麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成31年4月9日(火)9時14分~9時29分)

【冒頭発言】

先程の閣議後の懇談会におきまして私の方から新しい日本銀行券及び新しい五百円貨幣の発行について説明しております。日本銀行券につきましては偽造抵抗力強化の観点からおおむね20年ごとに改刷を行ってきたところであります。現在発行している日本銀行券については2004年に発行を開始して以来、約14年が経過いたしております。今般、3Dのホログラムなど世界最先端の偽造防止技術を搭載させていただくとともに、額面の数字の大型化などユニバーサルデザインの考え方を踏まえた券面とする改刷を行うことといたします。約5年後の2024年度上期を目途に発行できますように所要の準備に着手をいたしましたのでご報告申し上げます。日本銀行券の表面の肖像につきましては、明治以降の文化人の中から選定するという前2回の改刷時の考え方を踏襲いたしております。一万円券には日本資本主義の父とも言われる、日本の経済近代化の最大の功労者とも言われる渋沢栄一、五千円券には日本初の女子留学生でもあり、近代的な女子高等教育に尽力された津田梅子、千円券には日本細菌学の父とも言われ、日本医学の発展に貢献した北里柴三郎といたしております。それぞれ新たな産業の育成、女性活躍、また科学技術の発展など、現代にも通じる諸課題に尽力されており、新元号のもとでの新しい日本銀行券にふさわしい人物と考えております。裏面の図柄につきましては、一万円券を東京駅丸の内駅舎、五千円券は藤、千円券は葛飾北斎の富嶽三十六景・神奈川沖浪裏といたしております。これらの図柄は新元号の時代に引き継ぐべく日本の歴史と伝統、美しい自然、文化をあらわしていると考えております。
次に五百円貨幣につきましては、2000年に発行を開始して以来、約18年が経過いたしております。今般、日本銀行券の改刷の機会に合わせて偽造抵抗力強化のため、素材等を変更する改鋳を行うこととします。新五百円貨幣の図柄につきましては、現行の五百円貨幣のものを基本といたしております。約2年後の2021年度上期を目指して発行できるよう所要の準備に着手をいたしましたので、併せてご報告を申し上げます。

【質疑応答】

 
問)

冒頭発表がありました新紙幣についてまずお尋ねできればと思います。平成から令和への改元に合わせての刷新という形になるかと思うのですが、今回景気刺激効果も見込んでのものなのか、その辺のこのタイミングでの刷新となった狙いについて教えていただければと思います。

答)

先程説明したとおりなのですけれどもね。

問)

景気刺激の効果も。

答)

景気刺激を考えてやっているわけではありません。少なくとも私共の方は大体20年ごとにということで、今回これで改刷、14年たっておりますので、スタートするまで約4~5年かかりますので、そういった意味では20年ということだと思いますけれども。

問)

7日に投開票された福岡知事選で麻生大臣が支援されて自民党本部が推薦した武内さんが現職の小川さんに大差で敗れました。先日の会見で麻生さんは小川氏を支援する党内の動きを造反というふうに批判をされていましたけれども、今回の結果をどういうふうに見ますでしょうか。

答)

少なくとも政府の立場で今答弁していますので、ここは。そういう個別な質問があるのだったら別のときに聞かれた方がいいですよ。ここは財務大臣としての答弁をさせていただく場所ですから。少なくとも自民党の福岡県連の立場というのであれば責任を感じている、それ以上申し上げようがありませんね。聞きたいなら別のときに尋ねるように努力されたらどうですか。

問)

財務省で文書改ざんとかセクハラといった極めて深刻な不祥事が相次いだ中で大臣の職にとどまり続けたこととか、あるいは失言とか放言とかが有権者の反感を買った可能性についてはどういうふうにお考えでしょうか。

答)

それは私の方から判断する話ではありませんね。

問)

今回の紙幣の刷新なのですけれども、発表のタイミングなのですが、前回は流通開始の約2年前だったと記憶しているのですけれども、今回大幅に前倒しした理由について、改元との関係も含めてお聞かせください。

答)

これができ上がるまでには約2年ということになる、日本銀行券の改刷の件ですが、印刷開始に約2年半ぐらいかかる、つくり上げるまでにね。ただ、その後、いわゆる自動販売機等の機械等、いろいろ変えていかなければいけないということになりますので、その準備に約2年半かかるであろうということから、合計5年の期間が必要だと今回判断させていただいたということです。

問)

前回は2年ぐらいのリードタイムだったと承知しているのですけれども、今回5年と前回よりも長く前に発表したのはなぜでしょうか。

答)

あのときは偽造紙幣が結構、枚数が増えてきたという話があったので急がねばならんということになったのだということだそうです。

問)

先程3人が選ばれた理由はおっしゃいましたけれども、いつぐらいから新紙幣の切り換えの検討を始めて、どういった選考過程をたどったのか、可能な範囲で教えていただけますでしょうか。

答)

