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G7財務大臣・中央銀行総裁会議議長国記者会見の概要

(令和5年5月13日(土曜)13時01分~13時38分)

鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田日本銀行総裁と神田財務官によるG7財務大臣・中央銀行総裁会議議長国記者会見の概要(日英同時通訳を媒介)は以下のとおり。

【冒頭発言】

大臣)

皆さん、お待たせをいたしましたことをまずお詫びを申し上げたいと思います。先程、新潟でのG7の全日程を無事終了し、これまでの議論の成果をまとめた共同声明を採択いたしました。共同声明の詳細は後程、事務方からブリーフさせていただきますが、私からは主な成果についてご報告を申し上げます。
まず、ウクライナへの揺るぎない支援を改めて確認するとともに、財政支援の増加をはじめとする進展を得ました。ロシア制裁の迂回対策では、迂回の類型をはじめ、情報共有の取組を強化することなどを確認いたしました。
金融セクターについては、金融システムは強靱であるとの認識を共有した上で、引き続き警戒心を持って動向を注視し、金融安定及びグローバルな金融システムの強靱性を維持するために適切な行動をとる用意があるということに合意をいたしました。SNSによる情報の急速な拡散といった環境変化も踏まえ、FSB等において、今般の銀行破綻等から得られる教訓の棚卸しを行い、金融システムを強化するために優先的に取り組む事項を検討していきます。また、ノンバンク・セクターの強靱性強化に引き続き取り組むことも確認しています。
債務問題につきましては、パートナー国との対話の場でも多くの国が喫緊の課題としてG20の共通枠組の実施改善の必要性を指摘しました。この点、昨日、ガーナに対する資金保証が提供され、IMF支援プログラムに向けて進展があったことを歓迎いたします。また、共通枠組の対象とならない中所得国の債務再編につきましては、スリランカの債務再編交渉における日本、フランス、インドのリーダーシップに歓迎の意が示され、今後の多国間協調に向けた成功モデルとなることへの期待が示されました。債務データの透明性・正確性の向上に向けた取組を進める必要性も共有されております。
自由かつ公正でルールに基づく多国間システムを通じた効率性を維持しつつ、世界経済の強靱化を進めるための取組につきましても、様々な分野で進展がありました。まず、クリーン・エネルギー関連製品のサプライチェーンで低中所得国がより大きな役割を果たせるよう協力する互恵的パートナーシップについて、RISEと称して、遅くとも本年末までに立ち上げるため作業を進めることで合意いたしました。新興・途上国の重要インフラへの海外直接投資が経済的主権にリスクをもたらすことのないよう、新興・途上国の投資枠組みの強化を支援する必要性でも合意しました。CBDCについても新興・途上国がその恩恵を受けつつ、リスクに対応できるよう支援をしてまいります。
暗号資産については、金融安定等にもたらすリスクに対処する重要性を確認したほか、マネー・ロンダリング対策等の強化にも合意しています。関連して、北朝鮮の不正な活動への深刻な懸念も共有されました。
国際保健につきましては、パンデミックへの予防・備え及び対応の強化に取り組むため、財務・保健大臣合同会合を本日午前に開催し、G7共通理解として財務・保健の連携強化等に合意しました。特にファイナンス強化についてはパンデミックが発生した場合の対応のため、必要な資金を迅速かつ効率的に供給することを可能とする新たなサージファイナンスの枠組みをG20とともに検討することで合意しました。
スティグリッツ教授をお招きして開催したランチセミナーでは、所得・富の平等や持続可能性といった多様な価値を認識し、実用的かつ効果的な方法で政策に反映していくことの重要性を共有しました。こうした試みは民主主義や市場経済への信頼を維持する観点からも重要だと考えますが、年後半も議論を深めていきたいと思います。
3日間の率直な意見交換を経て、広島サミットにつながる多くの具体的な成果に合意することができたと考えています。今回はパートナー国をお招きした対話でも極めて有意義な議論ができました。今年10月の世銀・IMF総会ではアフリカ諸国をお招きしてラウンドテーブルを開催いたします。
最後になりますけれども、今回の会合開催に当たりましては、開催地であります新潟の皆様方から本当に温かい多大なご協力をいただきました。改めてこの場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。G7の大臣、そして中央銀行総裁の中には初めて今回新潟という名前を知ったという方もいらっしゃいましたが、新潟の食事やお酒、花火等のイベントを心から楽しんでいただくことができました。また、市民の皆さんにはこの間、交通規制でありますとか様々にご迷惑をおかけしたわけでありますが、そうしたことにも大変なご理解をいただきまして、本当に地元の皆様方の協力があってこそ、今回の会議を無事に終了することができたわけでありまして、重ねて心から感謝を申し上げまして、冒頭の私の発言といたします。

