G7財務大臣・中央銀行総裁会議議長国記者会見の概要

(令和5年2月23日(木曜)18時40分~19時18分)

鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、黒田日本銀行総裁と神田財務官によるG7財務大臣・中央銀行総裁会議議長国記者会見の概要(日英同時通訳を媒介)は以下のとおり。

【冒頭発言】

大臣)

本日、日本が議長国を務める今年最初のG7財務大臣・中央銀行総裁会議を開催いたしました。
まず、ウクライナのマルチェンコ財務大臣にもオンラインで参加をいただき、ウクライナ情勢について議論しました。
ロシアがウクライナに対する不法かつ不当で、いわれのない侵略戦争を起こしてから、明日で1年となります。この1年間、無辜の民間人が殺害されるなど、ウクライナでは多くの犠牲が払われてきました。心から哀悼の意を示すとともに、ウクライナの皆さんの強い決意と勇気で祖国を守り抜いていこうとする姿に改めて敬意を表します。
こうした中、G7は、ウクライナ支援に対する揺るぎないコミットメントと、ロシアによる戦争に対する非難で一致することを改めて確認いたしました。
ウクライナ支援については、2023年の喫緊の資金ニーズへの対応に取り組んでいます。日本としても、本日の会合で、ウクライナに対して新たに55億ドルの財政支援を行うことを表明いたしました。
具体的には、世界銀行を通じた財政支援グラント5億ドルに加え、国会の承認を頂くことが必要ではありますが、世銀への信用補完を通じた50億ドルの財政支援ローンを実施いたします。
G7全体での2023年のウクライナ向け財政経済支援額のコミットメントの総額は390億米ドルとなり、ウクライナに対する揺るぎない支援を改めて確認いたしました。
また、IMFに対して、3月までに支援プログラムを組成できるよう作業の加速を求めました。
ロシアに対する制裁は、ロシアが不法な戦争を遂行する能力を制限するために極めて重要です。今回の会議では、引き続き、制裁の効果を注意深く監視し、必要に応じてさらなる行動をとること、制裁の迂回・回避の試みを阻止するためにパートナー国とともに、引き続き、緊密に連携していくこと等で一致いたしました。
次に、世界経済についても率直な意見交換を行いました。ロシアによる戦争のさらなる激化、高いインフレ率の予想以上の持続をはじめ、世界経済は、引き続き、多くのリスクに直面しています。こうした中で、金融の安定や財政の持続可能性を確保しつつ、機動的で柔軟にマクロ経済政策を行うことが重要であることを確認しました。
また、債務問題への対応、MDBs改革、SDRチャネリング等を通じた脆弱国への支援強化についても取組を進めていくべきとの点で一致しました。
このほか、インドのシタラマン財務大臣と私は面会をし、G20・G7の議長国として、引き続き、緊密に連携することを確認いたしました。

総裁)

議論の内容につきましては、ただいま鈴木大臣から説明があったとおりであります。
今回の会議では、やはり、ロシアによる戦争や世界的な金融引締めのもとでの世界経済と、そのもとでの財政金融政策等について議論がされました。
私からは、世界及び日本の経済動向、それから金融政策について、簡単にお話ししました。
ご案内のとおり、世界経済については、最近の経済指標を踏まえますと、想定と比べると底堅いという見方が示されましたが、依然として、世界的にインフレーションのレベルは非常に高いということで、やはりこれを物価安定の目標に向けて近づけていくために、引き続き、金融の引締めを維持する必要があるというお話がありました。
それから、日本経済については、私から、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、設備投資や個人消費の緩やかな増加を背景に持ち直しているということをご説明しました。また、消費者物価については、輸入価格の上昇を背景に生鮮食品を除くベースで消費者物価が足元で4%上昇までなっておりますけれども、2023年度半ばにかけて2%を下回る水準まで低下していくというふうに見ております。その上で、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指して、金融緩和を継続するということをご説明しました。

【質疑応答】

問)

ロシアに対する追加の経済制裁についてお伺いします。今回は、必要に応じてさらなる行動をとるということが明記されましたけれども、G7の会議の中ではどのような議論が行われたのかということと、大臣ご自身は追加の経済制裁の必要性についてどのようにお考えでしょうか。

