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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和5年10月20日(金曜)10時04分~10時25分)
 

【冒頭発言】

金融庁関係で冒頭に発言をいたします。
保険業に係る国際的な規制・監督基準の策定を目的とした国際機関でありますIAIS、これは保険監督者国際機構でありますが、この機構において、日本時間18日水曜日、実質的な最高意思決定機関である執行委員会の議長に、金融庁の有泉秀金融国際審議官が、アジアから初めて選出されました。昨日公表されたところであります。
本年11月9日に東京で開催するIAISの年次総会の際に、就任する予定であります。
保険業を取り巻く環境が世界的に大きく変化する中で、IAISにおいて、有泉新議長のリーダーシップのもとで、国際的な保険規制・監督の一層の高度化が進むこと、これを期待しているところであります。

【質疑応答】

問)

近くまとまる予定の総合経済対策をめぐり、岸田首相が期限つきの所得税減税の検討を与党に指示すると報じられています。所得税の減税は、幅広く国民の税負担を軽減できる一方で、低所得者層に恩恵が行き届かなかったり、手続きに時間がかかったりするなど、経済対策としては使い勝手が悪いとの指摘もあります。所得税減税につきまして、大臣としてはメリットとデメリットをどうお考えかお聞かせください。

答)

まず経済対策につきましては、先月末の総理指示に沿って、現在、与党の提言も踏まえて、とりまとめに向けて政府内において議論をしているところです。
したがいまして、ご指摘の所得減税も含めまして、経済対策に盛り込まれる政策やその仕組みはまだ明らかではない中で、メリット・デメリットをお答えすることは困難でありまして、コメントできないということをご理解いただければと思います。
その上で、一般論として申し上げますと、所得減税については、例えばおっしゃられたようなご指摘があるということは承知をしておりますが、制度の仕組み方によって、家計や財政への影響は変わってくるものであることから、一概にメリット・デメリットは申し上げられないということもご理解をいただきたいと思います。
今回の経済対策の取りまとめに当たりましては、予算措置にせよ、税制措置にせよ、真に必要で効果的な政策となるよう、その規模や対象、仕組み、こういったものが適切なものとなるように検討していく必要があると、そのように考えています。

問)

今の一時的な所得減税について重ねて質問です。一時的な所得減税は景気刺激の効果がないという指摘もありますが、大臣はどのようにお考えかということ、あともう1点あるんですけれども、先日会見で大臣が、十分な財源の裏づけがあると思っていないと還元に関して述べられていたと思いますが、まだ指示はない中で、そうなった場合に総理の指示をどう受け止めるか、またそのお考えに変更が今の時点であるかどうかをお聞かせください。

答)

まず最初の質問につきましては、先程申し上げたとおり、まだ具体的なものが決まっておりませんし、それから、仮にそうしたことをとるにしても仕組みによって変わってまいりますので、今の段階での評価ということは差し控えた方がいいと思います。
それから後段の方のお話は、あのときには、ご質問の趣旨は、要するに税収が過去最大の伸びになったと。それが財源として使えるかどうかという、そういう趣旨だったと思います。それについて、私が答えたのは、税収増というのが今年1年のものなのか、来年以降もずっと続くのか、これはよく分からないと。例えば、足元において、法人税というのは、これはあまり芳しくない状況になっているわけでありますから、そういうことも踏まえて、これからの税収増がずっと続いて、そういうものを当てにしていろいろな、それを財源として考えるのは難しいのではないかと、そういう趣旨で答えたわけですから、そこは質問の趣旨を踏まえて理解していただければと思います。

問)

為替水準の話で恐縮なんですけれども、現在149円90銭のレベルにまで円安が進んでおります。じわじわですが、年初からの円安基調というのが全く衰えることなくずっと続いていることについて、今の大臣のお考えと、この水準についての見解を述べていただければと思います。

答)

