鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和4年12月9日(金曜)9時31分~9時49分)

【質疑応答】

問)

7日に開催された与党の防衛力強化に関する幹部会議で来年度から5年間で総額約43兆円となる防衛費の大幅増をめぐり、歳出改革や決算剰余金などで賄えない不足分について増税で対応する方針が示されました。国民や企業に負担を強いることになりかねませんが、この方針に対する大臣のご見解をお願いいたします。

答)

昨日の政府・与党政策懇談会におきまして、総理から、防衛力強化の財源確保に向けた方針が示されました。
具体的に申し上げますと、抜本的に強化された防衛力は、将来にわたり、維持・強化していく必要があり、これを安定的に支えるためのしっかりした財源措置が不可欠であって、令和9年度以降、防衛力を安定的に維持するためには、毎年度、約4兆円の追加財源の確保が必要となります。
その約4分の3については、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設など様々な工夫で補っていきます。その上で、残り約4分の1について、税制でご協力をお願いしなければならないと考えています。
そして、令和5年度から9年度までの新たな防衛力整備計画43兆円の財源についても、同様の考え方で確保し、まずは、歳出改革や、特別会計からの受け入れ、コロナ対策予算の不用分の返納、国有財産売却などの工夫を先行して始め、来年度からの国民の負担増は行わず、令和9年度に向けて、複数年に向けて段階的な実施を検討します、という発言が総理からあったところでございます。
私共といたしましても、こうした考え方のもとで、引き続き、政府・与党で緊密に連携して、防衛力強化に係る歳出・歳入両面での財源確保の具体的内容を年末に一体的に検討する方針でありまして、このうち税制につきましては、昨日の総理指示に従って、与党税制調査会で検討が進められることになると、そういうふうに承知をしております。政府としても、与党税制調査会での議論を踏まえて、適切に対応してまいりたいと考えております。
国民や企業に負担を強いることになりかねないというご質問でございますが、その際、国民の皆さんにご負担をお願いすることとなりますので、理解と納得を得ていくことが重要であると、そのように考えているところであります。

問)

自民党内には国債の発行による借金で賄えばいいというふうに主張する方もいらっしゃるんですけれども、今回の増税方針についての受け止めを改めてお聞きしたいのと、あと防衛費の財源として歳出改革などが挙げられていますけれども、ある意味1兆円強の負担を求めるに当たって、こういったものを想定して積み上げた結果、増税1兆円あまり必要だという判断に至ったのかという、もう少し具体的な積み上げというか、中身を教えていただけますでしょうか。

答)

まず国債で賄ったらどうかというご質問があったと思いますが、防衛費の財源につきましては、昨日の総理指示に沿いまして、歳出・歳入両面の具体的内容について、年末に一体的に決定すべく、与党とも丁寧に相談しながら調整を進めていきたいと考えております。
その上で、一般論として申し上げれば、防衛費は恒常的に必要となる経費であることを踏まえまして、歳出・歳入の両面からの検討を進め、必要な安定財源を確保していくこと、これが重要でありまして、基本的には国債について、総理がこれまで一連の指示の中でおっしゃってまいりました、「将来にわたり、強化された防衛力を安定的に支えるためのしっかりとした財源措置」と位置づけるのは困難であると、そのように考えているところでございます。
それから防衛費の増加のための財源を捻出する歳出削減、この調整状況ということでございますが、将来にわたりまして、防衛力を安定的に維持するためには、歳出改革、それから決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金といった様々な努力、それから工夫を行った上で、それでもなお不足する財源については、税制によりご協力をお願いしなければならない、そのように想定をしているところでございます。
昨日の総理の指示を受けて、いよいよ決定プロセスに入るわけでありまして、この財源については、来週から与党の税制調査会でまさに議論が始まるということでありますので、今の段階で私から何か具体的なことを申し上げることはできないということはご理解をいただきたいと思います。

問)

質問の趣旨としては、要は将来世代に負担を残さないみたいな、どういった思いがあるのかということをお伺いしたかったのと、基本的に今おっしゃられたコロナの余ったお金であるとか、国有財産の売却というのはあくまで単年度の話だと思うので、次年度以降の歳出改革1兆円というのが具体的にあまりイメージできないものですから、その辺というのは可能なのかどうかという。

答)

まずこの間、有識者会議もございました。有識者会議の中の指摘もやはり防衛力の強化というものは、表現の仕方は定かではありませんけれども、今の世代でしっかりとやらなければいけないということが書いてあったわけであります。そういう意味では先ほど申し上げましたとおり、あくまで一般論でありますけれども、国債については、安定的な財源ということに位置づけることは難しいのではないかと、そう思っております。
それから一時的なものが含まれているので、それが毎年度の予算編成にどうつながっていくのかということでありますけれども、これから5年間、毎年度いろいろな面で工夫をしていかなければいけないと思います。
これから税収の上振れというものも期待されるわけでありますが、そういうものも利用しますが、さらに上振れた場合には、今後の使い道を防衛力整備に使うということで限定するためにも、いわゆる先程申し上げました防衛力強化資金、仮称ですけれども、こういうものを創設しまして、そこに区分して、ほかのものに使わないでこれを今後の防衛力の整備に使っていくと。こういうことで相当様々な面で工夫をし、努力をしなければならないと、そう思っております。今具体的にどういうことが想定できるかということは申し上げません。いろいろシミュレーションはしておりますが。

