鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要

(令和6年5月3日(金曜)17時49分~18時01分)

【冒頭発言】

本日私は、午前に日・太平洋島嶼国財務大臣会議を共同議長として、それから日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議を議長として、それぞれ開催をいたしました。午後にはASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議に出席をいたしました。それぞれの会議の概要につきましてご報告を申し上げます。
まず初の試みとして日・太平洋島嶼国財務大臣会議を主催し、11か国の参加を得ました。本会議は、同地域が重要なパートナーとして期待を寄せているADBを招いた、日本と太平洋島嶼国の初めての対話でもありまして、大変画期的な取組であったと考えております。
同会議におきましては、気候変動と質の高いインフラ、金融の健全性と包摂性、債務の持続可能性といった太平洋島嶼国の開発課題や今後の日本と太平洋島嶼国の協力について率直に意見交換をいたしました。会議の成果は共同議長総括として公表しておりますけれども、来年もこの会議をADB総会の機会に行い、有意義な議論を続けることでも一致をしたところであります。
次に日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議について、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議の議題を日中韓で先立って議論する場でありますけれども、本日の会議でもこうした意見交換を行いました。
更にASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議について主な議論をご説明いたします。まずチェンマイ・イニシアティブについて、自然災害などに対応し、迅速に発動できる新しい緊急融資ファシリティの議論を昨年の日本共同議長下で推進しましたけれども、本日、このファシリティ創設の正式合意という大きな成果を得ることができました。また、地域金融セーフティネットの実効性を高める方策についても議論を行い、こうしたセーフティネットに各国があらかじめ資本を払い込む、払込資本の構造にメリットがあるという点で一致をいたしました。
次にAMROにつきましては、そのサーベイランス機能の強化のための次長ポストの新設に向けて、着実に前進していることを私から歓迎をいたしました。災害リスクファイナンスについて、議論や取組を効果的・継続的に推進する事務局の立ち上げの合意を歓迎いたしました。私からは今後、同イニシアティブの一層の推進に貢献していきたいと、その旨を発言したところであります。
明日からADB総会が始まることに先立ちまして、ADBの低所得国向け基金のアジア開発基金が約50億ドルの増資規模で合意に至ったことを歓迎いたします。日本は主要ドナーとして増資交渉に積極的に貢献をし、ドナー貢献目標額の35%を維持して、11.18億ドルの貢献の用意がある旨を表明いたしました。
なお、明後日のADB総会のビジネスセッションにおいて、2027年のADB総会の日本開催を私から表明する予定であります。
以上の内容につきまして、お手元にお配りした資料もご参考にしていただければと思います。

【質疑応答】

問)

チェンマイ・イニシアティブについて今回、金融危機だったものを自然災害であったり、パンデミックに対応することに合意したというご説明がありました。この対象範囲を拡充できたことの意義についてお願いします。

答)

チェンマイ・イニシアティブでありますけれども、通貨危機の折に通貨スワップをやっていこうという基本的な意義があるわけだと思いますが、いまだに実際は活用されていないわけでありまして、域内金融の安定に重要な役割を果たしてきたものの、その実効性の維持向上ということを考えた場合には、常に進化させていく必要があるんだと、そのように思います。
今回創設が正式承認されました緊急融資ファシリティは、パンデミックや自然災害など、そうした対外ショックが生じた場合に迅速に支援を行うものでありまして、災害が多いアジアにおきまして、特にASEAN諸国が高い期待を寄せていたファシリティであります。昨年、日本共同議長の下で、その創設に向けた議論を強力に進めてまいりましたので、今回、本ファシリティの創設を正式に承認できたことは大変大きな成果であると、そのように考えております。
ファシリティの詳細につきましては、後ほど事務方よりお話をさせていただきたいと思います。

問)

為替についてですけれども、今日、米雇用統計が出まして、その結果を受けて円高の方に振れてはいるんですが、引き続き高い円安水準が続いていること、このことについてどのように受け止めていらっしゃるか、ご見解をお願いします。

答)

従来から為替相場の水準等については、財務大臣としてはコメントしないということにしております。その理由は、やはりその水準が適正か適正でないかというようなことを私の口から申し上げますと、市場に不測の影響を与えかねないということでありますので、今の質問についてもコメントはいたしません。

問)

今の為替の質問に関連して伺います。日本時間の2日に円相場が153円台まで急騰するということがありましたけれども、改めて政府・日銀として為替介入をされたのかをお聞かせください。

答)

そのことについてはコメントいたしません。

問)

また、それに関連するんですけれども、円を今後どのように安定化されていく考えなのか、大臣のお考えをお願いします。

答)

かねてから申し上げていますように、為替というものは市場においてファンダメンタルズを反映した形で決まっていくと、こういうものであります。しかし、これは安定的に推移することが望ましいわけでありまして、急激な変化、そういうものは好ましくない。それは家計においても、あるいは企業がこれから先いろいろな経営を考える上でも、これは好ましくないわけであります。
したがいまして、行き過ぎた動きがあるときには、それをならすということは必要になるのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、市場においてファンダメンタルズを反映した形で決まっていくというのが基本だと思っております。安定的に推移することが望ましいということです。

問)

日中韓とASEAN+3の議長声明で、短期的な経済見通しのリスクとして外国為替市場のボラティリティの高まりが挙げられていますが、これに関連し、大臣が意見を述べられる機会もあったのか、会議ではどのような議論があったのかをお聞かせください。また、特にASEANと日中韓のこの地域に、為替のボラティリティの高まりが与える影響はどのようなものとお考えでしょうか。

答)

まず別の国の方の発言については一切申し上げないということがルールになっておりますので申し上げませんけれども、今回のASEAN+3等の会議において、共同ステートメントにありますように、地域の経済成長の短期的なリスクとして、為替市場等での変動の高まりに対する懸念が示されたということでございます。共同ステートメントに全て示されているということでご理解をいただきたいと思います。

(以上)

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