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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年9月26日(火曜)11時03分~11時24分)
 

【質疑応答】

問)

本日、首相から指示がありました経済対策についてです。4-6月期の需給ギャップが若干ではありますけどもプラスとなり、需要不足が解消している中、経済対策を講じる意義について大臣のお考えをお聞かせください。
また、今後まとめる経済対策の中身が、コロナ禍のような需要をかき立てる取組みになると、政府が懸念している物価高を助長することにもなりかねないと思いますけれども、財務省としてそうしたリスクを念頭に査定する考えがあるかどうか、併せて教えてください。

答)

内閣府が発表いたしました本年4-6月期のGDPギャップ、これはプラス0.1%であると聞いております。しかし、我が国の経済については、消費や投資などの内需、また主要国の経済についても予断を許さない状況にあって、賃上げや投資拡大など、新たなステージに入れるかどうか正念場にある、そのように認識をいたしております。
こうした認識の下で、来月末を目途に取りまとめられる経済対策においては、本日の閣議における総理からの指示に沿って、急激な物価高から国民生活を守り、構造的賃上げと投資拡大の流れを強化するため、真に必要で効果的な政策を積み上げていくことが必要であると、そのように考えております。また、併せて、総理から指示のあったとおり、規制・制度改革の積極的な活用を図ることも重要であると考えております。
そしてまた、物価高を助長するリスクについてご指摘がありましたが、物価の変動については、今後のマクロ的な需要と供給の変動、家計や企業のインフレに対する予想など、様々な要因によって決まってくるものでありまして、財政出動が物価高騰を招くのか、一概に申し上げることは困難であると思います。
その上で、万が一にも、非効率的な財政出動が物価高騰を招くことがないように、日本が直面する物価動向を含めた経済情勢、社会課題など、様々な要素をしっかりと考慮に入れつつ、財務省としてもそれぞれの政策や予算の必要性、実効性、緊要性等について、しっかり査定をしていきたいと考えております。

問)

先ほどの質問にも関連するんですけれども、経済対策の中に来週始まるインボイス制度についても盛り込むといった話が過去出ていたかと思いますが、昨日、総理が発表した対策の柱には一見すると見当たらなかったかなと思います。柱のどこかに含まれているものなのか、それとも別途指示が出ているのかを教えてください。
また関連で、昨日も官邸前では大きな集会が開かれるなど、インボイス制度には反対の声もまだ根強いかと思います。反発の背景には何があると認識されているのか、制度上の課題なのか、あるいは周知がまだ不十分なのか、それともそれ以外何か別の理由があるのか、大臣のお考えをお聞かせください。

答)

まず、経済対策とインボイスに対する対応ということでありますが、今までも事業者等への支援について、制度の円滑な導入と定着に向けまして、政府を挙げた取引環境の整備、それから様々な媒体を用いた周知・広報の実施、税制におけます各種特例措置や各種補助金による支援の実施等を行ってきたところでございます。
先般の総理からの指示の中では、引き続き各省庁と連携して準備状況、施行状況をフォローアップして、把握された課題に対して必要な支援を実施していくことが重要であると、そのように考えております。いずれインボイスについては閣僚級会議を開催するということ、これは既に申し上げているところでありまして、そういう場を通じて、課題や問題点を把握して必要な対応を取っていくということであると思います。
そして10月1日から始まるということについて、昨日もインボイスに対する反対の集会があったということでございますが、財務省としては、インボイスの必要性、そういうことを今までも国会の場等を通じて申し上げてきたところでありますし、それから円滑な導入、円滑な定着に向けての幅広い措置ということもやってきたところであります。そういう意味で、この課税事業者への転換など、そういう登録につきましては随分進んできているということでございます。しかしまだ、いまだに不安を持っておられる小規模事業者の方々もおられるわけでありますので、引き続き丁寧な説明をしてご理解をいただきながら、安定した導入、定着に向けて、事業者の立場に立って、寄り添って進めていくことが大切なんじゃないかと、そのように思っています。

問)

