鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年5月23日(火曜)10時01分~10時15分)

【質疑応答】

問)

防衛費増額の財源確保特別措置法案が本日衆議院を通過する見通しです。法案は今後5年間の税外収入を確保するものですが、それ以降の税外収入については、大臣が年度によって変動が生じ得るとご説明しているように、毎年度0.9兆円が確保できるのか不透明です。税外収入を安定財源とする根拠についてお考えを聞かせてください。
もう1問、防衛費の財源に関して伺います。決算剰余金の活用についてなんですが、直近10年間の平均をもとに年0.7兆円を確保するとされていますが、年度によって決算剰余金の額には大きなばらつきがあります。特に2020年度の剰余金が平均額を押し上げている面もあります。大臣は国会答弁で一定の基本額に基づく財源と述べていらっしゃいますが、見通しは甘くないのでしょうか。改めて認識をお聞かせください。

答)
まず1問目ですが、ご指摘がございましたけれども、税外収入は年度によって変動が生じ得るものです。その意味では、単年度で見れば毎年安定的に収入が見込まれるわけではありませんけれども、個別具体的な収入ではなく、税外収入全体で見ますと、令和5年度予算において、あらゆる財源の精査を行うことによりまして、今後5年間の防衛力強化のための経費に充てられる税外収入4.6兆円を確保できたことも踏まえまして、年平均0.9兆円程度の財源を確保できるよう、引き続き、更なる税外収入の確保に努めていきたいと、このように考えております。
その上で、今般の財源確保法案によって創設する防衛力強化資金を活用することによって、防衛力の整備に計画的・安定的に充てていくことができると、そのように考えております。
そして2問目でありますが、1問目も2問目も複数回、委員会で質問を受けておりますので、議事録等を見ていただければと思いますけれども、2問目につきましても、国会で答弁しておりますとおりに、防衛力強化の財源措置としての決算剰余金の活用につきましては、直近10年間、平成24年度から令和3年度まででありますけれども、この平均が1.4兆円程度であることを踏まえまして、財政法上、公債または借入金の償還財源に充てるべき2分の1、これを除きます残りの2分の1の0.7兆円程度を活用見込額として見込んでいるところでありまして、過去の実績を踏まえた見通しに基づく財源であると考えております。
その中で、委員会でもご質問がありましたけれども、令和2年度の決算剰余金の額が、他の年度の決算剰余金に比べて多額であることでありますが、これは令和2年度の決算剰余金につきましても、特例公債法の規定に基づき、特例公債の発行額の抑制に努めた後の金額であること、そして決算剰余金の金額の大きさは、その時々の経済情勢等に応じた歳出や税収等の歳入の動向に左右されるものであることを考えますと、今後の決算剰余金の活用額を見込むに当たって過去の一定期間の平均値を算出する際、ある年度の決算剰余金が特に大きい、または特に小さいからといって、当該年度の決算剰余金を除くこと、これはかえって恣意的な見通しになるおそれがあると考えております。
このため、特定の年度の金額を除外せずに、機械的に一定期間における全ての年度の平均をとることは合理性があると、そのように考えております。
こうした点を踏まえまして、現在お示ししている直近の10年間の平均という考え方や1.4兆円程度という見通しの規模には合理性があるものと、そのように考えているところであります。
問)

昨日、こども未来戦略会議で、総理から子ども・子育て予算とか少子化対策の財源について、歳出改革を徹底して税負担の増加というのは求めないという旨の考えの表明がありました。この歳出改革、歳出削減なんですけれども、かなりの規模を捻出していかなくちゃいけないと思うのですけれども、これに関して恐らく社会保障が中心になると思うんですけれども、今後どういう形で歳出改革の議論を進めていくのか、現段階でどれくらいの規模の歳出改革を目指していくのか、ここら辺、考えがありましたらお伺いしたいんですけれども。

