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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成27年12月24日(木)10時41分~10時56分)

【冒頭発言】

先程の閣議におきまして、平成28年度予算の概算を決定しておりますので、その概要を御説明させていただきます。まず、この予算は日本が直面する重要課題にしっかり取り組むものとしております。この秋、御存じのように政府は、一億総活躍社会の実現を掲げて、強い経済の実現に向け、少子高齢化に対して正面から取り組むこととしました。この予算で子育て支援や介護サービスの充実、教育費の負担軽減、地方創生の本格展開等を進めていきたいと考えております。また、来年、日本はサミットの議長国として各国首脳を三重県の伊勢志摩に迎えることになります。充実した外交予算で地球儀を俯瞰する外交を進めてまいりたいと考えております。さらに、国土強靱化の推進、攻めの農林水産業への転換、東日本大震災からの復興などの課題につきましても着実に取り組んでまいります。同時に、2020年度のプライマリーバランスの黒字化に向けて、財政健全化も着実に進めていきます。夏の時点で、概算要求額は102兆4,000億円、27年度予算より6兆円も大きいものだったと記憶しますが、その後、診療報酬の適正化、改革工程表の策定など歳出改革を進め、本日決定した96兆7,000億円、対前年度比0.4兆円の増加となっておりますので、概算要求額から5兆7,000億円削減できたということです。こうした中で、一般歳出も対前年度3.2兆円増の概算要求がありましたが、最終的に経済・財政計画の目安に沿って対前年度比約5,000億円の増加にとどめ、国民負担の増加を抑制したところです。また、公債発行額も対前年度2兆4,000億円減額、34兆4,000億円となっております。公債依存度は35.6%という数字になりますので、リーマンショックの前に編成した平成20年度予算以来の水準となっているということです。また、歳入につきましては、租税及び印紙収入は57兆6,000億円、また、その他収入につきましては4兆7,000億円となっております。経済財政と財政健全化を両立し、経済・財政再生計画の初年度にふさわしい予算になったと考えております。

また、現行の特例公債法につきましては、今年度末に期限を迎えますので、通常国会に法案を提出する必要があります。今後、与党とも相談をしてまいりますが、財政健全化目標や経済・財政再生計画を踏まえ、新たな特例公債の発行期間を2020年度までの5年間とする方向で検討しております。

続いて、同じく先程の閣議におきまして平成28年度税制改正大綱を決定しましたので、概要を御説明します。平成28年度の税制改正におきましては、成長志向の法人税改革等を行うとともに、消費税率引き上げに伴う低所得者への配慮として消費税の軽減税率制度を導入いたします。併せて少子化対策、教育再生や地方創生の推進等のための税制上の措置を講ずることとしております。

【質疑応答】

問)

先程大臣が説明された一般会計予算が閣議決定されました。歳出規模が96.7兆円という過去最大の規模です。大臣がおっしゃられたように財政健全化及び経済再生計画の初年度となる予算ですが、2020年度のプライマリーバランス黒字化に向けた目標達成への道筋はこれでついたというふうに考えられますでしょうか。大臣の御評価をお願いします。

答)

経済は御存じのように生き物ですから、目途が立ったとか先行き5年間大丈夫なんていう経過予測を信用したことは自分でもないだろうと思うし、これが全部できましたなんていうほど簡単な世界ではありませんので、これでできたというような感じではありませんけれども、その方向に沿っているということは確かだと思っています。夏の概算要求では、昨年度より6兆円多い102.4兆円だったと思います。どうやって年末に向かって削減していくかというのが質問だったでしょう、あの時。本日決定した概算を見てもらえれば96兆7,000億円となっていますので、高齢化によって社会保障関係費が伸びていくという中にあって、診療報酬の適正化や改革工程表の策定など、歳出改革には全力で取り組んだと思っております。最終的には一般歳出等の伸びを経済・財政再生計画の目安に沿った水準にとどめたということで、国民負担の抑制というものを図ることができたのではないかと思っています。2020年度のプライマリーバランス、基礎的財政収支の黒字化目標に向けたものかどうかと言われれば、第一歩として、そういった初年度に当たってはふさわしい予算になったのではないかというように考えています。

問)

金融庁関係で1点お尋ねします。一昨日ですが、金融庁が東芝の不正会計問題に関係して新日本監査法人に行政処分を出しました。資本市場における監査法人の役割という観点からこの問題について大臣の御所見をお願いします。

答)

