鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣ぶら下がり記者会見の概要
(令和6年4月17日(水曜)15時09分~15時32分)
【冒頭発言】
昨日ワシントンDCに到着してから本日にかけまして、初の日米韓財務大臣会合に出席するとともに、ウクライナ・ラウンドテーブル等に参加したほか、米国のイエレン財務長官、韓国のチェ経済副総理兼企画財政部長官、ウクライナのマルチェンコ財務大臣とのバイ面会をいたしました。
初の日米韓財務大臣会合では、アジア太平洋地域の情勢について率直な意見交換を行うとともに、G20等で取り組んでいる共通の諸課題とその対応策についても議論し、3か国で引き続き密に協力していくことに合意をいたしました。
また、為替市場の動向についても意見交換を行い、これを受けまして共同声明では、我々は最近の急速な円安及びウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存のG20のコミットメントに沿って、外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議するとの合意が盛り込まれています。
これに先立つ米国のイエレン財務長官との面会では、議論の詳細は控えますけれども、ウクライナ支援やMDB改革、国際課税など、世界経済における諸課題について率直な意見交換を行い、引き続き日米で連携を密にしていくことを確認いたしました。為替の問題につきましても、日米で緊密に意思疎通を図っていくことを確認しました。
韓国のチェ経済副総理兼企画財政部長官との面会では、引き続きG20やASEAN+3等の場で国際的な課題に協力して対応していくことを確認したほか、為替等の問題についても意見交換を行いました。また、次回の日韓財務対話を早期に開催すべく調整していくことで一致いたしました。
ウクライナ・ラウンドテーブルでは、私から、2月に実施したグラント支援に続き、本年分の追加支援を実現するための予算が3月末に成立したことを説明しました。その上で、引き続き同国のマクロ経済の安定や復旧・復興に向けた民間投資を支援していくことを表明しております。
ウクライナのマルチェンコ財務大臣との面会では日本の支援について説明するとともに、汚職対策などの改革の継続に先方から強いコミットメントが示されました。
【質疑応答】
- 問)
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今日の日米韓の財務相会合の関係ですけれども、3か国間で為替について緊密に協議していくということの意義についてまずお願いします。
- 大臣)
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初めての3か国会議でございますが、いろいろ国際的な経済問題もありますし、国内の状況についても率直に意見交換ができたと、そのように思っております。
為替につきましては共同声明で述べられたことに尽きるわけでございますが、そこにありますように急速な円安・ウォン安について認識、それを3か国で共有することができたということであります。
- 問)
-
今後更に円安とかウォン安が進んだ場合に、具体的にどのような対応策をとるかについて議論されたのかということと、例えばそういった事態が起きたときにどういう対応を今考えられているかという点についてお願いします。
- 大臣)
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まずこの共同声明にありますように、外国為替市場の動向に関しては引き続き緊密に協議をしていきたいと、そのように思います。
そして具体的にどういう対応をするかということは、これはいつも申し上げておりますけれども、市場に不測の影響を与えるおそれがありますのでコメントはしないこととしております。
- 問)
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イエレン長官とのバイの会談の中身ですけれども、先程、為替の件については緊密に連携をしていくということですけれども、いわゆる為替介入への日本の立場であったり、考え方というものを大臣の方から伝えたりということはあったのでしょうか。もしあったのだとしたら、それに対する相手方の反応を含めて教えていただきたいんですが。
- 大臣)
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日本の思いは伝えました。それは、やはり為替というのはファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと、そして行き過ぎた動きについては適切に対応するという政府の今の立場ですね、それについてはそのまま説明をいたしました。
- 問)
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それに対する反応というのは、可能な範囲でお願いします。
- 大臣)
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それについてはよく聞いていただいたと思っております。
- 財務官)
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私の方から、今お配りした日米韓財務大臣会合にかかる共同声明について一言ご説明した後、ご質問を受けたいと思っております。今回の会合の肝は、何よりも、初めての3か国会合であります。元々、昨年8月のキャンプデービッドでこういったことをやろうということが首脳声明に書かれたわけですけれども、その後、3大臣ともお忙しいので、日程調整の問題もありましたし、やはりやる以上は成果が必要だということで、議題から成果を含めてずっと調整をしてきて、今回ようやく最初の3か国会合ができたということは、私共も、他の2か国も、良かったと、かなりいい成果が出たのではないか、という認識でございます。
