麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和3年4月9日(金)11時56分~12時12分)

【質疑応答】

問)

東芝に対する英投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズの買収提案の関係で1問お伺いさせていただきます。原子力事業などを行う東芝は2020年5月施行の改正外為法で国の安全保障上重要な業務を行う、いわゆるコア業種に指定されていると思います。今回の件は財務省などの事前審査の対象になるものだと思われますが、今後財務省として事前審査を行うに当たってどういった点が慎重に精査するポイントになるのか、財務大臣としてお考えをお聞かせください。

答)

財務大臣として言えば、個別事案についてはお答えできません、それで終わりですよ。一般論でしか言えませんよ。これはこの間、加藤官房長官から同様の答えをしていると思いますけれども、国の安全に関わる話については株式1%以上を取得するに当たっては事前審査するということになるという話ですよ、この話は基本的にはね。だから一般論で言えばそういうことになるんじゃないですかね。この話はこれからの話で、個別事案の話なのでそれ以上申し上げかねます。

問)

法人税率について1点伺わせてください。アメリカのバイデン政権がトランプ前政権が21%まで引き下げた法人税率を今回28%まで引き上げるなど、こういった税制改革案を今回発表しています。コロナ対策で膨らんだ財政をどう健全化していくかということに関して、これまで麻生さんも再三重要性を訴えてこられているかと思うんですけれども、今後長期的な視点で、足元はコロナの対応もあるかと思うんですが、長期的な視点で税負担のあり方というのをどういうふうに考えていらっしゃるのか伺わせてください。

答)

何年前でしたかね、5年ぐらい前だったかな、イギリスが確か19%に下げたんだっけな、オズボーンだったかな、あの頃は。確かこっちに了解を求めてきたので、法人税の値下げ競争をいつまでやるんだね、おたくはと聞いた記憶がありますけれども、あのときは確かケイマン諸島が何とかで、アイルランドが12%だ何とか言っていました、いろいろ。そこまで下げて、それで税収が不足して、それでどうなるわけと言ったら、うーんと黙っていたから、アイルランドの分がそっちに、法人が移るとでも思っているのかよと聞いたら黙っていたから、あまりお勧めできない。上げることになったときにはまたこっちの了解なんかもらいに来るわけなんて言ったけど、そのとおりになりましたな。アメリカも35%だったかな、あれを21%に下げるときに話をしてきていましたから、何だそっちもイギリスと競争でもするのかと言って笑ったんですけど、トランプはそんな賛成じゃなかったんだね、私の記憶だけど、あのときは。そういうことになっていったんだと思いますけれども、いずれにしても、これはBEPSの話から始まったのが元ですからね、8年前の。今回も、イエレンが言っていましたけれども、でかいところ、GAFAを含めてああいったでかいところを主な対象に絞ってやらないと対象者が大きくなり過ぎるといかがなものかという話もしていましたけれども、そこらのところはどういう基準でやるか、今からいろいろ詰めていく段階に今あるんですけれども、いずれにしても何となく最初はバンコ・デルタ・アジアで始まったのかな、それからパナマの文書が出たり何かしたあたりから何となく、昔から言われた話を何を今さら言い始めているんだと思って聞いていたけれども、何となくだんだんその規模が大きくなってきたもんですから、今回のような何兆円という話が何兆ドルまで行くんじゃないかという話に、えらいでかい話になってきているとは思いますけれども、いずれにしてもしかるべき税金を払ってもらう権利は少なくともその国の港湾、飛行場、道路等、全部利用しておいてその国には税金が1円も落ちないという今のルールは、合法的にはそれができるわけですから、いかがなものかねという意識がありましたのでこの話を8年前に持ち出して、気がついてみたら法人税もそうじゃないかという話に多分なって、今回BEPSの話と一緒に出てきているんだとは思います。別に税金というのは儲かっていない会社に税金はということじゃありませんので、今回のような流れというのは当然と言えば当然なんだとは思いますけれどもね。いずれにしてもこういった流れはもうちょっと、7月のイタリアのG20までには何となくうまく決着がつけられそうな雰囲気がこの数カ月出てきているかなとは思ってはいますけれども、まだまだこういうのは最後の最後までわかりませんから、国際連盟をつくってできたはいいけど提唱した国が入らないということがやれる国ですからね、最後の最後までわからないと思っておかないとね、こういうのは。

問)

