麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要

(令和2年3月27日(金)16時53分~17時14分)

【冒頭発言】

令和2年度の予算が2月3日に審議入りをさせてもらって、衆議院で17日間79時間、参議院で16日間の68時間にわたってご審議をいただき、先程成立させていただきました。税法につきましても、同様に先程成立させていただくことができ、私どもとしては大変感謝を申し上げておる次第で、いずれにしても3月末というので、まだ夕方、日の高い間に成ったなんていうのは記憶にないだろう。お日様が上がっている間に予算が参議院で通ったという記憶がないので、金曜日夜帰れないとか帰れるとか大体大騒ぎしていたものだったんですけど、皆さん無事に、この時間に通していただいたということだと思っています。全世代型の社会保障制度の構築というのを、我々でもずっと言っていましたので、今回の消費税の増収分を活用して、いわゆる幼児保育とかいろいろなことを考えて、少子化対策の一環でもありましたけれども、社会保障の充実、また「総合経済対策」ということで、総額26兆円の予算というのを組ませていただいて、これを着実に今から実行していかなければいけないところだと思っています。これからですけれども、先に成立させていただいた令和元年度の補正予算と合わせて、この本予算を早期に執行していくように、景気の下支えが大きな影響を与えるのだと思って万全を期すということだと思っております。その上で新型のコロナの対応ですけど、これは状況というのは引き続きよく見ながら、私どもとしては改めて必要な対策というのを講じていかなければならないと思っています。

【質疑応答】

 
問)

1点目が新年度予算なのですけれども、成立しましたが、歳出は2年連続で100兆円を超えて膨張が続いています。財政再建・財政健全化、これは進んでいるというふうにお考えでしょうか。

答)

この予算の成立には本当いろいろ多くの方々にお力添えいただいて、無事年度内に成立させていただいたのですけれども、今言われた財政の健全化の話ですけれども、これは政権交代をさせていただいて8年目、少なくとも我々はこの7年の間に当初予算ベースで総額21兆円ぐらい税収が伸びていますし、それからいわゆる国債の新規発行額は約12兆円ぐらい減っていますし、プライマリーバランスも随分問題あったんですけど、だんだん詰まってきて16兆円ぐらい改善したんだと思っておりますので、財政再建といわゆる経済活性化の両立は、少なくともこれまでずっと狙ってきたことはそれなりにやれてきたと思っておりますけれども、いずれにしても今回の話は社会保障制度というものをもう一回見直さないと、これだけ高齢化し少子化してくると、これは社会保障制度がいわゆる働いているような人たちだけで高齢者の年金だ、医療だ、そういったようなものが賄えるかといえば、法律ができた岸内閣が昭和34、5年、その頃は勤労者9人で高齢者1人の比率だったのが、今、2.何対1になっていますから、それはとてもじゃないけど、今までのとおりではとてもできないということで、少なくともこの年金やら何やらの分というのは、かなりの分税金を突っ込んでその部分をカバーしてきた。その税金は赤字国債ということになっていますから、そういった意味では、明らかに財政としては質がだんだん悪くなってくるということを意味しますので、私どもとしては、社会保障制度というのをきちんと再構築しておかなければいけないということで、今回増税させていただいて、それに充てたいと思っておりましたけれども、同時に我々は少子化対策というのをやらねばなりませんから、やっぱり子育て世代の負担というのが、子どもを産まない、結婚できない大きな理由の一つと言われておりますので、そういった意味で、今回社会保障の充実に充てさせていただいた分は、財政再建としては、その分使った分だけマイナスということになったとは思いますけれども、長期的には正しかったと思っております。それから、事業規模26兆円の「総合経済対策」、これにいろいろ実行、取り組みますので、この予算も早期に実施させていただくことによって、景気の下支えということになると思いますので、景気がよくならない限りは、経済が活性化しない限りは財政の再建も難しいと思っておりますので、引き続きこの経済再生と財政再建という二兎を追うというのをやらせていただくということになるのだと思いますが、その方向の流れから外れてはいないと思っています。

問)

もう一点なのですけれども、景気の部分で今回新年度予算が成立したので、この先は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加の経済対策の検討・策定が具体化すると思いますが、その必要性とか項目、どのようなところが重要だとお考えでしょうか。

答)

