麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣繰上げ閣議後記者会見の概要

(平成28年12月22日(木)10時03分~10時39分)

【冒頭発言】

平成28年度第3次補正予算及び平成29年度予算について最終的な計数整理を行った上で本日の繰上げ閣議において、その概算を決定しております。内容につきましては一昨日申し上げたとおりです。また、平成29年度税制改正の大綱も本日の閣議で決定しております。この中で配偶者控除・配偶者特別控除の見直し、研究開発税制、所得拡大促進税制等の見直し、それから酒税の見直し、また外国子会社合算税制の見直し等を行うこととしております。今後、来年の通常国会にこれを提出すべく、予算、税制ともに速やかに作業を進めていきたいと思っています。

【質疑応答】

問)

本日閣議決定されました2017年度政府予算案ですけれども、財政健全化と経済成長の両立というものを目指して編成作業を進めてこられたと思うのですけれども、国債の新規発行額の削減が600億円にとどまりました。また、基礎的財政収支の赤字というのも2016年度の当初予算よりわずかに悪化しています。この2点を踏まえて財政再建がより一層厳しくなっているのではないかという見方もありますけれども、大臣はこの点どのように評価されますでしょうか。

答)

消費税を上げるというのを2年半延期した段階で厳しくなっていますので、今に始まったことではありません。その中にあっても今回の600億円とはいえ新規国債発行額を減らすことができていますので、4年間で間違いなく10兆円を超える額を減らすことができた。流れとしては一般歳出の5,300億円の伸びという目安、社会保障の伸びを3年間で1兆5,000億円という目安もほぼ達成していますので、全体のバランスとしてはそこそこできていますし、22日までに決着ができたのはよかったかなと思っています。

問)

平成29年度、2017年度当初予算案では外為特会の剰余金見込額を全額繰り入れて歳入を確保して、その結果、新規国債の発行額をかろうじて前年度当初から減らしました。ただ、この特会の活用がなければ新規国債の発行額が増えていた可能性もあります。全額繰り入れはルール上、禁じ手ではありませんけれども、改めてその狙いと一般会計が厳しい現状に関して大臣の御所見をお願いします。

答)

国債費については、御存じのように日銀が当面長期国債は0.0%でイールドカーブ等を抑えるという話をしておられますので、低金利の環境というのが今後とも続いていく、また日本銀行も続けると言っておられますので、それでいくと積算金利を我々としては1.6%から1.1%に引き下げて、これまでのこの種の差額が一番多いのは1.1%という過去の歴史がありますので、その意味で0.5%を切り下げるというようにしています。それで約1,000億円の減、23.5兆円とさせてもらったということです。今の民間の予想を見ていると円が100円切りますというところから120円超えますというところもあって何とも言えませんけれども、外為特会はこのところ、30%を超えて剰余金を留保してきたという状況にありましたので、上がり下がりが激しいということを見越していましたけれども、金利が0.0%を維持されるという前提に立ちますと、今言ったようなことは見ていますので、2兆5,000億円全額繰り入れても我々としては影響は大きくないと判断させてもらったので、有効に活用させてもらったと思っています。

問)

社会保障についてお伺いいたします。社会保障の伸びを5,000億程度に抑えるために特に高齢者の医療で負担増というのが相次ぎました。2018年度以降もさらなる負担増や給付削減は避けられないとお考えでしょうか。また、社会保障の持続性を高めるために中長期的にはどういった政策が必要だというふうにお考えになっておりますか。

答)

少子高齢化というのは日本において長期的には向こう数十年間見込まれる数字ですから、我々としては改革工程表をつくらせてもらった上で、それに沿ってやらせてもらっています。社会保障関係費については、4,997億円のプラスということになったのだと思いますけれども、これによって今年度に続いて、安倍内閣の予算で3年間で約1兆5,000億円、その流れを酌んで、予定どおりでやっています。小泉内閣のとき幾らやろうとしたか覚えていますか。

問)

2,000億です。

答)

