鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年7月4日(火曜)11時03分~11時15分)

【質疑応答】

問)

3日に令和4年度決算が発表されました。税収が71.1兆円と過去最多となったことの受け止めとその要因をどう分析されているかを教えてください。
また、決算では剰余金も2.6兆円と発表されました。防衛費に1.3兆円を充てるとのことですが、増税の判断を柔軟にするための税外収入の上積み分とする可能性もあるのでしょうか。

答)

まず、令和4年度税収につきましては、昨日公表したとおり、過去最高の71.1兆円となりました。
これは、要因ということで申し上げますと、好調な企業収益や雇用・賃金・消費の増加によりまして、主要な税目で税収が増加したことが要因でありまして、令和4年度において、コロナ禍からの正常化が進んだことなどが背景にあるものと考えております。
そして、この決算で、ご指摘のとおり、2.6兆円の決算剰余金が生じる見込みであります。これと防衛財源との関係でありますが、決算剰余金につきましては、財政法上、公債等の償還財源に充てるべき2分の1を除きます、残りの2分の1の1.3兆円については、昨年末に決定した防衛力強化のための財源確保フレームに沿って、防衛力整備計画対象経費に充てることとなります。
その具体的な活用方法については、決算剰余金は、年度によって金額の上下の変動が生じる中で、防衛力強化資金を活用しながら、年平均で0.7兆円程度活用するとされていること、これが1つの論点といいますか、指摘であります。それから2つ目として、決算剰余金が想定よりも増加した場合には、防衛力整備の水準と予算編成に伴う防衛関係費の差額2.5兆円程度とされている部分に活用するとされていること、3つ目として、骨太方針2023において、税制措置の開始時期については、令和7年度以降のしかるべき時期とすることも可能となるように5兆円強の確保を目指す税外収入の上積みやその他の追加収入を含めた取組の状況を踏まえ、柔軟に判断するとされていることの3つの点がございますので、これらを踏まえまして、具体的には今後の予算編成過程で検討していくことになります。

問)

障害者総合支援法に基づく障害者相談支援事業で、市町村が民間事業者にこの事業を委託した場合の消費税の扱いについてお聞きします。国税庁は課税対象としているんですけれども、非課税と認識している自治体が多くて、中部6県の全114市のうち半数超が非課税としていることが分かりました。自治体や事業者によっては税務署から非課税だと間違った説明を受けたケースもあったようです。事業者は、今後、消費税の修正申告を迫られる場合も想定されます。なぜこのような認識が広がったのかについて、現状をどのように認識し、誤認している自治体や事業者にどう対応するのか、大臣の所見を伺います。また、中部地方に限らず、全国でも同様の問題があると見ていますけれども、財務省や国税庁として税務の正しい見解を周知したりするお考えはあるのかどうか教えてください。

答)

実務的なお話であると思います。市町村が行います障害者相談支援事業、これは民間事業者に委託をして行った場合も、社会福祉法上の社会福祉事業に該当せず、消費税の課税対象となるものと承知をいたしております。
一方、その取扱いについては、誤認する自治体が、ご指摘のように、一定数生じているものと認識をいたします。
本件につきましては、自治体や事業所の誤認を解消するため、国税庁においても、厚生労働省と連携の上、障害者相談支援事業が社会福祉法上の社会福祉事業に該当せず、消費税の課税対象となることについて周知していく予定と聞いているところであります。
実務的なことでありますので、詳細について国税庁にご確認をいただければいいのではないかと思います。

問)

財務省のマターではないのかもしれないんですけれども、アメリカの対中半導体規制に対して、中国が、昨日、半導体の素材となるガリウムの製品の輸出規制、レアメタルの輸出規制を発表しました。これが直接的・間接的に日本経済や日本の半導体産業に与える影響ですとか、アメリカとともに日本とオランダというのは、半導体製造装置の輸出規制を行っています。そういう関係から、今後、日本に矛先が向かうという懸念を指摘する声もありますけれども、その受け止めについてお願いします。

答)

その点については、所管省庁であります経産省、あるいは経済の動きにつきましては内閣府でございますので、そちらの方で分析が行われるんだと思います。
財務省は直接の所掌でないので、今、十分お答えできるものがございません。

問)

最初の質問にあった防衛との関係の決算剰余金のところで1点お伺いします。自民党の特命委員会の中では、財政法では2分の1は国債の返還などにすることについて、期限を区切って例外という形で、特例法などによって、剰余金全額を防衛に活用すべきだという意見も上がっておりますが、これについての大臣の受け止めをお願いします。

答)

決算剰余金をどう活用するかということの中で、与党内において様々な議論が行われている、その中におきまして、2分の1の国債整理基金への繰り入れルールの見直しというようなことが議論として出ているということは承知をいたしております。
決算剰余金については、改めて申し上げるまでもありませんが、従来より、公債等の償還に資するよう、財政法上の規定によりまして、少なくともその2分の1を公債費等の償還財源に充てることとされております。したがいまして、決算剰余金の2分の1については、公債等の償還に充て、残りの2分の1について防衛力強化の財源に充てることが基本であると、そのように考えます。したがいまして、防衛力強化のための財源確保のフレームを変更することは考えておりません。
その上で、先程も申し上げましたが、自民党特命委員会の提言でも触れられておりますが、過去の補正予算時の対応として、その時々の財政状況等に応じまして、歳出の追加財源について、剰余金特例法によりまして、決算剰余金の2分の1を超えた分を活用したことがあるということは事実であります。
防衛力整備計画の水準43兆円、これを達成していくに際しまして、どのように機動的・弾力的な対応を講じていくかにつきましては、今後の予算編成過程で検討する事柄でありまして、現時点で具体的に述べることはそもそも難しいわけでありますが、さらにその際、決算剰余金をどのように活用するかについては、その時点における財政状況でありますとか歳出歳入全体の動向、今般の財源確保のフレームや過去の対応との整理等も踏まえつつ、どうした対応が考えられるのか検討されることになると、そのように考えます。
 

問)

為替についてお伺いしたいんですけれども、先週イエレン財務長官が日本とは為替介入を含めたいろいろな協議をしているという旨の発言をされたんですけれども、改めまして、アメリカとどういうやり取りがあるのかということと、あと足元の円安のスピードについて大臣どのようにお考えなのか、改めてお伺いしたいと思います。

答)

為替の問題については、しばしばご質問いただいているところでありますが、イエレン長官が為替に関して日本政府と連携を取り合っているというような報道がなされたということは承知をしておりますが、為替の問題を含めまして、財務官レベルでアメリカと緊密な意思疎通を図っていること、これは事実でありますが、その内容については具体的に申し上げることは控えなければならないと思っております。
そして、為替相場やその対応についてでありますけれども、これもしばしばご質問いただいておりますが、為替については前回お答えしているとおりでありまして、特に今回追加で申し上げることはございません。前回お話ししたとおりであります。

(以上)

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