2段階にして考えておかないと駄目なんだと思うんですね。少なくとも、ある日突然に旅館・ホテル等の予約がキャンセル、そういったような事態というのは、あちゃこちゃで起きていますから、インバウンド等で年間約三千何百万人来ておられた方がばたっと止まっていますので、そういった意味では、日本に落としていかれる金というのは一人頭、フランスと韓国じゃ大分違いますので高いところ安いところいろいろ違うのですけど、まあ、十数万、多いところはもっとですけれども、そういったところを計算してみれば結構な収入減ということになるんだと思いますけれども、同時に支出も減っていますからね。食べた後、金を払わないんじゃないからね。来ないのだから。だから食べる食料の元はかからないから、そこは大分違うのですけれども。いずれにしても、こういった収入が途端に止まったというような形になっていますから、そういったところは、やっぱり資金繰り対策というのが要りますし、大体主にパートで対応していた旅館等、来なくなったからというのでパートが切られちゃうとなると、その人たちの収入が止まるというようなところの対策というような目先の話というのを、感染拡大の防止と同時にやらなければいけないところはそこだと思うんですけれども、簡単に言えば雇用の維持と事業の継続ということですかね、そういったことをやらなければいかんと。しかし、東日本大震災の時には機械設備や工場はそっくりないですから、ゼロからつくらなければいかんという話になりましたけど。東北の岩手の工場が1個潰れたせいでゼネラルモーターズの車ができなくなったというのがおきましたけれども、いわゆる、サプライチェーンというのが非常に大きく広がっていますので、今回も同様にいろいろなところが止まりましたから、自動車では日産の苅田が一番最初に止まったんですかね。トヨタも今回世界中で5工場止めるという話をしておられましたから、そういう点ではサプライチェーンというのが止まっちゃったというようなことで、これをもう一回つくり直さなければいかんと、中国だけでは駄目と。他の国にばらばらにしてこの部品はここだけというので、サスペンションならサスペンションだけ頼んでいたのが全部中国に発注したら、これはちょっと危ないというので、これ3分割ぐらいにして、それぞれ3分の1ずつ頼みますとか、いろいろなサプライチェーンの再構築をやらなければいかんというような話というのは、これは新たな設備投資が必要になりますから、そういったようなことを含めて、いわゆる新しい仕事をやらなければいかんと、工場選出とかね、という面がこの間の東日本大震災ですけど、今回は違いますから。みんな何も壊れたものがないんだからね。だから、そういった意味では、一番必要なのは薬ですよ。薬ができないと何となく大丈夫かという、医者に言わせれば、麻生さん、これ、単なる風邪ですからって言うと、確か7番目のウイルスなんだそうですけれども、5番目がSARSで6番目がMERSだったっけな、問題はこれは薬がないというところが問題なんだというわけですよ。それ以外、単なる風邪ですからと言われればそうなんだろうけど、不安ですから、その不安がちょっと解消されないと景気の気の部分がなかなか出てこないということだと思いますけれども、薬も開発されるんだと思いますので、そういった薬の開発というのをさっさと世界中どこでもいいからできればいいんで、そこから今度は景気の気の部分ということが、初めて投資したお金の効果が出てきますので、幾ら目先のお金というのをやっても、それから先、景気がよくなっていくという話の気の部分というのを刺激するのは、ちょっとまた別の意味で、いろいろな景気対策というものが要るんだと思いますので、設備投資とか公共工事とかいうのとは少し違った種類のものなのだと思いますけれども。これは今からいろいろ案が出てくると思っていますので、それを中から考え、必要な対策というのを講じていく、2段階にやらないかんでしょうね。最初に目先の話と景気の気の部分を直す、2つだと、2段階だと思いますけどね。

問)

それは補正が2段階になるかどうかとは、また話は別問題でしょうか。

答)

それはまた別の話ね。麻生内閣でも3回ぐらいやったのかな。三段ロケットを3回ぐらいやったんだと思いますけれども、あの時は。今回そんなことをしなくても、気の方がすっと戻ってくる、それはまた別の話だから。町に人が出ていないって、原宿や新宿行ってみりゃいっぱいだろう。片一方の銀座の方には人がいないだろう。あの日、学校の子どもなんか元気でいたよ。近くに公園があるから行ってみたけど、公園なんてもう安倍さんと言って、ああ学校休みにしてくれたって、分かるよね、それは。子どもにしてみれば安倍さんって。なかなか子どもの反応なんていうのは、よく見ておかないと、それは子どもがいいと言えば、親も何となく悪かないなと思う、そういうもんでしょうが。