答)
まずこれからのことでありますけれども、年度内に小倉大臣からたたき台が出されて、総理が本部長を務める会議の中で6月の骨太の方針に向けて今議論を詰めているところであります。
子ども・子育ての政策強化をするものは何なのか、そしてそれの予算がどれぐらいあるのか、財源はどこに求めるのか、それを今まさに検討している最中でありますので、今時点でこういうものがあるということを申し上げることはできないということは、まず前提としてご理解をいただきたいと、そのように思います。
昨日開催されましたこども未来戦略会議におきまして、総理からは、何よりも徹底した歳出改革による財源確保を図ること、加速化プランを支える財源につきましては、国民的な理解が重要であり、全世代型社会保障を構築する観点から歳出改革の取組を徹底すること、安定財源確保に向けた歳出改革の積み上げ等には複数年を要することについて発言があったところであります。
歳出改革につきましては、こうしたことを前提として取り組んでいくものと、そのように考えております。
いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたとおり、これから、6月といってももう1か月しかないわけでありますので、最終的な詰めがこれからなされていくということだと思います。
問)

少子化対策の財源についてお聞きします。扶養控除を見直して児童手当拡充の財源に充てる案が政府内で浮上しているとの一部報道がありました。財源についてはまだ検討段階だとは思うんですけれども、扶養控除の在り方について現時点でどのようにお考えか、教えていただけますでしょうか。

答)
扶養控除の見直しということでございますが、報道があったということで、その詳細については承知しておりませんけれども、昨日のこども未来戦略会議におきまして、総理からは、少子化対策の財源確保のための消費税を含めた新たな税負担は考えていないことが大前提であるとの発言がありました。
そして扶養控除見直しということについて関連して言いますと、児童手当の充実を検討する際には、歳出と税制の在り方を総合的に考える中で、扶養控除との関係を整理する必要があると、そのように考えておりますけれども、これは少子化対策の財源確保を目的として検討されるべき事柄ではないと、そのように考えてございます。
いずれにいたしましても、6月に向けて今検討中でございますし、児童手当の扱いもこれからどうするかということでありますので、そういう中で扶養控除の見直しということ、これは歳出と税制の在り方ということを考える中でそういう整理が必要になるのではないかという、そういう問題意識は持っているところであります。
問)

今週スリランカの大統領が日本に来られるそうなんですけれども、大臣としては面会をされるご予定はあるのかということと、債務問題についてどういう話し合いがなされるのか、ご所見をお願いします。

答)
まだ具体的なことは申し上げられませんけれども、おいでになった際にはお会いする方向で今調整をしていると、こういうことでございます。
スリランカは中所得国でございますので、低所得国と違ってG20等で確認されております「共通枠組」の外にあるわけであります。債務問題につきまして、このことにつきましては、4月のワシントンにおきまして、日本、それからフランス、そしてインドで新しい枠組みというものの提唱をしたところでございます。これは画期的なことであると、そのように考えておりますが、ぜひこういう枠組みが機能するように、主には中国などにも参加してもらうということだと思いますけれども、そういうような取組をする中で債務再編の問題、日本も貢献していければと、そのように思っております。
問)

子ども財源の話に戻らせていただくんですが、先程の質問に対する答えをお伺いする限り、いわゆる扶養控除の見直しなどの議論はしますが、それはいわゆる総理のおっしゃっている子ども政策の財源捻出のための歳出削減、歳出の見直しということとは別で、そういった控除の見直しとは別に、さらに歳出削減をやっていくということなんでしょうか。

答)
歳出削減でなくて、児童手当で給付がされているわけですから、それに対する扶養控除の見直しというのは、これは一般的に歳出と税制の在り方の中で、これとは別の問題でも常にそこは調整しなくちゃならないことであると、そのように思っております。
したがいまして、これは少子化対策の財源確保を目的として検討されているものではなくて、一般的にそうした扶養控除との関係は整理する必要性があるという、そういう問題意識を持っているということであります。
問)

そういった仕組みの見直しというのはない形で、果たして子ども政策に必要だと言われている財源が、どこから捻出できるのかというのが具体的なイメージができないんですが、果たしてあれほど大きい財源が必要だと言われる政策をやるのは本当に増税なくして可能なのでしょうか。

答)
今まさに6月に向けて議論をしているところでありますので、詳細について、まだ私から申し上げられる段階ではないということでご理解をいただきたいと、そのように思っております。
昨日もいろいろな議論がなされたわけでございまして、6月の骨太の方針に向けて、だんだん詰めている段階であるということをご了解いただきたいと思います。

(以上)

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