鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣、植田日本銀行総裁共同記者会見の概要

(令和6年4月18日(木曜)14時31分~14時52分)

【冒頭発言】

大臣)

まだIMF関係の会合が3つばかり残っておりますが、今日までのことを振り返って、特に今日開催されましたG20財務大臣・中央銀行総裁会議、UHC大臣級イベントの概要をご報告いたします。
本日のG20ではMDB改革等の国際金融アーキテクチャを議論しました。 私からは初めにロシアを最も強い言葉で非難し、ロシアの戦争が世界経済に悪影響を与えており、即時の終結を求める旨を発言いたしました。
MDB改革につきましては、民間資金動員の促進や融資余力拡大のためのCAF(キャフ)レビューの継続的な実施の重要性、融資余力拡大に資する日本の貢献として世銀やADBの革新的な金融手法に対するそれぞれ10億ドルと6億ドルの信用補完の供与、IDA21やAsDF14といった低所得支援のための譲許的資金の確保の重要性などについて発言をいたしました。
途上国債務問題に関しましては、共通枠組を含む債務再編のタイムラインとプロセスを明確化し、予見可能性の向上を図る必要性を主張するとともに、債務データ突合のためのデータ共有の取組への全てのG20メンバーの参加を求めました。
またスリランカの債務問題につきましては、覚書の締結に向け債権国会合の共同議長として各国と連携していく旨を発言いたしました。
また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジをテーマにしたイベントにバンガ世銀総裁、テドロスWHO事務局長とともに参加し、途上国のUHC達成に向けた取組を支援するため、世銀、WHOと連携をしましてUHCナレッジハブを2025年に日本に設立することを表明いたしました。
今般の一連の会合を振り返ってみますと、初の開催となりました日米韓財務大臣会合や昨日のG7などの一連の会合において、世界経済が抱える諸課題について大変充実した議論ができたと考えています。為替市場の動向については、日韓や日米、そして日米韓の枠組で緊密な意思疎通を行うことができました。特に初めてとなる日米韓財務大臣会合が実現し、幅広い協力をうたった共同声明をまとめることができたことは画期的な成果であったと考えています。

総裁)

G7・G20における議論の主な内容については今、鈴木大臣の方からお話があったとおりです。
私からは1つだけ追加としまして、G20の方ですかね、私はサステナビリティ関連の情報開示について発言したことを簡単にご紹介します。その中で私から、先進国・新興国で一貫性のとれた基準を適用していくことの重要性、それから中小企業等がこうした問題について様々な課題を抱えているわけですが、その対応力の強化支援が重要であるという点、それから最後に日本の金融機関では取引先、特に中小企業等の気候変動に対する取組について、日銀の気候変動対応オペもありまして、支援をする動きに広がりが見られているといった話を紹介しました。

 

【質疑応答】

問)

鈴木大臣には為替の質問で恐縮ですが、IMFは先程アジア太平洋地区のブリーフィングで最近の円安について質問されたところ、日米の金利差を反映したものであるという評価をされました。いわば金利差というファンダメンタルズに沿った動きと評価したともとれるんですけれども、大臣の見解をお願いします。
植田総裁には、最近の為替の円安なんですが、輸入コストの上昇を通じて物価に上昇圧力を加えた場合に、既に高まりつつある第2の力、いわば賃金と物価の好循環、これと合わさると物価の上振れのリスクが高まる可能性があると思うんですが、この足元の円安の動きがそうした輸入コストの上昇を通じて物価にどう影響を及ぼし得るのか、またそうした動きが次の金利の調整のタイミングにどう影響するのかについて教えてください。

大臣)

IMFの評価というのは、それは極めて世論的・中立的な組織でありますので、そういう評価がなされたということは私としても受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、為替の水準というのは金利差だけで決まるわけではなくて、国際収支をはじめとするいろいろな経済の状況、それから市場参加者のセンチメントの問題、またそれによって投機ということも起こるわけでありますから、様々なことが要因になっていると思います。金利差だけが今の水準を作っているわけではないと、私はそう思っております。