毎度同じ答えになって恐縮なんですけれども、為替の相場、これは金利を含めまして、様々な要因を背景に変動するものであります。いずれにいたしましても、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であると、このように考えております。
今の水準についてのお話もございましたけれども、そうしたことに対する私の見解、これを申し上げることは為替相場に不測の影響を及ぼすおそれがあることでありますので、コメントは控えさせていただきたいと思います。

問)

対応についての方針は変わりないでしょうか。

答)

それについてもコメントはいたしません。どうしても影響しますよね。

問)

全銀システムの障害について、改めて伺えればと思います。障害が延べ500万件となりまして、先日、全銀ネットの方も補償についてのリリースも出されておりますが、改めて今回の障害について、どのようにお考えで、補償等についても見解があれば教えてください。

答)

様々な影響が出たわけでありますから、こうした障害が出たということについては遺憾なことであると、そのようにまず思っております。
その上で、18日に全銀ネットにおきまして、今般のシステム障害によって顧客に生じた損失の補償に関して、全銀ネット加盟金融機関による申し合わせというものが公表されたということでございます。
金融庁といたしましては、全銀ネット及び金融機関において、先般のシステム障害で影響を受けた全ての顧客に対しまして、適切な補償の実施も含め、丁寧な対応が進められるということが大切なことであると、そのように思っておりますので、今回の申し合わせということにつきましても、引き続き、フォローをしてまいりたいと、そのように思っています。

問)

減税について伺います。財政の面から、日本がこれだけ財政が悪化している中で、減税というのが財政の面から懸念がないのか、国際的な信認を含めてそういったリスクがないのかということをお伺いしたいのが1点と、仮に減税の議論をするという場合、年末の税調の議論になると思うんですけれども、防衛財源確保のための増税の開始時期の議論も、この年末にすることになると思うんですが、増税と減税が2つ相まって議論することに、何かちぐはぐさというか、整合性みたいなところで、実際に防衛財源の確保の面の議論がちゃんと進むかという懸念もあるかと思うんですが、そのあたり大臣としてどのようにお考えなのか、教えてください。

答)

まず日本の財政状況は大変厳しい、とりわけ足元ではコロナ禍の影響もありまして累次の補正予算も組みましたから、厳しさを一層増しております。しかし一方において、政府としてやるべきことはやらなければならないと思います。今は物価高騰に対して、国民生活にもいろいろな影響を与えているわけでありますから、それに対応するということで今、経済対策、最後の詰めを行っているところです。したがいまして、財政事情は厳しいわけでありまして、我々として早くコロナ前の平時に戻す、財政規律もしっかりと守っていくという基本的な考えの中でも、やるべきことはやらなければならないということなんだと、そのように思います。
それと防衛関係費の増額に関わることでございますが、かねてより国会でも、またこの場でもお答えしていたと思いますが、防衛力強化に係る財源確保のためにお示しした税制措置につきましては、防衛関係費という恒常的に必要な経費の増加に充てるためには、安定的な財源を確保するということが大切であるということでございます。また、今回、お願いしたいと思っております税制措置につきましても、法人あるいは個人への影響に最大限配慮をする仕組みとしております。ですからこうした防衛関係費のような恒常的に必要な経費、これは税制措置によって安定的な財源を確保するということが大切であるわけでございまして、先程申し上げました、足元の物価高騰等に対する対策、国民の生活を守るという観点からの対策、これとは矛盾しないものであると、そのように理解しています。

問)

中東情勢が悪化の一途をたどっていますけれども、それによって市場ではリスクオフのセンチメントが高まっていますけれども、改めまして為替市場を含む金融市場において、どういう影響が今起こっているのか、今後起こり得るのかについてお伺いしたいと思います。

答)

イスラエル・パレスチナにおいて今回の事態が発生をしたわけでございますが、発生以来、原油価格は上昇基調にあるのではないかと思っております。
ただ、現地の情勢が刻一刻変化するという中で、全く予断を許さないということでありまして、日本を含めた世界経済の先行きに対する不透明感も増していると、そのように認識をして、これからも動きを注意深く見ていかなければならないと、そのように思っております。
注意深く見る点につきましては、やはりエネルギー価格を含む物価高が今、国民生活、事業者に大きな影響を与えているわけでございますので、今後の事態の推移、それから原油市場、あるいは金融資本市場、物価動向などの影響についてでありますが、緊張感を持って注視してまいりたいと思っています。

