鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要

(令和5年6月29日(木曜)16時45分~17時05分)

【冒頭発言】

先程、日韓財務対話を、2016年以来約7年ぶりに開催いたしました。
本財務対話では、世界経済と地域経済及び多国間・二国間における協力について幅広く議論し、多岐にわたる事項について合意を得ました。
主なポイントとして、まず、世界経済・地域経済の見通しについて不確実性が高まる中で、域内の経済成長を支え金融の安定を維持する政策に機動的に取り組むことを確認しました。
また、ロシアのウクライナに対する侵略戦争や北朝鮮のミサイル発射について、共に強く非難しました。
次に、G20について、債務、MDBs、保健等の分野における連携を確認しました。また、先月新潟で開催されましたG7とパートナー国との対話セッションにおいて日本から提案したRISEイニシアティブについても協力に合意しました。
第三国におけるインフラ協力については、脱炭素化やサプライチェーンの強靱化に共に対応していくための覚書を先程JBICと韓国輸銀で締結いたしました。これに基づいて、両機関が具体的案件を積極的に組成していくことを期待いたします。
二国間及び地域の金融協力については、アジア域内の経済を支え、金融の安定を維持するために、域内の金融セーフティネットであるチェンマイ・イニシアティブや二国間通貨スワップ取極を強化していくことが必要との認識を共有いたしました。具体的には、チェンマイ・イニシアティブにおける緊急融資ファシリティを早期に創設することに合意したほか、100億ドルの日韓通貨スワップ取極の再開にも合意いたしました。
このほか、国際課税、税関協力、人事交流及び拡散金融対策などについても、具体的な協力の取組に合意をいたしました。

【質疑応答】

 
問)

今回およそ7年ぶりとなりましたが、今日をきっかけに日韓の経済関係がどのようなものになって、それが世界にどのような影響を及ぼすようになってほしいというふうな狙いがあるのかと、特に今日、国際協力銀行と韓国輸出入銀行が覚書を結んだんですが、特にインド太平洋地域をはじめとするインフラということを盛り込んでいると思うんですが、この覚書をこのタイミングで結んだ意義ということについて、もう少しお考えをお聞かせください。

答)

7年ぶりの日韓財務対話を再開をいたしまして、両国間の財務トラックにおけます様々な課題について、率直な有意義な対話ができたと、そのように思っております。
いずれにしても、日本と韓国は隣国でありますし、様々な面で協力をしていく、韓国も新しい政権になって、その後、岸田総理とユン大統領の首脳会談も2度にわたってやっておりまして、シャトル首脳外交も再開するというような流れの中で、財務トラックにおいても、当然そうしたことに歩調を合わせて対話をしていくということであります。そういう位置付けで7年ぶりに再開したということです。
それからJBICと韓国輸銀のことでございますけれども、やはり今日も話題に出たわけでありますけれども、例えば第三国におけるインフラの協力ということ、それから脱炭素化やサプライチェーンの強靱化、こういうことを両国で協力してやっていこうという中において、JBICと韓国輸銀で覚書を締結、今までも両機関は協力的に力を合わせてやってきたという実績があるということは聞いておりますが、覚書を交わすことによって、より今後の事業展開にプラスになると、はずみがつくと、そういうことになるのではないかなと私も期待をしているところです。

問)

通貨スワップ再開というのは8年ぶりになるわけですよね。これ自体、いろいろな形で日韓関係が崩れて、そういった中で通貨スワップをやめるという判断をしたわけですけれども、8年ぶりに通貨スワップを再開することで合意に至ったということを大臣としてどう考えられているのかということと、先日もアメリカの政府が来ていたのでアメリカの高官なんかにも聞いたんですけれども、アメリカ側から見ると、やはり日韓の融和に努力したのは韓国のユン大統領がやったことが大きいと。だからこそ、アメリカは韓国の大統領を国賓でホワイトハウスに呼んでという待遇をしたと。そういう意味で、アメリカから見ると、韓国主導で今回の融和が進んできて、それが今回の通貨スワップの再開にも至ったということだと思うんですけれども、それ自体、日本の主体性が、アメリカから見たときに見えないという部分があるんですけれども、そういった部分は大臣はどういうふうに考えますか。