少なくとも印刷局というか、ああいったところではいろいろな、常に偽造防止とか、そういったものに関しては常にやっているところではあるのですけれども、前回から約14年が経過しておりますので、発行するまでに通常5年かかるとよく言われますので、そういった意味からというのが考えたことであって、改鋳も合わせてそれで指示を出したのですけれども、少なくとも今言われたように20年というのが大体この時期とすれば、通常この時期、たまたまそれが元号の改正と合わさったということだと思いますけれどもね。

問)

3人の選考過程については。どうやって選ばれたかというのは。

答)

選ばれた背景というのは、これまでの印刷においても偽造を防止するという観点からなるべく精巧な写真が入手できるものとなると、必然的にあまり昔々の話ではなくて、今の印刷技術の進歩が進んでおりますので、昔の絵のものしかないとか、そういうものではなくて写真が残っているというのが望ましいとか、肖像とか彫刻とかという観点からお札に品格のある顔がふさわしいのではないか等が考えられましたし、出てくる人の名前等が少なくとも国民各層に広く親しまれている、広く認められている、学校の教科書等に載っていることを踏まえて、明治以降というのは写真が出てきているということですけれども、明治以降の人物からということで、前回も文化人とか経済人とかということで、軍人とか政治家とかというのではないのを選ぶというのは過去2回ということを考えましたので、今回もそういった考え方に沿って渋沢栄一、女性ということで津田梅子、そして科学技術等を考えて北里柴三郎を選ばせていただいたということですかね。

問)

冒頭にもありましたが、20年というのも1つですけれども、今回元号が変わるタイミングというのも1つ考慮には入ったのでしょうか。

答)

いえ、元号の方はそんなに考えたわけではありませんね。元号が変わるというのを知ったのはそんな昔の話ではありませんから。だからそういった意味では、この改刷を行わねばならんというのは、そろそろやらねばならんなとは前から思っていましたから。

問)

たまたまそこに元号の交代もあって一緒に盛り上げていこうということでしょうか。

答)

まあ、そうですね。ちょうどあれと合っていましたので、たまたま重なったぐらいの話で、これに合わせて発行しようと思ったわけではありません。

問)

財務省のホームページを見ると、紙幣に描かれる肖像画、先程もおっしゃったように学校の教科書にも登場するなど一般によく知られている方というふうな定義がありますけれども、将来的には麻生大臣も当てはまる可能性もあるかなと思うのですが、将来大臣もお札に載ってみたいとか、そういった思いはありますでしょうか。

答)

全くないね。

問)

二千円札についてお伺いします。今後、二千円札に関してですが、流通を含めてどのような経緯をたどっていきますでしょうか。

答)

二千円札が改刷されない理由というのは、流通枚数が少ないのですな。二千円札が流通しなかった大きな理由は、多分自動販売機で、二千円の自動販売機はあまり見たことがない、それもあるのだと思いますけれども、二千円札に対してしなかったというのは、流通している枚数が他の一万円券とか千円券に比べて極めて少ないというのが大きな理由です。

問)

繰り返しになるかもしれませんが、今回紙幣を刷新する一番大きな目的をもう一度お聞かせいただけますでしょうか。

答)

今までも20年ごとに改刷を行うことによって偽造に対する抵抗力というものを確保しておくということから、今回は14年たちますので、いわゆる20年近く、印刷をして使用開始まで約5年ぐらい要すると思っていますので、それが主たる理由というようにご理解いただければと思います。

問)

この3人の人選なのですが、この3人を選んだ経過に関連してなんですが、最終的に決めたのは麻生大臣ということでよろしいのでしょうか。また、その際、渋沢栄一を一万円札に選んだというのは自ら経済人としてやってこられたことと関係があるのでしょうか。

答)

渋沢栄一を選んだ理由を聞いているのですか。

問)

決めたのが麻生大臣でいいのか。

答)

最終的にはね。最終的には財務省で決めるということになっていますので、財務省というか、財務大臣が決めるということになっていますから、私の方から事務方に指示したものでありますけれども、今言われた渋沢栄一のあれですけれども、渋沢栄一という人は東京駅もそうですけれども、それも渋沢栄一たちが関与してつくっておられるのですけれども、日本の資本主義というものを見た場合、やっぱりこの方の功績は極めて大きかったと思いますね。そういった意味では渋沢栄一というのはふさわしいのではないかというのが一番大きな理由だったと記憶しています。

問)

人物の選考過程において総理への相談というものはあったのでしょうか。あと、最終的に総理の了解とかというものはあったのでしょうか。

答)

ありました。

問)

一万円券についてなんですが、前回の紙幣の刷新のときでも福沢諭吉は残っていました。今回福沢諭吉を外す形で渋沢栄一になったというのはどういった理由からだったのでしょうか。

答)

偽造防止という点から考えると今までの顔というのではなくて新しい顔というのが大きな理由の1つです。

問)

一万円札なのですけれども、海外では偽造とかマネロンとかを考えて高額紙幣を廃止していくというふうな動きもあると思うのですけれども、今回検討していく中で一万円札をやめてしまうということは、全く検討はなかったのでしょうか。

答)

ありませんでした。流通枚数が一番多いという理由も1つですけれどもね。

(以上)

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