麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(令和元年12月5日(木)18時48分~19時07分)

【質疑応答】

 
問)

先程決定されました経済対策について2点お尋ねします。まず最初にですが、今回この経済対策の意義について大臣のお考えを教えてください。

答)

日本経済というのはアベノミクスをスタートさせて以来、約7年ということになるのですけれども、少なくともデフレーションではないという状況をつくり出すことができていますし、GDP名目・実質どちらを見ても過去最大規模に達していますし、足下でも内需を中心に、間違いなく緩やかな回復基調にあると、私どもはそう思っております。一方この令和元年というのは、台風15号・19号等、自然災害は1県じゃなく1都何県という広範な範囲で起きたり、色々な意味で被害が非常に多方面に発生したことで、被災者のいわゆる生活とか生産とか色々な経済活動への影響というのを解消しなきゃいけないというのは急務になっているのだと、私どもはそう思っております。加えて昨日でしたか、参議院で日米貿易協定が通っていますけれども、通商問題をめぐる緊張というのは色々な意味で不確実性というのは存在していますので、そういった意味では米中関係の話を見て言うまでもなく海外発のリスクというものが色々出てくるというので、外需だけじゃなくて設備投資とか個人消費といった内需というものも、今のところ堅調ですけれども、下押しされる可能性というのは否定出来ませんので、あらかじめ万全の対策をやっておかなければいけないということだろうと思っております。その時に、いわゆる人的・物的投資というものを喚起しながら、生産性を向上させないといけないので、オリンピックの後、パラリンピック後も民需を中心としたいわゆる自律的な成長というものを実現する必要があるのだと思いますので、経済環境がそういう状況の中で、「15カ月予算」という考え方で、未来の安心のため新たな経済対策を策定するというように考えた、きちんと言えばそういうことです。

問)

もう1点、経済対策の財源についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

財源については、これはもうご存じのように、「経済再生なくして財政健全化なし」の認識のもとで、財政の健全化目標の実現のために、しっかりした経済成長が不可欠というのは、もう前から申し上げているとおりなので、いわゆるリスクというものに対して、強靱な経済構造というものをきちんとつくり上げて、経済の力強い成長軌道を確実なものにするために、今日経済対策を決定しております。この経済対策を踏まえて、今後補正予算の作業というものを開始することになるのですが、この補正予算の財源については、今後の編成過程において検討するので、今の段階でどうこうというのを決めているわけではありませんので、この段階ではお答えすることは出来ません。

問)

経済対策について引き続きお伺いいたします。予防的な措置とはいえ、まだ経済危機の起きていない段階で、これだけ巨額の対策が発表されたわけですけれども、検討過程においては与党から真水で10兆円といった、そういった規模の話も出ていましたが、今回の対策というのはその規模ありきで決められたものなのか、それとも足下、真に必要な対策というのがこれだけあったということなのか、いかがでしょうか。

答)

真水というのは、決まった定義があるわけじゃないのですけれども、今回の対策においては、いわゆる財政投融資等を含め財政支出というのは、基本的には、我々としては、形あるものというものでなければやらないよということで、少なくとも今低金利でありますので、その低金利状態を生かしてやれるものをやっていこうじゃないかということで、例えば、新名神の4車線が6車線化にするとか、暫定2車線のところを4車線にする、もう確実にそこに仕事はありますから、確実。成田空港を拡張しますと、用地買収の同意がほぼ終わりましたから、そういった意味では滑走路の新設等をやりますとか、なにわ筋線とか実施が決まっているインフラ整備を行うということにしていますので、そういった意味では、今言ったような最初に規模ありきで、10兆だ、5兆だというのを決めてやったわけではありませんので、今回のは、いわゆる財政投融資というものを積極的に利用していこうということで考えております。いわゆる、最初に規模ありきというような話で決めたわけではありません。

問)

この1個1個の細かいメニューについても、全て真に必要なものという認識でしょうか。

答)

基本的に我々としては上げてきた段階の人たち、役所ですけれども、国土交通省から上げてきたようなものに関して、例えば、少なくとも成田空港というものが新設、新たに拡張されるという前提で、我々で言えば、1つ1つ積み上げた内容であって全て実質だというように理解してもらって結構だと思いますよ。

問)

財投の部分のお話をしていただいたと思うのですけれども、それ以外、経済対策全般につきましても、やはり今やるべき必要な予算になっている、計画になっているというご認識でしょうか。

答)

かなり実行性が高いというように思ってもらって結構ですよ。

問)

以前経済対策についてご質問させていただいた時に、公共事業については人手が足りないために、その執行が間に合っていないというようなお話をされていらっしゃったと思うのですけれども、今回の経済対策はそれを踏まえて、実行性の高いものになったというふうなご認識でしょうか。

答)