大臣)

G7の声明でも確認をされたとおり、制裁は、ロシアが不法な戦争を遂行する能力を顕著に低下させたと、そのように評価をしております。
それでは、引き続き、どのようなことをするかということでありますが、まずは、今行っております制裁、その効果をしっかりと監視をしながら、やはり必要に応じてさらなる行動をとっていくということでありまして、今のところは、今ある制裁をそのまま継続するという立場でございます。

問)

まず鈴木大臣にお伺いします。インドのシタラマン財務大臣が債務問題をG20のテーマとして扱う旨、お話しされています。スリランカの状況を見ても、債権国が多様になり、パリクラブで債務問題を扱っていた時代よりも債務問題の解決が難しくなっているとの指摘があります。G20では、インドにどのようなリーダーシップを期待されますでしょうか。これが鈴木大臣に1点です。
続いて黒田総裁に伺います。財務官時代からG7・G20への出席を重ねてきたかというふうに思いますけれども、今回が総裁として参加する最後のG7・G20になるかと思います。これまでのG7・G20を振り返って、どのような実績を残されたというふうにお考えでしょうか。また、本日は議長国としてG7を率いる形になりましたが、他国の参加者から何かお声をかけられたりとか、再度握手を求められるだったり、そういったことはありましたでしょうか。差し支えない範囲で具体的に伺えればと思います。

大臣)

債務問題につきましては、やはりG20も関与していますコモンフレームワーク、共通枠組みの中で債務問題を進めていくというのが、日本も支持している基本的な考え方でございます。
そういう中で、例えばザンビアでありますとか、それから新たにガーナでありますとか、そういう国々について動きがあるということ、これについては歓迎をしたいと思います。
また、コモンフレームワークに入らない中進国に対する債務問題、例えばスリランカなどがあるわけですが、我が国といたしましては、これはやはりバイでやるのではなくて、債権国が一堂に会した債権国会合といいましょうか、そういうような中でお互い透明性を持ってやっていく、債務の状況も必ずしもつまびらかでない部分がございますので、そういうものもしっかりと債権国が共有をする中で全体として取り組んでいくと、そういうことが我が国の基本的な立場でございます。G20の会合などに対してもそういう立場で臨んでいきたいと、そのように思っております。

総裁)

ご指摘のように、私、財務官として1999年から2003年までG7に毎年3、4回参加いたしました。その頃の大きな議論のテーマというのは、1つはアジア通貨危機後のアジア経済、あるいは世界の金融についての議論がありました。また、アフガニスタン支援の問題なども議論されました。
2013年から2023年までの10年間は、日本銀行の総裁として、これもまた毎年3回か4回、参加してまいりました。そのときに議論されたことは、初めはいわゆるグローバル・ファイナンシャル・クライシス、それのアフターマスというか、それが世界経済に大きな影響を与えていたわけですから、それに対応する経済政策であれ、あるいは金融規制であれ、そういうことが議論されましたし、2020年から最近までは、いわゆるCOVID-19、コロナ感染症の世界経済に対する影響、経済に対する影響、政策対応というのが議論されましたし、それからこの1年間は、ウクライナ戦争問題、それがG7のみならず世界的な経済にマイナスの影響を与え、それからインフレーションを加速したということについて、様々な議論がありました。
それぞれの時期において、課題、G7として対応しなければならない経済・金融の問題というのはそれぞれ違っていたわけですけれども、いずれの場合も、G7諸国の人々と議論することによって、適切な対応が図られたというふうに思っておりまして、私自身も非常に学ぶところが大きかったということで感謝をしております。

問)

財務大臣どうもありがとうございます。フレンドシェアリングの話がございます。イエレン長官がよくおっしゃっておられることです。サプライチェーンの強靱化を緊密な同志国で構築すべきと言っていますけれども、G20のインドの議長国のもと、フレンドシェアリングについてどうお考えでしょうか。
また、債務問題の解決についてはどうお考えでしょうか。中国はどんな役割を果たすべきだというふうにお考えでしょうか。G7は中国に呼びかけて、ローンのヘアカットを呼びかけるつもりでしょうか。向こう2日間、どのような立場で、G20で発言なさるおつもりでしょうか。

大臣)