総裁)

私からは、為替の円安方向の動きが輸入財の国内価格の上昇を通じて、おっしゃったように場合によっては第2の力と我々が呼ぶインフレーションの部分、あるいは基調的物価上昇率に影響を与えるという可能性は、それはあり得ると思います。
そこについて無視できない大きさの影響が発生した場合は、場合によっては金融政策の変更もあり得るということだと思いますが、現状その辺りをどのように評価しているか、例えば1月以降の円安の動きについて、来週になりますか、決定会合があって展望レポート、新しいものを発表しますので、その中で取り上げて数値的にもお示しするということになるかと思います。

 

問)

鈴木財務大臣にお聞きしたいんですけれども、ご発言の確認ですけれども、G20で為替と中東情勢、ロシアなど地政学リスクについて日本から発信があったんでしょうか。また各国で話題になったんでしょうか。教えていただければと思います。

大臣)

今回、G20におきましては、気候変動に関わるもの、それから先程申し上げました国際金融アーキテクチャのあるべき姿ということが議題でありましたので、為替のこと自体は議題ではありませんので、各国からも発言がありませんでしたし、私の発言は先程申し述べたようなことでありまして、そうした議題に沿った発言をするということで為替の発言はいたしませんでした。
それから中東のものについては、国によって、地政学的なリスクという中でロシアの話、それから中東の話ということを触れて、例示をしたような形でこうした地政学的なリスクについて触れられた国もありましたけれども、何かそれだけ取り出して、そこに焦点を絞っての議論といいますか、それはありませんでした。

問)

ロシアへの非難の表明はされたということでいいんですか。

大臣)

はい。

問)

植田総裁に伺います。今回マイナス金利を解除して初めての国際会議になるかと思うんですが、変更後の政策を説明されたのであれば、どのように説明されたのか、解除後の会見で普通の政策というふうにおっしゃっていましたが、その辺り伺えますでしょうか。また各国からどういう受け止めがあったかというのも伺えればと思います。

総裁)

過去2日間ですかね、様々な機会を捉えて、場合によってはバイの面談という形でいろいろな首脳の方とお会いしました。その中で私共の3月の政策変更についてもかなり関心をお持ちの方はいらっしゃったので、特別どこかに絞ってというわけではないですが、3月の記者会見でご説明したような内容の話を私から何回か説明する機会がありました。基本的には皆さん、市場等に大きな混乱なく政策変更が消化されつつあるということにある種の満足感といいますか、安堵感を示されていたというのが私の受け取った感じです。

問)

もしかしたら神田さんにお伺いすることになるかもしれませんが一応確認で、今回のG20では共同声明や議長総括の取りまとめというものはなかったという認識で間違いないでしょうか。

財務官)

ございません。もとより最初から議長国は今回のG20ではまとめないということをおっしゃっていて、しかもそれは珍しいことではなくて、過去を見ましてもむしろ出さないときの方が多いです。IMF・世銀総会のマージンで大臣・総裁がお集まりになるので、その場でG7・G20も開催するという性格ですので、必ずしもフルフレッジで議論をして、そして成果文書をまとめるということを目的とするということではない場合の方が多くて、今回も先程大臣からご説明がございましたように気候変動と、それから国際金融アーキテクチャに絞って、正に議長国の関心の高いところを中心に議論がなされ、それに伴った成果文書というのはもとより予定されていなかったということでございます。

問)

大臣と総裁にお伺いしたいんですが、まず大臣には、バイの会談、日韓と米国とそれぞれやられたと思うんですけれども、そのほかにバイ会談をされたかどうかということで、その際には米国にお伝えしたように日本の為替介入の考え方について説明をされたかどうか、その辺りについてお伺いできたらと思っております。
総裁には、いろいろバイ会談を通じて今後の経済情勢についてもお話をされたかと思うんですけれども、アメリカの方では利下げが延びるかもしれないというような市場からの見立ても強まっていると思うんですけれども、今後の金融政策にアメリカの利下げが延びることによる影響みたいなところについてお考えをお伺いできたらなと思っています。

