麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和3年3月26日(金)19時47分~20時11分)

【冒頭発言】

令和3年度の予算が成立しておりますけれども、2月4日に審議入りをさせていただいて、衆議院で17日間、79時間になります。参議院で18日間、70時間になります。充実した審議をいただいて、先程本会議においても無事成立をさせていただきました。また、関連する特例公債法、税法等につきましても同様に成立をいただいたところです。多くの方々に大変感謝を申し上げますけれども、3月26日、去年は27日だったか、去年は3月27日じゃなかったかなと思ったんだけれども、年度内に2年度の3次補正と合わせて無事成立することができたんですが、やっぱり今これができた以上は、感染症の拡大防止に万全を期しつつも執行していかなければいけないわけなので、この中には短期的な話もありますけれども、中長期的な話でグリーン化するとか、デジタライゼーションとかいろいろな表現のものがありますけれども、デジタル庁をはじめいろいろなこれからの日本というものの経済を立て直していく上でも、我々としては単に目先のコロナの対策に関連して企業のキャッシュフローの話だけしているのではありませんので、いろいろな意味で中長期的な課題もきちんとやっていかなければいけないと思っております。また、コロナの感染というものが一応おさまりつつあるというところでありますけれども、完全になくなったわけじゃありませんから、私共はきちんと我々の生活とか命を守りつつも次の経済として成長をしていくという原動力をつくり出していかなければいけない。その中の1つに、デジタライゼーションとかグリーン化とか、どういったものが伸びてくるのかよくまだわかりませんけれども、そういったものの1つがこれらのものだと思って今新しいものの流れを見ながらも応援できるところ、税制で、財政で、いろいろな形でそういったものの支援をしていければなと思っております。

【質疑応答】

問)

今、大臣の冒頭の発言にもありましたけれども、予算が成立したことを受けて、これを速やかに執行していかないとコロナ対応であったり、経済の下支えに、あるいは中長期的な課題の解決になかなか寄与しないと思うんですが、早期に執行できる、速やかに執行できるものから執行していく、予算をうまく年度が変わってすぐに回していくためにはどういったことが必要で、どういったことをやっていこうということでしょうか、そのお考えをお聞かせください。

答)

今でき上がった予算ではありますけれども、前から言われているもので私共、非正規雇用労働者に対する緊急支援という話がよく出てきますけれども、こういったものを大企業の方で申請していなかったがゆえにその人達は受け取っていたはずのものが受け取れていない、それが1つ。もう1個は、企業で金を借りれば貸方・借方の世界が出てきて、債務超過、資産より負債の方が大きいという債務が超過する、債務が超過したら借りたくても借りられないんだよね。そうすると、1年もやっているとなかなかというので、資本の小さいところだと債務が超過しているというのが十分にあり得る。そこで劣後ローンを組んだらどうですと。いわゆる政投銀等の銀行の方からいろいろな形で、政投銀が劣後ローンどうですかという話やら何やらをして、政府系金融機関がやる。そうすると、その金は借りた形であっても劣後ローンということになると貸方・借方の貸方の方にその金が入るからね。そうすると資本性劣後ローンで同じお金が入っても、そのお金の場合はお金が借りられる。なぜなら貸方・借方の逆の方にお金が入るからというルールがある。そうすると、その劣後ローンを組むときには政府系の金融機関がそれをボンボンやっていくと、いろいろな企業が政府系金融機関を活用されるんじゃないか、簡単に言えば。そういうことから劣後ローンを組むときには、必ず民間の金融機関と組むという原則がある。そうすると民間と一緒になって5,000万ずつ、1億にして劣後ローンを組みますというようなことが原則なんだけれども、とても間に合いませんと。政府の介入じゃないかっていうような話をする人もいるんだよね、多分。だけど今はとてもそんなことを言っていられないでしょうといって、民間の金融機関も全くそういうことを言うつもりはありませんというのを確認した上で政府系の金融機関がどんどんやる。いろいろなことをしているんですけれども、こういったのが実際に動かないと銀行にとか何とかと言ったってお金は回らないんですよ。政府が言ったからすぐ回るなんて、世の中そんな簡単にできていないから、みんなちゃんといろいろなところで話をしていかないといけない。そこらを早くやらないと間に合わないということになるんじゃないんですかね。そこらのところをぜひわかっている人に書いてもらって、こういった話がどんどんできるようになっていますよというのをすると、おお、大丈夫なのかよということになるわけですよ。延滞の話をしても、企業等のうち98%は納税している。延滞を申し込んだ人は全体の2%。それが事実ですよ。そうすると、その人達はどうするかという話をまたするんだけれども、その人達は通常の延滞の制度はあるわけだからね、今までどおりの。今までどおりの延滞は、年数を切ってやらせていただいた無利子・無担保というのではないけれども、少なくとも1%で、無利子ではありませんけれど。今までは延滞金でもっと高かったんですけれども、1%にしてというルールも決められてありますので、そういった人達に対する体制も考えて我々はやっていると。現実問題としてそういったようなものが世の中の経済とかというものを動かしている原動力になりますので、ぜひこういった話を丁寧にわかりやすく図解でもしてもらうと大変助かるね、我々は。こういう予算をせっかく通して、使わないでは話にならない。だからそういった意味ではぜひお願いしたいと思います。

問)

2点お伺いします。1点が予算に関してです。今回の予算にはコロナ対策として5兆円の予備費が含まれています。しかしながらエコノミストらによると五輪の開催ですとかワクチンの普及ですとかサービス産業を中心とした経済の復活に向けて、さらなる補正予算の編成が必要なのではないかという声もあるんですけれども、ちょっと気が早いとは思うんですが補正予算の必要性について、予備費で足りるのかどうかも含めて。