フレンドシェアリングについては、特に今日の議論になることはありませんでした。1つの考えとして、サプライチェーンを同志国といいますか、そういう国々でしっかりと確保するように持っていこうという考え方だと、そのように理解をしておりますが、今のところ、私としては1つの構想段階にあると、そういうように受け止めているわけでありまして、何か具体的にそれに向けて行動を起こしていくという段階ではないんだと、そのように思っております。したがいまして、G20でそのことが議論になるのか、論点になるかどうかも分かりませんけれども、日本としては、今申し上げたような立場で、よくそういう考え方を聞いた上で判断をするということになるんだと思います。
それから債務問題のことは、先程申し上げたとおりであります。
パリクラブという枠組みもございますし、それから先程申し上げました、コモンフレームワークという枠組みもあります。いずれにしても、そこで対応するということになりましても、やはり透明性というのが一番大切なんだと思います。一体債務がどれぐらいあるのか、どこからその債務が発生をしているのか、そういうことが分からない中で、何か1対1でやり取りをするということがありますと、全ての国の共通的な利益が損なわれるという可能性がありますので、先程申し上げたように、債権国が一堂に集まる中で解決をするということであります。もちろん債務の減免というようなことは、まだ全く申し上げる段階ではないわけでありますが、そういうものも、そうした債権国の会合の中で結果としてどうするのか、そういうことを受け入れるのか受け入れないのかも含めて結論が出るわけでありまして、今はそうした進めるに当たっての1つの体制、どこの場で議論するのか、それを構築するということが一番大切なことではないかと理解しております。

問)

黒田総裁にお願いします。先程の説明ですと、G7の中では、各国とも引き続き物価抑制のために金融の引締めの必要性が議論されたという一方で、日本の場合は2023年度半ばに2%未満に下がっていく見通しなので、引き続き金融緩和が必要だということだったんですけれども、ご承知のように、黒田総裁の任期が迫っている中で、次の人員、日銀の新体制になったときに、ポリシーコンティニュエーション、どういうふうに今までの政策の継続性、移行というのがなされるべきなのかというところがあると思うんですけど、ターゲットを2%でできるだけ早くという目標、それからYCCと量的な緩和ということで、そういう手法でそこを目指してきたわけですけれども、そこの継続性については、次期リーダーシップのもとでどうしてほしい、あるいは、どうすべきだというようなご意見があれば、よろしくお願いいたします。

総裁)

まず、新しい総裁・副総裁、まだ任命されていないので、政府が国会に同意を求める提案をしたところですので、それについて何か私が申し上げるのは僣越であると思いますので、具体的なことは一切申し上げられません。
ただ、日本銀行として、2%の物価安定目標というのを掲げて金融政策をやってきたわけでして、足元で消費者物価が4%上がっているわけですけれども、これはほとんど全て輸入物価の上昇によるものでありまして、既に輸入価格の上昇率は下がってきているわけです。
それに加えて、さらに政府が、エネルギー高騰に対する消費者に対して補助を始めますので、これもさらに消費者物価の上昇率を引き下げているということになるので、現在の我々の見通しで言うと、2023年度の半ばまで上昇率はずっと下がっていくと。そして2%を割るという見込みになると。これは日本銀行の政策委員会のメンバーの見通しですけれども、ご案内のとおり、民間のエコノミストの見通しは、もっと低い物価上昇率になると。そういう状況であって、民間も、それから我々の見通しでも、2024年度も今のところは2%を割るという状況が続くというふうに。もちろんこれは今年・来年の賃金の上昇率が上がっていけば、もう少し来年度中に、あるいは2%の物価上昇率が安定的・持続的に達成されるということが起こるかもしれません。ただ、今の見通しでは少なくとも2023年度、2024年度も、いずれも消費者物価上昇率は2%を割るという見通しになっておりまして、そういう意味では、あくまでも日本銀行の物価安定目標2%というものは、賃金の上昇を伴う形で2%の物価上昇率が持続的・安定的に達成されるということが目標ですので、そういう目標自体が、これは2013年1月に日本銀行が政策委員会で決めたもので、それを一貫して維持してきているわけですけれども、その物価安定目標というものを、私を含む今の政策委員会のメンバーは適切なものだと思って、それを目標に金融政策を運営してきている。それを前提にすれば、先程申し上げたように、当面、金融政策は緩和的な状況を続ける必要があるというふうに、今の政策委員会のメンバーは考えているということは申し上げられると思いますが、まだ任命されていない人達のことについて、さらには、少なくとも今の政策委員会のメンバー、特に総裁、2人の副総裁、違う人になったときのことを私が何か言うのは僣越だし、適切でないというふうに思います。
 

