うのですけれども、財源を先送りする結果になってしまったということで、この結果について大臣自身がどのようにお考えになっているかということと、先程財政健全化目標は堅持するというお話ですが、1兆円近くの財源が必要ということになりますと、正直言って2020年度のプライマリーバランスの黒字化という目標に影響を与えないのかどうか、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。

答)

それはいろいろなことが考えられますので、私共としては最初から申し上げているように、幹事長間で軽減税率を導入するということで合意をされておられます。その内容については御存じのとおりなので、この合意ができ上がったということに関しては、私共として敬意を表したい、基本的にはそう思います。今後この合意というものを前提として与党税制協議会でいろいろなことをやっていかれることになるのだと思いますけれども、そこで詳しい内容が決定されるということになっていくのだと思いますが、私共としては財源の話というものは今から1年間かけて自公両党でいろいろ検討されていくのをきちんと見守っていく必要があり、それが出た後、それに適切に対応していくということだと思っています。

問)

大臣はかねてから軽減税率の導入に当たっては業者間の手間がかかるということをおっしゃっておられました。生鮮食品から加工食品まで広げますと、対象となる業者がたくさん出てしまうと。そうすると再来年の消費税率の引き上げまでに対応が間に合わないのではないかとかねてから懸念を表明されておりました。今回、与党間の合意を見ますと、加工食品も含んでいるわけなのですけれども、業者の準備というのは間に合うのでしょうか。また、間に合わせるために政府としてはどういうことが必要なのでしょうか。お考えをお聞かせください。

答)

財務省としての仕事より経済産業省としての仕事の方が多いのではないですかね。どのあれをどうするという仕事の話やら、システムエンジニアの仕事がものすごく増える。SEは、そんなに絶対数がいますかというようなことを含めていろいろなものが出てくるので、私共としては業者間と消費者の間のいろいろな混乱はもとより、業者間同士の話が込み入らないかということを申し上げていましたので、今回の中でも軽減税率の導入に当たっては、混乱が生じないよう政府・与党が一体となった万全の準備を進めるということにされたというように、この自公幹事長合意でそう書いてありますので、その自公幹事長合意にどうやって対応されていかれるのか、対応するという前提でできると思ってやっておられるわけですから、私共は極めて厳しいだろうと思っていますので、そういった内容がどうなってくるか、ちょっと今の段階でこれ以上言うことはありません。

問)

来年度の税制改正のこれまでの進め方、決め方のプロセスについてお伺いしたいのですけれども、これまで自民党の税制調査会は国民に増税なりで負担を求めるという性格上、増税のときは税の論理でどれだけ納得がいくかということを突き詰めて議論するとか、あるいは減税のときも様々な議員から減税要求が上がってきたものに対して、それは納得できるものなのかと議論を尽くして、それを総合調整するという役割を担ってきたと思うのですが、今年度の税制改正では法人減税とか、あるいは軽減税率をめぐるプロセスでも非常に首相官邸主導だということが指摘され、実際、野田前税制調査会長が交代されてから一連の流れを見ますと非常に首相官邸主導という性格が非常に強かったのではないかと思います。大臣は、今まで自民党税制調査会を通じた税制改正のプロセスに非常に敬意というか、尊重されるお立場で考えてこられたと思うのですが、この間の政策決定のプロセスについてどのようにお考えでしょうか。

答)

野田さんから宮沢さんに替わられたので、今言われたような意見が出てくるという背景なのですかね。税制調査会の中ではきちんと谷垣さんも含めて、インナーの方々など、いろいろ話をしておられるというのは今までと変わっていないと思います。いろいろな意味で官邸の主導と、マスコミはそう書くのだろうけれども、党と政府というより、官邸と政府の間が特にぎくしゃくして対立しているというような話を作りたいのだろうけれども、そうでもないのではないですかね。我々から見ていて、最初の野田さんだったらというような話は幾らでもありますけれども、それは人が替わればいろいろ対応に差が出てきてもある程度しようがないし、山中貞則さんから替わられたときどうでしたか。似たような話で、今度は野田さんから宮沢さんに替わったら、宮沢洋一さんはと、それはしばらく出るのだということだと思いますけれどもね。

問)

税制調査会についての大臣の御感想を伺いましたけれども、その上でお尋ねします。今日も午前中、幹部の会合が開かれましたけれども、非常にお通夜のようだったというような感想もあり、出席者の少ない中で行われました。今回のように税制調査会を飛び越して官邸からの意向が非常に反映された大綱作りになったことを我々国民やいろいろな人も見ると、今後は政治家にしても要望する各省庁にしても業界団体にしても、税制調査会を頼らずに官邸を頼った方が自分達の意向を反映してもらえるというような期待が上がるのではないでしょうか。また、税制調査会は要らなくなってしまうのではないかという気さえします。大臣は財務省もこれまでのように党の税制調査会と一体となってやっていく方法から何らかの軌道修正が必要になってくるでしょうか。

