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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年3月31日(金曜)9時30分~9時50分)

【冒頭発言】

2点発言させていただきます。
まず、先般、令和5年度予算が成立したことを受けまして、先ほどの閣議におきまして、閣僚各位に対し、迅速かつ着実に執行を進めていくよう、お願いをいたしました。
また、令和5年度におきましても、例年と同様に、予算執行調査を実施いたします。令和5年度におきましては、計30件の調査を実施することとしており、先ほどの閣僚懇談会におきまして、調査へのご協力を閣僚各位にお願いいたしました。
詳細につきまして何かありましたら、事務方にご確認をいただきたいと思います。
次に、ロシアに対する関税における最恵国待遇の撤回措置につきまして、本日、令和6年3月31日まで延長するための政令を閣議決定いたしました。
この措置は、昨年3月のG7首脳声明を踏まえ、国際社会と緊密に連携し、ロシアに対する外交的・経済的圧力を一層強める等の観点から講じているものですが、ロシアによるウクライナ侵略が継続している中で、延長することとしたものであります。
今後とも、G7をはじめ国際社会と引き続き緊密に連携をして対応していきたいと思っております。

【質疑応答】

問)

本日、政府は少子化対策のたたき台を公表する予定で、メニューを見ますと歳出拡大につながりそうなメニューが並んでいますけれども、その一方で、財源論についてはまだ先送りという形で、これからになると思います。改めてその道筋をどうつけていくか、大臣のお考えをお願いします。

答)

道筋については、かねてより総理からも、また私からもいろいろ発言をさせていただいておりますけれども、こども政策の強化について、政府と合わせて、党におきましても様々な議論が行われているところであります。また総理も昨日の新聞社のインタビューで現在の検討状況を説明されたものと承知をしております。
かねがねお話をしておりますが、政府におきましては、本日、こども政策担当大臣が具体的なたたき台をとりまとめ、総理に報告をして、その後、総理が主導する体制の下で、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に議論を深めて、6月の骨太方針までに将来的なこども予算倍増に向けた大枠をお示しする、というスケジュールで検討が進められているということでございます。
財源が1つの課題になるわけでありますが、その際、恒久的な施策には、恒久的な財源が必要であって、こども政策を強力に進めていくために必要な安定財源につきましては、国民各層の理解を得ながら、社会全体での負担の在り方を含め、幅広く検討を進めていく必要があると、そのように基本的に考えているところです。

問)

今おっしゃった件ですけれども、こども政策ですね、少子化対策、恒久的な施策には恒久的な財源でという話がありましたけれども、それは安易に赤字国債に頼るべきではないということを意味しているんでしょうか。

答)

いろいろなご意見もありますし、それからまさに6月に向けて、これから新しい、総理の下での体制の中で議論されていますので、私が予断をもって、まだ決まっていないことを申し上げることは控えなければならないと思いますけれども、やはり恒久的に続けられる政策につきましては、その裏付けとなる恒久的な財源が必要であるということを、まず第一の基本として押さえなければならないんだと、そのように思っております。
また、議論はこれからですから、それを前提としての話ですけれども、国会などにおきましても、こども国債というものを発行したらいいのではないかと、こういうことでありますけれども、財務省の立場で言えば、将来の償還財源がない中での国債発行ということになりますと、こども政策なのでありますけれども、まさにこどもの世代に負担を先送りすることになりますので、確かな償還財源がない中での国債発行は、単なる特例公債の発行にすぎないわけでありますので、そこは慎重でなければならないと、そのように思っています。

問)

償還財源のない国債発行はすべきでないと、今こども国債のことをおっしゃったわけですけれども、それは今同時におっしゃった、それがそうじゃなくて赤字国債になるとしても同じように、赤字国債に安易に頼るべきではないと。

答)

ですから償還財源があれば、GX移行債はまさに償還財源を念頭に置きながらの国債発行ですけれども、そういうものが何かあれば、またそのときの考えだと思います。
今日の時点では、一般的なことのお答えにとどめさせていただきたいと思います。

問)