問)

鈴木大臣と黒田総裁それぞれにお伺いしたいと思います。
まず鈴木大臣ですけれども、G7の議論の中でロシア制裁の抜け道というのが1つ課題、問題視されていると思うんですけれども、そういった中で途上国ですとか新興国の理解を得るために、G7としてどのように理解を得ていくかというようなお話は、どのような議論があったんでしょうかというのが伺えればと思います。
黒田総裁には、先程ご説明の中で、金融緩和が引き続き必要だということをG7の会合の中でご説明されたということですけれども、それについて他の国から何かご意見があったのかということと、黒田総裁、13年に総裁になられてから10年間、金融緩和への理解を国際社会に求めてきたという10年間だと思うんですけれども、そこを振り返られて、その政策の難しさですとか、どのように感じていらっしゃるかというのをお伺いできますでしょうか。

大臣)

本日のG7の会議で、ロシアに対する制裁について出たのは、1つには、やっぱりG7が結束して、しっかりとして、これを継続していこうということが再確認されたんだと、そのように思います。
その中で、先程申し上げましたとおり、新たな措置をどうするかということについては、それは今、現に行っているものの効果等をしっかり見極めた上で判断するということでした。
もう1つは、制裁の迂回、制裁逃れというのがやはりある、それを十分注意しなければいけないという議論、それが今日、制裁に関して出た主な論点だったと思います。

総裁)

金融政策については、過去10年間G7で議論があったときに、日本の金融政策について批判的なことを言われたことは一度もありません。今回も、先程申し上げたことを申し上げて、それに対して特にコメントみたいなものはありませんでした。
2013年から10年間の金融政策を振り返ったときに、どうしてこの2%の物価安定目標が持続的・安定的に達成できなかったかということについては、既に包括的検証とかその他でも述べていますし、様々な分析ペーパーでも述べていますように、やはり1998年から2012(注)年まで15年続きのデフレの中で、一種のデフレマインドというか、デフレが一種のノルムになって、賃金や物価が上がらないというのが経済主体の間に染みついているということがあって、その結果、要するに、経済分析的に言えば、予想物価上昇率が非常に低位、そして賃金の上昇率も低位、そのマインドセットがなかなか変わらなかったということで時間がかかっているということだと思います。
ただ、基本的にやはり金融政策を緩和的に保つことによって、まずデフレでない状況はできたと。それから実質成長も回復したと。さらに、この10年間で雇用が400万人以上増えたわけですね。そういう経済全体のパフォーマンスは改善したわけですけれども、賃金・物価の上昇率はずっと低位で来たと。それはやはり先程申し上げたような15年続きのデフレがあったことのレガシーというか、マインドセットというか、それが続いていたと。ただ、今少しずつそういう状況も変わってきているんじゃないかと。労働市場も極めてタイトになっていますし、それから最近の労使交渉の状況を見ても、これまでと少し違ったような賃金引上げ、賃金上昇率が見られ始めているということもありますので、少しそこに動きが見られているということは言えると思うんですけれども、ただ、今年そして来年の賃金上昇率がどのくらいになるかということは、まだ十分注視していく必要があるというふうに思っています。

問)

鈴木大臣ありがとうございます。G7の声明、ロシアのウクライナ侵略に対する文言、非難しています。今日、アメリカのイエレン長官も、ロシアに対して、強く批判しています。インドはG20の議長国ですけれども、ロシアから燃料をコスト安く輸入していた、恩恵を受けていたわけです。そして外交と対話ということですけれども、そうなりますと、G20のオフィシャルなステートメントの文言が弱まってしまうのではないか、ロシアに対する非難が弱まってしまうのではないかと思いますけれども、大臣どうお考えですか。

大臣)

