鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和4年10月25日(火曜)9時32分~9時47分)

【質疑応答】

問)

このところ円相場が対ドルで1日当たり値幅が7円、4円など大きく動く日が続いています。足元の円相場の動向に関するご認識と相場を動かしている材料についてご認識をお聞かせください。また、世界的なドル高という状況はありますが、トレンドとして円が売られる状態が続いています。日本経済の構造的な問題など、このトレンドが生まれている背景についてご見識をお聞かせください。

答)

日々の為替の動きですけれども、それについてはコメントはいたしませんけれども、為替相場は様々な要因で動いているんだと思っております。したがいまして、今ご質問にありました相場を動かしている材料とかトレンドが生まれる背景について、一概に申し上げることというのはなかなか難しいと思います。
その上で一般論として申し上げますと、為替変動の要因といたしましては、国際的な競争力、それから国際収支、内外の金利差などの金融政策にかかる要因、市場参加者のセンチメントや投機的な動き、それから物価動向等の多数の要因が指摘をされると承知をしております。
いずれにいたしましても、投機によります過度な変動、これは容認できません。為替市場の動向を今日も高い緊張感を持って注視をして、過度な変動に対しましては適切な対応をとりたいと考えております。

問)

アメリカのイエレン長官が週末の為替介入観測報道に関して、承知していないというようなコメントをしているという報道があります。アメリカとの関係についてどういう状況なのか、連絡等々どういうふうにしているのか、教えてください。

答)

イエレンさんが知らないと言ったということは私も聞きましたけれども、私もコメントしないと、こう言って、ある意味知らないと申し上げているので同じことであると。ましてやイエレンさんは知らないということなんだと思います。

問)

アメリカとの連携については良好でしょうか。

答)

これは常日頃とっておりますし、先般のG7の声明、それからG20の議長声明におきましても、こうした過去のG7のステートメントにあったことを再確認をしておりますし、そうしたことについては十分日頃から連携をとっていると、こういうことです。

問)

今の為替の話で、そもそも為替介入というのは経済のファンダメンタルズと乖離して市場が動いているときには有効とされますけれども、今のように日本の成長率がもともと低くて、日米の金利差がこれだけ開いている中で為替介入を、日本のファンダメンタルが悪い中で為替介入をやって、もう焼け石に水だと。実際、相場の戻り方もすごく早いので効率的じゃないし、無駄であるというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

答)

やはり変動というものが重要なんだと思います。ボラティリティですね。そういう中で、投機筋を背景にした急激な変動というものは、これは放っておけば企業に対するいろいろな経営判断とか、家計に対する影響も大きくなるわけですので、これは放置することはできないわけでありますので、やはりならす行為というものが必要であると、そういうふうに思っています。
これは一般論でありまして、別にここ最近、為替介入をしたとかしないとか、そういうことではなく一般論としてそういうことが言えるんだと思います。

問)

もう一度、先程あったイエレンさんとの話なんですけれども、大臣、G7の声明を再確認ということをおっしゃっていますけれども、私もアメリカの財務省、2010年ぐらいからずっと取材していますが、アメリカ側の言っている再確認というのは、基本はG7声明の構造は投機的な動きであるとか過度な動きは経済に悪影響を与えると。ただ、相場はマーケットによって決まるものだと。そのマーケットによって決まるものだというところに主眼が置かれていて、イエレンさんの先週のG20後の会見でも為替相場はマーケットによって決まるということを彼女ははっきり言っているわけですよね。そこで過度な変動とか投機的な動きということを言っている鈴木大臣との間には大きい乖離があると思うんですけれども、そこはいかがでしょうか。

答)

過去の私の記者会見もよく調べていただきたいと思います。私も常々、基本的に為替の相場というのは市場によって決定されるべきものであると。しかし、ということで申し上げております。

問)

アメリカ側にはかなり、もともとアメリカは日本の為替介入に対しては非常に批判的でもあって、唯一容認したのは、共同で介入を実施したのは大震災の直後だったわけですけれども、そういった意味ではアメリカとの連携がとれていないんじゃないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか、イエレンさんの最近のコメントも含めて。

答)

常日頃とっております。そして今は、どちらかというとドルの独歩高ですからね。各国の通貨も今安い方に動いておりまして、他の国でも為替介入しているところがあるということも報道として知っております。
そういうことで先程申し上げましたとおり、ボラティリティを注目して投機筋による過度な変動、こういうものがあったときには、これをならさなければいけないということで、これからもそれを注視して、必要なときには必要な対応をしっかりとっていきたいと思っています。

問)

山際大臣が辞任をされまして、経済対策の取りまとめに関する内容的、日程的に何か懸念をお持ちでしょうか。

答)