問)

日銀が保有するETFの分配金を損失引当金に活用する案が浮上との報道がありました。同収入を引当金に充てますと、国庫納付金が減ることになるかと思うんですけれども、これについて大臣お考えありますでしょうか。また、日銀の財務健全性確保にこうした措置は必要というふうにお考えになられますか。

答)

日銀が保有するETFの分配金の活用について報道があったこと、これは承知をいたしております。
日銀とは日頃から様々な意見交換を行っております。その1つ1つについてはコメントはいたしませんけれども、一般論として申し上げますと、日銀は法令に定める手続に従って、引当金の計上を行うこととなっておりまして、その計上方法の変更について、日銀から要請があった場合には、その必要性・妥当性について検討していくことになります。
日銀が保有するETF、これは日銀が物価安定目標を実現するための金融政策の一環として保有しているものと承知をしております。
したがいまして、ETFの将来の処分、今申し上げたような様々な計上方法の変更等も含んだ上での将来の処分を含めた今後の取扱いにつきましては、金融政策の一環として日銀において検討されるべき事項であって、政府として検討することはこの際控えたいと思います。

問)

減税に関することでお伺いしたいんですけれども、先程質問がありました財源について伺いたいと思います。大臣、先程のご発言で、先日の発言については税収増を今後当てにして考えるのは難しいという趣旨でおっしゃったというご説明がありましたけれども、そのお考えというのは現在も変わっていないということでよろしいんでしょうか。

答)

当たり前のことを申し上げていると思います。つまり当たり前のことですから、その考えは変わりません。つまりこれからずっと毎年毎年税収増が続くという議論があります。ですからその税収増というものを、財源として考えていったらいいのではないかと、このようなご趣旨の発言をする方もありますし、前回の記者会見での質問は、そういうことを含めた質問であったと。ですから、将来のことについては変動するものですから分からないんですね。将来まだ実現していないものを、実現確実だということにおいて、様々なそれを財源として考えることにはしっかりと見ていかなければならないと。これは当たり前のことを申し上げているだけです。

問)

まだ正式な指示はないということだと思いますけれども、所得税減税の指示があった場合に、その財源についてはどのようにお考えですか。

答)

ですから、昨年度はありましたよ。総理の趣旨は、昨年度の税収増を、国民に還元するという趣旨で延べられております。この部分については税収増を実現したわけです。ただ、先般のご質問は、これが今後ともずっと、2年、3年とずっと税収増が続くのではないかと。それを前提にしていろいろ財源になるのかという趣旨での質問でありましたから、これは分からない、今年度どうなるか分からない、現に足元の法人税の収入というのは芳しくない状況にあるわけでありますから、そういう趣旨に基づいてお話をしたところでございます。今年のこの経済対策のものについては、昨年度の税収増というのは既に実現しているものですから、それと将来、まだ実現するかしないか分からないものを当てにすることはできないのではないかという、そういう趣旨でお答えしました。

問)

昨年度の税収増についてなんですけれども、剰余金になったものというのが国債の償還に充てなければならないと。残りの半分というのは、防衛増税の財源に充てるということで、もう使い道が全て決まっているかと思うんですけれども、そうなってくると減税に充てる税収増の分の資金というのは既になくなってしまっているんじゃないかというふうに思うんですが、その点はどうお考えでしょうか。

答)

その辺は、まさに今経済対策の最後の取りまとめをして、それに基づく補正予算をどう組むかと。今お話になったような、減税ということが前提になったご質問ですけれども、それも今の時点ではまだ決まっていないわけでありますし、仮にそういうことが項目として出てきても、どういう仕組みでやるのかということ、また規模ですね、どうかということによってまた財政、財源に対する影響というのは変わってまいりますから、今の時点では明確にお答えすることはできないということです。

(以上)

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