総裁)

私からは今回の会合の開催に当たりまして、地元の関係者の皆様の多大な協力のもとでスムーズな会合運営ができた、また信濃川が日本海に注ぐという雄大な景色を眺めつつ、落ち着いた雰囲気の中で議論に集中することができたというふうに感じておりますので、関係者の皆様のご尽力、ご協力に改めてお礼申し上げたいと思います。特にお食事等すごい好評でして、次のG7の議長国はイタリアなんですが、イタリアの代表の人にすごいみんながプレッシャーをかけるというような局面もあったりいたしました。
その上で、私からは日本銀行に関係するところにつきまして、どういう議論があったか、財務大臣のお話と重複しない限りで簡単にご紹介したいと思います。金融面のところは私どもにも関係あるわけですが、財務大臣がご紹介されたことに尽きていますので、そこは省略させていただきます。
世界経済につきましては、最近の経済指標を踏まえますと底堅く推移しているという見方が示されました。ただし、世界的なインフレ圧力や各国中銀の利上げが続く中で回復ペースが鈍化しているほか、最近の一部の金融機関をめぐる動きも重なって、先行きの不確実性には注意が必要であるという指摘がございました。また、気候変動につきましてはG7の中央銀行はそれぞれのマンデートの範囲内で気候変動に引き続き取り組んでいくという認識を共有いたしました。
また、私からは、日本経済について、これまでの資源高の影響を受けつつも持ち直しているというふうに説明いたしました。消費者物価はコスト高を背景に生鮮食品を除くベースで3%強というふうになってございますが、今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくという見通しをご説明し、その上で日本銀行は物価安定の目標の持続的・安定的な実現を目指して金融緩和を継続するというふうに説明させていただきました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

まず鈴木大臣に1点お伺いします。今回ウクライナや金融など世界経済に関する幅広い話題で議論されて共同声明が採択されたと思うんですけれど、来週の広島サミット、開幕するんですが、今回の議論の成果を具体的にどのようにサミットにつなげたいのかをお伺いしたいです。
その次にそれぞれお二方にお伺いしたいんですが、金融システム強化で規制と監督のギャップに対応すると声明にはありました。4月のワシントン声明でも強靱というふうに書かれていたんですけれども、5月に入ってファースト・リパブリックが破綻するなど信用不安が払拭されたとはいえない中、こうした信用不安、ギャップへの対応についてどのように考えているのか、お二方のお言葉でお伺いしたいです。お願いします。

大臣)

まず広島のサミットに向けての成果ということでありますけれども、財務トラックにおいての成果、これはやはり、G7の結束ということが確認できたということであると思います。今ご指摘になりました金融システムの問題をはじめ、世界経済、いろいろと課題がございます。そして、ロシアのウクライナ侵略。これが、世界経済あるいは日本の家計に及ぼす影響、その全ての元凶となっているわけでありますから、こうしたウクライナ侵略に対してG7が結束をして対応する。併せてウクライナの復興についても様々議論が行われました。いずれにいたしましても、1つの大きな成果はこうした大きな国際的な諸課題を前にしてG7が何かバラバラの方向に進んでいくのではなくて、より結束をして今後対応していこうと、そういうことがしっかりと確認できたというのは大きな成果であると、そういうふうに思います。広島サミットについては、広島サミットの方で今いろいろと事務的にも積み上げをしているところでありますが、こうした全体のG7として財務トラックにおける1つの結束を示すことができたということ、これは広島のサミットにもつながっていくものであると、このように思っております。
それから金融システムのことでございますが、先程、冒頭発言でも少し触れましたけれども、今回の会議では金融システムは強靱であるという認識を共有いたしました。しかし、その上で引き続き警戒心を持って動向を注視する、それから金融安定及びグローバルな金融システムの強靱性を維持するために適切な行動をとる用意があるということに合意をしたところであります。そして今後ですけれども、やはり米国におけます銀行破綻で明らかになったように、SNSやインターネットバンキングの発達、SNSによりまして、信用不安というものが瞬時にして一気に広がる、それからインターネットバンキングによって、以前の取付けというのは、銀行の前に並んで銀行の営業時間にしかそういうことは起こらなかったわけですけれども、もう24時間いつでも預金が引き出されるという資金流出、こういうことが起こるような、環境が大きく変わっておりますので、こうしたようなことを踏まえて今後各国が、これが共通する課題であると、そういう認識をしたところであります。そして今後、具体的なことを言えば、FSB等において今般の銀行破綻等から得られる教訓、これをしっかりと棚卸しをして、金融システムを強化するために優先的に取り組む事項を検討していきたいと、そのように考えています。

