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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成29年1月10日(火)10時42分~11時00分)

【質疑応答】

問)

20日から国会が始まりますけれども、早期成立を目指す来年度予算案についてお伺いいたします。社会保障の自然増の伸びなど一般歳出を5,300億円程度に抑える目安は達成しましたけれども、税収の伸び悩みで一般会計のプライマリーバランスは若干悪化しました。これまでのような税収の大幅な伸びというのが見込めない中、政府が目標に掲げる2020年度のPB黒字化は一層難しくなったとの指摘もございます。大臣のお考えをお伺いいたします。

答)

税収の伸び、また予算の伸び等の話から今の質問なのだと思いますが、予算編成として97兆4,500億円なのですけれども、その中で前年からの一般歳出の伸び額として5,300億円を目安としていましたので、社会保障の大きな伸びを目安の5,000億円に抑えるということができて、一応形としてはでき上がっていると思っています。その中で税収の伸びというのが、特に10月までの段階で円高に振れたこと等があってかなりの部分が減りましたので、税収が思ったほど伸びなかったということになります。内閣府が出している中長期試算からいけば、5.5兆円だという2020年度のプライマリーバランス赤字幅がその分だけ大きくなってくるという可能性がそこにあるというのは間違いないと思いますけれども、しかし、10月まではそうですけれども、11月は円安に振れています。そういうふうになってくると随分変わった形になってきますから、11月以降の税収というのは変わってきます。その辺の流れが今年度、平成29年度以降も持続するということになっていくと、それはまた税収が変わってしまいますが、着実に税収が伸びているという基調は変わらないのだと思っています。歳出改革は当然のこととして、そういったものをきちんとやっていって2020年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成というのはきちんと目標として掲げてやっていかなければいけないということだと思います。

問)

韓国との関係について伺います。日韓の通貨スワップ協定の再開についての交渉が中断したというのが先週ありましたけれども、連休中に大使と総領事も一時帰国されています。一時帰国ですので、また韓国に戻るということはそのうちなるのだとは思うのですけれども、交渉の再開のタイミングというのがちょっと難しいのかなと思っています。大使と総領事が帰国するタイミングで同時に交渉が再開できるのか、それとも今回1つきっかけになっている慰安婦問題の少女像の撤去が条件になってしまうのか、その辺お考えいかがでしょうか。

答)

これは外務省の話なので正直私らのところでいろいろなことが言える段階ではないのですが、日韓のスワップのことについては2016年8月に韓国政府の提案を受けてこちらは議論するということになりました。これは、昔は700億ドルあったのです。その後どんどん減っていって、我々が復帰した頃は130億ドルまで減っていたと思います。残り130億ドルのうちの30億ドルは日銀の分だったんですが、それも失効して、残り100億ドルということになって、金融という世界の中で、いきなり何とかしてくれといっても、それはとてもできませんよと言ったら、いや大丈夫だと言って、それが最後です。中国との間でスワップを結ばれたのだと記憶していますが、今年切れるでしょう。中国との間のスワップ、500何十億ドルをどうされるのだか知りませんけれども、あれが切れた段階で、連邦準備制度理事会が政策金利を0.25%上げていますから、あの上げた分でドルに金が向かっていく。海外銀行の支店というのがほとんど大銀行ということになっていますから、韓国に入っている短期の外貨については、その銀行の金が外に出て行き始めると急激に減るのです。中国でも、4兆ドルとか言ったけれども、一昨昨日は3兆ドルまで、約1兆ドル、2年間で減ったわけです。それだけの金が減って、12月の終わりに前月から約400億ドル減っていますという話になっているのだけれども、そういった状況が続いています。韓国の場合も、トランプ政権のもとで、米国の金利が上がるとさらにドルが上がって、当然のこととして新興国に投資してあったドルがアメリカに戻る、レーガン政権のときによく起きた例ですけれども、そういったことになる可能性というのは金融をやっている人なら誰でも理解していると思います。今回みたいなことになって我々としては正直ただ金だけの話ではなく、信頼関係で成り立っていますので、約束した話が守られないんだったら、貸した金が返ってくる可能性もないとか、スワップなんて守られないかもしれないとか、いろいろ難しくなります。今後どうするのか、これは外務省の話になりますが、私共としては少なくとも、スワップをやる上で信頼関係が難しくなってきているというのが最近の日韓関係の中で、金融面においても言えることだと思います。

