鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和3年10月8日(金)10:08~10:21)

【冒頭発言】

今日は私から冒頭2点、お話をさせていただきたいと思います。
まず新たな経済対策の策定にかかる総理の発言についてであります。本日の閣議において総理から新型コロナウイルス感染症の拡大防止、「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と危機管理の徹底、未来社会を切り開く「新しい資本主義」の起動、国民の安全安心の確保、これを4本柱として経済対策を策定するよう指示がありました。財務省といたしましてこの総理の指示に基づきまして、新型コロナ対策に万全を期すとともに成長と分配の好循環による「新しい資本主義」を起動させるために与党と連携をしながら質の高い予算をつくり上げてまいります。
次に、外為特会におけるESG投資についてであります。今月末から開催されるCOP26に向けて気候変動の分野で世界的に様々な取り組みが進んでいます。こうした中、金融市場では機関投資家の間でESG投資への関心が高まり、その傾向は今後も一段と拡大する見通しです。そのため外為特会の運用においてもESG要素を考慮する重要性が高まってきています。このような背景を踏まえ、G7で初めての取り組みとして外為特会が保有する外貨資産の運用において従来からの安全性、流動性及び収益性についての基本原則は堅持しつつ、今後はいわゆるESGインテグレーションによりESG要素も考慮した投資を行っていくことといたします。これにより今後、ESG債市場が拡大・発展していく中でESG債への投資が増えていくことも見込まれます。世界第2位の規模である日本の外貨準備がこのような取り組みを進めることで外為特会が保有する外貨資産のより持続可能な運用を実現するとともに、他の主要国の外貨準備当局や民間を含む広い分野でも同様の取り組みが加速し、結果として環境や社会問題の解決につながっていくことを期待いたします。
以上の内容については来週のG20において国際的にも発信することを予定しております。詳細につきましてはこの後公表するプレスリリースをご確認いただくとともに、事務方にお問い合わせをいただきたいと思います。

【質疑応答】

問)

岸田総理は総裁選で分配政策を進めるため財政の単年度主義の弊害の是正が必要だと指摘されていました。これに関連して大臣はどうご覧になっているのか、ご所見をお聞かせください。

答)

毎年骨太の方針、それから予算編成に根ざして1年ごとの政策立案サイクルをとっているわけでありますけれども、中長期的な視点を持って国家戦略を練ることも重要であると、そういうふうに思っております。このためテーマによっては必要に応じて中長期の目標を定めた計画を策定して、当該計画を踏まえながら毎年の予算編成を行っているところであります。引き続き単年度主義の弊害が生じることがないように中長期的な視点も踏まえながら予算編成をしっかりと行っていきたいと思っています。

問)

国際課税についてお伺いいたします。アイルランドが15%の国際課税についてこれまで慎重な姿勢を示されておりましたが、アイルランド政府がこのほど15%の国際ルールに対して賛同といいますか、参加をしたいという表明をされました。今般OECDのあれも予定されていると思いますが、この件について財務省のご所見を教えてください。

答)

国際課税の課題への対応策についてはご指摘のように今まさに最終合意に向けて今大変議論が高まっているところであると思います。そういう中でいろいろな、今ご指摘のアイルランドのものとか様々あると思いますが、今まさに最終合意に向けて協議中のさなかでありますので、交渉の内容、今の状況についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

問)

冒頭の経済対策についての総理のご発言についてありましたけれども、取りまとめの時期についても何か指示があったのでしょうか。また併せて補正予算の策定についても指示があったのか、あるいはいつ頃の成立を大臣目指したいとお考えかも併せてお聞かせください。

答)

この指示の中でもございましたが、来るべき総選挙の後、速やかに経済対策を決定するということが書いてございます。やはり効果的な施策をつくり上げるためには一定の時間が必要となりますし、また他方では新型コロナ対応など速やかに施策を実行に移していかなければならないものもございます。選挙がございますので、選挙後に速やかに経済対策を決定して、そして補正予算案を提出したいと、そういうふうにスケジュール的には考えてございます。

問)

今の点で補正の成立については、例えば年内とか何かメドはあるのでしょうか。

答)

補正予算の審議について、来年の国会を考えますと国会の後に参議院選挙がございますから、大幅な延長というのはなかなか難しいという状況、それから様々、コロナ対策をはじめ実行に移していかなければならない施策がございますから、でき得れば、私の考えとしては年内に補正予算を成立させて、1月からの通常国会では冒頭から来年度予算についての審議が始まるということが望ましいのではないかなと、こういうふうに思っております。しかしそういったような日程は国会がお決めになることで、私がここでそうだと決め打ち的に言いますとまさに越権になってしまいますので、そこまでは申し上げませんけれども、私の思いとしては年内に補正予算を成立させることができれば望ましいなと、そういう希望と申しますか、そういう思いを持っています。

問)

矢野事務次官が「文藝春秋」でこれまでの財政について振り返る中でばらまき批判をされているのですけれども、これは大臣としてどう受け止めているかということと、例えば恐らく想定されているのは自民党総裁選であったような現金給付の話だとかが念頭にあるのかなと思うのですけれども、この辺、特に現金給付に関して恐らく矢野さんはばらまきというふうに言っているのではないかと私は思うのですけれども、大臣の受け止めをお聞きしたいのですが。

答)

大変申し訳ないのですが、ちょっと時間がなくて矢野さんの寄稿を読んでございません。ただ役所の幹部の方がそうした雑誌等に寄稿する際には大臣の了解を得るということで、この点については麻生前大臣に矢野さんは了解をとった上で寄稿されているということでございます。そして先般こういうような寄稿をいたしますということについては私にもお話があったところであります。しかし矢野さんのおっしゃっていることは、やはり今までの政府の方針、基本の部分においてそれに何か反するような、それを否定するような、そういうものではないと、そういうふうに受け止めておりますし、確か寄稿の最後のところにも、これは私の個人的な思いをつづったものでありますというふうなことも書いてあると思いますので、その中身についても特段問題意識、問題だというような思いは持ってございません。

問)

冒頭発言にありました外為特会のESG投資についてなんですけれども、政府としてこうした判断をしたことによって我々国民にはどういう影響があるのか、お考えがありましたら教えてください。

答)

これからグリーンの問題というのは大変重要なことだと思います。2050年カーボンニュートラルを実現するということで、こうした新たなESG投資ということを活性化していくということがそうしたグリーン社会の実現につながっていく面もあるんだと、そういうふうに思っております。冒頭発言でも申し上げましたけれども、外為特会が保有する外貨資産の運用において大切なことでありますけれども従来からの安全性、流動性及び収益性、この基本原則を堅持しつつ、ESG要素を考慮した投資を行っていくということでございます。これによって市場の広がりが他国でも出てくるし、一般投資家の中まで出てくるということは、こうした金融面と言うのでしょうか、そうした面においても非常にプラスになるのではないかと、今後このESG市場が拡大・発展していく中でESG債への投資が増えていくということであると、そういうふうに思います。先程の冒頭発言と併せて考えていただければ、私の申し上げたいことは理解していただけるのではないかと思います。

(以上)

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