中身ですけれども、為替については、これまた初めてこういった文書を合意することができたわけですが、大臣からのご説明の繰り返しになりますけれども、我々は最近の急速な円安及びウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識しつつ、既存のG20のコミットメントに沿って、外国為替市場の動向について、引き続き緊密に協議する、こういったフォーメーションの文書は恐らく史上初めてだと思います。それ以外に、北朝鮮のロシアへの武器輸出を非難し、直ちに停止するよう求めること、あるいはサプライチェーンの脆弱性、経済的威圧、過剰生産能力を含む非市場的慣行への対処において連携していくこと、ASEANや太平洋島嶼国への支援において協力していくことなど、様々な合意をいたしております。
お手元の資料、仮訳があると思いますけれども、これに沿って若干付言いたしますと、頭のところで、初めての3か国会合を開催した、2つ目のところに経済の関係の記載があって、持続可能な経済成長、金融の安定並びに秩序立った良好に機能する金融市場を促進するために協力していくんだ、と。その後、為替の文言ですね、急速な円安等への深刻な懸念の認識の共有と、それから、引き続き緊密に協議するということが書かれているわけです。その次のパラでウクライナ戦争への負担をロシアに科すことと、北朝鮮の兵器計画を標的とする制裁手段を活用して調整していくということ、それから北朝鮮の弾道ミサイルのロシアへの輸出、これは強く非難して直ちに停止するように求める、その次にサプライチェーンの脆弱性、経済的威圧、主要国における過剰生産能力を含む、他国の非市場的慣行による我々の経済へのあり得べき損害に打ち克つための協調の重要性、それからちょっと特徴的なのは、今回ASEANそれから太平洋島嶼国の重要性を再確認、サウスパシフィックの議論もかなりいたしました。ここでのマクロ経済と金融の協調性及び健全性を強化するために力を結集すると書いてあります。例えばマネロン対策なんかで日本は今度アジア太平洋マネーロンダリンググループの共同議長になりますので、日本も主導してこういった国々の金融の健全性の強化にしっかりと貢献していくといったような話もございました。
- 問)
-
為替の部分の表現ですけれども、史上初めてというふうに先程おっしゃられていましたけれども、この共同声明に盛り込むこと自体が初めてなのか、それともこの部分が、こういう書きぶりというのが今までと違うんだよというところがあれば、その辺を詳しく解説してもらえますか。
- 財務官)
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文字どおり、こういうのが間違いなく初めてです。特に韓国ウォンと一緒になっているのは初めてですけれども、少なくとも近年円安とかウォン安について、両国含めて懸念を認識しつつ、ここに、我々は認識しつつですから、認識を共有するということになるわけですけれども。
- 問)
-
アメリカ含めて。
- 財務官)
-
そういったことは最近はなかったと思います。
- 問)
-
ということは、この共同声明は円安の問題意識について、かなりアメリカから理解を得られているということでしょうか。
- 財務官)
-
それは、でも、今に始まったわけでは。日常から申し上げているとおり、各国の当局とは議論していますので、日本の為替を含めた、経済あるいは金融、為替市場の状況については、しっかりと意思疎通を、本当に毎日図っているので。今さらのことですね。特に日本とか韓国と欧米が違うのは、輸入するもののインボイスの通貨ですね、これがやっぱりドルの比率が高い。アメリカの場合は自国通貨、ドルが強いし、それからヨーロッパの場合もユーロが高いわけですけれども、日本とか韓国にとっては言ってみれば他国通貨のドルの比率が高いという意味では、為替の影響を受けやすいということはあるんだと思います。そういったこともしっかりと皆さん理解しておられるというふうに考えております。
- 問)
-
今回初めての日米韓財務相会合ということで、やっぱり安全保障だけじゃなくて経済的にもちゃんと結びつきを強めていかないといけないと、そういう事情もあって為替に関する議論も円滑にいったという、そういうことでしょうか。何かその辺言及できることがあれば。
- 財務官)
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それは特に、繰り返すようですけれども日常的にやっているので、別にそれが特別今ということはないです。安全保障といいますか、ほかのテーマにおいても日常的に議論していますので、今回はそういった蓄積の中で3大臣に集まっていただいて、言ってみればこういった協力関係がカルミネートしたといいますか、1つの大きな成果としてまとめたというような感じだと思います。
- 問)
-
中国の過剰生産についてお伺いしたいんですけれども、イエレン長官はつい先日、中国に行かれて過剰生産の問題を議論されていたというのと、今朝、バイデン政権が中国の鉄鋼とアルミについての関税を3倍にすることを検討するというのを発表しています。そういった直近の動きに対してイエレン長官から何か議論というのがあったのか、それと政権の打ち出した関税の引上げというのが経済に与える影響などについて相当議論があったのか、教えてください。
- 財務官)
-
他の大臣がおっしゃったことについてはお互い言及しないことになっているので控えますけれども、議論の結果として合意できたものがここに書いてあるとおりでありまして、サプライチェーンの脆弱性、経済的威圧、過剰生産能力を含めて非市場的慣行による損害に対して打ち克つための協調というのを、ここには協調すると書いていますけれども、しっかりと協調して対応していくということが合意されたわけであります。
- 問)
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今回初めて日米韓の会合を持たれたわけですけれども、今後定期的にというか、どのぐらいの頻度で行うとか、それからこれはパーマネントのものになるとか、そういう見通しですけれども、その辺はいかがでしょうか。