問)

アメリカの方で経済対策がまとまる見通しで、それが規模としては2兆ドル規模になるということで、これを好感して株式市場の方も上昇しているような。日本でもその経済対策をやるという場合に、アメリカと同様にGDPの10%程度というのが必要になってくるのか、それとも社会保障制度とかアメリカと日本で大分違いますから、そういうところも勘案してそこまでする必要がないのか、そこら辺のところお考えをお聞かせください。

答)

今コロナ、いろいろやっている最中なので、ここで迂闊なことを言うと、勝手にやれ何十兆だなんて書かれると迷惑するのはこっちだし、おたくらはニュース抜いたとかいって、その気になるのかもしれないけど、なるべくこういうようなことは言わないことになっているので、いよいよになってから申し上げることなんだとは思いますけれども。少なくとも、このところヒアリングというのをいろいろな業界の方、ライブとか、ショーをやったりしている方が来ておられましたけれども、それは激減しているわけですよ。ところが同じ音楽でも、みんな家にいるものだから、同じソニーの中でも部門によっては、すごく売上が増えていますというところもあれば、そうじゃないところもある。そういうのをいろいろと聞いてみると、なかなか差がありますので、そういった話をよく聞かせてもらって、いろいろ対策を考えていかないとと思っているのですけれども、いずれにしても今の段階で規模とか何とか決まっているわけではありません。

問)

関連していないのですけれども、先程ワクチン、薬の開発が必要だというふうなお話をされていらっしゃいました。先日のG7でもワクチンの開発に対して資金を供与するという方向で話がまとまっていますが、日本としては総額でどれぐらいの規模が必要だというふうなお考えですか。

答)

意外と薬を開発できる国なんていうのはそんなにないんですよ、世界中で。アメリカとか日本とかイギリスとかフランスとかスイスとか。新しい薬を開発できるように、そういった研究施設を含め、それをコンベアで流してでき上がるようなものを持っている国というのは10カ国もないですから、今、新薬というのは。その中でマサチューセッツというのは一番有名ですけれども、その辺りに全部金を集中させるのか。どこかに出てきてちょっと金が足りないなら、そこにぼんと送った方が早い。だから、そういった意味では、いろいろな形での対応というのを考えなければいかんところだと思っていますので。日本でも4つぐらいもう既に臨床実験が始まっている薬も幾つかあるそうですから、そういったようなものも含めてやっていますし。中国は中国で何か漢方でえらい効くのがあるとかいうから、何となく聞いておかないと。お金だけ取られて全然できませんでしたなんて話じゃ話にならないから。やっぱりいろいろなことを今、言ってきていますね。アメリカも何かあるような、ないような話をしたりみんなしていますので、もうちょっとそこらのところはプロの人たちに話を聞いてみなければいかんところだと思いますけれども、金がそこにばっと集中して、実験をみんなで手分けしてやるとか、やり方はいろいろあると思いますけどね。

問)

日韓の通貨スワップ協定についてお伺いしたいと思います。日韓の通貨スワップ協定の再開を求める声が韓国で上がっていますけれども、日本としてはこの問題についてどういうふうなお考えなのでしょうか。

答)

今どうなっているか。通貨スワップ協定というのは、外務大臣にあの時になって、総理の時に700億、それが減って、返ってきたら130まで減っていたんだな。だから、今から6、7年前にスワップで日銀で30、財務省で100ぐらい残っていたので、おたく大丈夫ですかと聞いて、いや、大丈夫だといって、それががたっと減って、それで最後に、もう最後のいよいよぎりぎりになったら本当に大丈夫ですねって聞いたら、いや、借りてくれというんだったら、借りてやらんこともないと。頭を下げて借りてもらうような話は聞いたことがないって、席を立って帰るといって帰っちゃった記憶がありますけれども、韓国とのスワップはそれが最後です。それ以後スワップのお金はウォンと元でやっておられたという話は知っていますけれども、今どうなっているかはよく知りませんけどね。

問)

韓国でも日韓の間で通貨スワップ再開を求める声があることに対しては、大臣はどのように思われますか。

答)

それはしかるべき形で来られたか知りませんけど、来られたらどうしますかという仮定の質問にはちょっと答えられませんね。

(以上)

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