鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣ぶら下がり記者会見の概要
(令和6年6月25日(火曜)16時39分~16時48分)
【冒頭発言】
先程、第9回日韓財務対話を実施いたしました。会議では2つ議題がございまして、世界・地域経済及び経済政策、そして2つ目の議題、二国間・多国間における協力でありました。率直な意見交換を行って、多くの事項について合意を得ました。
まず世界・地域経済及び経済政策について、世界経済及び地域経済の現況と、地政学的紛争や外国為替市場のボラティリティの高まりを含む不確実性等の認識、これを共有し、とりわけ、最近の急速な円安及びウォン安に関する深刻な懸念を共有した上で、為替レートの過度な変動と無秩序な動きに対し、引き続き適切な対応をとることを再確認するとともに、世界経済に影響を与えているロシアのウクライナに対する侵略戦争を非難することで一致をいたしました。
二国間・多国間における協力については、昨年の対話の合意に沿って、広範な分野における様々な協力の具体化を確認いたしました。
まず、昨年6月に合意した日韓通貨スワップの再開が地域金融セーフティネットを強化したことを再確認するとともに、本年5月のASEAN+3において、日韓のリーダーシップの下、緊急融資ファシリティの創設に正式合意したこと等を歓迎いたしました。
また、二国間協力として、昨年の合意に沿って、税関分野、国際課税、北朝鮮への制裁を含むマネロン・拡散金融対策、研究交流、人事交流等の具体的取組の前進を確認いたしました。
第三国における協力につきましても、昨年の対話の際に調印をしたJBICと韓国輸出入銀行の間の覚書に基づいて、両機関がチリにおいて協調融資に署名したことや、両機関が、米国とともに、インドにおいて、デジタルインフラの分野で協力を推進していることを歓迎いたしました。
最後に、来年、第10回日韓財務対話を日本で開催することについても、合意をしたところであります。
【質疑応答】
- 問)
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今回の合意の中で、円安とウォン安に対する深刻な懸念を共有し、過度の変動に対して引き続き適切な対応をとるということで一致したということですが、これの意義とともに、今、足元では円が159円台半ばというところですが、これの受け止めと日本政府の対応を改めてお伺いできればと思います。
- 答)
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まず、後段のご質問であります足元のドル円の相場についてでありますが、相場については、これは市場に影響を与えますので申し上げることはできないわけでありますけれども、いずれにしても、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいわけでありまして、急激な変動、一方的な変動、これはふさわしくないということを常々申し上げております。我々としては、市場をしっかりと注視をしながら、必要な対応をとっていくということでございます。
今日、為替についてどういう議論があったかということをご紹介いたしますと、私の方から日本経済について説明する中で、円安等を通じた輸入物価の上昇が消費に及ぼす影響について申し上げたところであります。その上で、共同プレスリリースでは、外国為替市場のボラティリティの高まりを含む不確実性を認識し、とりわけ、最近の急速な円安及びウォン安に関する深刻な懸念を共有した上で、G7等でも今までいろいろなところで表明され、また再認識しているところでありますけれども、為替レートの過度な変動と無秩序な動きに対しては、引き続き適切な対応をとることを再確認したところであります。両国でこうした懸念を共有するということは、これはとても大切なことであると思っています。
- 問)
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今の為替の点に関連してですけれども、日韓二か国で通貨安の進行に対する懸念を表明するというのは初めてでしょうか。
- 答)
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日米韓、ワシントンでの会議の時も日本と韓国で急激な円安・ウォン安について懸念を表明したことはございました。
- 問)
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今日の会議では、二国間で共通する通貨安の背景の部分については、議論はありましたか。
- 答)
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そこまでの議論はともかくとして、日本では、とにかく物価上昇を上回る賃上げを実現しなくちゃいけないということが重要な課題であるということも、日本の経済の状況を説明する中で、私から申し上げました。その文脈におきまして、賃上げは33年ぶりの高い水準だったけれども、しかし物価高騰については、足元の円安ということもあって、それが先程申し上げましたとおり、物価の上昇があって消費に影響を及ぼしているということを述べまして、そういう中で今、円安というものが物価上昇にとって大きな懸念材料であるということは強調したところであります。
- 問)
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日韓財務対話は2006年の初開催以降、開かれない期間等もありましたけれども、今回2年連続で開催しているということで、改めて、この日韓財務対話、日韓が金融分野で意見交換するというようなところの意義を大臣はどのようにお考えでしょうか。
- 答)
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やはり、例えば両国が抱える共通の課題というのがあると思うんですね。一例を挙げれば、少子化ということがございます。少子化についても、韓国も0.幾つ台ですし、日本は1.20ということでありますので、日本の取組も紹介させていただきました。また韓国からもその取組の一端の紹介もございました。そういうことで、共通している課題について、とっている政策をお互い参考にし合うということは、とても意義のあることであると、そのように感じたところでございます。
また韓国におきましても、今、投資環境を進めていく、海外からの投資を呼び込むというような政策についても紹介があったわけですけれども、日本でも資産運用立国というものをこれから進めていこうということでありますから、こういう点につきましても、やはり共通の1つの政策目標に向けて、お互い、それぞれの国が政策を行っているということでありますので、そういうこともプラスになることだと思います。それぞれの政策を知って、いいところはそれを取り入れてもいいわけですし。そういう意味におきましても、日韓財務対話というものは、昨年7年ぶりに再開したわけでありますけれども、とても意義のある取組であると、このように思っておりまして、是非、来年以降も継続することが望ましいと考えております。
(以上)