鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣ぶら下がり記者会見の概要

(令和4年7月16日(土曜)18時23分~18時34分)

【冒頭発言】

会議が予定よりも随分長くなってしまいまして、皆さんにはお待たせをさせまして大変申し訳ありません。
今日のことも含めまして会議の状況等ご説明申し上げます。先程インドネシア議長下の第3回目のG20財務大臣・中央銀行総裁会議が閉幕をいたしました。今回の会議はロシアの侵略戦争によって、世界経済が多くの困難に直面する中で開催されました。こうした厳しい状況にあって、共同声明は合意できませんでしたが、議長サマリーがまとまり、間もなく議長国より発表される予定であります。
今回の会議では、多くの国が国際協調を通じて食料危機などの喫緊の課題に対処するため真摯に議論を行いました。また債務問題や国際保健、コーポレートガバナンス、国際課税など、日本がこれまでコミットしてきた重要な課題についても具体的な進展に向けて議論を深めることができました。現下の非常に困難な情勢の中で、議論の進展と今後の取り組みを確認できたこと、これは一定の成果であると、そういうふうに考えます。
今回の会議における個別の課題の議論の進捗について、ポイントを絞って申し上げます。
まず昨日も申し上げましたとおり、日本を含む多くの国がロシアの侵略行為を厳しく非難するとともに、世界経済に多くの困難をもたらしていることを指摘しました。その上でG20の目標である強固な成長の実現に向けて、協調して対処するための議論がなされました。
食料危機への対応といたしましては、国際機関等と連携をして、食料・栄養不足への対応や農業生産能力の強化の向上を進める重要性が指摘されました。
エネルギー・食料価格の高騰やそれに起因する世界的なインフレ圧力の高まりにつきましては、最も影響を受けている脆弱層への支援が重要であること、データを踏まえて明確なコミュニケーションを行いながら、金融政策を適切に調整することなどの意見が出されました。
同時に欧米等で金融引き締めが進む中で、金融市場に及ぼす影響にも注意が必要であります。為替市場等では急激な変動が見られており、高い緊張感を持って市場動向を注視する必要があります。そして、これまでの為替に係る合意が再確認されました。
本日議論されました内容につきまして、インフラ投資につきましては2019年の日本議長下で合意した質の高いインフラ投資に関するG20原則について、その使用、普及促進に向けた作業に対する幅広い支持が得られました。
国際課税については、二本の柱の合意の迅速な実施に向けてG20としてのコミットメントが改めて示されました。金融セクター、サステナブルファイナンスについても、10月の会議に向けた具体的な作業内容を確認しました。日本の重視する課題である、G20/OECDコーポレートガバナンス原則の見直しや、最近の市場の混乱を受けたFSBによる暗号資産リスクへの政策アプローチの検討などを推進する合意が得られました。
いずれにいたしましても、一刻も早く平和を取り戻し、G20で経済協力の議論に集中できる環境を実現する必要があり、国際社会がロシアに圧力をかけ続ける必要があると、そのように考えております。冒頭私からは以上であります。

【質疑応答】

問)

前回4月に続いてコミュニケがまた合意できなかったと。これはある意味ではG20の機能不全ではないかという声も聞かれるんですけれども、その点大臣はどう思われるかお願いいたします。

答)

4月に続いて今回も、残念ながら共同声明を発出されなかったわけですが、今回のG20では国際秩序の根幹を揺るがす侵略行為を続けるロシアが参加をする中で、全ての国が合意可能な共同声明の合意に至らなかったということだと理解しています。一刻も早く平和を取り戻して、G20で経済協力の議論に集中できる環境を実現する必要があると思います。日本として国際社会がロシアに圧力をかけ続ける必要があると考えます。こうした中でも食料危機、債務問題、国際保健といった重要な課題に対処するため、真摯に議論を行い、その成果は議長国のインドネシアから、共同声明ではありませんけれども、議長サマリーとして公表されることになりました。
そしてG20が機能不全ではないかというお話でありますが、先程申し上げましたとおり、ロシアの侵略戦争によって、世界経済は多くの困難に直面をしております。こうした中で国際協調において中心的な役割を担うG20でも、ロシアは建設的な議論を難しくしているというのは、これは事実であります。しかし、国際秩序を護る多くの国が国際協調を通じて、食料危機をはじめ喫緊の課題に対処すべく尽力しているところでございます。また債務問題、国際保健など、日本がこれまでコミットしてきた重要な課題についても、具体的な進展に向けて議論を積み重ねているところです。今はそういう状況でありますが、一刻も早く平和を取り戻してG20で経済協力の議論に集中できる環境、これを実現する必要がある、国際社会がロシアに圧力をかけ続ける必要があるということを強く感じております。

問)

共同声明の取りまとめに向けて、日本としてはどのような働きが行われたのかということを、まずお聞かせいただけますでしょうか。

答)

いろいろデプュティ(Deputy)の方々を中心に各国が協議をいたしましたが、最終的に議長国において共同声明を取りまとめることは困難だと、議長声明でいこうという判断をインドネシアが議長国の責任においてなされていたと、そういうふうになります。

問)

確認ですけれども、議長サマリーの声明というのは、議長声明というのは、共同声明を出せなかったので、今回特別にインドネシアの責任の下で出したものという理解でよろしいでしょうか。

答)

そういう理解でいいと思います。

問)

ロシアの問題について関連で質問させていただきたいんですが、G20でロシアが入った状況だと今後合意形成ができない状況が続くかと思うんですけれども、あくまでもG20の枠組みというのを維持した方がいいのか、ロシアを排除するべきだという声も参加国の中にあると思うんですけれども、そういう姿勢というのは日本はとらないのでしょうか。

答)

G20のメンバーというのはメンバーシップがあって、ロシアは正式なメンバーなわけですから、議長国としてもやはり加盟国の全ての国に招待を出すということになるんだと思います。ですから日本としては実際にG20をこういう状況に陥らせているのは、何と言ってもロシアのウクライナ侵略ですから、それを早くやめさせると、そしてG20の場で国際経済協力などをしっかり推進できるような、そういう状況を取り戻すということで、ロシアを切り離してしまうというのは、制度的にも難しいのではないかと理解しています。

(以上)

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