麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要

(令和2年6月16日(火)11時16分~11時41分)

【質疑応答】

 
問)

経済財政諮問会議で骨太の方針に向けた議論が始まっております。現下の厳しい経済・財政状況下、財務大臣としてどのような議論をご期待されるでしょうか。

答)

西村大臣が担当だろう、これは。もはや戦後ではない、昭和30年ですか、あれは。あれから戦後という言葉がえらく出てきたんだと思うのですけれども、今回もコロナ前、コロナ後という言葉が出てくるんじゃないかなと思うぐらい大きな影響が出てくるのかなという感じはします。例えば働き方改革というのをやっている結果、前にも言ったけれども、結果的に人と会うのを少なくしたのに成功したところが今のところコロナを抑えきっているのではないかね。インドとかサンパウロで騒ぎになっているというけれども、人との接触が少なくできていないところが感染者が多いということになるんじゃないのかと、ちょっとその種の感染学に詳しいわけじゃないんだけれども、そういう具合に見えるんだね。人との接触が少ない。日本の場合は半分ずつにしたわけだろう。そうすると早い話が例えば総務省と財務省とで半分ずつということは、0.5掛ける0.5ということは0.25だから、黙って75%会わないわけだろう。そうすると残り25%で会っているので、その人達は会わないようにあと5%下げると、簡単なことを言えば8割減を達成できるわけだよね。結果として強制力を持たずしてそこそこ人の会う数の絶対量を減らすのに成功したのが日本なんだと思うんだね。それで少なくとも抑えてきているのが事実なんだろうから、こういう中で工場も完全に閉めてしまうこともせずにそこそこ動かしてみんなやっているというのが日本という国で起きている現実。ほかの国のようにロックダウンだ、シャットダウンだ、そういったのをやらずしてここまで強制力なくしてやれたというのは希有な例だと思っているけれども、何かアジアではもっと少ないところがあるとか言っていたよ。だけどそれは強制力があったろう。こっちの場合は強制力なんかないからね。全然レベルが違う話ですよと思えるんだけれども、そういったようなことを考えた上で今週末からいろいろな形で動きができるようになりますというのをやりながら、新しい社会、新しい生活って。私にはなかなか想像できないので、少なくともいろいろな形で出社しなくても仕事ができる、テレワークという名前になってみたり、遠隔医療になってみたり、いろいろなものでこれまでできないと思われていたものができる可能性が上がってきた、それは同時に生産性の向上につながる、人口が少ないのだから。少子化という傾向を現実のものとして考えたときには、これを直していくのには時間がかかりますよ。これまであまり成功していないのだから、それを成功した例はどこかというのを真剣に考えないと、中長期的には人口減が日本にとっての最大の問題ですから、これをどうするかという話、そういったことを考えると成功している国はどういう国というふうなことをもう1回真剣に考えないといけない。多分コロナ以後に起きてくる大きな話をしているんだと思うけれども、それを賄えるためには人が動かなくても、人が会社に来なくても、今までの仕事を変えても生産性が今まで以上に上がるためには、規制の緩和、新しい遠隔操作ができる機械の導入、そういったものを含めていろいろなものができてくるというのがテクノロジーの進歩でそれができるようになりますという話になってくるんだと思うけれども、その中の社会構造、新しい生活というのがどんなものになっていくのかというのは、私の想像力ではちょいとついていっていないね、頭の中が。もう1個考えておかなければいけないのは、サプライチェーンというものが大きく変わるね、これは。少なくともこの30年間ぐらい見た場合に、天安門事件以降ぐらいだよな、とにかく中国が世界の工場とかもてはやされていたろう。だから中国に工場をつくって、そこから部品を納めていた会社の部品、小さなもので言えばいろいろあるだろうけれども、一番ベーシックなものでボルトとナットなんていうものですら、1つなければ自動車はできないとかということになって、結論、自動車1台出荷が止まるわけだね、ボルト1個ないために。極端な例を言えばそういうことなのだろうけれども、したがってサプライチェーンを安いからという経済的な理由だけで一国に偏ることはしない。それは危険だから、何が起きるかわからないというのが今回、戦争とかが起きたという状態とは全然違って、コロナ感染症との戦争、そういったので少なくともこれだけの騒ぎになりましたということだから、サプライチェーンは中国との関係をデカップリングしますとか、いろいろなことが間違いなく起きる。どんどんいろいろなところに移転させていくことにならざるを得ないんじゃないのかね。既にいろいろな会社がやっているんだと思うけれども、そういった意味で新しい社会というもののつくり方が今言ったような形で大きく変わってくるということになることは間違いないので、それを支援していかなければ仕方ないだろうね。政府としては。そういった方向に、安全保障を考えてということでいろいろなものが移ってくるということになるわけだろう、私達の周りでも。香港のマーケットはどうなると思う。世界のマーケットでロンドン、ニューヨーク、アジアでは香港なんじゃないの。その香港のマーケットはこれから中国と一緒の関係でどうなると思う。結構大変だろうなと思うけれどもね。マーケットの主力はあそこから撤収してどこに移っていくかという話になりはしないかと思うけれどもね、アジアのマーケット。いろいろなことが考えられるので、少なくとも西村大臣のところで考えられるときに、経済のいわゆる目先の資金繰りの話じゃなくて、経済の構造自体がどう変わっていくか、観光やらGDPに占めるパーセントは数%だよな、多分。しかし物をつくっているという生産の方は20%以上あるからね。GDPの中で消費は50%を超えているから、そうするとそういったようなものの話にもなっていないから、経済全体を考えるなら、ものづくりの話、サプライチェーンの話にしても、消費の話にしても、1,800何十兆円、1,900兆円ぐらいの個人金融資産があるんだから、その金融資産がどう動くかというようなことも含めて経済全体の大きさからいったら、そこが一番大きいところだから、そこをどうやって動かしていくのか。2次産業のところ、ものづくりのところ、設備投資とか、そういった民間を通しているところが20%、そこのところがどうなるか等を考えた上で今言ったようなサプライチェーンの話で中国の話とか、また金融という面でいえばさっきのマーケットの話にしても、いわゆる大所高所とかいろいろな表現があるだろうけれども、そういったものまで考えてやってもらいたいねと思うので、そんな簡単に答えがすぐ出るような話とはとても思えないけれども、諮問会議でもいろいろなところで、党でもいろいろやられるので、そういったところを全部まとめて将来の方向性をよく考えないと駄目なので、もう1回きちんと日本の産業政策の立案というようなものをみんなで考えていかないとえらいことになりはしないかという感じは。このコロナを見ながらもう1回、できそうもない話ができているところもありますし、日本のどこが弱いかというところも結構見えてきたし、どこが強いかというところも見えたし、いろいろなところでそういったところをもう1回冷めた目で見ないと。この話はものすごくいろいろ幅広い話ですよ。