結果的に5年間でえらい勢いで勇ましいことを竹中さんが言っていましたけれども、あのときはできませんでした。今この内閣で間違いなく毎年5,000億円、しかも制度まで変えて5,000億円というのをきちんとやれているというのは、あの頃とは比べ物にならないと思います。我々としてはこの流れというのは今後とも、今度の薬価の改定の話にしても最近の中で小野薬品のオプジーボが出ましたけれども、それ以外にも薬価の市場価格との価格差というものをきちんとした形でおさめられることによってもう少し薬価が下げられるのではないかとか、介護の話についても所得のある方、資産のある方については、すみません、もうちょっと負担していただけませんかという話をして、全体としての制度というものを、皆保険なり介護というものをきちんと維持していくことを考えると今言ったような改革というのはこの3年間の間に何回かやらせていただいていますけれども、引き続きこれをやったらもっとこういうことができるのではないかとか、またいろいろなことが出てくるかもしれませんから、きちんと抑えるという方向にいかないと後年、後の人に社会保障制度というものが維持できなくなりかねないということになりますので、今のうちからきちんと手を打っておく必要はあるのだと思っています。今のうちにできるものからやっていくという姿勢は変わりませんので、来年度どうなるかというと、今年を見た結果、もっとこれができるということになればそれなりにやらせていただきますし、来年は2年に一遍の薬価の改定の年でもありますので、そういったものを含めてまた検討していきたいと考えています。

問)

予算編成のヤマ場を越えたのでお尋ねしますが、この1年を振り返って経済財政運営についての大臣の御所感をお尋ねしたいのと、ブレグジットとかいろいろありましたが、少し気が早いかもしれませんが、来年に向けての抱負をお聞かせいただけないでしょうか。

答)

4年前の12月16日が選挙だったので丸4年ですか、これで5年目に入るというわけですけれども、あの頃、円が幾らだったか覚えていますか。この1年間で年初が120円です。今日が117円、一時期90何円まで下がりましたけれども、野田内閣の引き継ぎのときは80何円でした。それが一時期120円を超えるところまで行きましたけれども、そういった円安・円高でえらく振れた4年間という状況だったのだと思います。我々の経済というものでいくと、円が10円下がるとトヨタだけで5,000億円利益が違うという話がよく新聞に書いてあるので、それぐらい大きなものの比率を占めているという現実があります。やはり円というものが極めて安定した通貨として、昨今SDRに入った元とは全く評価が違った、信用のある通貨にのし上がってきたというのがこの4年間言えることではないでしょうか。したがって国際金融の世界の中ではえらく日本の通貨、経済、政権の安定等によって、日本という国家の地位が上がったというのを背景にして、経済についても各国からの要人等の面会申し込み等が、どんどん増えていっています。私は外務大臣をやっているのではないのだとよく言うぐらい、外務大臣のときより今の方が多いのではないかと思うぐらい、外国人の客がえらく増えています。それは決して悪いことではないのだと思いますので、そういった意味ではその信用は得ているところになっています。世界から見ると全然よくなっているという形を証明していますので、非常に参考になる情報をよくもらうんですけれども、今やはり経済がよくなってきている中にあって、いろいろな地域差とか年齢差とか企業間格差、産業間格差というのがいろいろありますので、これはきちんとしたものに変えていかなければいけない、対応していかなければいけない。だけど時代とともに衰える産業というのはあるので、私は石炭をやっていたからわかるけれども、昭和35年まで石炭は最高でしたが、45年になったら石炭は最低になってしまった。10年間で世の中全く変わってしまったのだから、当然石炭で食っていた人の行き場はなくなった。そういう産業に私はずっといたので、産業の移り変わりというのは避けて通れないものだと思っています。技術の進歩に合わせていろいろなものが変わって、ビットコインなんてものが出てくるとどうなってくるのかとか、いろいろなものをこれから考えないと、スマートフォンとATMさえあれば銀行の支店なんてほとんど要らなくなってしまうのではないかというぐらい進歩する可能性というのは秘めていると思います。そういう技術進歩に合わせて、役所としても、経済政策をやるにしても、技術の進歩が産業、経済、金融に与える影響というのをある程度考えないと、役所というのはどうしても後追いになるから、それがそういった分野の成長を阻害しているということになりかねませんから、よくよく目を開いておかなければいけないものなのだというのがこの数年間やっていた実感です。すごい進歩しています。本当にびっくりするほどのものが出てきますから、経済というものもそれに合わせて柔軟に構造改革を遂げていけるようにするのを、規制があるからとか、いろいろなレギュレーション、そういったものがあるからできない、だから遅れるというのではいけませんので、そこのところはきちんと対応しながら、かつ何となくグローバライゼーションという名のもとに、日本というものが持っている文化とかいろいろなものが消えてしまわないように、ちゃんと両立させるようにしないと国としては難しいことになるので、そこのところはこれからもやっていかないといけないところで、難しいところです。薬の話にしても。結果的に新薬を開発する会社というのはロシアからなくなったし、ドイツからもなくなったし、日本はまだきちんと維持しているということは、やはり製薬会社がそれなりの努力をしているからなのだと思いますけれども、いろいろなものを総合的に考えてやっていかないといけないというところがこれから一番難しいところでしょうか。