御存じのように監査制度は、日本というのは自由主義で開かれているところですから、その自由な金融資本市場の信頼というものを確保するためには極めて重要な制度、インフラ制度なのだと思っていますけれども、これを担う監査法人の監査及び業務管理体制に不備があったということなので、これは甚だ遺憾なことだと思っております。新日本監査法人につきましては、今回の事態に至った経緯、原因というものを見つめ直してもらって、反省の中でしっかりと業務改善と信頼回復を、取り戻してもらうという努力をしていただく必要があると思っています。金融庁としては新日本監査法人の取組状況についてしっかりと確認をしていかなければならないと、そう思っています。

問)

予算についてお尋ねしたいと思います。まず税収が3兆円も増えたおかげで赤字国債の発行は減らすことができましたし、地方交付税の別枠加算を廃止し、特例加算も縮減することができました。一方で主計局の査定についてですけれども、診療報酬の本体部分のマイナス改定は実現しませんでしたし、国立大学の運営費交付金のカットもできませんでした。この査定に対する大臣の評価をお伺いしたいのですが、その際にこの査定に影響したものとして、この間に起きた大きな出来事といえば、消費税の軽減税率の対象品目を大きく広げて財源の手当ては先送りしたことや補正予算で年金受給者の臨時給付金の、大臣はバラマキを否定されましたが、まるでサンタクロースのように振る舞われたことによって、医師会ですとか族議員の抵抗に逆らえなかったのではないかという指摘が自民党からも出ています。大臣はこの主計局の査定とそれに影響したものは何だったかについてどうお考えかお聞かせください。

答)

税収が伸びているというのは、この3年間、来年度を入れて4年連続予算編成をさせていただいたことになりますけれども、税収増はこれで消費税6兆円とその他9兆円ですから、15兆円税収が伸びたと。特例公債の発行は10兆円減ったという事実が一番大きいのではないでしょうかね。税収が伸びているということは、間違いなく企業の景気が良くなっていない限りは法人税が増えるはずはありませんから、そういった意味では良くなっているのだと思っています。また、株式市場を見ても時価総額が、1989年の3万8,900円の時、あれとほぼ同じ額に来ていますので、それでいながら3万8,900円ではなくて1万8,000円だ、1万9,000円だというところで、3万8,900円と匹敵するほどの額ができていると。なぜかといえば、簡単に言えばあの頃の上場している会社の数が、今800ぐらい増えていると思います。だから新しい企業が起きていないと言うけれども、現実は違っていて、かなりのものが増えているということは、その700、800増えたのが多いか少ないかは別にして、少なくとも起業されているがゆえに日経平均が1万8,000円、9,000円にもかかわらず3万8,900円の時に匹敵するほどの時価総額になっているということは、1つの現実として我々は知っておかないといけない。したがって、新しい企業が起きやすいように、そういったものがやりやすいようにいろいろな努力をされているというように考えないと理屈として合わないのだと思っていますので、今、我々は財政再建というものをしつつ、経済の成長と両方をやると。一面、二律背反しているようなところがあるにもかかわらず、それをやっていかなければならないというのが我々に与えられている仕事なのですけれども、その意味において今回の査定というのは、言い方はいろいろあるとは思いますけれども、私としては、少なくとも年間1兆円伸びるはずだった社会保障費が概算要求で6,700億円、現実として約5,000億円ということになりましたので、そういった意味ではきちんとした査定はそこで行いつつ、傍ら、みんなが萎えるような形にならないようにいろいろな意味の配慮がなされた結果なのだと思っています。

問)

先程大臣は、子育て支援ですとか高齢者支援、介護サービスの充実とおっしゃられました。今回、子育てですとか家計重視の予算になったかと思いますけれども、一方で補正予算から引き続き高齢者向けの給付金などもあり、先程の質問とも絡みますが、効果が限定的ではないかという声もありますけれども、この辺りの家計重視の予算の狙い、効果のほどについて改めてお考えをお聞かせください。

答)

全体として日本の中でこれまでは、総じて高齢者の方に予算の配分が偏っていたという批判は正しいのだと思います。子育て世代の方に、若年者の方に少ないということになっていますので、そういった意味では一億総活躍国民会議の提言というのが11月に出されていましたけれども、そういうものを受けましていろいろ我々は配慮しなければいけないということで、保育の受け皿等をやらせていただきましたし、その分は保険料というものを勘案して、その分だけ企業で少なくとも保育等の施設については御自分達でやっていただけませんか、保育士の確保等をやらせていただくにしてもそちらの点については企業の方でもやってくださいというようなことをやったり、いろいろなことをさせていただきました。そういった意味では、あれで初年度800億円ぐらいやらせていただくと記憶しますので、現役子育て世代への施策というのは結構充実させることができたのではないかなと思っています。かといって高齢者を無視したわけでもありませんし、そういったところはそれなりの配慮ができた、結構高齢者を維持しつつ子育て世代の方にもいけたというような感じはします。

(以上)

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