問)

大臣は先週アメリカの投資家のジョージ・ソロスさんとお会いになったようですけれども、具体的にどのようなことが話題に上ったのでしょうか。世界経済や日本経済の見通しについて、例えば大臣の御見解とソロスさんとの間で共通した見方があったのか、または異なる点があったのかなどを教えていただけますでしょうか。

答)

この種の話は、話の内容をこちら側から話すということはないので、話すことはありません。印象だけ言えば、90歳ぐらいで2兆5,000億円の金を持って、まだ金儲けというのはすごいお金儲けに興味のある人なのだなというのは正直感心しました。まだ稼いで何をするのかなと思って、正直興味があったのはそっちの方です。私の印象から言うとそれだけ持ってまだ金儲けで何をしたいのかよくわからなかったから、まだ金儲けしたいというのは、金がないときは金儲けと思うけれども、金があって、その金は手段から目的に変わるわけだから、その目的、何したいのかが私にはよく理解できませんでした。そんなところが印象です。話の内容については発言を差し控えます。

問)

今朝トヨタの豊田章男社長がモーターショーでアメリカでの投資、1兆円規模の投資をすると述べられました。この辺り、大臣の御所感をお伺いしたいと思います。

答)

トヨタは今ケンタッキーとかで十何万人雇っていると思います。アメリカの中における最大の外国企業の雇用の1つではないでしょうか、トヨタの場合は。そこに運動会を持ち込み、日本のカルチャーを持ち込んで、すごい勢いで変え、ケンタッキーの州の中にトヨタ課なんていうのを作らせるほどの力を持ってやっています。行くと本当にびっくりするようなものができ上がっているのです。そういったものをきちんとトヨタとして、私達はこれだけのことをやっているってことを知っていますか。知らないのではないですか。日本でも知らないのだから、アメリカ次期大統領が知らなくても驚くことはないのだけれども、そういったことをきちんとやっているのですよということです。今向こうでやっていこうとした場合に、トヨタは儲かると踏んだのだと思います。目のつけどころとして悪くないと思いますから、やろうとしてきているという方向としては決して間違っていないと思います。ただ、トヨタは中国もやっています。

問)

庶民的な自動車保険についてお尋ねしたいと思います。去年、死亡者数が3,904人と昭和24年来のいい環境になりました。犠牲者は犠牲者として考えるとして、ここまで減ってくると保険業界、自動車保険も対応をいろいろ考えなければいけないと思うのですけれども、この辺についての御所感を1点お願いします。また、2点目は。

答)

2点目はこれまでに聞かれている御質問ですね。これはずっとやって、あと1年残っていたのだと思いますが、今年もこれの対応は予算の関係でできなかったのは、今年度の平成29年度の予算も同様なのです。できないのです。ですから引き続きこれを継続してやっていくということで話をしたのですけれども、今の形としては、あなたが指摘されたのは、この話は3年ぐらい前から同じ質問を言っていると思います。今の財政の状況の中なので、今の状況としてはあのときの状況と基本的には変わっていないのです。期限がもう1年ありますので、その1年間の間にさらに税収の関係等で、どこかで片づけたいなと思っているのですけれども、額としては大きいですから、そんな簡単にはいかないというのが今の状況です。

問)

もう1点なのですけれども、死亡者が減ってきて保険料の値下げもユーザーから求められるところだと思うんですけれども、以前と違って昭和24年来の死亡者数となると支出もかなり減ってくるのではないかと思うんですが。

答)

そう思います。さらに割れないガラス等が出てきています。割れないガラスって知っていますか。木で作っているガラスです。鋼鉄より硬い、かつ透明というものができたのです。自動車のフロントガラスに貼ったらどういうことになると思いますか。これでさらに死亡事故やけがが激減すると思っています。それが日本の東京大学と京都大学が共同してできたもので、今新しい技術が出るとさらにそういったものは進みます。事実、ついこの間まで交通事故死亡者が1万人とか言っていたのがいきなり4,000人を切りましたというところまで来ているので、これについては考えなければいけない。自動車の方も車体の周りについても高張力鋼板等が出てきたおかげでさらに、死亡に対するプロテクションが上がってきた状況になっているので、これは考えなければいけない。今、審議会できちんともう1回考えなければいけないのではないかということで保険料についての審議が始まります。

(以上)

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