問)

新発債の公債の発行額なのですけれども、確かに当初ベースで比較すると何年連続減と、そういう言い方になるかと思うのですけれども、補正を入れると、国民に対する説明だとか、国民に対して財政の現状がどうなのかということをわかりやすく説明するには、実際には補正をやっていて、そこで借り入れも出てきているので、新発債だけで比べると、財政の現状を理解してもらうという点ではミスリーディングな点もあるのではないかと思うのですが、新規ベースでの比較にこだわる、そういう説明にこだわるのはどうしてなのでしょうか。

答)

日本の財政がどうという話は、昔のスタンダード&プアーズという会社があって、まだあるのだと思いますけれども、我々としては日本の国債がアフリカの国より下とかというようなものをつけられたりするような程度のレベルのところだと思っています。黒田総裁が確か財務官の頃でしたでしょうか、その記事が出たのは。しかし、我々として見れば、借金の多さだけというのだったら、それに見合う資産もちゃんと計算してもらわないと、正確な比較にはならないのではないかと思っています。しかし、資産というのを複式簿記ではないからといっても、国家予算の複式簿記で造幣権、また徴税権というものは資産として幾らで計上するのですかと聞かれて答えられる人はいないのです。富士山、あれも国立ですから、あれを幾らで評価するのですかといって、答えられる人はいません。複式簿記というのはそんな簡単な話ではないのですけれども、我々としてマーケットで見れば日本の国債というのは、国債を発行すればもっと金利は上がらなくてはおかしいでしょう。しかし金利は下がり続けている。出しているにもかかわらず。昔に比べれば3倍にも4倍にもなっているのに比べて金利はあの頃6%、7%だったのが、今0.何%という話まで落っこちてしまっているのだから、それは間違いなく世界から見たら内容がいいということを意味しています。どういう数字が一番わかりやすい説得力のある数字になるかというのは、我々もなかなかわからないところです。難しいところだと思いますが、内容として間違いなく新規国債発行は減り、そして基礎的財政収支の対GDP比の赤字を少なくとも半分に減らしまして、そしてあと5年で残り半分もなくしたいという方向を立てて、今その方向で動き始めています。間違いなく新規国債というのは毎年減っていますから、方向としては決して間違った方向に行っているわけではないと思っています。年によって上がったり下がったりするのは、生きている経済を扱っているのでそれはやむを得ないところだと思っています。

問)

先程、来年度予算案につきまして、経済再生と財政健全化を進められた予算というふうにおっしゃられたかと思うのですけれども、社会保障の目安も達成できましたし、税収もわずかながらに伸びましたし、新規の国債発行額も減らしたということで、大臣がおっしゃられることもわかるんですけれども、でも一方で、税収はバブル期並みに近づきつつあって、現に来年度の伸びもこれまでより、ここ数年に比べると鈍化すると。社会保障も目安は達成されましたけれども、2025年に団塊の世代が75歳以上になって医療費、介護費がこれからますます飛躍的、爆発的に伸びていくという予測もある中で、社会保障費は減ってはいなくて、あくまで5,000億円ですけれども増えているという現状で、来年度以降、これからもっともっと厳しくなっていくと思うんですけれども、これから財政健全化に向けて必要なことというのは、どういったことをしていくべきか、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