先日のG20の共同声明の為替に関する文言で、経済のファンダメンタルズを反映すると明確化したことについてなんですけれども、なぜこのタイミングで明確化する必要があったのでしょうかということなんですけれども、アメリカの長期金利が上昇基調にあるタイミングでの見直しだったことでドル高を容認したと受け止めた市場関係者もいたようですけれども、こうした見方を含め、改めて大臣のご見解をお願いしたいと思います。

答)

我々の立場というのは、市場に不測の予想みたいなのも立てられるような答弁はしない、発言はしないというルールになっているから、基本的にその種のことに対する答弁は差し控えます。おととい日銀総裁と一緒にこの話はしたと記憶するんですけれども、これは今までの私共の間で暗黙のルールだったものを明文化したということを意味していますので、それ以外別に、特に変えたところがありませんから、ファンダメンタルズを反映してマーケットが動くということになっていますから、為替介入なんていうのは、そういったようなことはしないというルールになっているんだから、それを明文化した以外特に取り立てて言うことはない。なぜ今言ったかと言えば、何となく今回の大量の各国、財政出動しておりますので、それによって妙な、ファンダメンタルズに反映しないものが出てきたりなんかする、無理に自国通貨のドル高、自分の通貨安の方向に誘導しようとか、そういったことをする国が出てくる可能性というのはないわけじゃありませんから、そういったものは駄目よというのを言っているのが今ですかね。そんな具合なところだと思いますけれどもね。ほかに特に大した意味はないので、文書化した以外は特にありませんね。

問)

2つ前の質問と関係するんですけれども、法人税の最低課税など国際ルールづくりで合意に向けて何が課題で、どう解決していくか。

答)

法人税の値上げの話、BEPSの話、どっち。

問)

国際課税ルールづくりの方です。

答)

それはいろいろあるんですよ。例えばケイマン、アイランドとかマカオとか、ヨーロッパじゃアイルランドかな、今。そういったタックスヘイブンと言われるような課税の低いところに自国の本社を移して利益を移転する。日本だったら29%払わなくちゃいけないけれども、タックスヘイブンに持っていけばそれが12%だ、15%だということになる、シンガポールへ行ったら17%になりますとかというようなもの、それに対して国際基準を最低課税を決めようじゃないかというので、実質的に比較を、最低課税を、どこに幾らにするかはこれからの話ですけれども、それがいわゆる2本目の柱と言われる答えの内容ですわな。世の中もデジタル化していますから、金の移転が1秒でバッと動くということになってきていますので、そういった意味では課税最低限の見直しというのをやろうとしているのが第2の柱ですけれども、これで自国に本社を置いておくとそれで国際競争で6%なり10%差がつくというのはでかいですからね、企業にとっては。したがってそういった意味で安いところに本社を移転しようといってアイルランドにごそっと移転したりなんかしたわけでしょう。あそこは英語も通じるし。これは大きな意味が私共にとってもありますので、日本からシンガポールに移動したりなんかしている会社というのは、知っている会社は幾つもありますので、そういった意味で国際課税の見直しというのをいろいろ言っていたんですけれども、声にならなかったのがG7でぼそっと日本が、これが一番でかい話だという話を言い始めて、マーケットを提供している国、そこの施設、公共物は全部利用してやっているんだから、そういった国に関してしかるべき金を配分してしかるべきじゃないのかという話が出て、これが第1の柱と言われるものですけれども、新たなルールを合わせてこういったようなことにやっているということになってきて、1の柱と2の柱と2つだったんですけれども、ヨーロッパは先に2の柱でバッと走ったんですけれども、アメリカがちょっと待てと言って、別のルールでいろいろ言った。結果としてアメリカの方でGAFAを始めありますから、そういったようなもののルールもありますので、アメリカは第2の柱を含めて両方で折り合うという態度に今回変えてきて、今ルールができ上がりつつあります。同時に法人税も従来、アメリカが35%だったものを21%まで下げたのを元に戻すと。イギリスもそれに合わせてというふうなことになってきていますので、各国大量の財政出動をした意味でバランスシートからいくと極めて悪い形になってきていますので、日本も同様にいろいろな形で積み上げてきた。8年間で新規国債発行額を見れば改善していたんですけれども、一挙に今回またボーンと上がりまして、もう1回やり直さないといけない。各国皆同じような状況を抱えておられますので、特に先進国は。そういった意味ではみんな協調して、1カ国だけいいことにならないようにやろうじゃないかという話を何となく合意ができ上がりつつある。最終的にこの7月までの目安が随分立ってきたとは思いますけれども、最後の最後まで見ておかないといけないというところですかな、これは。

(以上)

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