麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成27年12月18日(金)17時31分~17時49分)

【冒頭発言】

平成27年度補正予算につきまして、先程の臨時閣議でその概算を決定しております。財政健全化と両立させながら、一億総活躍社会の実現やTPPによる強い経済の実現に向けて重要な第一歩を踏み出すものとしております。具体的には、保育所等や介護施設の整備加速化など「希望出生率1.8」、「介護離職ゼロ」の目標に直結する施策に3,951億円を計上しております。このほか、年金生活者への臨時福祉給付金や生産性革命の実現、地方創生の本格展開などを含め、一億総活躍社会の実現に向けた施策は1兆1,646億円となります。TPP関連では、攻めの農林水産業への転換などに必要な施策や中小企業等によるTPP活用促進などに3,403億円を計上しております。このほか災害復旧、防災・減災事業に5,169億円、復興の加速化等に8,215億円、国民の安全・安心の確保や中小企業・農林漁業者への配慮など、喫緊の課題への対応に3,037億円などが盛り込まれたところです。

この結果、地方交付税交付金を除く追加歳出の規模は合計で3.5兆円となります。財源に関しましては、所得税収や法人税収の増加によって1兆8,990億円、前年度剰余金2兆2,136億円などを活用します。これらの追加歳出や財源などを踏まえると、今年度のプライマリーバランス赤字半減目標は達成を見込みうるものとなっております。また、平成26年度補正予算に引き続き4,447億円の公債金の減額を行います。

今後、1月4日に召集されます通常国会への補正予算提出に向けて速やかに作業を進めていく予定であります。引き続き来年度予算の編成について、これから全力で取り組んでいくところです。

【質疑応答】

問)

補正予算について伺います。まず編成に当たって一番重視された点、それと歳出規模が事業費ベースで3.5兆円ぐらいということで、これはプライマリーバランスの上限ぎりぎりまで事業費を拡大させるという狙いでしょうか。それとも現下の消費状況や経済の状況を合わせてこれぐらい必要という御判断でしょうか。それと、3万円の給付金ですが、与党内からも一部に批判の声があるようですが。

答)

日本経済については、昨年の補正予算の編成をさせていただいたときには、消費者マインドの弱さが懸念されていたところでしたので、私共もその前提で予算を編成させていただきましたが、今回は一定の改善が見られておりますので、昨年とは異なる状況にある、基本的にそう思っております。こうした中で政府としては、ここ数年間の補正予算のように需要を追加することを目的とした景気対策というものを策定するのではなくて、一億総活躍社会の実現といった大きな目標の下で、少子高齢化という課題に正面から取り組み、同時にTPPにつきましてもその活用を促進し、真に日本の経済再生、地方創生につなげていくということなどによって、強い経済を実現するとの大きな考え方の下で、補正予算を編成したと思っております。したがって、今回の補正予算はあらかじめ補正の規模を決めて編成したものではないということです。

年金の給付金については、加藤勝信一億総活躍担当大臣に聞いていただいた方がいいのだと思いますけれども、緊急に実施すべき対策として11月26日の会議において、賃金引き上げによる消費喚起を目指す中でその恩恵の及びにくい方々に支援を行うという考え方でやらせていただいたと考えております。

問)

その給付金のことで、与党内からも一部でバラマキではないかというような批判の声もあるようですが、大臣の御評価と狙いをお願いします。

答)

私は今申し上げたように、この給付金というのは一億総活躍社会を目指すときに、国民会議の中において少なくとも緊急に実施すべき対策だとして賃金引き上げということで、皆さん方の給与は2%、3%上がっているけれども、そういった恩恵に浴していない人達、いわゆる年金受給者等、そういったところの方々を考えた場合、消費喚起を目指すということなのであればその恩恵が及びにくいという方々に支援を行うという考え方に基づいたものであって、バラマキというように考えたことはありません。

問)

本日、日本銀行の金融政策決定会合が開かれまして、量的・質的金融緩和を補完するための措置の導入ということが決まりました。マーケットからは、かなりサプライズだったということでマーケットもかなり動いたのですけれども、大臣はこの日銀の政策についてどのような評価をお持ちでしょうか。

答)

日本銀行において決定された事項について我々がどうこうということを普通はしないことになっています。それを知った上で聞いているわけですか。

問)

中身を見ると例えば新たなETF買入枠の設定というところもございまして、その中にETFを設定して設備投資や人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とするETFを買い入れるという話になっています。政府としても設備投資や人材投資をやっている企業を応援するというような政策もやっておりますので、政府と軌を一にした政策ではないかと思われるのですけれども、そういう意味では政府・日銀一体となって好循環に向けて取り組んでいる1つかなとも思うのですが、大臣の評価をお伺いできればと。

答)

金融政策を実行していく上で今いろいろな問題が、大きな問題から小さなもの、いろいろありますけれども、そういった問題を補完する上においても必要なものだということで今回の一連の措置がなされたのだと理解をしていますので、適切な判断がなされたのだと私にはそう見えます。物価安定の目標というものを今抱えているわけで、石油がさらに下がってきたり、いろいろな形でデフレが世界中で進んだりし始めている中にあって、我々としては3年前に予測した自体とは違った、石油に限りませんけれども、いろいろなものが起きている中で日本銀行としていろいろと努力をしていただいているのだと思っております。