ちょうど明日で、ロシアのウクライナ侵略から1年になるわけでありまして、同じような状況下で開かれたG20、昨年のインドネシアの議長国のときもありました。そのときも共同声明が結局まとめることができずに、議長声明ということで、議長の責任で取りまとめられたということであったわけであります。
そのときと比べて何か大きなバックグラウンドに情勢の変化があったかというと、それはないわけでありまして、むしろより深刻化しているというのが私の思いになります。
したがいまして、今回、インドもG20の議長国として、大変に力を入れてこの開催を頑張っておられますし、本当にリーダーシップを持って取り組んでおられるわけでありますけれども、G20開催後に共同声明を発するかどうか、まずは合意ができるかどうかということにかかっているわけでありまして、最終的には議長国でありますインドが判断するものと、そのように認識をいたしております。
いずれにしても、明日から会議が始まるわけでありますので、今時点で、私が何か予断を持ってお答えするということはなかなか難しいことであると、そのように思います。

問)

G7のロシアの石油価格上限について、原油の60ドルという上限ですけれども、これを3月に見直すという話になっていますけれども、これについてコンセンサスはあったんでしょうか。60ドルから下げることに関してのコンセンサス、今日の議論の中ではありましたでしょうか。

大臣)

今日の声明の中にも盛り込んでございますけれども、ロシアの侵略戦争によって、特に低所得・中所得国への負の経済波及効果を抑えつつ、ロシアがウクライナに対する侵略戦争から利益を得ることを防止するという上限価格政策、プライスキャップでありますけれども、これの目標に関しまして、これは既に進展をしているという理解であります。
ロシアの月間の財政ギャップは、過去最高水準に急拡大しておりまして、これは不法な戦争のための戦費を賄う能力を大きく制約することになると、このように思っております。
ただ、今日の会議の中で、具体的に数字についての議論が行われたわけではございません。

問)

鈴木財務大臣にお伺いしたいんですけれども、冒頭にもあった55億ドルのウクライナへの追加支援についてです。今日のG7では、日本も議長国としてメッセージを発信していると思うんですけれども、途中のこの追加支援の狙いを改めて教えていただきたいなと思っています。特に、明日からまたG20の本格的な討議が始まりますが、こちらでどのような今回のG7での声明を持ってリーダー国として、議長国としてメッセージを発信していきたいか、その意気込みも込めて教えてください。
もう1点、黒田総裁へご質問させてください。先程質問にもありましたけれども、財務官時代からいろいろ国際会議の場で発信されてこられたことと思います。大きな国際会議の場としては今回が任期満了までは最後になるかなと思うんですけれども、ご自身の10年間を振り返って、国際発信の観点からご自身をどう評価されているか、そのあたりの思いも聞かせていただければと思います。

大臣)

今日、マルチェンコ大臣にもオンラインで出席していただきました。それで様々な状況をお話ししていただく中で、これだけ財政の厳しさがあるというお話もありました。
今日出たということではないんですが、いわゆる財政ギャップについては、今までもずっと議論になっておりました。そして、その財政ギャップを、いかにしてG7の中で埋めていくのかと。これはやはりウクライナ支援の、ある意味で柱になるものである、そのように思います。
G7全体で、2023年のウクライナ向け財政経済支援額のコミットメントの総額、これは390億米ドルということでございますので、その中で議長国として日本の55億ドルの財政支援というものは非常に大きく貢献をしているのではないかと、このように思います。各国、まだきちっと個別に幾らと言える段階ではないということでございましたので、ただ、総額としては390億米ドルということは発表させていただいたんですけれども、日本について言えば50億ドル、それに5億ドルを加えてですけれども、これは岸田総理が既に表明した数字でございますので、日本は個別具体な数字を発表させていただいたということであります。やはり議長国として、こうした財政ギャップを埋めることについて、その役割をやっぱり示さなければいけないという思いもございます。

総裁)

もちろん過去10年間、G7、それからG20、さらにIMFC、またBISの総裁会議等々に参加してきまして、世界の主要国の中央銀行総裁の経済・金融に対する見方、考え方も学ぶことができましたし、また私の方から日本の経済・金融の状況をよく説明して、十分理解していただいたというふうに思っております。

(注)会見では「2013年」と発言しましたが、1998年から15年であるため正確には「2012年」です。

(以上)

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