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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣ぶら下がり記者会見の概要

(令和3年5月28日(金)23時19分~23時31分)

【冒頭発言】

本日、G7の財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されて、日本からは私と日本銀行の黒田総裁が参加しております。今日の会合でG7の財務トラックの主要課題のうち中央銀行総裁と一緒に議論すべき事項が議題とされておりまして、具体的には世界経済、そしてネットゼロに向けた取組、もう1点はデジタル・ペイメントについての議論を行っております。今日は成果文書の発出はありません。したがって以下で会議における私の発言を紹介しておきます。
世界経済の議論において、日本の経済状況については大規模なワクチンの接種が始まっておりますので、接種の進行により経済の回復モメンタムは復活すると考えているということ、こうした中で日本の政策対応としては、コロナ危機への対応と成長力の低下並びに日本の場合少子高齢化といった構造的な課題への対応をあわせて行っていること、もう1点はグローバル経済については途上国におけるワクチンの普及とか、法人税の引下げ競争の回避といった分野で国際的な協調が重要であるということを申し上げております。
次にネット・ゼロに向けた取組については、気候変動対策への民間資金動員の取組として日本はコーポレートガバナンス・コードを改訂して、プライム市場の上場企業に対してTCFD提言に基づいて、いわゆる開示を求める予定にしていること、また気候変動対策については何よりも主要排出国、日本の場合パーセントは3%ぐらいなもんですからね、主要排出国というものをしっかり巻き込まないと日本が完璧にやったって3%しか減らないんだから、もっとごそっと10倍も多いところがありますから、何よりもそういった主要排出国を巻き込むということが不可欠、そうした観点からG7として議論を継続していきたいということです。
最後にデジタル・ペイメントについては、中央銀行のデジタル通貨、いわゆるCBDC、セントラル・バンク・デジタル・カレンシーですけれども、昨年10月、G7の声明でうたわれました法の支配と健全な経済のガバナンスと透明性、この重要性を改めて指摘をして中央銀行デジタル通貨に対する議論をさらに加速すべきであろうという旨を申し上げております。

【質疑応答】

問)

多国籍企業を対象にした国際課税ルールづくりをめぐっては米国が法人税の最低税率を15%以上とする案を提案しています。本日の会議ではこうしたテーマについても話題に上ったのでしょうか。もし話題になっていた場合、米国案に対する各国の反応などもあれば教えてください。

答)

国際課税というものは本日の議題になっていません。冒頭、私の方で申し上げたとおり、法人税の引下げ競争というのをずっとやってきたことの歯止めをかけるという意味では全てのG7の国にとって利益につながるということじゃないかということを申し上げておりますので、いずれにしても合意に向けた機運が高まりつつあるということは8年前の5月に申し上げて以来、よくここまで来たかなという感じがしないわけではありませんけれども、第1の柱についても第2の柱についても、いわゆる課税対象の範囲とか最低税率の水準の話とかいろいろあるのはご存じのとおりですけれども、調整というのは来週のロンドンでのG7でいろいろ議論がさらに煮詰まっていくであろうと思っていますので、ここまで来ましたので最終的なところまで届かせたいなというのが率直な希望ですね。

問)

気候変動の企業の情報開示について伺いたいんですけれども、先程コーポレートガバナンス・コードの改訂予定もありますし、日本ではTCFDの賛同企業数というのが世界で一番多いというところがありますが、こうした日本の取組をどう主張していきたいかということと、企業の開示の義務化を打ち出すような国もありますが、大臣としてのお考えをお聞かせいただいてもいいですか。

答)

日本の話はご存じのとおりなので、私共としてはコーポレートガバナンス等いろいろやっていかないと駄目ですよという話で、これは企業の価値が多分こういったもので評価されるというような時代になってくるので、よく企業で、気候変動以外で言えば、例えば女性の比率が何人とか、障害者の雇用が何%になっているとかというような話というのは企業の価値につながるという話があります。気候変動に関してどういった貢献をというか、努力をしているかという話も企業の価値を決める1つの要素になってきつつあるということなんじゃないんですかね。まだ取組が始まって間もないところではありますけれども、グリーン化とかいろいろな表現がまだされているぐらいですから、まだまだこれからの段階だとは思いますけれども、そういったようなものが非常に大きな要素を占める、株価になってみたり、企業が金を借りるときのファイナンスの方から見たときの金利についてみたり、いろいろな形で影響が出てくるだろうとは思いますけれども、今の段階でそういったようものがどれくらい出てくるか、ちょっとわかりませんけれどもね。ただ、そういったものが評価の対象になる、特にヨーロッパの場合はそういった意向が強いと思いますけれども、ほかの国がそんなに簡単に乗るかと言えばそんな簡単な話じゃないよ、これは。それが安いエネルギーでやれないと、とてもじゃないけど我が国は成り立ちませんというようなところに対してファイナンスしますかっていう話ですよね。だからそういった話というのは、そんな簡単な話じゃないんだと思いますけれども、建前の話と現実の話はそう簡単にはいかないということはよくあるだろうとは思いますので。豊かな国よりもそうじゃない国の方が多いというのが現実ですから。

問)

先程の質問に関連してお伺いしたいんですけれども、企業の情報開示のところでイギリスなど質問にもありましたように義務化を求める国が出てきたり、検討が進んでいるかと思います。G7でも同じように企業の開示、TCFDを原拠した開示を求めるですとか、そういった義務化を求めるなどの意見の合意みたいなのが今回のG7で見受けられたのか教えてください。

答)

合意になるまでになっているかと言われれば、今の段階で合意に達するとかというようなところまでいっているかと言えば、ヨーロッパなんかでそういった声が大きいのは確かですけれども、これは決めた少数の国だけでやっても意味がありませんから、そういった意味では全体の話が必要になってくるだろうなという感じはします。細かい内容は、他国の言ったことの内容の細目についてはコメントできませんので、流れとしてはそういった話が、開示を強制するというところまでいっているかと言えば、そこまでいっているような雰囲気ではないと思います。

問)

先程、国際課税の話がありましたけれども、会議の中では議題にならなかったということなので、先程の大臣のご発言は会議の中の発言ではないという理解でいいでしょうか。

答)

会議の中で話したということは、会議の議題にはなっていませんからその話がなかったので、この種の話について、引下げ競争の歯止めをかける等の話は一番最初に私の方から、各国がしゃべる順番の中で私の方から、引下げ競争というのを止めるという話は有益になるんじゃないかという話を言ったということで、議題になったわけではありません。

問)

石炭火力の融資に絡んでの議論というのは、今日は議題になったんでしょうか。

答)

ありません。

(以上)

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