総裁)

鈴木大臣のお話とかなり重なりますが、1つには3月以降の事態に対して欧米の当局が迅速かつ適切に対応していただいたということで、金融システムの安定性は維持されているというふうに考えてございます。そのもとで、今後に向けて、今回の事例の検証を引き続き行いつつ、FSB等の場を使いつつ、適切な規制・監督への含意を得ていきたいということでございます。それとともに、2008年の金融危機以降合意された金融規制改革、これをきちんと実行していかないといけないという認識もほぼ共有されたというふうに考えてございます。

問)

鈴木大臣に伺います。ロシアの問題に関してですけれども、差し押さえたロシアの資産をウクライナに移転するという議論はあったんでしょうか。いろいろな意見があると思いますけれども、これを議論したかどうかということ。
それから気候変動に関してですけれども、ロス・ダメージファンドがCOP27で発表されましたけれども、コミュニケの中に入っていないので、それが今回議論されたかどうかを教えてください。

大臣)

まずロシア制裁について申し上げますが、今回ロシア制裁で主な議題となりましたのは迂回対策でありました。これは制裁の履行を確保するためということでありまして、今も既に迂回対策のための実施調整メカニズムというものが存在をしておりますので、これを通じてこの迂回の類型の情報共有化に取り組むということを確認したところでございます。そして、ご指摘の各国が押さえておりますロシアの資産でありますけれども、今後も継続してこれをしっかりと凍結し続けていこうという共通認識の確認がなされました。これを活用して復旧に使ったらいいのではないかという意見は、先の4月のワシントンでの会合等でも少し出ましたけれども、今回は特にそれについて集中した議論が行われたということではありません。
それから気候変動につきましても、今回はRISEという新しい枠組みをつくっていこうと。既にありますJETPの取組、それからOECDの炭素削減策に関する包括的フォーラム(IFCMA)、これを支持をするということ、それから製品やセクターの炭素集約度を測定する方法論の探求に関するIFCMAによる今後の作業に期待する、それから今世紀半ばまでの、グローバルにネットゼロを達成するためにEMDEs、特に主要排出国に積極的に関与することの重要性を協調する、こういうような点について意見が一致したところでございます。我々としてパートナー国がそれぞれの固有の状況を反映しつつ、加速された野心的な意向を追求することを支援する、いわゆるJETPを迅速に前進させる取組を継続することにコミットするというようなことで、どちらかというと各論といいますか、一般的な取組についての議論がなされたと、そのように理解していただければと思います。

問)

今回合意された脱炭素化に向けたサプライチェーンの枠組みに関しても19日からのサミットにつながる大きなイシューになると思いますが、サミットに先立って今回の会合で合意された意義について大臣に改めてお尋ねしたいのと、あと、この点については会見に先立つイエレン長官との会談でも話題にされていたと思いますけれども、その中で世界銀行への拠出規模とかG7の負担割合、この点について議論に及んだのか、それぞれお伺いできればと思います。

財務官)