総理が昨日、税収増を国民に適切に還元するとご発言されました。税収は3年連続で過去最高を更新していますが、一方で、コロナ禍で歳入の増加を大きく上回る歳出の拡大や国債の発行が続いております。現在の財政状況、日本経済の状況を踏まえて税収増を還元する余裕があるのかどうか、大臣のお考えをお聞かせください。

答)

昨日の総理の記者会見で税収増を還元すると、こういうようなお話がなされたところでございます。これにつきまして、まさにその中身につきましては、昨日、与党に基本的な部分を示した上で、検討を行ってもらうということにしておりますので、来月末までに経済対策をまとめるということの中で、具体的にそうした還元をするということが、どういう施策といいますか、どういうことでやっていくのかということが定まってくるんだと、そのように思います。
よく財政規律との関係でお話を伺っておりますけれども、本日も閣議がございまして、その場で総理から指示が改めてありました。先程申し上げましたとおり、今後、その具体的な施策の検討を進めて、その後に、その財源の裏づけとなります補正予算の編成に入っていくということになりますけれども、まずはその経済対策につきましても、あくまで真に必要で効果的な政策を積み上げていくという中で、その政策の裏づけとなる予算を確保するということになるんだと思います。
従いまして、財政規律というものが緩むことがないように、真に必要な政策の積み上げの中でしっかりと査定をしていく、そういうことで対応していきたいと思っています。

問)

まず為替の状況について、足元円安が一段と進んでいて、市場では1ドル150円の水準が視野に入ってきたとも言われています。足元の為替相場の動きについて現状どのように見ているのか、改めて教えていただきたいのと、2点目が経済対策について、総理の指示の中で法人税の減税という言葉が繰り返し出てきました。賃上げであるとか国内投資を促進するということなんですが、年末の税制改正に向けての大臣のお考え、どういう姿勢で臨まれるのか教えていただけますでしょうか。

答)

まず為替でございますが、これはもう繰り返しここでもお話ししているとおりでありまして、為替の水準というのは市場においてファンダメンタルズによって決まってくるものです。
我々はかねてより、過度な変動は好ましくない、安定的に変動すべきものであると、このように述べてまいりました。そして、アメリカをはじめ、海外の当局とも意思疎通を図っておりまして、過度の変動は好ましくないということについては、もう共有をしていると、このように思っております。
従って、私共としては、今の市場の動きを高い緊張感を持って見ているところでございますが、過度な変動ということにつきましては、あらゆる選択肢を排除することなく適正な対応を取っていきたいということ、これは先週もお話ししたと思いますけれども、それに今の段階で、新たにつけ加えるといいますか、変更することはございません。
それから税収のことでございますが、総理指示におきましては、経済対策の目的として、物価高に苦しむ国民を支えるため経済成長の成果について国民に対して適切な還元を行うこと、長年続けてきたコストカット型の経済からの転換を着実に図れるよう、強力に政策的後押しをすることの2つが掲げられているものと承知をしております。
そして、この2つの目的を達成するための経済対策における施策の中には、先程税制の話がございましたが、賃上げ税制の減税制度の強化、また戦略分野の国内投資促進や特許などの所得に対する減税制度の創設、またストックオプションの減税措置の充実といった税制措置の検討が含まれているものと承知しております。こうした税制措置の具体的な内容につきましては、年末にかけて与党税制調査会において議論されているものと承知をしておりまして、与党と緊密に連携をしていきたいと考えております。

問)

先程の質問のお答えについて確認したいんですけれども、インボイス制度、現段階も根強い反対の声、導入反対の声があるということの原因について、大臣としては既に新しく負担が増える方へのサポートとか救済措置というのは、もう十分だというふうにお考えなのでしょうか。

答)

基本的には、今までもご説明しておりますとおり、様々な経過措置というものがなされております。そういう中で、それについての説明というものも丁寧に行ってきていると思っております。ただ、いずれ閣僚級の会合において、進捗状況、準備状況、あるいは10月1日を過ぎた後の定着の状況、こういうものをしっかりフォローアップするということにしております。そういう中で、何かやるべきことがあれば、それはやっていくということになるんだと思いますが、今の時点におきましては、今までも相当積み重ねて幅広くやってきておりますので、そうしたことを徹底していく中で、安定した導入を図っていきたいと、そのように考えています。

