麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成31年4月23日(火)10時02分~10時17分)

【質疑応答】

 
問)

財務省の前の事務次官がセクハラ問題で辞任して丸1年がたちますが、財務省の組織風土の改革は進んでいますでしょうか。大臣のご認識をお願いいたします。

答)

これはいわゆるセクハラという話から始まったのですが、被害に遭われた女性の尊厳とか人権とか、そういったものを侵害する行為ですので、これは許されるものではないと、これはたびたび申し上げてきたとおりです。財務省としては、様々な問題が起きたことから、企業再生の専門家である秋池玲子さんを財務省の参与としてお迎えをいたして、再生に向けた取組等を主導していただいており、昨年10月だったか、進捗状況を報告させてもらったところです。この報告に沿ってコンプライアンス推進会議のアドバイザーとして外部の有識者で山口先生、菅谷先生、大久保先生、いろいろお招きをさせていただいたり、またハラスメントの防止を始め、コンプライアンスやマネジメントに関する研修というものを実施すると同時に、360度評価とか多面観察とかいろいろな表現がありますけれども、こういった観察の導入などに取り組んでいるところですので、コンプライアンス確保のための取組を徹底して進めるということで、時間がかかるのだとは当然思いますけれども、風通しのいい職場をつくるなど、問題行為の発生を許した組織風土というものを抜本的に改革して再発防止に取り組んでまいりたいというふうに考えておるというのが今の実情だと思います。

問)

セクハラ問題をめぐっては大臣自らの言動が批判を浴びたり、物議を醸したりした経緯もあったかと思うのですが、大臣も研修を受けたりとか、あるいはお勉強をされたりとかということはこの1年あるのでしょうか。

答)

秋池先生とはお目にかからせていただきましたよ。

問)

25日ですか、訪米されると思うのですけれども、改めてムニューシン財務長官とどういった会談をされたいかということと、茂木経済再生担当相もライトハイザー通商代表と会談されるようですけれども、首脳会談を前に経済分野でどういった成果を出していきたいかというのを教えてください。

答)

ライトハイザー通商代表と茂木大臣との話は、この間のライトハイザー通商代表との会談を受けて引き続いてもう1回、日米首脳会談を行う前にということで、私共としてその中の一環として為替とか金融の話については、最初にトランプ・安倍両首脳の会談においてこの種の話はいわゆるプロ同士のコミュニケーションに委ねるという話となって以来、この種の話でコメントが外に出たことは1回もないと記憶をします。だからその種の約束はきちんと守られているのだと思いますので、私ども財務長官との間にいろいろ話をしているのは事実なのですけれども、その内容細目に関して、今言う段階ではありません。

問)

先週、萩生田議員の消費税に関する発言がありまして、報道も含めいろいろなリアクションが出てきたところかとは思いますが、大臣も会見の中で、企業はそんな急に延期となったらまた迷惑するのではないかということをおっしゃいましたけれども、一般国民、消費者レベルで考えた場合、消費税というのは多くが予定どおり上げてほしいと思っているのか、それとも場合によっては上げないでほしいと思っているのか、どういうふうな気持ちが強いというふうにお考えでしょうか。

答)

取材をするのだったらこの辺ばっかり取材しないで、普通のところも取材して歩いた方がいいよ。世の中で税金を上げてほしいという人がいたら是非紹介してくれ。今の質問は、今俺が聞いた質問と同じことを聞いているわけだろう。だから是非紹介して。普通嫌なものなのですよ、税金が上がるという話は。これは誰が聞いても嫌な話なのだと思いますけれども、いろいろ自分なりに勉強したり、いろいろして、その上でこういったものをやらねばならんだろうなといって自分を納得させているという状況なのだと思いますけれどもね。そういった意味で今こういった話がここまで進んできましたし、この間、商工会議所といろいろ懇談をさせていただきましたけれども、これはこのままでという話で、その後、三村会頭の答えがそれを物語っていると思いますが。

問)

平成最後の会見ということで、改めて平成の30年間あまりを振り返って、財政がどうであったかというところと、その反省を踏まえて令和はどういう時代でなければいけないかというところ、財政に対する考え方を伺います。

答)