答)

日韓の通貨スワップを再開するということに合意をしたわけでありますけれども、これは、今後アジア域内の経済を支えて、また金融の安定を維持するためには、域内の金融セーフティネットである、先程申し上げましたチェンマイ・イニシアティブと共に二国間の通貨スワップ取極を強化していくことが必要だと、そういう認識を両国で共有をしたということでありまして、これは今お話がございましたようなことというよりも、むしろ両国の同じ思い、同じ認識、それが一致したという中において再開をしていこうという合意になったところでございます。
アメリカの大統領がどう言っているかということは、ちょっと私も承知をしておりませんので分かりませんけれども、私の知る限りにおいては、この財務対話をするに当たってのいろいろな下準備ですね、そういうやりとりの中で共通の認識に至ったので再開したと、こういうことです。

問)

通貨スワップは通貨の補完的な信認にもつながると思うんですけれども、これはマーケットが注目していることでもあったので、一方で円安がどんどん進んでいて145円も見える段階に来ているわけですけれども、今回の通貨スワップが円の信認に与える影響をどういうふうに感じていらっしゃるか、それと足元の円安についてどういうふうにご覧になっているか、145円で介入があるんじゃないかという話もありますけれども、基本はそういうものにコメントしないという前提はよく分かっているんですけれども、かなりこの間、半年ぶりぐらいの円安水準にもなっているので、ぜひ大臣のご見解をいただきたいと。

答)

今回の通貨スワップですけれども、日本も韓国も、特に韓国はその後の外貨準備高を相当積み上げておりますし、日本も足元十分な外貨準備が積み上がっているということでありますので、いざということ、これが発動されるということがあるのかないのか、それは分からないわけです。むしろ当面はないんだと、このように思っておりますが、いずれにしても、いざというときの備えをすることは、円に対する、それからウォンに対する信認についていえばプラスに働くということになるんだと思います。いざというときにもこういう機能が補完的にあると、こういうことですから。ただ、繰り返しになりますが、両国とも、足元においては十分な外貨準備は積み上がっていると、こういうことであると思います。
それから毎度同じ答えぶりでということでありますが、今、ドル円ベースの為替の状況ですけれども、これについては、私が直接今の水準をどう見るかということは、これはやはり申し上げませんけれども、しかし、やはり一方的な動きでありますとか、安定的でない動きというのは好ましくないわけであります。したがいまして、我々もより緊張感を持って、今、市場の動きというものを見ているところであります。行き過ぎた動きというものがあるとするならば、あらゆるオプションを排除しないで必要な対応をとるということ、これは従前から言っていることでありますけれども、基本その考えに変更はございません。

問)

今の為替相場の動きは過度である、ラピッドであるとかボラタイルである、過度に変動しているというものに近づいているというふうにご覧になりますか。

答)

それを申し上げますとその先の話につながっていきますので、申し上げません。

問)

先程の質問とも少しかぶるんですけれども、通貨スワップに関しては、大臣もおっしゃったように、外貨準備高は当時の状況と変わって韓国もかなり積み増されていると思うんです。一方で、この問題に関しては、当時の菅官房長官が少女像が設置されたことへの対抗措置として協議再開を中断したこともありまして、そうした中で改めて何でこのタイミングで再開で合意されたのか、その考え方をお願いいたします。

答)

