鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年5月26日(金曜)9時25分~9時37分)

冒頭発言

2点発言をさせていただきたいと思います。
昨日の夕方、来日中のスリランカのウィクラマシンハ大統領兼財務大臣と面会を行い、スリランカの債務問題への対応等について意見交換いたしました。
先方の発言内容は控えなければならないという決まりでありますけれども、私からは、大統領の要請に基づき、日本が債権国間の広範な協調を主導した結果、債権国会合が創設され、5月9日、その第1回の会合が開かれたこと、改革の着実な実施を期待していること、債務再編に当たり、透明性や公平性の確保が不可欠であること等をお伝えいたしました。
スリランカのような中所得国の債務再編において、新興債権国を含む債権国会合が創設されたことは画期的であると思います。日本は、引き続き、共同議長として議論を主導してまいりたいと思っています。
2つ目は、対外資産負債残高等についてでありますが、本日の閣議におきまして、令和4年末の対外資産負債残高等について、報告を行いました。
令和4年末の対外純資産は、前年末比で約0.7兆円増加して約419兆円となり、32年連続で世界最大の純資産国となっております。

【質疑応答】

問)

異次元の少子化対策に関してなんですけれども、3年間の集中取組期間の財源を賄うための財源措置に関して、こども特例公債を発行するというふうな報道があります。大臣はかねて少子化対策の財源については安定財源が必要だという趣旨の発言をされております。もし国債発行で財源措置を賄うとすれば、それはどのような合理的な理由があるのか、この点についてまず伺いたいと思います。

答)
まず、少子化対策、それに関わる財源の問題でありますけれども、これはご承知のとおり3月にたたき台が出まして、総理のもとで、どういう政策が必要か、その内容、それから予算、財源について、今検討が行われている、まさにその最中であります。
そして、与党の議論もこれから行われ、その与党の意見も今後最終的に取りまとめるという状況でありますので、今確たるものが決まっているわけではございませんし、そういう意味で、私から確たることを発言することはできない、まだそういう状況にあるということ、それを前提としてお聞きいただきたいと、このように思います。
その上で、先日開催されましたこども未来戦略会議におきまして、総理からは、2030年までの少子化対策のラストチャンスを逃がさないこと、安定財源確保に向けた歳出改革の積み上げ等や賃上げ・投資促進等の取組には複数年を要するが、強化された少子化対策は、それを待つことなく、前倒しで速やかに実行に移していく旨の発言がございました。
こうした、前倒しで速やかに実行に移していくというような考え方、発言を踏まえて、ご指摘のような報道がなされているのではないかと考えますが、こども・子育て政策強化における加速化プランの事業実施の具体的なタイミングでありますとか、それを支える安定財源のあり方については、現在まさに検討中であるわけでありまして、予断を持ってお答えすることはできないということはご理解いただきたいと思います。
いずれにいたしましても、恒久的な施策には、恒久的な財源が必要であり、こども政策を強力に進めていくために必要な財源について、社会全体で安定的に支えていく必要がある、そのように考えております。
問)

同じく少子化対策に関してなんですけれども、先日の会議の中で、総理は、財源確保に当たって、国民の実質的な負担を最大限抑制すると、そういうお考えを表明されました。一方で、政府は少子化対策の財源について公的医療保険の活用を検討している、これもそういった報道がなされておるところですけれども、政府として公的医療保険料への上乗せなど国民負担となる措置というのは一切とらない方針なのか、その総理発言との関係のところで大臣の考えをお伺いできますでしょうか。

答)
これも先程申し上げましたとおり、今まさに検討の最中であるということでありますが、その上で申し上げますと、22日に開催されましたこども未来戦略会議におきまして、総理からは、少子化対策の財源確保のための消費税を含めた新たな税負担は考えていないことを前提に、徹底した歳出改革による財源確保や、こうした歳出改革の徹底により、国民の実質的な負担を最大限抑制することなどの方向性が示されるとともに、こうした方向性に基づき、企業を含め社会・経済の参加者全体が連帯し、公平な立場で、子育て世帯を広く支援していく新たな枠組みについて検討する旨、示されたところであります。
こうした総理指示の内容を踏まえ、必要な政策強化の内容、予算、財源について、こども未来戦略会議において更に具体的な検討を深めまして、6月の骨太方針までに、将来的なこども・子育て予算倍増に向けた大筋を提示していくものと、そのように承知をしております。
現段階、今まさに検討中であるという状況の中で申し上げますと、以上のとおりであります。
問)

ドル円が半年ぶりに140円台に達しまして円安が再加速しているのではないかと見受けられるんですけれども、財務省としてこちら受止めはございますでしょうか。

答)
為替相場につきましては、市場において、ファンダメンタルズに基づいて決められていくということでございます。
今までも、中身についてのコメントは、私の不用意な発言が何か市場に影響を与えてはいけませんので、いたしておりませんけれども、今後とも市場の動向をしっかりと見ていくということ、今もずっとウォッチングしていますけれども、しっかりと見ていきたいと考えております。
問)

こどもの関係でしつこくて恐縮なんですけれども、今も大臣は一貫して財源等々について検討中ということをおっしゃっていますけれども、先日の記者会見で、児童手当を拡充した場合の扶養控除の見直しについては一定程度の言及をされたんですけれども、ほかのことについては検討中としながら、扶養控除の見直しについては言及されるということについて、改めてご説明をしていただけるとありがたいです。

答)
先般の記者会見のときに申し上げましたけれども、そういう問題意識を今持っているということを申し上げたところでございまして、これにつきましても、扶養控除をいじるのか、いじらないのか、これについても現在決まっているものはないわけでございます。
先般の記者会見のときにも申し上げましたけれども、これは問題意識を申し上げるわけでありますけれども、児童手当の拡充を検討する際には、これまでの児童手当をめぐる制度改正の経緯もありまして、歳出と税制の在り方を総合的に考える中で、扶養控除との関係をどう考えるか、整理する必要があると、そのように考えております。
少子化対策の財源確保を目的として検討される事柄ではないということも、先般申し上げたところでございます。
いずれにつきましても、今まさに検討の最中でありまして、間もなく、6月の骨太の方針について、しっかりとした結論を出していくということでございます。そういう問題意識について、先般申し上げたというところであります。
問)

アメリカの債務上限問題についてお伺いしたいと思います。債務上限問題で、米国債がデフォルトになった場合に世界の金融市場の混乱は避けられないとの見方があります。大臣、そうなった場合の日本経済への影響をどう考えていらっしゃるか、また財務省として、その場合どういった対応を検討されているのか伺えますでしょうか。

答)
米国で、今、債務上限引上げ等に向けた議論が行われているということで、もちろん私も含めて注目をしているところでございますが、こうした中で、仮に米国債がデフォルトすれば、世界経済・金融に大きな影響を及ぼしかねない問題であるといった指摘が様々な方面からなされているということ、これは承知をしておりますが、当該議論に関する見通しがどうなのか、仮に米国債がデフォルトした場合の影響等については、まだ今進行中で、仮定に基づく他国の重要な政策に関わるご質問でありますし、また、私の発言が、市場等に影響を及ぼす可能性もありますので、具体的にお答えすることは控えさせていただきたいと思います。
いずれにいたしましても、引き続き米国の債務状況をめぐる動向、これについては注視をしていきたいと、そう思っております。

(以上)

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