大臣)

バイ会談につきましてはイエレン長官と、それから韓国のチェ長官のほかに、ウクライナのマルチェンコ財務大臣とバイ会談を行いました。
マルチェンコ大臣との会談はウクライナ問題に焦点を絞って、まずは、日本はこれからもウクライナを支援していくという揺るぎない、そういう決意をお伝えしながら、先方からのいろいろ状況もお聞きしながら、日本がこれまで行ってきた貢献、特に最近の貢献ですね、そうしたものについてお話をしたということで、ウクライナの状況、特に財務的な状況ということをアップデートさせていただいたということでありましたから、したがって為替の話は、そこでは出てないということです。

総裁)

特にアメリカの経済の動きの私共の見方ないし政策への影響というご質問だと思うんですが、まとめて申し上げれば去年の後半以降、ソフトランディングへの期待が強まっていたのが、アメリカの実体経済は引き続き強い、それからインフレ率は順調に下がってきたんですけれども、ここ3か月くらいですか、その辺がちょっと足踏みのような状態になっているということで、これは大きくピクチャーが変わってしまったというよりはもう少し見極める時間が必要だということだと思うんですが、日本への影響という意味では、教科書的になって恐縮ですが、強いアメリカのGDPが日本に与える影響、例えば輸出等、それからもう少し資産市場周り、金利あるいは為替レートを通じてやはりいろいろな影響がありますので、これらを総合して日本の経済・物価見通しへどういうふうに反映させていくのかということを、先程の質問とも関連しますけれども、とりあえずは展望レポートの中で作業をしてみたいと思いますし、そこに取り込めなかった動きについてはその後引き続きということになるかと思います。

 

問)

鈴木大臣に伺いたいんですけれども、また為替の話で恐縮ですけれども、今回のG20の会合の中というわけでもなくても大丈夫ですが、今ドル独歩高とも言われているような状況について、他の参加者から何か意見を聞かれたり、意見交換をするような機会というのはあったのかどうかというのと、あとそれに対して日本としてはどういうふうに対応していくのかという説明をされたのかというのをお願いいたします。

大臣)

為替のことにつきましては先程、G20の議題がそういう議題だったということで、G20の場では発言をしませんでした。ただ、重要であったと思いますのは日米のバイ会談、日韓のバイ会談、初めての開催となった日米韓の会合でそのことが話題になり、共同声明にもそれが盛り込まれたと。
それからG7の共同声明にも、過去のそうした急激な動きは経済に悪い影響を与え得るというような趣旨の文言を確認することができたということであって、そういう意味では意味があったことだったと思います。
ただ、G20におきましては為替のことをストレートにはありませんでした。ただ、関連することなのかもしれませんけれども、やはり他の国からもアメリカの金利が高いという中でいわゆる資金が流出するとか、あるいはドル建ての債務が膨らむとか、そういうことについての懸念を述べた国はありました。

問)

植田総裁に伺いたいんですけれども、先程3月の政策変更について、他の国の方からの反応で、大きな混乱がなく政策変更がされたということで安堵感を示されていたというご説明があったと思うんですけれども、今後の金融政策の運営について何か期待感だったりですとか、意見だったりですとか、そういったのを聞かれる機会というのはありましたでしょうか。

総裁)

そうですね、例えば中銀総裁同士で、おまえの国はこうした方がいいんじゃないかということは普通おっしゃらないですので、今回もそういうのはなかったです。ただ、今後、仮に利上げをするとしたらどういうタイミングで、どういうデータを見てなのかとか、そういう種類の質問は幾つかあったと記憶しています。

(以上)

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