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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要

(令和2年5月26日(火)11時42分~12時04分)

【質疑応答】

 
問)

昨日、緊急事態宣言が全面的に解除されました。一方で解除後も第2波を警戒した行動が必要とされています。今後、回復へ向けて経済を動かし、施策を打つ上で大臣が最も警戒して注意されている点、ここに気を配らなければいけないと考えている点は何でしょうか。

答)

皆さん方に自粛を要請させていただくという、強制権が日本の場合は持てませんから、自粛要請という日本ならではのやり方をやらせていただいて、コロナウイルス、英語ではCOVID-19かな、新型コロナウイルス感染症というものをほぼ収束できつつあるということは、これは間違いなく国民各位のご協力のおかげ以外の何物でもないと思って心から感謝を申し上げておるところです。緊急事態宣言が一応解除はされましたが、少なくとも秋になり、冬になってくると第2波が来る可能性があるのではないか、これは1910何年に流行したスペイン風邪も第2波、第3波というのがありましたので、そういった意味では注意をしておかなければいけないということなので、備えをしておかなければいけないということも確かなんだと思います。今回を見ても、医療の提供体制の中においてマスクが足りないとかいろいろな話がありましたので、需給のバランスが崩れたということなんでしょうから、医療マスク等あらかじめ第2波に備えて、医療マスクというのはサージカルマスクとか、N95マスクとか、医療用のガウンとかフェイスシールドとか、手袋含めてそういった物資というものを確保しておかなければいけない。感染症対策の病棟というのは大きな病院だったら用意してあるけれども、感染症対策でその病棟を使った経験はほとんどない、この数十年ないと思う。結核が出ればそういったことになるぐらいのもので、今はあまりないでしょう。だから使っていないんですよ。今回いろいろな意味でそこに使っていたものを空けて、そこのところを感染症用とした、用意をしたというようにしたので、医療は崩壊しなかった。今回もこういったような話で不安が生じた結果になっていますから、そういった意味ではその不安が起きないようにするという対応をしておかなければいけないと思いますので、そういった医療提供体制というものをきちんと確保しておくというのが第2波に対して、法律に従えば厚生労働省においてきちんと対応をしていただかなければいけないということになるんだと思いますけれども、医療用マスクを国で買ったりとか話になっていますし、今随分日本でも医療用マスクを国内でもう1回作るなんていうようなことをやらせていただくようにしているんだと思います。少なくとも我々としてはそういった購入を早くということで、予備費を今度活用させていただくことにしました。その上で経済活動とか社会活動とかというものを徐々に元に戻していかなければいけないという段階に移ることになるのですけれども、各業種ごとにいろいろ違いますから、その業種ごとにどうやって対応していくかという話なので、レストランが10時とかになって、今日からそういうことになるんだと思いますけれども、工場もいろいろな意味で元に戻していかなければいけない。日本の場合はヨーロッパみたいに止めていませんからね、完全には。スローダウンをしているけれども、完全に止めるということはせずに済んでここまで来ていますから、そういった意味では工場をフルにできるかと言えば、今度はそこの中に入ってくるサプライチェーン、自動車だったらよく言われるけれども3万点ぐらいの部品が要りますから、その部品の中でボルト、ナット、そういった最もベーシックな部品が1つ2つなかっただけでも車は完成車になりませんから、各国で作ったやつを日本に輸送して、日本でほぼオンタイムでノックダウン方式で作っていくというようなやり方でやっていくんでしょうけれども、それが1国に固まると今回みたいなことになるということがはっきりしましたから、そういった意味では経費という面で言えば少々コストが高くても安全というものを考えたら部品を調達する国を、これまでと違って1国に傾斜することなく、なるべく分散するとか、安全率を上げるとか、そのためにコストが上がってもやむを得ない、そういった考え方でいろいろ対応をされていかれるんだと思いますので、そういうことができ上がるには少々時間がかかるだろうね、これは。飲み屋とかレストランとかがという話が多く出ているけれども、そういったもの以外の生産の話も忘れてもらっては困るので、どうなってくるかという点も考えてやっていかないと日本の経済、ものづくり、そこらのところのサプライチェーンの話を含めてきちんと今までのものをもう1回経済構造を作り直すという話になると、これはそんな簡単な話じゃないし、第2波に備えておかなければいけない中の一端としてそういったものもやらなければいけないところかなという感じはします。

