麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和3年7月13日(火)11:45~12:04)

【質疑応答】

問)

内閣官房と国税庁は7月8日、新型コロナウイルスによる緊急事態措置区域で要請に応じずに酒類を提供している飲食店を把握した場合、酒類の取引を停止するようお願いする文書を業界団体に出しております。業者からは困惑する声も上がっていますが、このお願いというのはどのような法的根拠があるのでしょうか。

答)

国税庁の方の法的根拠は基本的にはないと思います。したがって今回の依頼はあくまでも国の方から酒類販売事業者に対しての一般的なお願いであって、強制力を伴うものでないことははっきりしています。趣旨については国税庁から酒類販売事業者に対して、その趣旨で引き続き丁寧に説明をしてご理解をいただいた上でご協力をお願いするということなのではないですか。私はそういう具合に理解しています。 

問)

西村経済再生担当大臣が8日の会見で酒類の提供禁止の要請に応じない飲食店に対して取引先の金融機関から遵守を働きかけてもらうというふうに発言して、後に撤回されています。金融機関を使って圧力をかけるような手法で批判が集まりましたけれども、金融機関を監督する金融庁の所管大臣としてどのようにお考えでしょうか。

答)

今の点は私がG20に出席をしているためというか、海外出張中の出来事で、7月8日だったと思うのですが、いわゆる本来の趣旨を伝えることが十分にできていないのではないかと、西村さんのことはそう思います。特定の飲食店に対して融資を制限する趣旨はこれには全くなくて、多くの事業者と接点がありますから、金融機関に対して、飲食店に限らず広く取引先に対して一般的な感染対策を呼びかけるのがもともとの趣旨だったんだと思うのですが、金融機関の優越的な地位の活用ではないかと、そういったようなご指摘もあったことから金融機関への働きかけは行わないことにしたということなのでしょう。私達が少なくとも発出をする、外に出る前の話です。私共としてはコロナ感染症の対策は、影響拡大を受けて金融機関に対してこれまでも何回かにわたって直接私の方からも飲食店を含む事業者の立場に立って、少なくとも融資等については迅速かつ柔軟な対応で支援を行うことを要請してきたところですから、その方針に変わりがあるわけではありません。また、感染症の影響が長期化する中なので、より多くの業者が窮地に立たされることになり得ますので、金融機関において引き続きいろいろな対応を、事業者のいわゆる対応、すなわち資金繰りの支援に万全を期してもらいたいということでずっと変わりはないので、その点に関しては今までと変わりはありません。

問)

この一連の要請と撤回は、麻生大臣は把握はされていなかったということでいいのでしょうか。

答)

内閣官房の方から関係省庁に対する協力のお願いというのは金融庁も含めた調整の上、行われたのでしょう。時間的な話は、イタリア時間の7月8日ですから夕方、日本時間では9日ということになります。金融庁の秘書官の方から金融機関への働きかけについて検討中という途中段階の報告は受けていました。私は何か違うのではないかと思ったから放っておくようにと。そういうものは別に放っておけばいいんだと。言っている意味がよくわからないので。こちらは融資してくださいと言っている、一方で、融資を止めていろという話をしているわけでしょう。普通に考えればおかしいと思わなきゃおかしいでしょう。だからそれは放っておくようにと、それだけ言いました。とにかくこっちも、どこかで何か話さなくちゃいけないんで、直前だったので、そう言って、秘書官がはいと言って対応してくれて、その後9日午後になって働きかけは行わないことになったという報告は事後的には受けました。時間差が7時間くらいありますので。時間の差があるとは思いますけれども、時系列で追うと今申し上げたことになります。

問)

今の質問に重複する形になりますけれども、法的根拠はない、お願いである、依頼であるということですが、酒の販売事業者の中からはお店との長年の信用関係に関わることであるなどと困惑、当惑の声、あるいは飲食店からは不満の声なども出ていると思います。国民の信頼を勝ち得るという点では逆行するのではないかという指摘もありますけれども、こうした当惑や反発の声が出ていることについて大臣、改めてどのようにお考えになりますか。

答)

商売したことはありますか。商売している家なら大体わかりますが、商売したことのない人というのはこういうのはあまりわからない。私はいつもそう思っています。私は商売したところから来ているから。普通酒屋さん同士の場合は、卸し先はたくさんあるわけです。買う方もどこから買ってもいいというときに、1つだけ閉めますとか、やめますと言われたら、ほかのところで買えばいいだけのことです、別に商売というのはそういうようなものではないでしょうか。選択ができるわけです。金融業者の場合は、酒類業者で何々信用組合しか付き合いがないところがいきなりそれを言われたら、それは大変です。明らかに優越的地位の、地位の優越的利用だとか言われる可能性が十分にあります。しかし酒屋さんの方は、どこの仲卸から買おうとも、そのようなものは別にということになるので、こういうものが強制力を持つはずがありません。うちが閉めるといって、ほかのところから卸されたらうちは商売があがっちゃいますということになる。普通の商売人だったら、そう考えるのが普通ではないでしょうか。だから私はそう思っていたので、こういったもの、影響を受けているというのは、あそこはやっている、うちはまじめにやっているからというのでは、それは公平にやった方がいいのは間違いないけど、なかなか人間そうばっかりはいかないから。あそこの店、卸さなくなったらしいぜといって、別の卸がパッと持っていくなんて話は多分よくある世界なんだと思う。こういう仕事をしているところでは。そういうものだと思うので、そういった意味で国として地方創生のときは臨時交付金で対応していますけど、そのときに酒類業者の実情は、対応するのに当たっては丁寧に配慮しなければならないと、一番影響を受けているところかもしれないのでという話をしたような記憶もあります。関係省庁としっかり連絡しながら支えていかないといけないところではないですか。そう思います、ここは。

