G7財務大臣・中央銀行総裁会議議長国記者会見の概要

(令和5年10月12日(木曜)16時56分~17時09分)

鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田日本銀行総裁と神田財務官によるG7財務大臣・中央銀行総裁会議議長国記者会見の概要(日英同時通訳を媒介)は以下のとおり。

【冒頭発言】

大臣)

少しお待たせをいたしまして大変失礼しました。
先程まで日本が議長を務め、G7財務大臣・中央銀行総裁会議を開催いたしました。会議後、議論の成果をまとめた共同声明を発出しております。会議の主なポイントとして私から3点申し上げます。
まず、ウクライナのマルチェンコ財務大臣にも対面で参加をしていただき、ウクライナ支援について議論いたしました。今後予定されているIMF支援プログラムの第2次レビューが成功裏に完了できますように短期資金ニーズに対応していくとともに、ウクライナの復興再建への努力をG7として支援していくことを確認いたしました。
第2に、クリーンエネルギー関連製品のサプライチェーン強靱化に係るパートナーシップ、RISEについては昨日ローンチイベントを開催したところですが、本日のG7においてもその立ち上げが歓迎され、その実施に対する支援を続けていくことが確認されました。
3つ目に、G20の主要な課題に関する議論の進展を支持するとのコミットメントを再確認しました。このうち債務問題については、共通枠組みの実施を強化するG20の取組を引き続き支持すること、ザンビアに対する合意された債務措置に関する覚書の可能な限り速やかな最終化を求めること、スリランカの債務措置の合意に向けた債権国会合での大きな進展を歓迎し、その迅速な解決に期待することなどに合意をいたしました。
なお、もともと予定していた議題には含まれておりませんでしたが、イスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突について、会議の中で私から本件についての深刻な憂慮を表明いたしました。また、多くの参加者から深刻な懸念や非難が表明されました。共同声明においても、我々は今般のハマスによるイスラエル国に対するテロ攻撃を断固として非難し、イスラエル国民との連帯を表明するという点が確認されました。
最後に、本日開催されました世界銀行・IMF合同開発委員会では、世銀の新しいビジョンとミッションや業務面・財務面での取組に期待が寄せられ、日本からは数十億ドル規模の世銀の融資余力の拡大に貢献する用意があることを表明いたしました。
冒頭、私からの発言は以上です。

総裁)

私からは簡単に、今回のG7会議では鈴木大臣からもお話がありましたようにウクライナ支援、それから国際金融開発銀行改革、サイバー問題への対応等が議論となりました。それぞれの内容については、今、大臣からご説明があったとおりでございます。

【質疑応答】

問)

G7財務大臣・総裁会議の声明とコメントの中で、スリランカの債務問題に対する取り組みが前進したことを歓迎すると述べています。中国が昨日、スリランカに42億ドルの債務処理を行うことに合意したと発表しましたが、大臣が出席した会議ではどのように議論されましたか。また、スリランカが達成したこの進展は、債務解消への努力にとって重要な意味を持つのでしょうか、それとも債務整理にさらなる遅れはあるでしょうか。

大臣)

ご承知のとおり、中進国でありますスリランカの債務再編の話、これはG20でやります共通枠組の外であるわけであります。したがって、日本、フランス、それからインドの3カ国が共同議長になって新しい枠組みをスタートさせているわけです。今年の初めにも既に会合が開かれているところでありまして、そうした認識はG7の中でも共有をされております。したがいまして、そういう各国の共有の中において、今後これをさらに前に進めていこうと、こういうようなことで評価をしたといいますか、支持がされたと、こういうことです。
いろいろな議論がありますが、日本といたしましては、やはり透明性が大切であるということであります。どの人がどれぐらい債務を持っているのか、債権があるのか、持っているのか、そういうことを関係者が皆共有するということが大切であると、こういうような発言も私はしたところでございます。

問)

鈴木大臣に伺います。イスラエルに関連する非難についてはトータルで一致したんでしょうか。今回の会見がちょっと遅れたのも、文言について揉めたということを聞いておりますけれども。

大臣)

イスラエルとハマスの問題に限らず、様々な意見というものが出ます。既にアジェンダに含まれているものにつきましては、事前にいろいろ協議がされますから、その過程で文言調整もされている。この問題はもともとのアジェンダにありませんでしたから、今日多くの方々から発言があって、それを受けての文言調整の作業でありますから、そういう意味での時間がかかったということはございます。ただ、1つの案が出てからは、それについてこれを加えろとか、ここを外せとか、そういったような議論はありませんでした。

問)

大臣と植田総裁にお伺いしたいと思います。こういったハマス・イスラエルの件も含めて、足元、地政学的リスクというのが世界経済に与える影響について懸念が高まっていますけれども、お二人それぞれ、その点についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、見ていらっしゃるのか、お願いします。

総裁)

ウクライナ情勢につきましては、その先行きの不確実性が世界経済の見通しの不確実性につながり、例えば金融政策をどう運営していったらいいかということの難しさにもつながってきたという点は以前から変わりがありませんし、今後も残念ながら当面そうだと思います。それに加えて、今回の中東の情勢の問題が新たな不確実性の要因としてつけ加わったということはなかなか難しい問題だと思いますが、ただ、現状では世界経済の見通し、その幅について大きな変更を迫るようなところまでは行っていないというふうに私は考えてございます。

大臣)

ロシアのウクライナ侵略につきましては、もう1年以上経過しているわけでありまして、その影響というものは明らかになっております。世界経済に対する影響、あるいはエネルギーや食料の国際価格市場におきます価格高騰といった意味での家計への影響、そういうものが分かっております。これに対する1つの解決は、やはり一刻も早くロシアがウクライナから撤退をするということだと思います。そのために私どもとしても、G7としても、ウクライナ支援、ロシアへの制裁、こういったものの確認を今回もさせていただいたところであります。
中東のイスラエルとハマスのことにつきましては、まだ発生から1週間もたっていない状況でありまして、これからどういうような影響、動きが出てくるのか、注意深く見ていきたいと思っています。これにつきましても早く収束するということが根本的な、一番大切な面であると思います。

問)

IMFのクォータについて前向きな議論は出てくるでしょうか。もしそこで合意ができなければ、どうなるんでしょうか。

大臣)

IMFの第16次クォータの見直し、これの期限というものが迫る中で、クォータ増資を伴う見直しの迅速かつ適時の完了に向けましてG7間で協力すること、それが今日の会議でも確認をされたところでございます。
ただし、クォータ見直しの具体的な内容につきましては、13日から14日にかけて開催されますIMFCで議論される見込みでございます。これから行われる議論の内容については、私が予断を持って答えるということは今の時点ではできない、13日から始まる会議の議論によって具体的な内容が定まっていくということだと思います。

(以上)

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