平成元年に消費税が入って、元年にいわゆるバブルが12月29日にはじけて、株がはじけて、そしてこの年に天安門事件が起きて、そして11月に冷戦が終わった。みんな忘れているだろうけれども、大体そんなものなのですよ、30年前というのは。そういうものが終わって30年の間に我々としては資産のデフレーションという、少なくとも1945年敗戦この方やったことがないというデフレーションによる不況に遭遇することになって、これにアメリカの対日政策の変更というのもくっついて、これは冷戦崩壊後の話ですから、大きく変わった。そしてそれへの対応というものは、デフレーションによる不況というのをやった経験は、日本にはデフレがありませんでしたから、それに対応した人もいない、したがってデフレ不況対策を間違えた。日本銀行も政府もいずれもその対応を間違えて、少なくとも日銀との間で話をさせてもらって、両方いろいろ協議をさせてもらって、共同声明を出させてもらって、金融は緩和、財政も機動的に運用しますというような形を共同声明で出した。あそこに至るまでの20数年間というのは間違いなくデフレーションによる不況、そういったようなものの影響をもろに受けた20年間だったのではないですかね。何となくそういうような感じがしますけれども。そしてこのところ6~7年、安倍内閣になってから政策変更をさせてもらって、経済は少なくとも企業は史上空前の利益を出し、そしてGDPも史上最高、税収も史上最高というようなものを更新するようになっていったということで、前半20年の間に失ったものという表現がよくありますけれども、新しい時代に合ったような形に随分なっていったのです。一番大きかったのは、金があっても人が金を借りに来ないという前提で経済が動き始めた、これは少なくともそういう状況で資本主義とか自由主義とか市場経済とかというのが動いていくのだということを書いた本は、俺は読んだことがない。俺、是非読ませてもらいたいと思うのだけれども、みんなわかっていることを聞くけれども、じゃあどうするのというと、みんな言うだけで、それに対する対応を言う人が1人もいないのだよね。残念に思っているのだけれども、みんないろいろ言うのだよ。最近ではMMTなんていう話を、モダン・マネタリー・セオリーと言うのだけれども、現代金融理論とかというように訳すのかな、MMTという言葉がよく出てきたりするのですけれども、それでやりますかといって、その行き着く先はどこなのですかというのは誰も言わないから、そうなるとそんな実験場に日本をするつもりなんかありませんから、そういった話は乗れんと。だからいろいろな意味で少しずつ少しずつこういったものの対応というのをデフレと同時に、デフレーションによる不況、デフレでも好況もありますからね、デフレーションによる不況に対応するために少なくともどうするかという話と同時に、金余りという状況に対してどうやってやっていくかというのは全然、2つ、一見似ているものだけれども、別な状況が起きているわけですから、そういったものへの対応というのに非常に悩まされたというのが多分後世、歴史家が平成30年の経済史というのを読み返したときに今言ったようなことを考えるのではないですかね。ちょっとそこのところが平成30年というので言えば、そこらのところが一番、振り返って言ってみろといえばそんなところかな。

問)

最後のデフレ脱却のために異次元緩和をやって、国債の半分近くを日銀が抱えるという状況が異常だという指摘もあります。ここまでやる必要があったのかという指摘もあります。ここをどう捉えていらっしゃいますか。

答)

そこは歴史家に聞いてもらわないとどうにもならないけれども、答えがどう出てくるかなんだと思いますけれども、少なくとも景気はよくなったことは確かだから。少なくとも企業業績は史上最高とか、税収が史上最高とか、GDPが史上最高ということは、これで景気は悪いとは言えないからね。そういった意味では景況感がないとか、個人的なフィーリングの話と数字という現実というものはしばしば一致しないこともあり得るから、それは別にある程度、感覚の問題なので何とも言えないけれども、少なくとも今異次元の緩和というのをやった結果、今言ったようなある程度のデフレーションの対策として、デフレではないという状況がつくり上げられたことは間違いないから、そういったようなことは効果があったということははっきりしていますし、今言ったような業績が全部いずれも上がってきていることも事実だと思いますけれどもね。ただ、新聞の部数は売れていないな。新聞、みんな売れていないんだってさ。この間嘆いている人がいたから、記事の内容の問題もあるのだろうけれども、電子新聞か、いろいろなものが出てきたおかげで随分変わってきているのではないのと言って、俺が何であんたを慰めなければいけないのかよくわからないけれどもなんて言ってその人としゃべったことがあるのですけれども、この平成30年間、メディアが変わったというのは大きなものの1つだろうね。

問)

今おっしゃった異次元緩和の出口まで出られて成功したということが言い切れると思うのですが、出口に対するリスクを高めたのではないかと。そこのところをどうお考えですか。

答)

出口に関して財務大臣として日銀総裁を差し置いてしゃべるなんていうことはありませんから、私共の方としてそこのところは言えませんけれども、少なくともいろいろな形で、かつてアメリカも大変だ大変だとアメリカの新聞は書いてあったけれども、何てことはない、するすると3%まで行ったよね、あれ。大変だ大変だと書いた新聞は何て今言うのといったら、それを聞いた記者に1回是非会わせてもらいたいと言ったことがあるのだけれども、結果論というのは確かにそういうことなのですよ。大変だ大変だと言って、大変じゃなかったじゃないかということになるのでしょうけれども、でも、大変なことになったと思ったのは新興国の方がそう思っただろうね。金利が上がったことによって自国にある外貨、ドルという名の外貨がアメリカに引き上げられていったから、そういった意味では大きな影響が出たというのは出たかもしれませんよ。それはそうかもしれませんが、日本の場合は別に外貨で金を借りているわけじゃありませんからね。そこはまた少し違うのですけれどもね。

問)

対GDP比の国債の買い方という意味でいくと、アメリカより日本の方が相当大きな額で買っていて。

答)

額としては大きいですよ、間違いない、それは。

問)

そこが出口の難しいではないかと。

答)

国の債務残高はアメリカでも、200%超えているなんてありませんから。ただ、日本だとこの話は間違いなく超えていることは事実ですし、そういった状況にかつてイギリスとか、なったことがある国は幾つかありますけれども、きちんとその後対応していって、いろいろ直してきたのだと思います。それは日本も同様に時間をかけてやっていくということだと思いますけれどもね。金融政策は主に日銀の所管の話です。

(以上)

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