問)

今日の持ち回り閣議で報告された対外純資産についてなんですが、365兆円ということで29年連続で世界最大の純債権国であるということです。これについてどのように受け止めておられるかということなのですけれども、資産が負債を上回っているということは国全体としては海外にお金を貸している状態であるということなので、豊かであるというふうな評価がある反面、日本国内への投資が少ないということを反映しているという指摘もあります。大臣、このことについてどのようにお考えでしょうか。

答)

これはなかなか簡単にいかない話ですな。最近10年間でいくと対外資産残高が540兆円ぐらい増えて、負債の方が440~450兆円増えている。プラスマイナスで対外純資産が伸びているという話で、対外純資産世界一というのは前からの話で、対外純負債世界一がアメリカ、資産一番が日本、基軸通貨じゃないというところが決定的に違うところなんだろうけれども、いずれにしても資産・負債双方で増加するということは世界経済とか日本経済の成長につながるので、両方伸びているというのはいいことなので、片方だけ、資産だけ増えて負債がどんどん減っているというのはまた別の意味で問題ですから、そういった意味では両方伸びているというのはそれなりにいいことなんだと思いますけれども、今言ったようにコストだけでやってきた経営者としては当然のことなんですが、今度は安全率とかという話をすると、今回みたいな話になると途端に車が動かないとかということになりましたので、そこらのところは80年代に、1ドル240円だった円が120~130円までどーんと円高になったあのくらいから経営者は、国内の工場で作って国内で売れないものを海外に輸出するより、消費されるマーケットに近いところで生産する方式に切り換えていった。加えて円高ですから、簡単に言えば海外の資産は半値になったということだから、日本から見れば。経営者としては海外で物を作って海外で売る、したがって日本の貿易なんてGDPの中に占める比率は十数%しかありませんから、ドイツとかと全然違いますからね、構造が。そういった意味では日本は海外で作って、海外で売って海外で稼いで、その金を日本に送金するという意味で、貿易立国ではなくてGDP、グロス・ドメスティック・プロダクトからグロス・ナショナル・インカム、国民総所得、GNIというようなもので計算しないと合わなくなっているんだと前から思っています。GNIということをもっと真剣に考えなければいけないのは、この十数年そうなっているんだって前から言うんだけれども、GDP以外にGNIと言ってもみんなきょとんとされますから、グロス・ナショナル・インカムということを考えないと、海外で作って海外で稼いで海外で入ってきた収支というものを、国際収支というものは日本は完全に黒字ですから、貿易収支が赤字で、石油が上がって貿易が赤字になったといって大騒ぎするけれども大きな問題とならないのは、それはGNIというものをみんな世界中そっちを見ていますから。だから日本という国は極めて信頼の高い国になって、国債をこれだけ出せばマーケットでの信頼は売りに回るとなっても不思議じゃないんですけれども、日本は必ず金は返す。日露戦争で借りたあの金だって80年かけて1980何年に返済していますから、それまでかけて必ず返済するという歴史を日本というのは信用としては持っていますから、いくらたっても日本というのはやっぱり信頼できる国となってマーケットが信頼を与えているというのが今回みたいな事態になると大きな力になって出てきているのかなという感じはします。

問)

マイナンバーと個人の預貯金口座のひも付けについてお尋ねします。先週22日、高市総務大臣が会見でまず給付金などの振込を念頭に1つの口座をひも付けて、次にすべての口座のひも付けを義務化するという二段階で検討を進める考えを示されました。これについて大臣はどのようにお考えかを聞きたいんですけれども、ひも付けが進むと所得と資産の把握ができて、税などの公平性が高まるという意見もあると思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

