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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和4年1月14日(金曜)12時06分~12時17分)

【質疑応答】

問)

先日公表された東京証券取引所の市場再編について伺います。2019年12月に公表された金融庁の金融審議会の作業部会の報告書でも再編の目的を主に上場会社やベンチャー企業の持続的な成長と企業価値の向上、あるいは内外の投資家にとって魅力あふれる市場にするというふうにされていました。ただ、今回の見直しでは約2,100社ある東証一部上場企業のうち最上位のプライムを望んだ企業が8割近い1,841社、このうち296社はプライム上場の基準を現時点で満たさないが経過措置の適用でプライム上場を希望するなど報告書が指摘した目的からすれば早くも骨抜きになっているとの批判や海外市場に比べて魅力を向上させるという点では逆に地盤沈下につながるのではないかという指摘も上がっています。今回の市場再編について金融担当大臣としての受け止めと金融庁として今後も海外の取引所との競争も含めた市場の魅力向上や上場会社の利便性向上など取り組むべき改革の方向性について現時点で大臣のお考えをお聞かせください。

答)

今回の市場再編に至った問題意識でありますけれども、それは従来の市場区分が各市場のコンセプトが曖昧であって、多くの投資家にとって利便性が低いということ、それから上場会社の持続的な企業価値向上の動機づけが十分にできていないといったような問題意識に基づくものであると承知をしております。この市場再編がそうした課題に対応できていることが重要でありまして、これは中身の問題でありまして、各市場の企業の数だけに着目した評価というのは適当ではないのではないかと考えています。また、プライム市場に上場する企業には高度なガバナンスや、気候変動開示も含め投資家との建設的な対話が求められるなど、厳しい上場基準が適用されるものと聞いております。経過措置の適用会社を含め、そうしたプライム市場を、数多くの企業が選択をして、グローバルな投資家との対話や持続的な企業価値向上に取り組んでいくことになるということは、我が国企業全般の経営の質を高めていくことにも資するのではないかと思っております。今後の改革の方向性ということでありますが、金融庁といたしましては、国内外から広く投資資金を集め、企業の成長や事業の再構築を推進して、経済を成長させる資本市場の役割は極めて重要であると考えております。東証においては、今回の市場再編を着実に実施するとともに、令和6年度の取引時間延長に向けた準備を進めるなど、市場の魅力を高めるための不断の努力をしていただきたいと思っております。金融庁としましても、先般取りまとめられた新しい経済対策に基づいて、我が国企業のダイナミズムを復活させ、スタートアップの資金調達を改善する観点から、新規株式公開プロセスの見直しなどの検討を進めていきたい。

問)

先程、諮問会議で公表された中長期試算で2025年度について、歳出改革が成功した場合の例というのが公表されていると思うんですけれども、先生のお父様、鈴木政権のとき、増税なき歳出改革ということで土光さんの臨調とかが設立されましたけれども、今、鈴木大臣として何か歳出改革のイメージ的なものがあればお話しいただけますでしょうか。

答)

先程、経済財政諮問会議がございました。骨太の方針2021は2025年度のPBの黒字化ということ、それと同時にこの間コロナで財政的にすごく影響を受けましたので、それを検証して再確認をするということが書かれておりました。それに沿って今日会議が開かれたわけでありますが、その会議において総理の方から2025年度黒字化を目指すという目標を変更する必要性はないという趣旨の発言があったところであります。私共財務省といたしましても、今日確認された方針に沿って2025年度のPBの黒字化に向けてしっかりやっていかなければならない。そこには当然、経済成長の話とともにしっかりとした様々な財政改革、歳出改革、社会保障費をはじめ、そういうものもしっかり併せてやっていかないと実現できないわけですから、そういうこともしっかりやっていかなければならないと思っています。いずれにしてもこの間、年度初めのご挨拶でも省内の皆さんにお話ししましたが、40年前も増税なき財政再建ということで財政改革が重要な課題になっておりました。40年たった今もその重要性は何ら変わらない、まさに状況を考えると当時よりもさらに重要性は増しているんじゃないかと思いますので、今日の結果も踏まえましてしっかりと財政再建、財政健全化の旗を高く掲げて、それに向けて努力をしていきたいと思います。

問)

日本国債の信用リスクについてお尋ねします。銀行は個人向け国債について国の財政難等でデフォルトによる元本割れが生じるリスクがあるなどと説明しています。一方、財務省は個人向け国債のパンフレットでは元本割れなしと強調し、信用リスクに関する記述が見当たりません。自民党の一部では銀行の説明を問題視する意見も出ていますが、日本国債には元本割れリスクがあるのかないのか、銀行のこうしたリスクの記述を問題だと考えるのか、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

答)

私共としては元本割れのリスクはないと感じておりますけれども、やはりその前提として、財政健全化というものが重要であると思っております。やはり財政というものが市場で信認をされるということ、それが大前提、重要なことであると思いまして、それに向けてもしっかり頑張っていかなきゃいかんと思っています。

問)

銀行のそうした元本割れのリスクがあるという記載についてはどうお考えですか。

答)

財政健全化ということが前提であって、銀行の言っていることが間違っているという認識でもないわけでありますが、我々財務省の立場としては先程申し上げたとおりであります。

問)

重ねてになっちゃうかもしれないんですけれども、確かに財政健全化に努める必要があるということで財政規律を話すときには信用リスクを言って、国債を売るときにはそのリスクがないように説明するのは、ちょっと矛盾も感じるんですけれども、国債のパンフレットなんかにそういう信用リスクを書く必要性というのはないんでしょうか。

答)

要するに財政を健全化していくと、財政規律を守っていくというのが基本中の基本だと思います。それが信用につながり、様々な元本割れリスクというものに対する不安というものも払拭をすることになっておりますので、これは裏と表みたいな関係であると思っております。いろいろなパンフレット等の表現はそれぞれあるんだと思いますが、基本は今申し上げたところであります。

(以上)

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