国土交通省の元事務次官、東京メトロの本田会長が上場企業の空港施設社に対して国交省OBの副社長を社長にするように要求していた問題についてお伺いするんですが、元次官は空港施設社に対して国交省としてのあらゆるサポートですとか、同社の株主であるJALやANAから了解を得たなどと伝えられ、専門家からは上場企業のガバナンスをゆがめる介入との指摘も出ています。上場企業に対してコーポレートガバナンスの確保を求める金融担当大臣として、一連の問題への見解をお聞かせください。

答)

金融担当大臣ということで、企業のコーポレートガバナンスを見なければいけないわけでありますが、今回の問題は、私の感覚では、まさに国土交通省の中で対応を主にされるべきことではないかと、そのように思っております。
役所を経験した方の再就職については、ルールが確立されていると、そのように承知をしておりますので、そうしたルールに照らして、今回の元次官の行為がどうだったのかという観点からの検証は必要じゃないかなと、そのように思います。
それ以上は、あまり詳しい情報も持っておりませんので、この程度のお答えしかできません。

問)

関連して、国は東京メトロの筆頭株主でもあるわけなんですけれども、国有財産の管理を担う財務大臣としては、こういう人物が会長職を務めることというのはどうお考えでしょうか。

答)

これも報道ベースでしか分かりません。
実際のところ、どういうような働きかけをしたのか、本人は働きかけではないというようなことを言っておられるんですかね、その辺の事実関係も分かりませんので、今の段階として申し上げることができるのはこの程度でございます。

問)

日銀の金融政策についてお伺いします。黒田総裁が就任してから大規模緩和がずっと続いておりまして長期化しています。足元で、今日、総務省の方でも発表がありましたけれども、都区部の方では高い物価水準が続いていて、そういった物価、高い水準が続く一方で、政策の副作用というのがどんどん蓄積していると思いますが、現行の大規模緩和の必要性ということについてどのようにお考えでしょうか。

答)

原則的な話で恐縮ですけれども、金融政策につきましては、日銀の独立性に鑑みて日銀に任せなければならないと、このように思っております。
植田新総裁の下での新体制が発足するわけでありますので、そういう中での議論がなされていくんだと、そのように思います。
政府として、金融政策の在り方については申し上げませんけれども、私どもとしては、新しい体制の下でしっかりとした金融政策が進められていくということを期待しているところでございます。

問)

デジタル通貨に関してなんですけれども、一部報道で財務省が有識者会議を立ち上げて検討することになったという報道がありますけれども、この事実関係と、今の作業の進捗状況、日銀の方は来月からパイロットプログラムを始めるということなんですけれども、政府サイドとしてどういう取組がなされているかについて、まずお伺いしたいと思います。

答)

CBDCにつきましては政府の方針がございます。2021年6月18日に決定されました、いわゆる骨太の方針2021に書かれているわけでございまして、財務省としては、これまでのそうした方針を踏まえて検討を進めていく必要があると、そのように考えております。
この課題を具体的にどのように進めていくかにつきましては、今ご指摘がございました会議の設置も含め、しっかりと検討していきたいと、そのように考えているところでございます。
今の時点で、最終的に有識者会議を設置する方針を固めたという報道は承知をしておりますが、そのことも含めて検討をしているという段階でございます。

問)

火曜日に来年度予算が成立しまして、そのときの会見で大臣は、衆参で充実した審議をいただいたと。それで成立したというふうにおっしゃっていたんですけれども、実際に予算審議を見ていると、例えば防衛費で岸田首相が手の内を明かさないという言い方をして、トマホーク400発と言ったのも衆院の審議の終了直前であったりとか、かなり説明されなかった部分、非常に大きくなった防衛費、説明されずに6.8兆円まで増えたと。過去最大の114兆円余りの予算が成立して、これは恐らく今後、前に一度お聞きしたことでもあるんですけれども、充実した審議ではなかったんじゃないかというふうに私は見ていて感じましたし、同時に過去最大の114兆円に予算がなって、今後、財務省として、この予算がよかったのかというのは歴史的にも問われることになると思うんですよね。そういう意味で今回の予算、審議も含めて、きちんとした充実した審議で、きちんと成立した予算なのかどうか、まずそこの認識をもう一度伺いたいと思います。