RISEの話でよろしいですか。RISEの話はコミュニケに書いてあるとおりなんですけれども、ずっと議論をしていて、ようやく年内にしっかりとローンチできるように進めていくことが合意できたというのが大きな成果で、それをここでうたっております。趣旨はワシントンのときから随分と議論が煮詰まってまいりまして、もちろんクライメート・アクションをしっかりと進めていくこと、それからサプライチェーン・レジリエンスを高めていくこと、そのプロセスの中で途上国・新興国の経済発展にも資すること、そうした言わばウィン・ウィンの状況の中でみんなが協力してやっていく、その重要なパートナーとして世界銀行、おっしゃったとおりございまして、そこで、まだどういうふうに拠出するかというよりは、どういうモダリティをつくっていくかというところに議論を今集中させておりまして、そのあたりはまだ決まっているわけではありませんけれども、今回の大きな成果はしっかりとみんなでこれを進めていくということがかなり強い形で合意され、全ての国がサポートしてくださったということが大きいと思っております。特にパートナーシップとの意見交換、ダイアローグの中でもお招きした途上国・新興国の方々から強い関心が寄せられたことも非常に心強いと思っております。

問)

鈴木大臣、植田総裁、それぞれに伺います。今回スティグリッツ教授を招いて幸せの追求がテーマとして取り上げられました。教授の講演の受け止めと、もしご自身の会議での発言があれば教えてください。特に鈴木大臣には、今後このテーマについて議長国としてどのような成果を目指していくのか、また経済財政政策にどのように生かしていきたいのかをお願いします。
もう1点、植田総裁に伺いたいんですが、今回コミュニケでデータ、監督・規制のギャップに対応すると書かれましたが、今回の一連の問題を受けて今どのようなギャップというものがあるとお考えなのかということを教えてください。

大臣)

ウェルフェアを追求した経済政策については、昨日のランチセミナーでスティグリッツ教授から大変に興味深いお話を伺いました。我々はずっと、どちらかといいますとGDPという指標を目標に経済運営をしてきたわけでありますが、ちょっと振り返って立ち止まってみて、そのGDPを追求するということが真に人々にとって幸せなことなのかというようなことですね、いろいろ議論の中で出ましたけれども、例えばブータンなんかの幸福度というような数字もあるわけでありますけれども、ああいうものは必ずしもGDPと関連しているものではないということで、新しい、新しいといっても古くから、前からある理論ではあるわけでありますが、私にとっては大変目新しい議論に接することができました。こうしたことの歴史的視座、各国の取組について、本当に幅広い知見に基づいて大所高所からのスピーチをいただいたところでございます。そして今後これをどういうふうに進めていくのかということですけれども、各国から政策過程に反映する試み、その課題についても活発な意見交換がありました。今回はお昼の時間に1時間少々の時間でありましたが、今年の年後半も議論を少し継続していこうということになりました。具体的な方向性は今後の議論も踏まえて、今後検討していきたいと思っています。

総裁)

私からは、金融規制に関するギャップという表現についてのご質問だったと思うんですけれども、先程話したこととちょっと重なりますけれども、1つには金融危機以降に合意された金融制度改革、バーゼル3等を含みますが、これが必ずしも十分徹底されて実行されていない部分について、それを実行していこうということですし、もう少し広げて一般的な話になりますと、例えば日本ではないですが、今回のアメリカのような場合に、中堅銀行、シリコンバレー銀行等、例えば資金繰りについて場合によってはFedのディスカウント・ウィンドウから借りることができるわけですけれども、それをどういう手順でどういうふうに実行していくのかということに関する、必ずしも知識が十分でなかったりという、普通の監督の世界での監督当局と銀行との対話が十分でないというようなことがあったという反省もあり、そういうことも広い意味でのギャップとして捉えて、そこを埋めていくという努力も含まれるように思います。

問)

鈴木大臣にお伺いしたいんですけれども、今市場では米国の債務上限問題というのが大きな注目を集めています。今回のG7でどういった議論があったのか、そこから起こるリスクについてどういった議論があったのか、お願いします。

大臣)

G7のワーキングディナーでは、世界経済の状況や各国の財政・金融上の課題について幅広く意見交換が行われました。イエレン長官から米国の債務上限問題についても言及がございました。ただ、こういう国際会議等の原則といたしまして、各国の発言については、自分の発言はしゃべっていいということですが、各国の発言については対外言及をしないというのがルールであるということでありますので、言及があったという、その事実関係だけ申し上げまして、詳細については控えさせていただきたいと思います。

問)