答)

ないと思います。

問)

それは今までどおりやっていくことで問題はないと。

答)

税制調査会というものが基本です。

問)

この間の大臣の御発言についてお尋ねしたいと思います。先程からも同様の質問がありますけれども、大臣は軽減税率の適用範囲については安定財源がなければ応じられないという姿勢をずっと保ってこられました。今回は社会保障と税の一体改革で用意された4,000億円を大幅に超える安定財源が必要になるという決着になりました。この意図は自民党、特に官邸が公明党との選挙協力を優先した結果と私は受け止めています。ところで、この選挙に勝つこと、特に今度の参院選に勝つことは大臣が掲げてこられた資産デフレと経済再生を達成することに役立つのでしょうか。大臣は去年の総選挙の後の派閥の例会では、選挙には勝ったけれども、それは手段であって、目的は経済再生と財政再建をきっちりやることなのであるというふうに言われました。参院選で公明党との選挙協力を今まで以上に仰がなくても経済再生と財政再建は達成できるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

答)

参議院の自由民主党の議席は幾つですか。参議院で自由民主党は公明党と合せて過半数ですから、自由民主党が過半数を持っているか、持っていないかというのが、来年の参議院選挙は極めて大きい、はっきりしていますよ。だから私共としては、基本的に参議院の選挙において自由民主党が過半数をというのを、我々ずっと議席を失った8年前から考えていましたので、そういった意味では、この選挙の意味は極めて大きいということははっきりしています。しかし、今言われたように軽減税率の話というのは、少なくとも前々から10%時に軽減税率をという話を自公間の合意として持っていましたので、その合意に基づいて、今回いろいろ話をしているということであり、参議院の選挙で協力をした方が良いには決まっていますけれども、私共としては財源とか、また低所得者向けとしてもともと給付を考えたのですが、この方が確実だと思っていましたから。しかし、マスコミは反対したでしょう、軽減税率の方がいいと。給付は駄目だということを言っていたわけだから。軽減税率というのは、一概にはみんな高額所得者も軽減税率の恩恵に浴することになりますから、そういった意味ではいかがなものかと思わないでもないです。低所得者と高所得者とでは人数が違いますから、絶対額が違ってきますけれども、高額所得者も受けるということになるので、いかがなものかと私共はそう思っていたので、最初に我々の案を出したのですけれども、そうではないという話で軽減税率ということになったので、私共としては、それが公明党のために軽減税率になったかと一概にはそう言えないのであって、我々の出した案ではない軽減税率という案の方をとられたものですから、マスコミがとは言わないが、世論がそう採られたと言うべきかどうか、判定の難しいところかもしれませんけれども、いずれにしても私共としては軽減税率をやるという前提に立った場合は、その難しさは最初からわかっているわけですから。そういった意味ではその額も財源も我々としては極めて難しい問題がある、今の状況ではと思っていましたから、今申し上げたような形になったのであって、自公協力のためにというのは、それは与党としてはいろいろ選挙というものを考えれば、いろいろ考えられるのは当然だとは思いますし、私共も過半数なり何なり、きちんとした数字がなければ政策を実行していけませんし、それがねじれた結果どうなってきたかというのは過去幾つも我々は苦い思いをしてきていますから。そういった意味では安定したものを両院で持っておかなくてはならないというのははっきりしています。しかし、我々としては今いろいろな政策を実行してきているだけなのであって、今回のこれによって、選挙がうまくいくのかといえば、もし自民党が取れなかったらそれは公明党の責任ですか、そうはならないでしょう。それは自民党の責任ですから、取れなかった場合は。だからそういった意味では、これができれば公明党との関係でやった結果ということになりかねませんから。この質問は引っかけようとしているのか、意図がわからないけれども、私共としてはそういう考え方はありません。

問)

軽減税率の与党合意について安倍総理はこれを最善の結果と言われましたけれども、大臣もこれが最善の結果と思われるかどうかということと、与党の協議で最後の最後で軽減税率の対象に新聞が入ることになりましたけれども、これについての御所感を教えてください。

答)

少なくとも新聞とか書籍、雑誌というのは今後税調でやっていかれるのだと思いますので、その内容を詳しく知っているわけではありません。最善かどうかと言われたら、税というのは後になって見たら、あの時ああしておけばよかったとか、こうしておけばよかったとか、後になったら幾らでも出てきますので、今の状況として現状を考えればということだと思いますので、これが最善の結果だったというようなものを作り出さないといけないというのが一番大事でしょうね。

(以上)

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