問)

防衛力整備計画が5年間で43兆円ということで、30兆円を超えると歴史の転換点だという財政審でも、あるいは有識者の報告にもあったと思うんですけれども、防衛力のこれだけの大幅な積み増しによって2025年、政府が掲げているプライマリーバランスの達成について、どういうふうに影響してくるのかという、現時点でもし何かあればお願いします。

答)

まず43兆円という額につきましては、実現可能性、実効性、そういうものをまず念頭に置いて積み上げていった数字でそうなったわけであります。
これだけ大きな額になるわけでありますが、それがプライマリーバランスの2025年度黒字化というものにどう影響を与えるのかということでありますが、私共としては、それはそれとしてしっかり堅持をしていかなければいけないと思っております。
基本的な立場として、財政規律、これはしっかりと守っていかなければならないものだと思って、今回の防衛力整備には相当の額の財源が必要となりますけれども、それはそれとしてPBの黒字化の目標に向かって地道に努力していくということだと思います。

問)

防衛費の財源についてお伺いします。自民党内ではコロナ禍でまだ生活が苦しい人がいる中で増税は反対というような声が上がっています。これについて大臣としてもしお考えがあればお願いいたします。

答)

生活が厳しいということで、物価高もございますので、経済対策等を切れ目なく行ってまいりました。そして先般は補正予算を成立させていただいて、国民生活に直結します燃料油、電気、都市ガス、こうしたものを中心にしっかりとそれを支えていこうという状況でありまして、それはそれで政府としてしっかりと取り組んでいるわけでございます。その上で、防衛力の強化はしなければならない。我が国を取り巻く厳しい安全保障状況を考えて、多くの国民の皆さんもご理解をいただいているのではないかと思っておりますが、こうしたものに対する財源の確保に向けて、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金といった工夫や努力を行って、それでもなお足りない部分は、税制でお願いしなければならないんだと考えております。
こういう中で、税制でご協力をお願いするということであるからこそ、国民の皆さんにしっかりとしたご理解をいただけるように、今後の決定プロセスにおいても丁寧にご説明をしていく必要があるんだと考えています。

問)

防衛力整備資金について伺います。防衛力整備資金を創設する狙いについて改めて教えてください。また、財源としてどのようなものを投入する予定なのかということと、次期通常国会、来年の通常国会に法案として提出するのかどうかということも含めてお願いいたします。

答)

先程も申し上げましたけれども、これから相当工夫をしていかなければなりません。例えば歳入の上振れですね、そういうものがあれば、それを活用するわけですけれども、さらに上振れたというような場合には、それを先程申し上げました防衛力強化資金の方に移して、そしてそれをその後の防衛力の整備に使っていくと。
令和9年度以降については、まだ何も具体的なことは決まっていないわけですが、将来的にもそういうものを積み上げていく、そしてそれを防衛力整備に限定して使っていくというところに意味があるんだと思います。
来年の国会におきましても、恐らく、まだ具体的でありませんけれども、関連する法案はやはり準備しなければいけないのではないかと思っています。

問)

防衛費の財源の話について、歳出改革というところで伺いたいのですが、毎年社会保障の増加によって歳出の増加の圧力というのはかなり強いものがあると思いますが、そういった中で歳出改革というのは、具体的に例えばどういったものが現状考えられるのか、もし何かあれば教えてください。

答)

今ここで具体的なことを申し上げませんけれども、先程申し上げたように様々な工夫、それから努力をしながら積み上げていくということに尽きるわけでございます。
具体的な歳出削減の内容とか規模につきましては、昨日の総理指示を踏まえまして、歳出・歳入両面での財源確保の具体的な内容の検討を今行っている最中でありますので、年末に向けてさらに詰めていきたいということで、今時点、具体的に何かこれだということを申し上げられる段階ではないということでご理解いただきたいと思います。

問)

防衛費の財源確保策で決算剰余金の活用も1つあると思いますけれども、具体的には補正予算などに充てている半分を使うということでいいのかということと、そのことで財政運営全体に与える影響とか課題、結果的に国債の発行につながるかもしれないですけれども、そのあたりの認識をお願いします。

答)

決算剰余金については、財政法上も半分は国債の今後の支払いの基金の方に入れるということで、従来残りの半分を使っているわけでありますが、過去を見てみますと、残りの半分が必ずしも補正予算の財源に回っていたわけではなくて、その時々の状況に応じた使い方をしております。
したがいまして、そういうものについても、当然のことながら、防衛力整備の方に使っていくということになるんだと思います。それがなるべく他の予算に、事業に影響が出ないように最大限努力するということであって、そこにも歳出改革、歳出に対する努力、工夫、そういうものが求められるんだと思います。
それが具体的に何かと言われますと、先程のご質問とかぶりますけれども、今の段階でこれということを具体的に申し上げることはできないと。これからもしっかりと詰めてまいります。

(以上)

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