麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成29年8月3日(木)12時17分~12時30分)

【質疑応答】

問)

昨年8月に発足した改造内閣でのこの1年を振り返って印象に残っていること等、御所感をお願いします。

答)

昨年8月3日の内閣改造について言えば、平成29年度予算を編成させていただいて、3月27日に早期に成立させることができました。この予算で医療・介護等の社会保障関係費の伸びを当初目的にしていました5,000億円というようなところをきちんと歳出改革を進めることができたので、「経済・財政再生計画」の中で目安を立てていますので、28年度に引き続いて目安を達成することができました。これは予算編成に関して言わせてもらえば一番でしょうか。
税制改正の中で就業調整という話、例の103万円の壁がとかいろいろ言っていた話ですが、いわゆる意識せずに働くことができるような税制改正ができたので、一応その種の環境づくりはできたということだと思います。配偶者控除の見直し等いろいろ御意見のあったところだと思っています。正規とか非正規とか、いろいろ言っていましたけれども、そういった話は今、正規の雇用の方が伸びてきたりしていますので、非正規という話も随分変わってきているなという感じはしますし、有効求人倍率は1.51とか、失業率が3%を切るとかというような話になってきていますので、きちんとしたのだと思っています。
もう1個は国際租税で多国籍企業の脱税とか二重非課税、二重課税じゃなくて二重非課税の話というのもよく我々として、5年前にこの話を持ち上げてG7やらG20の場でいろいろ言ってきたのですけれども、このBEPSのプロジェクトの議論を。これは日本が主導していったのだと思いますけれども、少なくとも最初は全くというような感じだったのが、一昨年のG20の首脳会議で合意をして、去年の京都で82カ国参加して、そして今では102カ国まで地域も拡大してきていますので、そういった意味では当たりました。これが今からどう実施されていくかというのはOECDやら何やらにとっても一番でかいところだと思っています。
国際的な面では、これともう一個は大統領がアメリカも代わって、2月の日米首脳会談のときに日本から日米経済対話というのをこちらから振り込みました。少なくとも日米間において、1960何年でしょうか、あれは、繊維交渉以来これまで数々の経済交渉は全てアメリカから言われたのをこちらが受けて立つという立場だったと思いますが、これは初めて日本から話を持ち込んで、こういった話をというふうにやらせてもらって今ここまで来ているのですけれども、なかなかアメリカの方はスタッフがそろってくるところまで来ていません。指名された方がよく代わっているし、なかなか決まるところまで来ていないのは確かだとは思っています。いずれにしてもそういったもので立ち上げてペンス副大統領との会議をやり、今度留任することになりますので、9月にもう一回ペンス副大統領との間を粗ごなしやって、10月のときに正式会談というところまで行きたいなと思っているのですけれども、なかなかNAFTAの方が忙しいような状況になっているようにも見えますし、いろいろな意味でそういったものが少しずつではありますけれども、日本の言っているTPPの話等に今後いろいろな意味でつながっていくことになります。そういった意味ではアジア太平洋地域というものの経済発展に向けた議論を主張してきたのを引き続きやっていかなければいけないところだろうと思っていますので、引き続きしっかりと経済・財政運営をやっていかなければいけないと思っています。おかげで財政も税収の伸びにも助けられて新規の国債発行がこの5年で約10兆円減ったということになってきていますので、そういった意味ではそこそこの方向ができつつあるのだと思いますので、来年は、予算編成も6年目になりますので、きちんとやり上げて消費税等の話にきちんとつながっていくようなものにしていきたいなというのが今の感じでしょうか。

問)

留任ということの前提でお伺いしたいのですけれども、今後の日程で予算編成だとか今ありました日米経済対話など重要な日程がございまして、あと、人づくり革命というところで財源の確保とかも課題になるかと思うのですけれども、そういった課題にどうやって対応していくのか、その抱負についてお聞かせください。。

答)

今から税収がどれだけというような話等まだ不確定要素が多いので今この段階でこうなりますという答えがあるわけではありません。したがって、今どういうものがきちんと減らせられるのか、どれだけ、税収がどういった形で入ってくるのか、もうちょっと秋以降にならないと正確なことは言えません。

 
問)

先程、大臣、有効求人倍率が非常に改善しているというお話がありましたけれども、確かに足元、企業業績が過去最高水準になっていたりだとか、景気は上向いているとは思うのですけれども、一方で物価は伸び悩んでいて、賃金も伸び悩んでいるかと思います。改めて大臣、こういった足元の現状認識と今後物価や賃金が伸びていくためにどういった取り組みが必要なのか、この辺りの課題みたいなものを教えてください。

答)

物価は、間違いなく世界中2%というのを掲げた5年前とは違って、今は2%というふうなところになっている国は一つもありません。少なくとも先進国の中では。みんな1%です。ディスインフレなんていう言葉が出てくるぐらいだから情勢が大きく変わってきているというのは確かだと思います。石油、今日WTIは幾らでしょうか。

問)

49ドルぐらいです。

答)

49ドルぐらいですね。それぐらいになってきているので、50ドルという、政権がスタートした頃は100ドル超えていたのですけれども、それが半分以下になっていますから、経済にとっては決して悪いことではないのですけれども、物価という面に関してはその分がマイナスに響きますので、形としてはなかなか出てこないのですけれども。今、我々としては少なくともこういったようなもので預金がさらにどんどん増え、企業が設備投資しない、個人も消費しないということになれば、金があっても金を使う人がいないという状況が、経済学というのは金があれば借りる人がいるという前提で全ての経済学の本はできているのだと思うけれども、少なくともそういう状態じゃないというのがここ何年かずっと続いているわけです。やっぱり金を使うというのであれば、今、個人・企業が使わないのであれば政府支出というものが一番大きく期待されることになります。政府支出というものを、金利がゼロというような状況であれば、少なくとも政府がその金を使って有効需要というものをつくり上げて、そういったようなものの中からいわゆる生産性が上がるというものにつなげていきさえすれば、別に我々としては金利分のものはないわけですから、そういったものを稼ぎ出すというようなことになりますので、いろいろな形でそういった有効な需要をつくり出していくというような面に財政というものを使わなければいけないという面が今後考えないといけないところだと思っています。

問)

先程の質問と少しかぶるのですけれども、本日の内閣改造で人づくり担当大臣が新たに設置されまして、今後、政府内での教育無償化や人材投資の議論が本格化していくと思われます。改めまして教育改革とその財源についてのお考えをお聞かせください。

答)

教育、これは文科省の主な仕事として取り組んでいかれるのだと思いますけれども、教育格差が各家庭の所得収入によって差がつくというようなことになって、結果として家庭の収入不足によって学問が学べないというような事態を断固避けたいというのでいろいろな形で無償化の話が随分出ているのだと思いますが、財務省的に言えば、その面はいわゆる予算にかかる話なので、簡単な話ではないとは思いますけれども、そういった格差というものが起きるというのは必要最小限に抑えなければいけないということだと思いますので、いわゆる奨学金の無償とか奨学金の金利とか奨学金の融資みたいな形、いろいろな形のものをやらせてきてもらいましたけれども、引き続きこういったものは続けていく必要があるのだと思っています。

(以上)

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