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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(令和5年9月13日(水曜)12時06分~12時24分)

【質疑応答】

問)

2期目を終えられて、この1年間で大臣が印象に残っている成果、また難しさを感じられたことについてお聞かせください。そして、今後の財務省・金融庁が直面していくであろう課題、それをどう乗り越えていくべきか、大臣のお考えをお願いします。

答)

まず手続的なことを申し上げますと、つい先程、臨時閣議が開かれまして、そこで辞表の取りまとめが行われました。そういうことでありますが、昨日、岸田総理から連絡がありまして、引き続き、財務大臣、そして金融担当大臣を継続するようにというお話がございました。内閣の発足は今夕ということになるんだと思いますが、そういう経緯がございますので、皆様方には引き続きお世話になることになると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
そこで、昨年8月10日再任したわけでありますが、1年間いろいろなことがあったと思います。印象に残っていることでありますが、やはり1つ目といたしましては、日本を取り巻く安全保障環境。かつてなく厳しい、そして複雑なものになっております。それに対応するために、国家安全保障戦略をはじめとする防衛3文書の改定、そして防衛力の抜本強化のための財源の確保の取組がございました。
特に、財源の確保につきましては、税外収入の確保等を行うための防衛財源確保法につきまして、私のみならず、井上副大臣、秋野副大臣をはじめ、主計、主税、理財、国際など各部局総動員で答弁に当たりまして、約70時間の国会での審議を経まして可決していただくことができました。これは困難な課題から逃げずに、正面から取り組むという岸田内閣の成果の1つであると、このように思っております。この審議の過程で私自身の不信任決議案が出ました。これも印象に残ったことの1つであります。
そしてもう1つ挙げるとするならば、ウクライナへの侵略に伴います世界経済に対する様々な影響、そして今年はG7の議長国でありますので、議長国としてのこうした課題に対する取組というものがあったと思います。
昨年2月にロシアのウクライナ侵略がありまして、それによって世界的な資源・食料価格の高騰の影響が生じたことに加えまして、発展途上国等の債務問題も深刻化いたしました。これらの地球規模での問題に対して、我が国は、G7やG20などの枠組みを通じまして、ロシアによる侵略戦争を強く非難するとともに、国際協調の重要性を絶えず訴えてきたところであります。
特に今年は、G7議長国として開催をいたしました5月の新潟会合におきまして、ウクライナ支援・ロシア制裁・途上国の債務問題といった喫緊の課題につき議論を主導し、G7の結束を示すことができたと、そのように考えております。
また、債務問題につきましては、本年4月にスリランカの債権国会合を我が国のリードによって立ち上げることができた、これは大きな成果であったと考えております。
そしてまた3点目になりますが、大きく変化する経済・物価・市場への対応があったと思います。先程申し上げましたようなウクライナ侵略によります原油・穀物などの価格高騰は、この1年間を通じて大きな課題であったと、そのように思っております。こうした課題に対して、政府としては、賃上げ促進税制など賃上げのための政策の総動員、また予備費などの活用によりまして、機動的・弾力的に物価高騰対策を講じてきたと考えています。
また、為替市場におきましても、昨年9月に24年ぶりとなりますドル売り円買いの為替介入を行い、続く10月にも、単月としては過去最大となる約6兆円のドル売り円買い介入を行ったこと、これも印象に残っている点であります。
今後とも経済や物価、市場の動向を適切に把握するとともに、的確な対応が必要であると考えております。
このほかにも、税制改正がありました。いわゆる1億円の壁と言われる問題に対して、適正化に向けた第一歩の措置を盛り込むことができたと思っております。
今後の課題ということもございましたが、財務省の課題は多岐にわたります。当面の課題としては、まずは、令和6年度予算編成があるんだと思います。令和6年度予算編成におきましては、歳出構造を平時に戻していく、そして緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないように取り組むといった骨太方針2023に記されております方針に沿って、財政健全化を進めていくことが重要であると考えております。
このほか、10月1日から始まりますインボイス制度の円滑な導入と定着の問題、また、まだ今年いっぱいG7の議長国でありますので、G7の議長としての役割など、引き続き様々な課題がございますが、これまで同様1つ1つ着実に取り組む必要があると考えています。
金融担当大臣という立場から申し上げますと、金融面につきましては、この1年間においても、新型コロナで影響を受けた事業者の皆さんへの支援に最優先に取り組んでまいりました。今後も資金繰り支援にとどまらず、事業者の実情に応じた経営改善・事業再生支援等が徹底されるよう、金融機関による取組を後押ししていく必要があると考えております。
また、新しい資本主義の下で、成長の果実が国民に広く還元される循環の実現を目指しまして、昨年11月に資産所得倍増プランを策定しました。このプランの1つの柱でありますのが、家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる、NISAの抜本的拡充・恒久化、これを令和5年度の税制改正で実現することができました。来年1月から新しいNISAが始まりますので、その普及・活用促進に取り組むとともに、金融経済教育の充実などにも取り組むことといたしております。
これに加えまして、今年は、6月に閣議決定された政府方針のとおり、資産運用立国の実現に向けて取り組むこととなります。新しい資本主義実現会議の下に、年内に具体的な政策プランを策定いたしますが、資産運用業の高度化やアセットオーナーの機能強化の推進に向けて、関係省庁と連携して具体的な施策の検討を進めていくこととしております。
また、今年の春、アメリカのシリコンバレーバンクの破綻など、金融機関の破綻が欧米で相次ぎました。そうした中で、SNS等の発信による急速な信用不安の拡大、それからネットバンキングの普及によります預金流出が急速に進むという状況、これを金融当局を含め、世界の金融関係者が経験をいたしました。現在、G20傘下の金融安定理事会等におきまして、金融システムの安定強化のために、今回の教訓を生かすための作業が進められております。こうした国際的な議論に貢献していくことが重要であると考えます。
そして最近の出来事でありますが、損害保険業界において、保険契約者保護の観点から不適切な事案が続けて発生いたしました。今もなお、事実関係の解明や発生原因も含む分析の途上にありますが、保険契約者保護に欠ける問題が認められた場合には、法令に基づき厳正に対処していく必要があると考えております。
このほか、金融行政では、サステナブルファイナンスの推進、デジタル社会の実現に向けた環境整備、マネロン対策やサイバーセキュリティの強化など、幅広い重要なテーマに今後も取り組むこととしております。
なお、本年の通常国会で、金融経済教育推進機構の設立等を盛り込みました関連法案が継続審査となりました。重要な法案でありますので、でき得る限り速やかな国会でのご審議をお願いしたいと考えておりますが、成立させていただいた場合には、速やかに施行できるように、前広に準備を進めてまいりたいと考えております。