問)

昨日、公文書の改ざんをさせられて自殺した近畿財務局の職員の奥様が集めた署名が総理と大臣の方に提出されたと思います。35万筆を超えているということで、第三者による再調査を求めているということなのですが、これについての受け止めと今後再調査をするお考えはあるのか、お聞かせください。

答)

近畿財務局職員の奥さんの話ですけれども、亡くなられた方に関しましては心からご冥福をお祈りするということはたびたび申し上げているとおりです。平成29年の冬、2月ぐらいに一連の問題が行われたということになっていて、そして翌年の平成30年の3月ぐらいに亡くなっておられるという、非常に痛ましい出来事が起きているのですが、これは明らかに財務省として応接録等調査を徹底してやらせていただいて、その結果としては関与した職員に関しては厳正な処分をし、そしてこの作業に関わった近畿財務局、本省ではなくて近畿財務局の職員の中においては本省からの指令に反発した、抵抗したということは明らかだったので、それもきちんと認定した上で処分をしないということをさせていただいたりして、いずれにしてもこういったことが起きたことは事実ですから、二度とないように我々としては外部から秋池さん等お願いをさせていただいて、それをやらせていただき、今は吉野秘書課長のところでこれを引き続き継続させていただいていますので、もうしばらくするともっとはっきりした形で出てくると思いますけれども、いわゆる風通しが悪いと言われたような組織内の風通し等をきちんとやって、風通しのいいものに変えて信頼回復というのに努めていかなければいけないというのをもって、私共としての責任を果たしていかなければいけないところだと思っています。

問)

調査については検討はされますでしょうか、再調査について。

答)

再調査、今の段階で考えているわけではありません。

問)

今日の日銀の金融決定会合についてお伺いします。先程日銀の金融決定会合の結果が出まして、資金支援の特別プログラムの総枠について75兆円から110兆円に拡大するという方針を示しました。これに対する大臣の評価についてお伺いさせてください。

答)

日本銀行のお決めになった金融政策について政府の中にあります財務省の財務大臣としてコメントすることはありません。

問)

関連してもう1点お伺いします。日銀の方では物価の見通しについて下方修正をしています。ちょっと詳しくまだ見れていないのですけれども、申し訳ないです、エコノミストの間ではコロナ収束後に再デフレになるという見方も多く、政府・日銀がともにデフレ回避に向けたさらなる財政・金融政策の拡大の可能性、さらなる協調の可能性についてどのように今の時点でお考えになっているのかについてお伺いさせてください。

答)

それも今言われましたように、これだけ物が一斉に動かなくなりましたから当然物価というものも動かなくなりますので、需要も減る、消費も減るということになりますから、物価を当面下方修正せざるを得ないだろうなというのは誰が考えてもわかる話ですから、別に特に驚くことはないので、引き続き私共としてはある程度のインフレというものを考えなければいけないでしょうから、そういったようなものを考えていくというのが現実なのでここまで来たのですけれども、残念ながらデフレになるかとかというようなところまで事は動いているという方もいらっしゃいますから、そういった意味では日本銀行として金融の舵取りというものを非常に気にしておられるんでしょうけれども、日銀が金融機関にいろいろな政策を、4月も5月もやってこられた結果としては間違いなくマネーサプライが前年同月で5%、5.何%上がったろう。5.6だったっけな。前年同月比でこのところマネーサプライが5%になったことはありませんから大きな効果が上がっているということですよね。お金が動いているということですから。それは日本銀行の英断だったと思いますけれども、いろいろやっておられるのだと思いますが、いずれにしても今こういったことに関して金融の円滑化とか金融市場の安定化というのが極めて大事なので、株は昨日800円下げて、今日また上がったり、証券会社は儲かっているんだと言っておられる方もいらっしゃいましたけれども、それはそうなのかもしれませんけれども、金融が上がったり下がったりする中で、幸いにして円の対ドル交換レートは約107円でほぼ安定ということになっていませんかね。そういった意味では非常に大きな役割を果たされておられるように私には見えますけれどもね。

(以上)

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