鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和4年10月21日(金曜)9時17分~9時37分)

【質疑応答】

問)

円相場が1ドル150円を超えました。昨日の貿易統計でも円安を要因として、今年度上半期は10兆円を超える貿易赤字となりました。足元の為替動向に対する見解をお願いします。また、円安が日本経済に与える影響についてどう見ているのか、併せてお伺いします。

答)

円安についての認識につきましてはたびたびお話をしているところでありますけれども、投機によります過度な変動、これは容認できません。為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応をとりたい、この考えにはいささかも変わりはありません。
そして円安の日本経済への影響についてでありますけれども、一般論として申し上げますと、輸出や海外展開をしております企業の収益は改善をする一方で、輸入価格の上昇を通じまして企業や消費者にとっては負担増になるということでありまして、プラス面・マイナス面双方に様々な影響があるということは考えられます。しかし、最近のような急速で一方的な円安の進行は望ましくないものと考えております。
政府といたしましては、マイナス面の影響を緩和するということは重要なことと認識をしておりまして、エネルギー・食料品を中心に価格高騰対策を講じております。
また、プラス面の効果を最大化するということにつきましては、コロナ禍からの需要回復や経済の強靱化を図るべく、インバウンド観光の復活、あるいは企業投資の国内回帰、農林水産物等の輸出拡大などを進めていく所存であります。

問)

併せてもう1点、先程発表された消費者物価指数で生鮮食品を除いた指数が3%という水準になりましたけれども、この受け止めをお願いします。

答)

本日公表されました9月の消費者物価指数の前年同月比でありますが、総合でプラス3.0%、生鮮食品を除く総合でも、そこはプラスマイナスゼロだったと思いますが、プラス3.0%となったと、そういうふうに承知をいたしております。
見解といいますか、所感ということでありますが、今般の物価高騰については、ウクライナ情勢等によります国際的な原材料価格の上昇に加えて、円安などの影響によるものと考えております。こうした物価高は消費者の暮らしや事業者の経営に大きな影響を与えていることになりますことから、切れ目のない対応を講じていくことが重要であると考えております。
具体的には先月の食料品やガソリンの値上がりを抑えるための追加策に続きまして、今月中に総合経済対策を策定するという予定であります。その中で、電気やガスなどの負担軽減策を通じて、エネルギー・食料品等の価格高騰から国民生活、事業活動を守る対応をしてまいりたいと考えております。

問)

イギリスのトラス首相が辞任を表明されたわけですけれども、防衛力の強化ですとか少子化対策、物価高騰など、日本でも総合経済対策等でかなり財源が今求められている状況ですけれども、今回の一連の財政不安が広がって市場が混乱したこと、これを日本が学ぶべきことについて大臣なりのお考えがあればお聞かせください。

答)

やはり財政の信認というものは極めて重要であります。まさにその国の信頼・信用に直結するものと思っております。
したがいまして、いろいろな日本の財政事情はございますが、そういう中でも財政規律というものはしっかりと守っていく、そしてご指摘のように来年度予算に向けても、これから財政需要の大きな防衛力整備、子ども政策、あるいはGX、DX等の予算もつくっていかなくちゃなりません。
歳出・歳入両面からの見直し、そういうものもしっかりやっていく、メリハリをつけた予算を編成するという中において、日本の財政というものが市場において信認を失うことがないように、財政規律ということもしっかりとこれを念頭に置いて取組をしなければならないと、トラス首相の退陣からはそういうことを思います。

問)

かなり短い期間での辞任ということについては何か受け止めはありますか。

答)

それはイギリスの国内政治事情でありますので、私がここでコメントすることは控えたいと思います。

問)

今般進んでおります円安についてですけれども、中でもやはり来週、経済対策がまとまるかと思いますが、非常にばらまきとも言えるような、大変歳出の多い構造がどうしても続いていると思います。そうした中、インフレの中、需要を逆に喚起してしまうようなばらまきが続くことに対しては、日本の経済を逆に下押ししているのではという指摘も出ていますが、そのあたりについて大臣のご所感をお聞かせください。

答)