例えば今公共工事、公共工事とよく言われますけれども、公共工事を発注しました、用地買収が終わっています工事現場に出てくる人も確保されていますねといって、確保されているなんていう会社があったら聞きたいよっていうくらい人が足りなくなってきているのですよ。ですから、公共工事といっても、額を増やせば、それだけ仕事が出るかといったら仕事を実行するだけの人がいない。だけど、そういったようなことがないように、きちんと、ちゃんと詰めてくださいよと。我々は、国土交通省に対して、きちんとそういったところまで詰めて持ってこいよと。そういったものをやってこないと、ただただ額がつきました、何も実際に出来なくて、翌年度に繰り越すためにきちんとした別の書類をつくらなくちゃならないというはめに陥りますよと、二度手間になりますからね。だから、きちんとそういったことをやるのですよという話をしてあります。

問)

そうすると、経済効果として1.4%という経済効果を見込んでいらっしゃいますけれども、それは確実に実行できると。

答)

そういうものは期待できると思っているのですけどね。実行性は高いと、私の感じではそうです。

問)

対策に盛り込まれた小中学校のパソコン1人1台ですけれども、大臣先日スクール・ニューディールのときの電子黒板を引合いに出して、きちんと普及とか活用されるようにしなければならないとおっしゃいました。今回5,000億円規模とも言われていて大きな予算になりそうなのですが、適正に使われるためには文科省や現場はどういったことが必要だとお考えですか、改めて教えてください。

答)

今言った話は全く正しい。それ、全然考え方は変わっていません。一番大事なので。当たり前でありますけれども、ICTの環境を整備するということが目的なんじゃなくて、学校現場においてパソコンとかタブレットとかそういったものが有効に活用されることが重要なんです。そこが出来ないと、じゃあ、教えてくれる先生いるの、と。場合によっては先生より生徒の方がうまかったりするから子どものほうがね、今。そういった意味では、よくよくそういった現場の話をちゃんと詰めて持ってきてよというのが我々の申し上げているところなので、地方自治体とか学校現場とかと協力して、実際に進めていってもらったときにちゃんと1人1台というのは、決して僕は今の時代というのは早め早めにやっていかないと追いつかない時代になってきていますからね。だからそういった意味では、我々としては卵が先か鶏が先かみたいな話をよくするし、私自身もその点は率直にそう思いますけれども。現実問題として、なければ話にならないから。だから、少なくともそういった先生をきちんとつくった上でということを申し上げていますので、少し時間がかかるのだと思いますけれども、少々先に色々なものが来ないと、見たこともないというようなところでは話にならないから、そういった意味では、きちんとした形で、まずはやっていこうということにしていますので、きちんとした実効性のあるものになるように自治体やら学校現場でやっていただくということになるのだと思います。これは大いに期待しているし、よく見に行ってみなければいかんなと思っているのですけれども。電子黒板の例はたまたま知ったものだから申し上げたのですけれども、パソコンも色々な意味で、これからの時代必ず必要になりますから、そういったものが出来るようにというのだったら、あらかじめ子どものときからやっておいた方が早いから。こういうものは。そういうような意味では、効果があるのだと期待もかなりありますけれども、うまくいかないところもあるのかもしれないけど、まあ、それはそれで引き続き努力してやっていってもらうしかないでしょうね。

問)

今回の対策の中には防災・減災のためのインフラ整備であったり、未来への投資という部分も多く含まれているのですけれども、これというのは、本当であれば、これまでにやってこなければいけなかったことが、財政規律を重視するあまりに、あまり行われなかったということのツケが出てきたといった見方もできるんでしょうか。

答)

少なくとも公共工事が悪だということを言われていたり、八ッ場ダムはとんでもないと言われていたけど、今回の嵐で八ッ場ダムが出来ていなかったら、利根川、あの水域の茨城県やら栃木県はえらい騒ぎになっていたよ、今回。そういったことを含めて、少なくとも我々としてはこういったような地震、台風、いわゆる自然災害が多いという国ですから、そういった意味では、こういったようなものをどの程度やっておかねばいけないか。今実際問題降っているのは100ミリ降っているのだろう。時間降雨量103ミリ降ったと言ったじゃない、この間。じゃあ、全部103ミリ対応にするのかね。それは膨大な金がかかるね、多分。そういったような意味からいくと、どこをどういうような防災対策をするのかというようなことは、ちょっと真剣に考えないといけないというのははっきりしているし、少なくとも地球温暖化というおかげで平均気温が2度上がった結果、どういうことになっているかというと、今起きていることですよ。それが何を意味するかといったら、それに合わせて色々なことをやっていかなければいけないというので、今までのようなモンスーンというような雰囲気じゃなくなってきて、別の雰囲気、亜熱帯みたいな雰囲気になってきている地域もあるわけだから、そういった意味では、色々なことをちょっと対応として考えなければいけないということなのであって、今言われたような対策がこれまで抜けていたところ、部分というのは、あったというのは、間違いのない事実でしょうね、それは。

(以上)

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