答)

予算審議が充実したものであったか、そうでなかったというのはそれぞれの見方によるんだと、そのように思います。
予算の額について言えば、やはり私も強く感じるわけでありますけれども、コロナ感染症というものが、いまだきちんと先行きまで見通せないということもございますし、かつ、またウクライナへのロシアの侵攻ということもございます。近時になくそうした不確実性を含んだ事態が立て続けに起こったということもあって、平時ではない予算ということになっているというのは一面事実だと、このように思います。
コロナ感染症が収まり、また平時になって、予算も平時の予算に移行していくということが大切であって、そういう思いは私も強く持っているところでございます。

問)

一種規律のない財政に、歳出拡大に道を開いたという見方もあると思いますし、私自身もそういうふうに見ているんですけれども、そういった指摘に対して大臣がどう思うのかということと、例えば防衛費で言うと、防衛省OBからもトマホークを何発買うのは分かるけれども、頭の部分、ガイディングシステムの部分については全く、アメリカ側は売らないと言っているわけで、同盟5カ国以外は売らないと言っているわけですよね。そうなるとトマホークは買っても、きちんと誘導するシステムがなくて全く使い物にならないと。実際そういったものが認められる査定になってしまったわけですけれども、これが先程申し上げた規律のない財政膨張が始まったのではないかという点と、財務省がきちんとそういった意味で、査定の役割をきちんと果たしていたのかどうか、それに対して疑問の声が出ていますけれども、それについてはどうでしょうか。

答)

先程も申し上げましたけれども、今はそうしたコロナ感染症やロシアのウクライナ侵略ということもありまして、財政規模が平時でない状況にあるということは事実であると思います。
私としても感染症の収束ということがあれば、今までこれにかけていた予算は要らなくなるわけでありますから、しかもこれは財源は赤字国債でやっているわけですね。赤字国債の発行額も、この間それに対応して伸びているわけですから。そういうものをなくして平時に戻していくと、国債の発行高もそれに応じて減らすと、そういうことを早くやっていくわけで、何かこれが放漫な予算編成の道を開いたということはないと思いますし、そうであっては絶対にいけないと、そのように思っております。
それから、トマホークの査定ということでありますが、この間、私も専門的にずっと追いかけているわけではありませんけれども、自衛隊OBの方とか軍事評論家の方とか、いろいろな発言をしておられます。実際にこれは使えるものなのか、効果があるのか、そういうようなことは随分人によって言っていることが違うような気がしております。今おっしゃったことが全てではないと、このように思います。防衛省にも専門性の高い人がいるわけでありますから、そういう専門性の高い人と我が財務省の主計局でよくよく意見を交換しながら、そしてしっかりと査定をした結果であると、そういうことでございます。

問)

平時の予算に戻るべきだというふうにおっしゃっていたので、その点だけ。ただ、今年も予備費は5.5兆円あって、この前2兆円余りの予備費使用を決定したばかりですし、マスクの着用義務も3月でなくなりましたし、そういう意味では来年には異常な状態、平時でない状態というのは、コロナの分類も変わりますし、そこは今年で打ち止めにして、来年からは平時に戻していくべきだと、予備費の大きさも含めて、そうお考えでしょうか。

答)

それを願っております。

問)

クレディ・スイスのUBSによる買収なんですけれども、日本でもオペレーションがあるわけで、日本の当局としてこの買収に承認をされたのか、あるいは今後されるご予定があるのかということと、あと何か問題があるか否か、そのあたりをお伺いしたいと思います。

答)

クレディ・スイスについては、スイスの当局がいろいろと、これ以上信用不安が拡大しないような手を打っている、早期に迅速に手を打ったということで、それ自体は評価をしております。
ただし、日本の当局がそれを承認するとか、承認しないとか、そういうのは日本の立場ではないわけでありまして、スイスの当局において判断されるべきものであると、そのように考えています。

(以上)

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