答)

社会保障の伸びを財政緊縮させて縮小均衡を目指すか、拡大均衡を目指すかによって基本的な考え方はまず違うのだと思います。少なくとも今までは縮小均衡をやってこられたのに対して、安倍内閣以降はそんなことはしませんと。金融は緩和します、財政は機動的に出動しますということを申し上げてきました。我々としては経済のパイを大きくして均衡させるという方向をとっていますので、まず経済は成長させる、それで600兆円という話を申し上げているのですけれども、これまでの中でよく考えてみてくださいと。GDPの中で個人消費が伸びているとか伸びていないとか、いろいろな話がありますけれども、個人消費を推計するもととなっている政府の統計で通販は十分にとらえられていますか。信じられないけれども入っていないのです。住宅は、今高齢者が増えてきたので宅地、住宅内の個人のリフォームが、建設会社の人達に言わせると小さな建設会社、地方の建設会社というのは住宅リフォームが売上げの約4割になりましたと。ではリフォームの一部は新しいGDPの中に入れてあるのかと聞いたら、それも入れていない。そういったようなことを考えると、実は言われているより消費は伸びているのではないかという感じがするのです。それをきちんとやってもらおうという話をしましたので、ちゃんと手間暇かけてそれを全部きちんと出します、一応内閣府で出すという方向を示されましたので、いいことだと思っています。ほかにも私共としてはそういったものを含めて新しい技術というものの中で、自動走行とか医療とかいろいろ新しいものが出てきていますけれども、そういったようなものを制度改革させてもらったり、農業等も随分いろいろ新しい方向に向かいつつあるみたいですから、そういったものがいずれも今は大したことなくてもある日突然というのはよくある話なので、そういった方向でやっていくのが1つ。

傍ら縮小する方向というのであれば、それは高齢者の方々の中でも所得のある方、また資産があって年収のある方、そういった方々の捕捉はしにくいからという形になっていますけれども、我々としては年収のある方、表向きの給与所得がなくても資産収入によって株の配当とか、そういった資産収入のある方に関しましては、すみません、しかるべき値段を払ってください、従来のところよりもうちょっと、1割のところを成人並みに2割払ってください、3割払ってくださいというような話も申し上げさせていただいて、そういった方向で今動き始め出していますけれども、そういったものを含めていくのが1つ。