答)

マイナンバーへの付番というのは今回みたいなことが起きると、マイナンバーで口座がわかっているところは10万円振り込むなんて話がものすごく早くなったろうね、間違いなく。そちらの方が早くなっているということがわかっている方が多いから、今マイナンバーへの届け出が1日6万とか7万件ぐらい増えているでしょう。だからそういったような形になっていますから、それはメリットがあるというように、みんなレベルが高いんですよ。話を聞いていてものすごく早いですよ。事実、早く受け取っている人は多いですから、手間がかからないから当たり前の話なんだけれども。そうなってくるので今はお願いベースでやっていますけれども、来年1月をメドにして関係法令をつくるのをやっていくんだと思いますけれども、それを全ナンバーにと言うけれども、1人で口座をたくさん持っている理由は何だと思う。何でたくさん持つ必要があるの。銀行がつぶれるという話があったろう、小泉内閣のときに。1,000万円を超える預金の保護は認めないことになった。竹中平蔵大臣のときにやったんだよね、これ。私は反対した記憶があるんだけれども、とにかく1,000万円以下と。だからみんな1,000万円を超えると別の銀行へ移すんですよ。だからどんどん増えて1人で1億持っていれば10口座とかというようなことになっていった、元の元は多分これだね。何でそんなたくさん持つ必要があったのかねと俺は不思議でしようがなかったんだけれども、それが多分背景だそうです。良いか悪いかは別として、結論としてそうなりました。したがってそういったようなものを全部把握したいといった場合に、今度は国民が自分の所得一切合切、資産一切合切、現金一切合切を国税庁に握られるのをよしとするかです。君はどうだね。

問)

丁寧に説明をしてもらえれば、信頼できる制度だと思えれば問題ないと思います。

答)

なかなかこういう話は難しいんですよ。本当にそうですかといくと、いや、全部はちょっとと言う人が多い。だからそういった意味では1つ持っていただいた方が早いですよというのは皆さん乗ってこられるのはよくわかるけれども、全口座をと言われたら、ちょっと待ってくださいという人が、別に悪いことをやっているわけじゃないけれども、何となく全部を捕捉されるのは嫌だなと思うのが普通の国民感情じゃないかと、私にはそう思えるけど。でもそうしなくちゃいかんという国もありますよ。中国みたいに徹底的に、顔認識まで入れてやっているような国もありますから。ただ、そういう国じゃないから、我が国は。自主的にやっていただく、今回のコロナでも自主的にやっていただきましたから、そういった意味では大きいんだとは思いますけれどもね。だから、ちょっと今の段階で何とも言える段階じゃないですけれども、1月に向けて検討していくんだということになっていますので、それはやられるんだと思いますし、事実それは効率としてはすごくいいと思いますよ、このマイナンバー。考えてみれば私が十何年前、総務大臣のときに始めて、こんなものを使う人がいるのかとあの当時しつこく言ったんだけれども、結果的には本当に広がりませんでしたけれども、大事だ大事だと言うからみんなしまっているわけよ、家の中に。使えと言ったって使うところがない。免許証を返納した人が身分証代わりに使っているぐらいで、ほとんどの人が使っていないんだと思いますね。一応私も持ってはいますけれども、あれを使わざるを得なかったという記憶がありませんから、そういった意味ではなかなか普及しなかったのがこれまでだったと思いますけれども、番号を覚えておいてくださいなんて言われても全然覚えていないという人の方が多いんだと思いますから、今回これで普及するにしても、やっぱり便利だなと思ってどんどん使う人が増えてくるようにもっといろいろなものがこの中にどんどん入れられるようになる、保険も何も全部これでやりますというふうなことになればまた話は別でしょうけれども、なかなかそれまで、何となく国民の理解がそういう方に行くかですよ、そこはちょっとわからない。

(以上)

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