問)

大臣が常々お話になっている契約者保護については、届出が義務づけられている不祥事件が何件あるか、各社がその中でどんな対応をしているかで契約者自身が自分の保険契約の適格性を判断することができると思います。過去5年にさかのぼって、損保ジャパンとビッグモーターが関係する不祥事件の状況を保険課に尋ねたところ、文書の存在を明らかにすること自体が特定会社の権利、競争上の地位、その他正当な利益を害するおそれがあると、保険会社に最大限配慮する回答でした。
そこで2点お尋ねします。社会的責任を自覚する企業であれば、不祥事件を届けざるを得ない状況が生じたら、それをなくすことに努力すると思います。なぜ金融庁は保険会社が金融庁に非協力的な態度をとると恐れるのでしょうか、大臣も同じようにお考えでしょうか。
2点目に保険課の回答には契約者保護の観点が全くありません。保険会社や代理店が言いよどむネガティブ情報があれば、金融庁がかわって開示する、それが公共としての役割、不祥事件の数すら明らかにしないことは契約者のどんな保護に役立つのか、大臣のご所見をお願いいたします。

答)

まず金融庁の立場についてお話しさせていただきたいと思います。金融庁におきましては、行政文書開示請求を受けた場合には、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、この規定に基づきまして、当該文書の開示、不開示を決定するということにしております。法律に基づいて行うということです。
ご指摘がございました不祥事件届出書については、保険業法に基づき提出されているものでありますが、その内容や件数を公にすることで、当該法人の競争上の利益を害するおそれ、当該金融機関が事実関係の報告・届出に対し非協力的ないし消極的な態度をとり、監督当局による正確な事実の把握を困難にするおそれがあることから、原則として存否も含めて開示をしない取扱いとしております。
一方において、不祥事件届出書に記載されている内容の件数について、当事者が公表するなどして既に周知の事実である場合には、こうした点による影響が生じないために、個人に関する情報などの不開示情報を除きまして開示することとしております。
金融庁におきましては、行政文書に係る開示請求については、情報公開法に則り適切に判断していくとともに、不祥事件届出書等で得られた情報も活用して、保険契約者保護の観点から厳正かつ適切に保険会社等を監督してまいりたいと思っております。
これが金融庁の立場でありまして、金融庁の長としての私もこういう方針でいるところであります。

問)

一部上場の保険会社というのは、金融庁が、そういう内容ではなくて、数を公表すると隠し立てをしたりとか、金融庁の行政に対して非協力的になるような姿勢をとる、そういう団体なんでしょうか。大臣もそう思われるんですか。

答)

これは不祥事件の届出件数を明らかにすると、不祥事件の内容などは多岐にわたるものであります。重いものから軽いものとあるんだと思いますが、単純に件数だけに着目して届出件数の多い事業者について、届出を行う事業者の事務管理の問題点や経営状況についての憶測を招き、つまり届出が少ないのと多いので、多い方には問題があるんじゃないかといった憶測を招き、事業者が競争上不利な立場に置かれるおそれがある、そういうことから開示をしない取扱いになっていると、そのように聞いているところでございます。
不祥事件届出書には、届出を行った事業者の自主的な調査に基づく当該不祥事件に係る非公表の内容を含む概要、発生原因分析、要改善事項等が含まれております。これを公表すると当該事業者の経営管理態勢、業務運営体制、当該事件に係る今後の対応方針の詳細などの内部情報が明らかになることになりまして、当該事業者の権利、競争上の地位などの利益を害するおそれがあるということから開示をしない取扱いとなっていると、そのように聞いているところでございます。
いずれにしても社会的な責任を持つ企業としては、しっかりとした報告をしていただくということが大事でありますし、そういうことを前提にして、こうした取扱いがあるんだと、そのように理解しております。

問)

そうすると当事者はもっと契約者に向き合って、情報を開示していく必要があるということですね。

答)

事実関係をしっかりと明らかにしていただくということが大切だと思います。

(以上)

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