鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(令和5年2月3日(金曜)8時41分~8時46分)
【質疑応答】
- 問)
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少子化対策に関連して、子どもが多いほど所得税の負担が軽減するN分N乗方式の言及が与野党から相次いでいます。かねて導入を訴える声もある仕組みですが、そのメリットや課題について大臣の認識を教えてください。
- 答)
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いわゆるN分N乗方式ですが、昨日も予算委員会でも質問がありました。そのときにも申し述べましたけれども、この方式は、子どもを含めた世帯構成人数に応じて課税所得を分割して、より低い税率を適用するということから、子育て世帯に有利な仕組みであると、そのように理解をしております。
一方で、課題もあるわけでありまして、現行制度からN分N乗方式に移行した場合には、所得税の制度を、戦後ずっと続いております個人単位課税から、世帯単位の所得に対して課税する世帯単位課税に改めることとなります。
加えて、世帯の所得に応じて適用される税率が平均化されるために、現行制度より共働き世帯に比べて片働き世帯が有利になることや、日本では、納税者全体の約6割が最低税率である5%の税率となっていること、それが実態でありますので、この層に対する恩恵は限定的である一方で、高い税率が課せられる高額所得者に税制上大きな利益を与えることになるというような、いろいろ課題があるんだと、そのように承知をしております。
いずれにせよ、こども・子育て政策、これは我が国の経済社会の持続性と包摂性を考える上で最重要政策でありまして、幅広く必要な対応を検討していく必要があると考えております。
- 問)
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日銀・黒田総裁の後任候補として名前の挙がる中曽氏が昨日APECの諮問委員会でタクスフォースの議長を務めることを発表しました。これを受けて、ほかに有力視されている雨宮氏が就任されるのではないかという憶測が高まっていますが、これを受けて何かコメントはございますでしょうか。
- 答)
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日銀の新たな総裁については、いまだ確定をしていないということでありまして、今の時点で私からコメントすることはありません。
- 問)
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防衛費増額の財源確保法案の国会での審議について伺います。昨日、与野党の国対委員長が会談され、立憲民主党の安住国対委員長は日切れ予算扱いは認められない、財務金融委員会と安全保障委員会で連合審査にしたいとのお考えを与党側に示されています。このとおりになると予算関連法としての審議は難しくなるかもしれませんが、この安住国対委員長の与党側へお伝えされたことについて受け止めがあれば、お考えをお聞かせください。
- 答)
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国会の運びにつきましては、国対等で、その場で決めていただくということでありまして、決められたとおりに私共としては進めるしかないと思っております。
財務省として出している法案でありますので、確実に、できればなるべく早く成立をさせていただきたいと、そういう思いは持っております。
今日、閣議で閣議決定をして国会へは提出できる、そういう手順になっております。
- 問)
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所得が一定額を超えると扶養対象が、税や社会保険の、いわゆる年収の壁について、岸田総理もかねて解消に意欲を示していますが、この問題についてどのような観点で検討を進めるべきか、今の時点で大臣の何かお考えやご所見があればよろしくお願いします。
- 答)
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総理からも、委員会や施政方針演説等において触れられていると、そのように思っておりますが、いわゆる130万円の壁については、これを意識せず働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めてきたところであります。
その上でもなお、社会保険における、いわゆる年収の壁を意識して労働時間を調整する方がいることについて、そういう問題があることは承知をしております。
総理からも、施政方針演説において、女性の就労の壁となっているいわゆる103万円の壁や、130万円の壁といった制度を見直すと表明をされています。
同時に、この論点について総理も述べられたとおり、同様に働いている被扶養者でない単身世帯の方々との間の公平という問題もあると思います。
こうした課題について、総理から正規・非正規の間の制度や待遇面の差の改善、非正規労働者の正規化なども含め、幅広く対応策を検討していく旨が表明されているところでありまして、財務省といたしましても、関係省庁と連携しながら、検討を進めてまいりたいと思っております。
(以上)