通貨スワップの取極の取扱いにつきましては、政府として、当時の安倍総理の国会におけます答弁でありますけれども、情勢を総合的に考慮しながら判断していくと、こういうことでございます。
それで先程私も触れたつもりですけれども、足元の日韓関係を見てみますと、本年3月に首脳会談が行われまして、それ以降、多岐にわたる分野での政府間の対話と協力が再開をされてきているという、そういう大きな流れがございます。そういう中で、財務当局間でも地域や国際社会における様々な課題に協力して対応するとの認識を共有するなど、信頼関係が財務トラックにおいても構築されてきていると、このように思っております。
そういう中で、先程申し上げたような様々な課題、二国間で協力すべき様々な課題もあるわけでございますので、二国間通貨スワップの取極を強化することが必要であると、そういう認識に至ったということであります。
ですから情勢というのは、年々歳々変化するということだと思いますので、情勢を総合的に考慮しながら判断していくということで、まさにそうしたことに沿って判断をして再開をしたということであります。

問)

話題が違うので恐縮なんですけれども、スリランカの大統領が債務の再編に絡んで、債務のヘアカットを求めているんですけれども、30%、特に外国人投資家に求めているという報道が今日あったんですけれども、改めまして今のスリランカとの債務の再編の協議の進捗状況、それから今後についてお伺いしたいと思います。

答)

申し訳ありません、30%という数字を述べられましたけれども、そのことについて、まだ私も情報に接していませんので、お答えしかねます。

問)

通貨スワップがなかったこと自体が異常だったとも思うんですけれども、ただ、ここに至って7年ぶりに再開されたと。チュ財務相との会話の中で、お二人の間でどういう話をされて、どういう意見交換があったのか、それはやっと元に戻ったねということなのか、これから前に行こうということなのか、どんなやりとりがあったのかを、認識の交換なり。

答)

こういう国際会議では、先方の発言については先方の了解を得ないと示さないという、そういうルールがありますので、具体的なことを申し上げることはできませんけれども、もちろん韓国側からも通貨スワップのことについては発言がございました。
先程申し上げましたとおりに、両国とも再開の必要性ということについて認識を一致したということでありますので、そうした認識の一致から再開をすることにしたと、こういうことです。

問)

大臣としては安心したという感じなんでしょうか。ご自身としての感想というか、今の思いというのはどういう感じでしょうか。

答)

去年9月でしたか、24年ぶりの為替介入をいたしました。そういう経験を踏まえますと、先程申し上げましたとおり、足元では外貨準備は十分ですけれども、さらにそれに加えて、いざというときの備えがあるということは、これは評価できることでないかと、そのように思っています。

問)

今回の日韓財務対話で途上国の債務問題とかも議題に上ったと思うんですが、中国について話題に上ったのか、また今回の日韓財務対話が対中国という意味ではどのように大臣としては捉えられているのか、また質の高いインフラと掲げられていますが、これは中国の一帯一路、こういったものを念頭に置いたものなのかについてもお願いいたします。

答)

答えの順番は前後しますけれども、質の高いインフラというのは、かねてより、G7、G20などの会合におきまして日本から言っていることであります。
実際にインドネシアの財務大臣などからも大変に都市のインフラ整備が必要であるということで、日本の質の高いインフラの整備の評価というものは高いものがあるなということを、これまで私は感覚的に感じてまいりました。
そういう意味で、今回JBICと韓国輸銀が覚書をしたということも、それも1つのつながりがあるんだと、このように思いますが、やはり韓国と日本が協力をしながら、主にアジア太平洋地域においてですね、第三国におけるそうしたインフラ整備に対する協力、そういうことをやっていこうということは今日の会議でも話題になりました。
それから具体的な債務再編の話は、特に出ませんでした。

問)

この財務対話、対中国という意味ではどのような意味合いを持つのかということについてお願いできますでしょうか。

答)

あくまでこれは二国間の財務対話を7年ぶりに再開したということでありまして、こういう会議を持つことに当たって、何か第三国、特定の国を念頭に置いて開催するというものではないわけであります。
別に中国を意識してこの対話を再開したということではありませんし、ですから対話の中においても、特に中国を意識して両国でどうこうしようとか、そういうことは全くありません。

(以上)

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