私、昨日ずっと午前中、午後、予算委員会で山際さんが隣に座っておられまして、そういうような、何と言ったらいいんでしょうか、うかがわせるようなことは全く感じませんでしたので、正直びっくりした次第であります。
山際さんが責任者となっている総合経済対策の取りまとめ、今月末までに取りまとめるということで、まだ後任の方も決まらないわけですけれども、それが遅れることがないようにしなければならないんだと、こういうふうに思っております。今現在で先行きのスケジュール、特に変更を指示されたとか、そういうことはないので、遅れがないように頑張って取りまとめるということだと思います。

問)

各国も先程大臣もおっしゃったように最近は金融政策の引き締めというのが続いてきている中なんですけれども、今週の金曜日に日本銀行の決定会合があります。それで一般の世論の方でも日銀の金融政策を見直した方がいいんじゃないかとかという世論調査の声もちょっと出てきていると思うんですけれども、そういった中で大臣の方として日銀の政策、金融緩和の維持というのが今の円安、過度な円安に寄与しているというふうに認識があるのかというところが1点と、その日銀の政策を踏まえて介入が入ってボラティリティを抑えるということでされていると思うんですけれども、一般の国民から見て金融政策はずっと緩和のままで続いている中で、それを過度な場合に抑える、円安を抑えるという方向で財政の方が、財務省が動いているということで、ポリシーミックスとして国民からの理解を得られているのかというところをお願いします。

答)

まず今、物価高騰はあるわけでありますが、その要因として考えられるのは、やはり1つはロシアによるウクライナ侵略、これによってエネルギー価格、食料価格等の国際価格が高騰しているということ、それからご指摘の円安ということもあるんだと思います。春の時点では、大体、輸入物価高騰の寄与度は国際価格の高騰が3分の2、それから円安による影響が3分の1ということを申し上げてきたところでありますが、最近はそれが半分ずつかなというような影響ではないかという認識を私は持っているところでございます。
それから日本の金融政策ですけれども、これは日銀の独立性というものがありまして、これは日銀にお任せしなければならないというふうに思っております。日本銀行としては物価安定目標を達成するというようなことで、今のコロナ禍からの景気回復、欧米に比べますと日本はその足取りがまだ弱いと、こういうことを言われているわけでありまして、そうした景気の面も考えながら、こうした金融政策もとられているんだと、こういうふうに理解をしております。
いずれにしても、金融政策そのものにつきましては、日銀の独立性にお任せしなければならないというふうに考えます。

問)

旧統一教会の問題について1点お伺いしたいんですけれども、昨日の予算委員会で文部科学副大臣の方が推薦書の提示を受けて、そういうのを断ったというような発言をしていました。念のためなんですけれども、大臣は同じような経験をされたことがあるのか、確認させてください。

答)

ありません。

問)

今の為替の話で追加してお聞きしたいのが、先程聞かれた質問でポリシーミックスとしてどうかというところを大臣お答えになっていないと思うんですけれども、日銀はああいった形でゼロ金利を続けていて、なおかつ指し値オペを通じて実質的に大規模な緩和を逆に拡大しているという状況にあって、そういった意味では為替を安くする、円の価値を下げる方向で動いているわけで、それに対して財務省が為替介入をするというのは政府の動きとして矛盾していると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

答)

先程も申し上げましたけれども、日銀の金融政策は物価安定目標の実現のために行われていると理解をしております。日銀ご自身も経済の持続的な成長のもとで物価が2%程度、持続的・安定的に上昇するには賃金のもう一段の上昇が必要で、引き続きしっかりと経済を支えるために金融緩和を続けていく必要があると説明をされていると承知をしています。
他方、為替介入は、先程もこれも申し上げましたけれども、為替の過度な変動に対応するために行うものでありまして、投機的な動きを背景とした急速で一方的な動きが見られる中で実施をすると、こういうものでございます。
このように、賃金上昇を伴う持続的・安定的な物価上昇を目指す金融緩和と、過度な為替相場の変動への対応である為替介入、これは政策目的が異なっているものであるわけでありまして、矛盾するものではないというふうに考えております。

問)

最後に1点、先週お聞きしたことですけれども、金融庁のひろゆきさんの動画に関し、ひろゆきさんの過去の発言について、大臣は自分の価値観とは全く異なる、違うということをおっしゃっていて、ただ動画の内容を厳密に点検しているわけではないというふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、動画はご覧になったでしょうか。あの金融庁の動画というのは今でも適切であって、これからも公開を続ける、つまり金融庁としてひろゆきさんのやっていることを是認するということなんでしょうか。

答)

動画の確認はいたしておりませんが、先週も述べましたようにいろいろなご意見、ご批判があれば、それを真摯に受け止めて、よりよい広報にしていくと、そういう不断の見直し、そういうものはしっかりやっていかなければならないと思っています。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る