それから高齢者の基準も、この70年間で日本人の平均寿命は何歳伸びたか知っていますか。昭和23年、戦後の統計が始まったときの日本人の平均寿命が52歳。今82歳。簡単に言えば、70年間で30年伸びたのです。その頃につくった制度と今で当てはまらなくなるのは当然なのであって、当時の朝日新聞の1面トップに「老女ひかれる、55歳」というのが出たのです。ところが朝日新聞に村山という社長がいた。その人の奥さんが大正4年生まれで55歳だった。あんた、奥さんに殺されるよとある人から言われて、朝日は高齢者の定義を65歳に変えたのです。それが65歳に変わった理由です。朝日が変えたおかげで日本中変わったのです。当時の朝日はそれくらい影響力があった。それが現実です。だから平均寿命が伸びてくるというのは、80歳だと言うけれども、医者に言わせたら平均寿命は100歳まで生きますよとか言っています。ドッグイヤーと言われた、犬も最近、昔みたいな余り物、人間が食べたもの、残したものを食べている犬は早死にするけれども、ドッグフードを食べさせているところの犬は長生きなのです。ドッグフードだけで育っている犬の方が長生きするのです。ドッグイヤーどころの騒ぎではなく、すごい長生きする。だから日本も長生きしてくるということになると、正直制度としては長期的なものを考えなければいけない。しかもその人達が元気であればいいのであって、その人達が病気になって寝たきり老人になったり、意思が途切れていたりする状況と違って、健康に長生きしてくれる分には別に何てことはないのであって、そういったような人達は働く意欲があるから、その人達が働き続ける。私も76歳で、まだ働かされています。財務省にこき使われて、まだやらされているけれども、働いている人は、私は税金を納めているから。もらっている人と働いている人では、行って来いで倍違います。高齢者でも働けるということを真剣に考えないと。数値制御の機械等を使いさえすれば、高齢者の方がよほど工場は正確に動きます。これは大きな工場をオペレーションしたことのある経験者なら誰でも知っている。若い人に任せない、高齢者に確実にやらせた方がよほどきっちり出ますという数字が出ています。だから7桁の数字をきっちり機械に覚え込ませてきちんとやる制御はみんな60歳以上の人がやっているという会社が多いと思うけれども、そういった現場を知っているから言わせてもらうと、階段の代わりにスロープつけてやったりすることによって、いくらでもそういった人達が働けるような状況をつくるというのはすごく大事なことなのであって、もう少しいろいろな制度を考えないと。例えばアメリカの「ワシントン・ポスト」のジェームス・レストンという記者は、生涯記者。その社長に、彼がジェームス・レストンと紹介されて、この人の給料は幾らか知っているかと私は聞かれて、知っているわけないから、知らないと言ったら、彼の給料は私より1ドル安いと言ったのです。社長よりたった1ドル安い。平の記者がですよ。でも、彼はそれをよしとしたのです。ワシントンのホワイトハウスで彼が手を挙げたら、誰もほかの記者は手を挙げない。それぐらい絶大な力を持った記者がいたのです。どの大統領もまずこの人を指すというぐらいの記者がいたのです。本当に辣腕な記者だったと思うけれども、もう70歳を過ぎていたけれども、そういうすごい人がいるので、是非人間の定年とかというのもそろそろ考えないと、時代によって健康年齢というのはみんな違うから、もう少し考えないと。いろいろ言ったけれども、それを考えると質問の答えになってきます。それを総合的に合わせると経済を成長させる、傍らいろいろな高齢者等の比率の人達が健康年齢で計算すると医療費は下がってくる。そういうことを考えると、きちんとした持続可能な社会というのが、活力ある高齢化社会、総理大臣のときから言っていたセリフだけれども、活力ある高齢化社会というのができれば、この国というのは極めて世界から認められる国になる。治安はいいし、きれいだし、物は正確に動くし、みんな褒めます。お釣りも間違えることはないと。汽車が正確に動いて驚いたと。新幹線をつくって、いまだかつて1日の遅れ、平均51秒です。JRは、1日何千本動かして51秒しか遅れないというのです。ゴルフと違ってアンダーはありません。全部プラスで計算して51秒だから、すごい、薄気味悪いぐらい正確に動いているということです。その点、治安がいいとか、夜1人でも女性が、100万以上の街で女性が夜1人で歩いているというところは、私の知っている範囲でヤンゴンと東京以外ありません。ほかをそんなに知らないけれども、少なくともパリのブーロニュで、ロンドンのハイド・パークで、夜女性が10時、11時、1人で歩いている風景はまずありません。そういった意味では特殊なものがこの国の持っている魅力だから、観光客というようなものも、ギリシャなんかそれで成り立っているみたいな国だけれども、この国は、観光学部とか、ホテル学部とか、レストラン学科なんていうものは国立大学にありません。アメリカへ行ったらあります。どうしてないのでしょう、この国では。不思議なのです。これだけ観光だと言いながら、私達が学生のとき、立教大学だけホテル学科がありました。今は結構増えているという話だけれども。きちんとした観光とかレストランとかホテルとかというもののマネージとか、プライドを持って仕事をさせるということをやっていくのが、海外から来るお客にとって最高のサービスをつくれるというのが、より多くの外貨を稼ぎ、より多くのGDPを上げることになっていく要素であって、何もITに詳しくなくても、高齢者でおもてなしというのがきちんとできれば、別に特殊なことをやらなくても、普通にやっていればみんな外国人からおもてなしに見えるのだから、それぐらい日本というのはレベルが高いわけでしょう。だからそういったものを使っていくと、今言ったようなことに対する答えになる。総合的なところで言わないと。決して長期的には悪くないと思っています。

(以上)

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