問)

今週に入って長期金利が急上昇しておりまして、10年ものは0.720と9年ぶりの高水準を更新しています。背景にあるのは日銀の政策だとは思いますけれども、日銀の政策については、昨日、日銀にゆだねられるべきというコメントがありましたので、今日は、足元の金利上昇の受け止めと金融政策が正常化することに伴ってさらなる金利上昇が見込まれると思いますけれども、そういった金利上昇というのは資産運用面でメリットもあると思いますが、一方で住宅ローンを持つ家計とか財政とかいろいろなところに悪影響もあると思います。その面も含めてご見解をお伺いできればと思います。

答)

まず国債の金利でありますけれども、これは経済財政の状況でありますとか海外の市場の動向など、様々な要因を背景に市場において決まるものであります。したがいまして、今ご指摘になりました様々な点も含めまして、その動向や影響についてコメントすることは控えたいと思います。
政府といたしましては、今後とも国債の安定的な消化が確保されることが重要でありますので、適切な国債管理政策に努めてまいりまたいと、そのように思っております。
先般の会見での繰り返しになりますが、具体的な金融政策は日銀において決定されるものと、そのように思っておりますので、日銀の与えられた責務をしっかりと果たしていただくことを期待しているところであります。

問)

1点目は、昨日、岸田首相から続投の連絡を受けたとのことですけれども、その連絡を受けたときの率直な思い、ご感想を伺えればと思います。
2点目、先程、今後の財務省の課題についてお話しいただきましたけれども、この機会に、改めて特に防衛増税の実施時期についての考え方、あと退職金所得課税の見直しに関する考え方、この2つ、どう取り組んでいくか、ご見解を伺えればと思います。
3つ目、岸田首相が、インドでの内外記者会見で、経済対策について必要な予算に裏打ちされた思い切った内容の経済対策を実行したいとお話になられました。コロナ禍では数十兆円規模の経済対策を打ってきたわけですけれども、骨太方針2023では歳出構造を平時に戻すと記載されておりまして、それとの関連で経済対策の適切な規模感についてどう思われるのか伺えますでしょうか。

答)

まず、昨日の夕刻、総理から電話がございました。皆様方も含めて、事前のいろいろな情報が飛び交っておりましたけれども、実際に誰からも続投しろという話はなかったものですから、どうなのかなと思っていましたが、夕方の6時ぐらいに電話がありまして、引き続きやってほしいと、こういうことでしたので、それをお受けしたということであります。
先程も今後の課題を申し上げましたけれども、今後の課題の方が今までよりも大変難しい課題があるんだと、そう思っております。そういうものによほどしっかり頑張らなくちゃいけないなと、そのような思いを持っているところです。
それから税制改正についての話がございました。退職金の問題でありますとか、もう1つ、防衛の時期ですね、税負担をお願いする時期、これは税調において議論をいただくということであります。我々としては再来年度、来年度から我々の気持ちとしては時期、我々の気持ちとしてはなるべく早い方がいいと思っていますが、いずれにいたしましても、そこは与党税調にお任せをするということであります。まだ与党税調での議論が始まっていないわけでありますが、なるべく早く始めていただいて、一定の方向性を示していただかなければならないと、そのように思っております。
それから経済対策につきましては、その内容・規模は新内閣が発足したらそれに取り組むという総理のご発言でございましたので、まさにこれから内容についても規模についても決めていくということになるんだと思います。

問)

先程大臣がおっしゃったなるべく早い方がいいというのは、防衛増税の時期についてということでしょうか。

答)

そうですね、なるべく早くやっていただいた方がいいのではないかと、私自身そう思っております。

(以上)

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