答)

今日、本予算が3次補正予算と合わせて通ったみたいなものですから、通ったその日に1次補正なんて考えたこともないけれども、私共としては今5兆円の予備費等も計上させていただいていますので、今回の予算が4月1日から施行されていきます。そういった中にあって緊急を要するのは非正規雇用の話なんかが出てくるんだと思いますし、金融支援なんかも出てくるんだと思いますけれども、そういったものが今の予算で当面、私共の予想を上回るほどひどいことになるという感じは今のところしていませんから、当然のこととして補正を今すぐというふうなことを考えているわけではありません。

問)

もう1点が予算とは関係なくて、23日にスエズ運河で座礁したコンテナ船の影響についてお伺いします。離礁作業に少なくとも1週間はかかるというような報道もありますが、これが長期化した場合に日本と欧州、アメリカの東海岸とを結ぶ輸送路がストップすることになりますけれども、日本の物流ですとか産業、日本の経済に対する影響についてご見解を伺えますでしょうか。

答)

正直言って今の段階で私共情報があまり、絶対量が少ないのでよくわかりませんけれども、少なくともあの船は日本船籍、船籍はいろいろ、運転しているのは日本の船籍なんだけれども、所有権とか何とか難しいんだけれども、入ってくる情報の絶対量が少ないんだけれども、思ったより真横に止まっちゃっていますから、そういった意味でちょっと時間がかかる。ただし、それによって影響を受けた人達に対する補償とか何とかいろいろなものが出てきますので、今の段階でそちらの話が私共の、保険とかそういうのを扱うこの役所としてはそちらの方にパッと目がいくんだけれども、これによって経済が、石油が止まるとかいろいろな形で、日本の石油の貯蔵量というのはかつてと違って今200日ぐらいありますので、そういった意味でこれによって直ちに日本の石油が何とかというようなことになるわけではないと思っています。

問)

財政の健全化に向けた動きなんですけれども、先程もありましたけれども、3次補正と今回新年度予算と合わせた15カ月予算となっていると思います。コロナ対策という形で大きな歳出が膨らんだ形にはなると思うんですけれども、一方で歳出が膨らんだものを将来にツケを回さないためにどのような形で今後健全化に向けて考えていらっしゃるのか、改めて聞かせてください。

答)

これはすごく大事なところなので、我々にとってはいろいろ今各国、コロナの対策に合わせて、大きな流れで言えばBEPSを7月までに上げよう、これ、税収につながりますからね。また、4年ぐらい前だったかな、G7で法人税の引下げ競争はいつまでやるんだね、みんなって。イギリスが、まだオズボーンだったからもうちょい前か、7年ぐらい前かな、いつまでやるんだという話をして、あのときはイギリスが19%に下げてきたときですよ。何考えているんだろうと思って、わんわん言った。アメリカも最終的に21%まで下げたのかな、あのときは。何かそんなのをしたんですよ。日本も30%以上だったので29%までということになって、今それらの国々が一斉に法人税を上げるという話が始まっていると思いますので、今そういったような動きがあることは確かですけれども、日本としては今直ちに法人税を上げるとか、消費税をまた上げるとかということを考えているわけではありません。ただ、日本の場合、幸いにして今金利も超低金利で、少なくともマーケットでいわゆる国債というものの売買が円滑に行われていますし、日銀と一緒になって我々、日銀の政策に合わせて私共も経済というものをきっちりやっていかなければいけないとか、いろいろなことを考えているんですけれども、この国はやっぱり信用がでかいんですよ。借りた金は必ず返してきたという歴史がありますから。したがってどこか踏み倒しちゃおうなんていういい加減な国じゃありませんし、借りた金は必ず返すというのを実際実行してきましたからね。第二次世界大戦に負けても戦前に借りていた金を返した国ですから、そんな国、ほかにありませんよ。そういったご先祖様の信用もこれありで、日本の場合は金利が安いままでマーケットで巨大な国債というものを借りられているんですけれども、金は借りたら、その借りに対する資産というものがあって金を借りるわけだけれども、その資産は大して変わらない。売上高でいえば、GDPを売上高とすれば、GDPが500兆円、550兆円ぐらいのところ、それでかつて250兆円ぐらい借りていたわけだろう、92~93年。あの頃、金利は5%だよ。それが今1,000兆円までなっている。金利は幾らになったの。ゼロじゃない。これはどう説明するんですといって、説明できた学者なんかいませんな。私、いろんな人に聞くんだけれども、とにかく今まで起きたことがないようなことが起きているんだよ。だけど、起きていないのが続くと、10年も15年も続くと、これはこのままいくんじゃないかと考えると、そんな簡単なもんじゃないので、今のがおかしいと思っていなきゃおかしいよ。だけど、現実問題としてこれがずっと続いているんだから。インフレになるぞ、インフレになるぞとオオカミ少年みたいに言っていても来ない。私みたいに長くこの世界にいれば、どう考えても今の方が、ちょっとおかしいんじゃないか、危ないんじゃないかなという気がするけれども、日本という国に対する信頼があるから持っているんだね、多分。となれば、この信頼がある間に歳出、切れるところは切る、増やすところは増やす、そういったものをちゃんとやっていく。それが証拠に安倍内閣、7年、8年の間に新規国債発行が12兆円ぐらい減っているね。32兆円ぐらいまで減らしたのが1年でまたボーンと、元の木阿弥みたいになっているんですけれども、これはこれでまたきちんと、黙々とスタートさせて、少しずつ少しずつやっていくというのが基本ですな。それが我々としてはやっていかないと、急にポーンと金がどこかから入ってくるなんていうことはありませんから、そういったことはないと思って、きちんと積み上げていかなければいけないのだと思いますね。

(以上)

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