植田総裁にお伺いします。パラグラフの6でインフレについて書かれているところなんですけれども、インフレ率は引き続き高く、中央銀行は物価の安定を達成することに引き続き強くコミットしていくというのは、4月の声明にもこのとおり書かれていたんですが、今回それに「それぞれのマンデートに沿って」という言葉が付け加えられています。これは一見当たり前のことが書かれているんですけれども、相次ぐ利上げが世界経済の下押し圧力になるとか、あるいは債券価格の下落が金融機関にもマイナスの影響を与えているという認識のもとで、これまでのインフレを抑えるということと、もう1つ景気に配慮するというバランスの意味で、ちょっと変化があったのか、その辺どういう議論が行われていたのか聞かせていただければと思います。それから同じパラグラフの中で、「中央銀行は、各国間の負の波及効果の抑制に資するよう、政策スタンスについて明確に意思疎通を行う」というふうに書かれているんですけれども、これはどういうインプリケーションでこういうことが書かれているのか、どういう意味合いで書かれているのか、聞かせていただければと思います。

総裁)

まず前段でございますけれども、一般的な、どこの国がということではなくて、割と平均的な中央銀行総裁方の認識として、いわゆるヘッドラインのインフレ率はだんだん下がり始めているけれども、少なくとも一部の国ではいわゆるコアのインフレ率ですか、これがまだまだ粘着的である、あるいは下がり方がゆっくりであるという認識が1つあるように思いました。その中でやはり一部の国ですけれども、もう少し利上げが続くという国もあるような感じでございます。ただ、その中で多くの国で、日本を除いてですけれども、かなりの利上げが既に行われていますので、その一方でコアのインフレ率は、まだちょっと下がり方がゆっくりであるという認識があるわけですが、その中でこれまでの利上げの経済、あるいはインフレ率への影響が完全に十分出尽くしたのかというと必ずしもそうではない、まだこれから出てくる部分もあるであろうという問題意識を皆さん持っていらっしゃいまして、その部分に十分配慮しつつ、今後の政策運営を考えていきたいという認識が多かったように感じました。
 それから後段の政策の海外への波及効果等に注意しつつというところですけれども、それは非常に一般論になってしまいますが、自分の国の政策の変化が様々なルートを通じてほかの国にどういうふうに波及しているのか、そしてそれがまた自分の国にどういうふうにフィードバックしてくるのかということについて情報を得るということは非常に大事ですので、その情報を得るための情報交換の場として今回のような会議が非常に重要であるということかと思います。

問)

大臣にサプライチェーンに関連してお伺いいたします。今回、RISEという枠組みを年内に立ち上げるということで、先程財務官からもお話がありましたけれども、改めて大臣にRISEに期待するところ、意義についてお伺いしたいのと、あとサプライチェーンに関連しましては、こうしたサプライチェーンの囲い込みが行き過ぎると自由貿易の分断が生まれたりだとか、第2の冷戦になるんじゃないかという指摘もありますけれども、そうした懸念に対してはどういうふうにお考えなのか、お願いいたします。

大臣)

RISEでありますけれども、今後世界的に需要の大幅な増加が見込まれますクリーン・エネルギー関連製品、これのサプライチェーンにおきまして低所得国・中所得国がより大きな役割を果たせるように協力するためのものであります。これは2つの側面があると思いまして、1つは低所得国・中所得国の産業の高度化、こうしたものにつながり、それを通じて持続可能な発展に貢献できるということ、そしてもう1つは、これらの製品を安定的に供給ができる、そういうサプライチェーンが構築されるということで日本を含めて世界的な取組の下支えになるんだと、こういうふうに思っております。RISEにつきましても、今回のG7の会合でも期待感があったわけであります。期待感以上の、もう少し大きなものがあったわけでありますが、具体的な仕組み、資金規模、それから対象となる国につきましては、今後G7、同志国及び世界銀行等の国際機関とともに検討をしてまいりたいと、そういうふうに思っているところでございます。我々、パンデミックを通じて、サプライチェーンがあまりにも1つのところに集中していることによる弊害というものが分かったわけでありますので、そういう意味、経済安全保障の意味合いからも、こうした、1つだけではなくて幅広い、しかもこれから発展しようとする中所得国・低所得国がその一翼を担っていただくために我々が支援をしていくと、それがまた我々の利益にもつながると、このように考えているところです。

(以上)

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