鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年6月16日(金曜)9時36分~9時44分)

【質疑応答】

問)

昨日、防衛力強化のための財源確保法案が参院の財政金融委員会で可決されました。野党各党は決算剰余金の活用であったり、歳出改革を通じた財源確保の裏付けが曖昧であるといったことですとか増税で財源を確保するということを理由に法案に反対しました。実質的な審議は終わったわけですけれども、こうした野党の主張に対する大臣の受け止めと税制措置を含めて今後の安定財源確保に向けた考えを改めてお伺いできますでしょうか。

答)

昨日、参議院の委員会で可決いたしまして、今日はこの後10時からの本会議でかかるわけでありますけれども、抜本的に強化される防衛力の維持・強化を安定的に支えるため、昨年末に閣議決定をいたしました防衛力整備計画において、歳出改革、決算剰余金、税外収入、税制措置を通じて財源を確保する方針が示されているところであります。
このうち、歳出改革や決算剰余金の活用などについて、これまでの衆参の国会審議におきまして、財源の裏付けとしては不十分ではないかなどのご意見をいただいたところでございますが、これについて申し上げますと、まず、歳出改革につきましては、骨太方針に沿って改革を実質的に継続した結果、令和5年度予算において2,100億円程度の防衛関係費の増額を確保できたことを踏まえれば、今後も同様の改革を継続することで、しっかりと財源を確保できると考えております。
また、税外収入、決算剰余金の活用についても、令和5年度における税外収入の確保の実績や、過去10年間における決算剰余金の実績を踏まえれば、必要な財源を確実に確保できると考えております。
さらに、税制措置につきましても様々なご指摘がありましたが、政府としては、税制措置による国民の負担をできるだけ抑えるという観点から、歳出改革などの行財政改革を最大限行うこととしたこと、所得税については、現下の家計の負担増にならないよう復興特別所得税の税率を引き下げることで、新たな付加税と合わせた税率が変わらないようにしたこと、復興特別所得税の税率の引下げとともに課税期間を延長することで、復興財源の総額を確保し、復興事業に影響が及ばないようにしていること、法人税につきましては、地域経済・雇用を支える中小企業に配慮し、税額控除により全法人の94%は対象外となっていることなど、国民生活や企業活動への影響に最大限配慮するため様々な工夫を行ったところでございます。
政府として、こうした取組について、引き続き、国民の皆さんにご理解を深めていただけますように、折に触れまして丁寧な説明を国会でもやってきたつもりでありますけれども、今後とも丁寧な説明を行っていきたいと考えているところです。

問)

防衛財源に関連して伺います。参議院が開いた地方公聴会では東日本大震災の被災地の方から財源確保策について被災者の願いに反しているというような批判の声があったんですが、被災地からこういう批判や反対の声が上がっていることについて大臣どのようにお考えでしょうか。

答)

私も被災を受けた岩手県の出身でありますので、復興にかける願い、そういうものが被災地の人は大変大きいということ、これは実感として思っております。
そうした復興を完遂するための思いが強い中において、その財源については、やはり被災地の方々、大変に強い思いを持っている、それが今回のことについて不安につながっているという面、これはあるんだということは分かります。
12日に開かれました参議院の地方公聴会、それの中身も少し読ませていただきましたけれども、私共としては、復興財源について言えば、期間は延ばすといっても必ず確保すると。それからこれを償還財源とした復興債、これもタイムリーに行うことによって、復興事業には影響を与えないと。最後まで復興完遂のために責任を持ってやっていくと。東北の復興なくして日本の再生なしということはずっと言っているわけでありますから、そうした思いを理解していただくように、特に被災地の皆さん、それから2038年以降も継続をするわけでありますので、若い世代の皆さんに、これまた丁寧にご説明をしていくということだと思います。

問)

為替市場で今週のFOMCの決定を受けて円安が進みました。本日、日銀の方は大規模緩和継続という見通しで、さらなる円安含みの展開だという指摘もありますけれども、改めまして今の円安についてのご所見と、あと政府としての対応についてお伺いしたいと思います。

答)

まず、為替の相場については、財務大臣という立場からコメントはしないということでございます。
基本的には、為替の水準というのは市場の中でファンダメンタルズを反映される形で決まってくると、市場において決まるものであります。過度の変動というものは好ましくないわけでありますので、安定的に推移するということ、これが望ましいわけでありますので、まず、注意深くこれからも見てまいりたいと思っております。
その上で、欧米の中央銀行において、米国では政策金利の据え置きが決定されたとともに、FOMC参加者の予想として、今後2023年末までに、0.50%の利上げを行うことが示唆されたこと、欧州では政策金利の引上げが公表されたこと、これは承知をいたしております。
各国の金融政策は、それぞれの国の経済・物価情勢等に応じて実施されるものと理解しておりますが、それらの金融政策により日本経済や世界経済にどのような影響が生じるか、引き続き注視してまいりたいと思います。
また、日銀の金融政策決定会合につきましては、昨日から引き続き議論が行われているところであり、今何か申し上げることは控えたいと思っております。
日本銀行には、引き続き、政府と密接に連携を図りつつ、物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指し、しっかりと取り組んでいただくことを期待をしているところであります。

(以上)

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