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鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和6年5月31日(金曜)9時36分~9時49分)

【質疑応答】

問)

政府が行っている電気・ガス料金の負担軽減措置が今月の使用分までで終えることについて、自民党内からは家計や企業活動への影響を懸念する声も出ています。円安の進展による更なる物価上昇も懸念される中、財務省としてこうした負担軽減措置にどう対応すべきと考えていますでしょうか。

答)

エネルギー価格の激変緩和措置でありますけれども、国際情勢の緊迫化等を背景にしてエネルギーの国際価格が急騰する中で、緊急対応として実施をしてまいりました。その中で電気・ガス料金の激変緩和対策については、LNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下をしたという状況等を踏まえまして、5月末まで講じるものと承知をしております。
物価上昇に直面する中にありまして、国民の皆さんが安心して生活をして、事業を続けることができるように必要な施策を推進していくこと、これは重要なことであると考えております。物価を抑えるという方向と、やはり賃金を上げていくということが両方あると思います。物価を下げるということ、激変緩和措置については先程冒頭述べたところでございますが、やはり所得を増加させるということがまた一方で大切なことでありまして、物価上昇に負けない所得の増加を実現し、デフレマインドを払拭すべく、定額減税を実施するとともに賃上げ促進税制、価格転嫁対策、これらを通じまして足元の力強い賃上げの動きを確実なものとしてまいります。また、賃上げの原資となる生産性の向上を後押しし、物価上昇に負けない経営体質につなげるためにも、中小企業の省力化投資、研究開発・イノベーションへの支援などを進めることで、民需主導の持続的な成長、これを実現していくということがまた一方において重要なことであると思っておりますので、そうした考えの中で対応していきたいと思っております。

問)

長期金利につきましてお伺いします。昨日30日の東京債券市場で新発10年物国債の流通利回りが一時、12年10か月ぶりの高水準となる1.100%まで上昇しました。改めまして長期金利の上昇が財政や経済に与える影響につきまして、ご認識をお聞かせください。

答)

金利上昇によります経済への影響ということでありますが、一般論として申し上げますと、家計における預貯金利子の増加、それから住宅ローンの支払利子の増加ということがあると思いますし、また一方で企業や銀行におけます借入金または貸付金利子の増加や保有する債券評価の変動など、様々なものがあると考えられます。
財政を預かる立場から申し上げますと、金利の上昇は利払費の増加を招いて、財政を圧迫するおそれがあると考えております。実際、令和7年度に金利が1%上昇した場合、9年後、令和15年度になりますが、9年後には利払費が足元の現在の公共事業や文教科学関係予算を上回る規模で増加するとの試算もあります。
低金利下で国債発行を消化することができてきたこれまでとは異なる金利のある世界が到来したことを強く認識する必要があるんだと思います。
そのような中で、利払費がどのように動こうとも、災害対応でありますとか社会保障など必要な公共サービスがしっかりと提供できるように、財政の強靱性を高めていくことが重要であって、これまで以上に気を引き締めて財政健全化に取り組んでいかなければならないと考えております。

問)

明日から始まる定額減税についてお伺いします。給付を含めた減税の方式について、複雑であるということで自治体や企業が悲鳴を上げているというふうに聞いております。給付のみと比べて費用対効果はどうだったでしょうか。もちろん恩恵はあると承知しておりますが、その辺りをお聞かせください。また、これは減税を主張する総理の指示に従っただけなのではないでしょうか。その辺りを改めてお聞かせください。

答)

今般の定額減税につきましては、国・地方合計で3.3兆円、それから関連する給付も含めますと5.5兆円という思い切った規模の支援を行うことになります。それによりまして、単年度の消費刺激効果にとどまらず、賃金上昇と相まって、所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくることによりまして、長年染みついていたデフレマインドを払拭するきっかけをつくるということのために実施をするものと考えております。
そして、いろいろ事務作業等にご迷惑をかけているというのは、ご指摘はそのとおりでありますが、定額減税の実施に当たって、源泉徴収義務者をはじめとする方々に対するご負担をお願いしなければならないわけでありますが、それにつきましては、例えば、パンフレットやQ&Aなど1月から策定・公表をさせていただいております。また、全国で源泉徴収義務者向けの説明会を開催するなど、でき得る限り丁寧な周知に努めてきたところでありますが、制度が複雑で事務作業に苦心しておられるといったご指摘があることは承知をしております。毎年度よく税制改正があっていろいろ変わるわけでありますけれども、そういう際にも源泉徴収義務者の皆様方においてご理解をいただき、ご協力をいただいてきたことがずっと続いているわけでありまして、今回少し複雑だというご指摘はありますけれども、ぜひご理解をいただいて、ご協力をいただきたいと、そのように思います。
それから後段の質問は、総理のリーダーシップの中で政府全体として、定額減税、今回の仕組みでやっていこうということを決めたということであります。

問)

費用対効果についてもう一度詳しくお聞かせいただけますか。給付のみではいけなかったのでしょうかというのは、総理のリーダーシップということでよろしいでしょうか。

答)

いろいろなご意見もその後ありますけれども、減税という分かりやすい形でやるということ、それが先程申し上げましたように、長年染みついてきたデフレマインドを払拭するということにもつながるんだと思います。給付よりも減税という形が分かりやすいと、こういう判断の中で今回の方式がとられたというふうに理解していただいていいと思います。

問)

今日、月次の為替介入実績が発表されると思いますが、それに先立って、改めて投機的な動きが生じた場合にどう対処されるのか、今後の為替政策の基本的スタンスみたいなところで改めてお考えをお聞かせいただければと思います。

答)

これは、基本は変わらないわけでありまして、為替のレートは、ファンダメンタルズを反映して市場で決められるものであると思いますし、安定的なものが望ましいわけで、急激な変化は好ましくないわけであります。したがいまして、我々として日常の動向を注意深く見ております。そして行き過ぎた動きについては適切に対応するということです。こうした基本的な考えは何ら変わらないわけであります。

問)

先週の23日の公表で恐縮ですけれども、損保4社がお互い契約情報を漏洩していて、事実上黙認していたという事象がありました。これは保険業法上、また保険契約者の保護の観点から、いかがなものかというところについてお聞きしたいと思います。

答)

ご指摘がありましたとおり、損保大手4社が保険代理店と乗合損保会社の間で顧客情報の漏洩があったということを公表したところであります。
保険会社及び保険代理店に対しましては、個人情報保護法及び保険業法におきまして、個人情報の漏洩などの防止を図るために必要かつ適切な措置を講じること、こういうことが義務づけられているところです。にもかかわらず損害保険業界において、こうした法令上の問題のある事案が、これまでも不祥事があったわけでありますが、それに続いて発生したということは遺憾なことであると思っております。
現在、損害保険会社と保険代理店との間で情報漏洩の規模や原因についての調査を行っている段階でありますので、まだその調査がまとまっておりませんので、今、漏洩が始まった時期でありますとか規模についてはまだ申し上げられませんけれども、金融庁といたしましても個人情報保護法、それから保険業法に基づきまして、各社からの報告を受けて事案の具体的内容について確認をしてまいりたいと考えております。
今回の情報漏洩については、詳細な事実関係、発生原因に加えまして、損害保険会社及び保険代理店における再発防止に向けた取組などもしっかり確認をして適切に対応していかなければならないと考えています。

(以上)

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