そこはやはり注意をしながら進めなければいけないと思います。やはり一番の影響を受ける層ですね、例えば住民税非課税世帯等に対する5万円の給付とかございますが、ピンポイントといいますか、的を絞って対応していくと。現に家計等で苦しんでおられる方がおられるわけですから、そういう方々に対する対応をすると。しかしそれは的が絞られたものでなければならないと。
ご指摘がありましたような、何かばらまきのような形で際限なくしてはいけない、そこは必要性を十分考えながら、これはやはり現に物価高騰という実態があるわけですから、それに対してきちっと国民生活を守っていく、やるべきことはやらなければなりませんけれども、しかしご指摘のような心配もありますので、的を絞ってやることが必要なんじゃないかと、そういう思いを念頭に置きながら施策をつくっていくということなんだと思います。

問)

金融庁が西村ひろゆき氏を起用した動画についてお伺いします。西村氏が管理していた掲示板の2ちゃんねるをめぐる裁判でご本人が30億円に上る賠償金などを踏み倒していると語っていて批判が出ているということは前回お伺いしたんですけれども、その後、沖縄県の辺野古で新基地建設に反対する住民を揶揄するような発言なんかもあって、昨日は金融庁前で抗議のサイレントデモが起きるなど、まだ批判が続いています。金融庁は動画を取り下げないという判断をしていますが、現在も取りやめは検討しないのでしょうか。またその場合、理由もお聞かせください。

答)

結論から言いますと、現段階で対談動画を削除する予定はございません。これはひろゆき氏の自らのいろいろな活動ということでありまして、広報につきましては、金融リテラシーに関する金融庁の広報活動ということでありますので、そのこととひろゆき氏の活動というんでしょうか、そういうものは別のものであるというふうに判断をしているということ。ただ、今後こういう金融リテラシーについての広報というものは、やはりよりよいものといいますか、国民の皆さんに共感を得るものでなければいけないと思いますので、常によいものになるように今後も不断の検討をしていきたいと思っております。

問)

今の関連なんですけれども、大臣、一般的な債務債権関係というのがありますよね。要するにお金を借りたら返すということが一般的な債務債権関係なんですけれども、大臣はそれは大事だというふうにお考えでしょうか。

答)

ひろゆき氏個人のことは私よく分かりませんので、個々の形でなくて普通の一般常識として、お借りしたものはお返しするというのが当たり前のことではないかと思っています。

問)

その点に関して、ひろゆき氏は過去の賠償請求について全部踏み倒すんだということを公言していて、分かっているだけで負けた額面が4億円あって、延滞も含めると30億円くらいになると本人も言っていて、それを踏み倒そうと。自分は踏み倒したし、逃げられるんだったら逃げればいいと。なおかつYouTubeの中で、どうやったら踏み倒せますかというような質問に対して、いろいろやり方を教えて、差し押さえられないようにどうすればいいかということを教えた上で、レッツ踏み倒しということを公言している人物なんですよね。その人を金融庁の宣伝の動画に使うというのはどうなんでしょうか。

答)

そういうひろゆき氏の言動について、残念ながら私、1つ1つ承知をしておりませんが、今のお話のとおりのようなことをやっているということであれば、それは一般の、私の価値観とは全く違うことを言っておられるというふうに思います。
それはそれとして、先程ご質問がございましたけれども、金融リテラシーの広報は金融庁でやっているわけでありますので、今後ともよりよいものになるように不断の見直しをしていかなければいけないと思います。そういう中で今回一連のいろいろ、ひろゆき氏を登用したことに対する様々なご意見がございますから、そういうものをしっかりと受け止めて今後に生かしていきたいと思います。

問)

一般論ではなくて、ひろゆきさんは一方でそういった形で借金は踏み倒せばいいということを公言していて、これは若狭元議員・弁護士が言っていたことですけれども、これは社会秩序、経済秩序に大きく反するということも専門家が言っていて、そういう人を金融教育ですよ、金融教育、要するに銀行からお金を借りて、みんなが返せなくなったら、そうするとまさに金融システムは崩れますよね、不良債権が増えて。

答)

同じ質問をされていると思います。

問)

でも、大臣が一般論でしか答えないので。

答)

それはひろゆきさんの言動について、私がそれをやめろとか、いろいろそれは表現の自由も…

問)

