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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年4月21日(金曜)9時30分~9時41分)

【質疑応答】

問)

今一部報道で駅伝の有名監督が購入したクレディ・スイスの社債のAT1債が紙切れになったというふうに話題になっています。私も過去に投資でちょっと痛い目には遭ったことがあるんですけれども、無価値になるということにならなかったのでとても驚いているんですが、そこでクレディ・スイスが発行したAT1債の国内全体での販売状況を金融庁として把握していらっしゃるのか、また今回のAT1債をめぐる大臣のご所感と金融庁の対応も併せてお答えください。

答)

クレディ・スイスのAT1債につきましては、国内の一般投資家に幅広く販売されてはいないものの、富裕層や法人を中心とした一部の投資家に対して、概ね1,400億円程度販売されていたことを金融庁として確認をしております。
全体として、そうした投資家の方々に影響が生じていることは残念に思うところであります。
いずれにいたしましても、今般、契約条項に基づき元本削減がなされたことを受けまして、販売した証券会社においては、丁寧な顧客対応に努めていただくことが重要であると考えております。
金融庁としては、そうした顧客対応の状況などについて、適切にフォローしていきたいと、そのように考えております。

問)

新しい資本主義実現会議で議論されている労働市場改革についての質問です。政府は先日、退職所得課税の見直しについて提案しました。長期勤続者への優遇措置を是正するという内容ですが、現行制度は成長分野への労働力の移動を妨げているとの指摘がある一方で、急な見直しは現行制度を前提に長期勤続を決めた人にとっては負担増につながります。大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

答)

4月12日に開催されました新しい資本主義実現会議において岸田総理から労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘のある、退職所得課税制度について見直しを行うとの発言があったところです。
現行の退職所得課税の仕組みにつきましては、これまでも政府税制調査会におきまして、勤続期間が20年を超えると1年当たりの控除額が増加する仕組みが、転職の増加など働き方の多様化を想定していないなどの指摘がなされていると承知をしております。
今後の退職所得課税の在り方につきましては、これまでの与党、あるいは政府の税制調査会における議論も踏まえながら、働き方によって有利・不利が生じない公平な税制を構築するという観点から、政府としても、引き続き丁寧に議論をしていきたいと考えております。

問)

先程のクレディ・スイスというか、金融規制の関係でお伺いしたいんですけれども、大臣これまでの会見の中で、クレディ・スイスも含めてですけれども、かなりSNSなんかでの情報発信とインターネットバンキングを組み合わせて相当なスピードで預金が引き出されていくという状況があって、それについて注視している考えを述べられています。G7財務大臣会合も来月にありますけれども、そこら辺、少し時間がたってSNSであったりインターネットバンキングの時代での金融規制の在り方というんですかね、そこら辺って今、来月のG7に向けて何かご所感がありましたらお伺いしたいんですけれども。

答)

先般開かれましたG20の会議でも、SNSやインターネットバンキング等の発達によって金融市場を取り巻く環境が大きく変化していることを踏まえて金融システムのさらなる強化に向けた議論が必要であると、そういうことを私もG20の後の記者会見で申し述べたところでございます。
今は落ち着きを取り戻しているような、足元ではですね、そういう状況でありますが、やはり金融危機というものが起こる、そういう中で新しいこういう環境が出てきたということについては、これからも十分注視して対応していく必要があるんだと思います。
具体的に今回の新潟のG7の会合でどういうような扱いをするかということはまだ決まっておりませんが、そういう議論が出てくれば、それに対してまた議論を深めて各国で考えていかなければいけないのではないかと、そのように思っています。

問)

今の点なんですけれども、まさにG7で金融システムの強化が必要であるということをおっしゃったというお話を先程されていましたけれども、この前のワシントンで、アメリカで金融機関が2つつぶれたわけで、そういう緊張感というのは体感されたんじゃないかと思うんですけれども、今、国際金融情勢の置かれている、ご自身が体得した状況と、その気持ちとか認識を5月の新潟のG7でどう生かすのか、その点はいかがでしょうか。

答)

この間のワシントンでの会合では各国の関係する、スイスならスイス、アメリカならアメリカですが、通貨当局が迅速な対応をとって流動性の確保ですとか、そういうことをしたということは評価をするという、そういう会議の状況でした。そういうことで今一応落ち着きを取り戻しておりますけれども、やはりこうしたことに対する備えというものは重要だなということは私も強く感じております。
G7での今度の会合がどういうような話になってくるのか、これはまだ開いていませんので予断を持って申し上げられませんが、そういう点は議長としての私としても論点になり得るものとして対応したいと思います。

問)

もう1点だけ関連で、アメリカのシリコンバレーバンクの破綻というのは、やはりアメリカのFRBの金融緩和の巻き戻しに伴って金利が上がっていく局面で持っていた国債を大量に売却して損が出たという背景があるわけで、これは今後、日本も金融緩和を続けていく中では教訓になる部分があると思うんですけれども、そういった日本にとっての意味とか教訓なり、どういうところに気をつけるかという点はいかがでしょうか。

答)

破綻した銀行については、その背景を十分に分析すること、これはご指摘のとおり重要だと思います。やはりそれぞれの銀行の特徴があって、例えばシリコンバレーバンクで言えば大口の預金が多くて小口のものが、個人的なものは少なかったということ、それからおっしゃったようにそういう状況が悪くなったときに様々な債券が、価格が下がるわけですから、それはある意味、投げ売りのような状況になって、ますますそれが状況を悪くしたと。
加えて先程ございましたとおりSNSとかインターネットバンキングで一気にそうした信用不安が広がって、猛烈なスピードで広がって、例えば取り付けみたいなことも、かつては営業時間の中で行われるということが、もう時間関係なしに24時間お金が出ていくということで一気に流出したと、そういうふうな状況があります。やはり金融機関ごとによって破綻の要因というのは様々だと思いますが、こうした事例というものはきちっと分析をして今後に備えるということが重要だと、そのように認識します。

(以上)

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