問)

似たような質問で大変恐縮ですが、そうしますとお酒、本当にどこからでも仕入れることができるわけですから、そうすると対応の実効性ですが、結局ほかのお店から仕入れてしまうし、卸業者からしてみれば長年の取引先を失うことになってしまいかねないとも思います。そうすると対策としての実効性がどうなのかというのはどうお考えでしょうか。

答)

実効性と言われると、これは酒類販売の団体に対して官房とか国税庁の方からお願いをされたということだとは思いますけれども、こういったものを酒類業界に対して、これは協力依頼以外に、だって拘束力がないのだから、みんな公平にやってくださいという協力をお願いするというところなのであって、取引上の、取引先との関係というのは異なります。業者としては、はいって対応するとは言うだろうけど、個別の業者は団体と違ってそういきますか。常識的に考えて、うちの団体から言われているけど、私は長い間の付き合いがあるからそうはいかないということになるだろうから、全ての業者に一律的に強制的にお願いできるという種類の話ではないのではないかと私は思いますけどね。

問)

金融機関に対する方は大臣、お知りになったのが日本時間の9日ということですから、西村さんが方針を表明したのは8日夜で、大臣が今ご説明になった趣旨とはちょっと違っていて、違反店の情報を共有して働きかけるというお話だったと思うのですが。
8日夜の段階では違反店の情報を、違反したお店の飲食店の情報を金融機関に共有して働きかけてもらうというお話で、幅広く感染症対策を飲食店に限らず呼びかけるという今の大臣のご説明の内容とはちょっと違ったと思うんですけれど、そうしますとそもそも。

答)

密告を大いに歓迎しますというようにとっているわけですか。

問)

密告を大いに要請しますというか、質問の意図としては、そういう意味では若干見切り発車だったのかなという感じがするのですけれど。

答)

西村さんのところの経緯はちょっとよくわかりません、私の方は。そこのところは。西村さんのところはちょっと私のところは、どういうことになったかという経緯をよく知りません。金融機関の働きかけを行わないことになったというところが問題なのか、それとも前の方が問題なのか、あなたの質問はどっちが問題なのですか。 

問)

私の質問は前の方が見切り発車だったのかなと。

答)

ちょっとそこのところは西村さんに聞いてもらわないと、私にはわかりません、今の話は。見切り発車だったのかどうか、そこのところはちょっとわかりません。

問)

今の質問に関連して、少し似ている部分もあるんですけれども、西村大臣が金融機関に働きかけを飲食店に対して行ってもらうと発言した、その方針をめぐっては内閣官房が所管の金融庁、財務省、経産省に対して協力を求めるよう依頼する文書を出していたことも判明していまして、政府ぐるみだったのではないかという批判も出ていますけれども、そのことについては。

答)

今のところをもう1回言ってください。何だったのではないか。

問)

政府ぐるみ。

答)

政府ぐるみだったんではないかというと、金融庁もその中に入っているのですか。

問)

所管の金融庁と財務省と経産省に対して、金融庁に、協力を求めてくださいという依頼する文書を事前に出していたということだったそうなんですけれども、そのことに対して西村大臣の単独ではなくて政府ぐるみだったのではないかという批判も出ているのですが、この件に関してはどう思われますでしょうか。

答)

この種の話というのは、いわゆる閣僚とか最終判断をするところに上がってくる前に課長、そのもっと前の課長補佐とかそんなところの段階でいろいろな他省庁と根回しをみんなするために事前の打ち合わせをやっていますから。そういった意味ではきちんとしたやり方をするために事前の打ち合わせをしているということは、上に上がってこないで事前の打ち合わせというのはいっぱいあります。そういった話をしているというのであれば、それを全体でやっていたというようにつくり上げたいわけだ、あなたの発想としては。事前の打ち合わせを全部したら、常に役所は事前の打ち合わせの事前の打ち合わせをみんなしていますから、それは常にそうしています。基本的にはやっていると思います。それは課長とかそういったところに上がる前、もちろんそのまた上の局長などに、大臣に来る前の前の前ぐらいの段階で、これをやろうと思うんだけどどうかなといっていろいろ根回し、聞いて回る、よくある話ですから、別にそれは政府全体でというような意識は多分ないです。

問)

今週末に開かれる日銀の金融決定会合についてお伺いします。気候変動対応投融資を支援する新たな資金供給制度の骨子を今回発表することになっていますけれども、大半は貸出促進付利制度を活用するなどと予想していますが、金融政策に気候変動対策を織り込むことになる日本経済への影響ですとか、所得とか資源配分に介入することによる日銀の中立性とか問題がないのかというメリットとデメリットについてご見解をお伺いさせてください。

答)

今週から始まる日銀の金融政策決定会合の議論に関する内容についてコメントと言われても、日本銀行という別の団体の内容に対して政府としてコメントすることはありません。ただ、今後とも日本銀行、それから財務省、政府の間で気候変動に限らず、コロナに対しても何でもそうですけれども、措置を適切に講じていくということは、これはよく言われることですけれども、我々としては結構綿密に連絡をしてやっている方だと思っています。それから今回のG20においてのグリーンに関するいろいろな話についても、黒田総裁もあそこに同席しておられましたので、G20の内容等についてはそれなりに聞いておられますから、雰囲気を。そういった意味ではいろいろな考え方が、ご本人持って帰っておられるだろうなとは想像します。

(以上)

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