やめろと言わないんですか。お金を踏み倒すということについてはやめろと言わないんですか。

答)

個々については、それは私が何かの権限を持ってやめろということは強制できませんが、先程申し上げましたとおり、おっしゃっていることは、社会通念上も、私の価値観としても受け入れられるものではないということを申し上げています。

問)

別の観点から、この動画ですね、金融庁の高田課長が、もともと主税局にもいた方ですけれども、近所に住んでいた、近所の人だということで動画に呼んでいて、それを動画の中で説明もしているわけですよね。金融庁の行政としてそういった、近くにいたとかそういう言い方をすると中立性に反するんじゃないかと私は思うんですけれども、なぜこれを言っているかというと、ひろゆきさんは過去に国税局から追徴課税を受けたことがあって、1億円の申告漏れがあって追徴課税を受けた人であって、そういう人物をなぜ金融庁が、公正中立な立場の金融庁が使うのか。これが1点と最後にもう1点、この動画の中でひろゆきさんは、大臣ご覧になっているかどうか分からないんですけれども、NISAというのは金融リスクがほとんどないという言い方をしていて、これは金融教育としては私は大きな誤りで、リスクとリターンがあるというのが金融教育の基本であって、それをほとんどリスクがないと。それを金融庁の課長がそうですねと応じているんですけれども、これは明らかに不適切だと思うんですが、いかがでしょうか。

答)

一部を指摘されて、全体の流れの中でどうだったのか、私も動画を、何と言ったらいいんでしょうか、点検を厳密にしているわけでありませんので、よく分かりませんけれども、いずれにいたしましても今ご指摘のようなことが様々言われている、また今お聞きをいたしました。そういうことを踏まえて、今後の金融庁の広報についても、そうしたことが指摘をされないような、よりよいものにするようにやっていかなければならないということ、それを感じております。

問)

それは高田さんの公務員としての中立性も含めてということですか。今のは前半の部分だったので、質問の。

答)

ですから全体を含めてよりよいものになる、そしてなるべくこうしたご指摘といいますか、ご批判といいますか、そういうものがないように今後しっかりとやっていかなければいけないんだと、そういうふうに思っています。

問)

先程、投機筋による過度な変動は容認できないというお話でしたけれども、そもそも投機筋に日本が狙われてしまう根本的な要因というのはどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

はっきり申し上げまして、今、私共は市場を介しまして投機筋と厳しく対峙をしているという状況にあります。したがいまして今のようなご質問にお答えする、何か私がそれにコメントするということは今の状況下においては適切ではないと判断をいたします。

問)

関連して、先日宮沢税調会長が放漫財政を続けると国際的な日本への信頼が薄れたときに、それが為替相場に表れてくるんではないかというお話をされていらっしゃいました。今、現状としてそういった信頼が薄れているという認識はありますでしょうか。

答)

これはずっと日本の財政事情、継続しているもので、急に今ここに来て局面が何か大きく変わって、それが今の円安に結びついているという、そういうことではないわけですが、先ほどのトラス首相のご質問にもお答えいたしましたけれども、やはり財政の信認、特に市場における信認というもの、これは大変にその国そのものの信頼に関わることでありますし、その国の経済に対する評価にも関わるものでありますので、こうした財政に対する健全性、財政規律ということは本当にしっかりと、今までも言ってまいりましたし、今後ともそれを念頭に置いた施策というものを心がけていきたいと思っております。

問)

関連して最後に1点、英国と違って金融緩和が続いている日本というのはマーケットのシグナルが利かないような状況になっています。そういった状況でどうやって財政規律を利かせていくのかという観点から、来週金融政策決定会合もありますけれども、そういった金融政策の修正の必要性についてどう考えられますでしょうか。

答)

金融政策については、これは常識でございますけれども日本銀行に独立性があり、そこにゆだねられるわけでありますから、私がそのことについて具体的なことを申し上げる立場ではないというふうに思っております。
いずれにしても、財政規律をしっかりやっていくというやり方はいろいろあります。今おっしゃったことの側面もあると思いますけれども、私共は骨太の方針にも書いてありますとおり、2025年度のPB黒字化というものを大きな目標にしながら、しっかりと財政規律を守るために努力をしてまいりたいというふうに思います。

(以上)

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