- 財務官)
-
今回3大臣とも非常に有意義であったという受け止めだったので、可能であればまたやろうという雰囲気ではありましたけれども、具体的に次の日程が決まっているわけではありません。それはある意味単純なことで、正直申しまして、今回だと日程調整がかなり大変で、やっぱり財務大臣というのは各国とも非常にお忙しいということがありまして、今度どこで会えるんだろうかということを含めてしっかりと事務的でやっていくと。ここにも書いてあるとおり、事務方では取組を継続するというふうに書かれていまして、日米韓の事務的な協調というのはさらに強化されて、より日頃からやっていくような感じになっていて、また大臣会合もいずれどこかでやるということになるんだと思います。
- 問)
-
改めて為替についてなんですけれども、共同声明の中で深刻な懸念、原文ですとシリアス・コンサーンとあるんですが、シリアス、深刻なという言葉、特に3か国の中で、この言葉を使っている意味というか、重みというか、ここはどういうふうに理解すればよろしいでしょうか。
- 財務官)
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これは文字どおり、シリアスというのは本当に深刻だと。要するに普通の懸念というよりは重たい懸念だということだと、素直に読んでいただければと思います。
- 問)
-
為替のことで恐縮ですが、日本の経済界からも大分協調介入について求める声が出始めたりしているんですが、この辺、今のご所見というか、感想をお伺いします。
- 財務官)
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私共が前から申し上げているとおり、必要があれば適切な行動をとるということには変わりはありませんけれども、それで何を具体的にどういうときにやるのかについては一切コメントいたしません。手の内を見せることにもなりますし、また大臣がおっしゃったとおり市場に不測の影響を与えてもいけませんので、申し訳ありませんが、コメントを差し控えさせていただきます。
- 問)
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ウクライナについて結構、財政問題とか課題はたくさんあると思うんですけれども、もうちょっと今日どんなことを、ラウンド・テーブルを含めてどんなことが議題に挙がって、どんなことを話し合われたか、可能な範囲で教えてください。
- 財務官)
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一言で申しますと各国とも、もちろん日本やアメリカを含めてアンウェイヴァリングサポート、要はしっかりした支援というものを続けていくんだということはある意味コンセンサスだったと思います。
各国ともそれぞれ、日本も今回予算を通していただいて新たに信用補完の形でウクライナへの援助を更にやることができるようになったわけですけれども、お互いそういった成果といいますか、コミットメントというのを交換しながら、他方でウクライナのニーズを把握して、また私共の方からもウクライナに対して、汚職問題、あるいは構造改革などの必要性というのを言って、彼らの方からはしっかりやっていきますよということのコミットメントが得られているというのが基本的な流れだと思います。
- 問)
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為替の話になるんですけれども、今ドルの独歩高と言われていますけれども、この足元の円安ドル高の状況、改めてご所見を伺えればと思います。
- 財務官)
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それは1時間でも話したいんですけれども、私が分析を言うこと自体が非常に意味を持ってしまうので、申し訳ありませんが控えさせていただきます。
- 問)
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先程、鈴木大臣が日米のバイで介入についての考え方の議論をされたとおっしゃっていましたが、為替介入も手段としてあるということなのか、改めて伺えますか。
- 財務官)
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我々が申し上げているのは、あらゆる手段を排除せずということに尽きますので、それ以上は申し上げる必要はないと思います。
- 問)
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今日の日米韓の為替についての考え方の共有ですけれども、この後、G7、G20とありますけれども、そちらの会合でもより広い枠組みで認識を共有するというお考えがあるのかどうか、その辺りをお願いします。
- 財務官)
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両方とも現段階ではアジェンダになっていない、アジェンダにそもそも世界経済というのが今回、現段階で見当たらないといいますか、通常ワシントンでの春・秋の総会のときのマージンでやるものというのは時間が限られていますので、全てを扱った議論というよりは議長国が特にレレバントといいますか、タイムリーなトピックに合わせてやると。だからG20では気候変動、それからMDB改革を含めたインターナショナル・フィナンシャル・アーキテクチャに絞っておりますので、必ずしもそういった議論の場があるわけではないと思っています。ただ、機会があればそういった議論を我々が提起することもありますけれども、ただ、毎回申し上げているとおり、このG7・G20はしょっちゅうやっているんですね。特に私共のレベルではものすごく頻繁にやっていて、そこでしっかりと認識が共有されていて、何か我々の考えと国際社会に齟齬があるということは全くないので、そこは何か心配なことがあるわけではございません。
(以上)