問)

補正予算について幾つかお尋ねしたいと思います。大臣は冒頭、今回の補正予算は強い経済を実現するためであるということをおっしゃいました。ただ一方で、最近、甘利大臣はプライマリーバランスの赤字削減や目標達成は大切だけれども、過達、つまり達成し過ぎは必要ないということを述べられています。ということは今後も税収の上振れがあったりしたときには緊急性がなくても補正予算を組むことになるとも思えます。そのようなお考えはあるでしょうか。

答)

我々として一番考え、常に考えておかなければいけないのは、現下の経済状況に対応するのに今の施策は十分か否か。経済というのは生き物ですから、学者が書いた話と訳が違います。生きている話を我々は常に対応していかなければいけない立場にありますので、需要を追加するといったような目的を今考えているわけではないというのを最初に申し上げたばかりですから、そういった意味で強い経済というものがないと、投資をする側、設備投資をする側、そういった経営者側に立ってみても、また物を買う消費者側に立っても、今後とも強い経済、経済は伸びるというような感じが出てこないと景気の気の部分も動いてきません。そういった意味ではきちんとした強い経済というものを考えておかなければならないと思っていますけれども、上振れした分というのはその時々にさらにそれを使って経済政策をやって、刺激してマクロを引き起こすというのも愚かな話ですし、その時々の状況によって使い方が変わってくるのは当然だと思います。

問)

補正についてもう1つお尋ねします。この中身で額は小さいのですが、必ずしも強い経済とは限らない事業も含まれているようです。その中で自民党の外交部会でもその必要性が話題になった中国での植樹事業90億円というのが盛り込まれています。大臣はこの事業を補正予算に盛り込むことについてはどのような評価をされたのでしょうか。

答)

少なくとも中国からのPM2.5が偏西風に乗ってどんどん来て、昔は黄砂とかいろいろ言ったのですけれども、その内容が激しくなってきて、少なくとも私の選挙区では朝起きたらゴルフ場が真黄色、目がおかしいのかと思うぐらい真黄色になるんです。何でこれが起きたかといえば、植物学者等の話によれば、いわゆる文革の時代に木を切って、後で植林するという文化がない。そういった習慣がないという中国の揚子江の上流の泥と一緒に揚子江に流れ込んできて、それが三峡ダムにたまっている等、水の問題というのは極めて大きい。その問題を根本的に解決するのは植林。昔から言われていますよ。そしてそれを誰かが実行せねばならないという話も前から言われていますが、これは中国のためという点でも外交部会で誰が言ったか知りませんけれども、我々のように日本海側にいる人間にとってみれば、中国も大変かもしれないけれども、その被害はこっちにも及ぶから、しかるべき対応を地球環境とか温暖化とかということを考えたらそういうことをやるという姿勢を示すというのは大事なことだと、私はそう思います。

問)

相場の動きについてはコメントしないといつもおっしゃられておりますが、本日の株式相場の動きについて何かご感想はありますでしょうか。

答)

コメントすることはありません。

問)

先程の質問とちょっと重なるのですけれども、日本銀行の金融政策で設備や人材に投資する企業の株式を買うというような方針を打ち出したというのは、かなり踏み込んだ方針だというふうに理解できるのですけれども、日頃大臣がおっしゃっている方向性とも合致すると思うのですが、やはり何らかの感想をいただけないでしょうか。

答)

さっき言ったとおり、適切な判断だと思います。

問)

大阪市の橋下市長が今日退任されました。橋下氏自身は政界から引退すると言っていますけれども、一方で彼の政治的な影響力から自民党内からも政府内からも政界復帰を望む声も聞こえてきます。大臣は先月、橋下氏と同席されたときに政治家に向かないというお話をされたということも記事になっています。そこで橋下氏の政界引退に際して、大臣は今後復帰してもらいたいと思いますでしょうか。

答)

たまたま席が隣になって2時間ぐらいしゃべったのですけれども、政治家に向かないということがわかったので辞めますと言ったので、偉いと。永田町に来たら、向いていないと私達から見てそう思っても、自分は向いていると思ってやっている人がいっぱいいるから。そういうのに比べたらたいしたものではないかと言いました。何で向いていないと思ったのかというコメントが面白かったのですけれども、それはちょっと記者会見には不適切だと思いますし、それをしゃべるほど口も軽くないので。向いていないと自分で思った人が、みんなで向いていると言えば向いてくるかと言われたら、それはなかなか難しいですよ。本人は向いていないと思って、選挙をやれば間違いなく通る人が出ないと言って、辞めると言っているのに、もう1回出ろというのはそれは無責任なこと、マスコミと私達は違うから、やはり責任は取らないといけないから、だからそういった意味では迂闊なことは言わないことだと、人の一生に関わりますから迂闊なことはあまりお勧めできませんと、私はそう思います。

(以上)

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