麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和元年9月17日(火)10時57分~11時09分)

【冒頭発言】

本日、閣僚懇談会が開催されておりますが、私の方から台風15号の被害状況を考え、関係省庁とも緊密に連絡をして本日中に13億2,000万円の予備費が使用できるように迅速に対応する旨発言をしております。いわゆるブルーシートとか食料とか水とかそういったいろいろな方でのプッシュ型の支援をするということとしておりますので、引き続き迅速に被災者の方々への支援を進めてまいりたいというように考えております。

【質疑応答】

問)

全世代型社会保障検討会議の初会合が週内にも開かれます。西村担当大臣は多様な働き方に対応した社会保障制度をつくりたいと発言していますが、増加傾向にある社会保障費の伸びを抑えることも課題になっています。こうした観点を踏まえて財務省はどんな提案をされるお考えでしょうか。

答)

全世代型社会保障検討会議については、具体的な検討項目を今後固めていくのだと、そういう段階だと思うので、どのようなことを申し上げるかというのは今の段階でこれをということを決めているわけではありません。今後よく検討してまいりたいと考えておるのですが、その上で社会保障について改めて言えば、社会保障というのはご存じのように急速な高齢化というものが進んでいますので、昔は現役世代というものは人口の56%ぐらいというのがよく言われているところですけれども、あと10年、20年するとそれが50%、下手すれば切りますよというふうな話になっておりますので、そういった意味では社会保障の話というのは現役世代の負担が基本的には大きくなるということを意味しますから、十分な財源を今ですら確保できていなくて赤字公債でそれをうまく補填した形でやってきていますので、将来にツケを先送りしていると言われておるという状況にあります。加えて、さらにこれが進展をすると、加速していくということになると、支え手の減少というもの、財源の縮小とか、医療が高度化することに伴う医療費の増大とか、そういったような課題に対応していく必要があるのだと思っていますので、社会保障というものと財政の持続可能というものについてはどうやってやっていくかということは、いわゆる団塊の世代と言われる人達が後期高齢者入りをするのが2022年とよく言われますが、そこまでの間に給付と負担のあり方については見直しを初めとする改革というものを必ずやらねばならぬということなのだと思って、それを実現する必要があるんだと考えて、それを前提にしていろいろ今後検討していかなければいけないということだと思いますので、長期的には非常に大きな問題なのだと思っています。

問)

今の質問に関連しますが、来月から10%に引き上げられる消費税率について、今回の社会保障検討会議ですぐに今後の議論をするのは難しいように思えます。大臣は次の消費増税を議論するタイミングや、その前提となる条件についてどんなお考えをお持ちでしょうか。

答)

消費税についてはこれまでも申し上げてきたのだと思いますけれども、全世代型社会保障というものの構築に向けて少子化対策とか社会保障に対する安定財源というものを確保するためには経済への影響というものに対して十二分な措置を講じた上で10月に10%ということをやらせていただく予定にしているのですが、その後のことについて、現時点で検討を行っているというわけではありません。ただ、年金とか医療とか介護とか社会保障費の負担が大きく増加していっていますので、引き続き経済再生と財政健全化の両立というものを図って、2025年度までのPB、基礎的財政収支、プライマリーバランスをきちんと黒字化していって、同時に債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを目指していくということを考えているのですが、幸いにして、前回のような急激な駆け込み、そういうことはないということは言えるのだとは思っていますけれども。

問)

アジア開発銀行総裁の件でお伺いいたします。中尾総裁が退任の意向を示して政府は年内にも新総裁として浅川元財務官を擁立するというような報道がありましたが、その事実関係について確認させてください。それと、もし推薦するという方針を固めているのであれば、その理由についても併せて、浅川元財務官を推薦する理由についてお伺いさせてください。

答)

まだADBは正式に発令をしていないのだと思いますので、今の情報がどれだけ正しいかはちょっと不明、だから言いようがありません。それから浅川さんを出すという話に関しては、ADBというものは設立して以来、日本が設立させてもらって、日本でつくったけれども、本社はフィリピンに置いてフィリピンでやらせてきていただいて今日まで、かれこれ50年たちますけれども、これまで大体日本で財務官等を務めた、千野さんを初めいろいろな方がやっておられるので、今、お話しのあった浅川さんというのはそういった意味ではふさわしい方であろうとは思っています。

問)

先程の全世代型社会保障会議の点でお伺いしたいのですけれども、消費増税については財務省の方から今後の増税についてそういった議論の俎上に上げることもしないという認識でよろしいのでしょうか。

答)

今の段階で消費税をこの全世代型社会保障会議の席で持ち上げるというようなことを考えていることはありません。

問)

サウジアラビアの石油施設が攻撃を受けたことを受けて、原油価格、4万円台を超える形で大幅に値上がりしていますが、この情勢について受け止め、ご所見がありましたらお願いします。

答)

サウジアラビアの国営会社サウジアラムコの石油施設に対して、ドローン等の無人機での攻撃を受けて、BBC等の放送を見ていると45とか50%の施設が破壊をされたとBBCでは言っている。この種の話は、報道の話を一々信用しても始まらないので、正式なものが出てきた上でどうという話になるのだとは思いますが、いずれにしても石油というものに関してアメリカも備蓄を放出するとか、日本も備蓄を持っているわけで、いろいろなことを準備してこれまで我々長いこと備蓄を100何十まで増やしてきていますから、そういった意味で直ちにというわけではないとは思いますけれども、いずれにしてもどういった影響が出てくるかといえば、原油価格は、先週末から14~15%上がったと思うけれども、それが今日ちょっと下がっていたかな、そういった意味ではいろいろな意味でどういったような形になるか、直ちにどうのこうのというあれではありませんけれども、石油というものが安定しているというのは極めて経済活動において大事なことですから、足りる足りないよりまずはそういった安定した上でどうなるかということをしないと投機なんていうことがまた起きますから、そういったことも影響というものをよく見極めていかなければいけないところだろうなという感じがします。

問)

ホワイトハウスは16日に日米貿易協定交渉が暫定合意に達して数週間以内に正式合意するというふうに発表されました。これによる日本経済への影響と今回は農産品、工業品、デジタル貿易の分野に限定されたものであって、為替条項については今回は入らないという理解でよろしいでしょうか。

答)

そのとおりです。

(以上)

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