鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(令和6年7月2日(金曜)10時51分~11時04分)

【冒頭発言】

明日7月3日から新しい日本銀行券の発行が開始されます。
今回の改刷については、前回の改刷から約20年経過したことを踏まえまして、新たな偽造防止対策を講じるとともに、目の不自由な方や外国人にも配慮したユニバーサルデザインの考え方を取り入れた、新しい日本銀行券をご提供するものであります。5年前の発表から、ここまで準備を進めてこられた関係者の皆様に改めて感謝を申し上げますとともに、この新しい日本銀行券が国民の皆さんに親しまれることを期待しております。
なお、現在流通しております日本銀行券は引き続き使用可能でありますので、現行の日本銀行券が使えなくなるといった詐欺行為にはくれぐれもご注意をいただきたいと思いますし、報道の皆様方におかれましても、報道等を通じてその旨の周知にご協力をいただけますと大変ありがたいと考えているところであります。

【質疑応答】

問)

大臣冒頭でもご説明ございました新しい紙幣の発行についてですけれども、今キャッシュレス化も進んでいて、これが広く流通する紙幣としては最後になるかもしれないという声もありますが、改めて今回の新紙幣の意義、今お話しいただいた部分もあるんですけれども、それと経済面で見た効果についてはどのようにお考えか、お聞かせいただけますか。

答)

ご指摘のように、近年、日本におきましてもキャッシュレス化の進展が見られておりますけれども、紙幣については、現在もなお主要な支払い方法として利用されているほか、災害発生時の決済手段やキャッシュレス決済の利用が困難な方のための決済手段として必要とされておりまして、今後も国民の方々からのニーズに応じてしっかりと供給していくことが重要であると考えております。
こうした中、今回の改刷について経済効果の試算は行っておりませんけれども、改刷による偽造抵抗力の強化を通じて偽造紙幣による経済的損失や社会的混乱を未然に防止することは、経済的にも極めて重要な観点であると、そのように思っております。
いずれにいたしましても、明日から発行される新しい日本銀行券が、偽造しづらく誰もが使いやすい紙幣として、国民の皆さんに安心してご利用いただけることを期待しているところです。

問)

今の関連なんですけれども、諸外国では一部デジタル貨幣を導入する動き等々も出ておりますが、改めてこのタイミングで、先程の幹事社の質問にも今回最後の改刷になるんじゃないかというご指摘等も出ていましたけれども、日本におけるCBDCの発行をめぐる課題ですとか実現の可能性についてのお考えをこのタイミングでお聞かせください。

答)

デジタル通貨の発行については日本銀行で今試験的な検討を行っているということは承知しておりますが、まだ具体化については何ら決められていないということだと理解をいたしております。
先程申し上げましたけれども、紙幣のニーズというのは今なおこれは主流なんだと、今のところそのように思っております。
先程も例を挙げましたけれども、震災がございましたけれども、そうした自然災害のときの決済手段ということになりますと、やはり紙幣というのは必要な決済手段だと思いますし、やっぱり私の世代を含めてかもしれませんが、それより上になりますと、慣れ親しんだ紙幣の決済ということが必要な方々もおられますので、そういった方々に対する対応というものも十分考えていく必要があるんじゃないかと、そのように思っています。

問)

新紙幣に関連して、冒頭ございましたように今回5年間準備期間があったものの、7月3日を目前にしてまだ準備が整っていないところ、あと対応の機械が間に合わないといったような声もあります。
こうした一部で混乱も見られますけれども、改めてそうした方々に、例えば補助金はないのかとか、そういった声もありますけれども、そのあたりの対応、お考えをお聞かせください。

答)

今回の改刷に当たりまして、今ご指摘がございましたけれども、民間事業者の方々に負担が生じるということは承知をいたしておりますけれども、この改刷によるメリット、例えば偽造抵抗力の強化を通じて民間事業者の方々が偽造通貨を受け取ってしまった場合の経済的損失を未然に防止をする、そして安全な取引を確保する、こういうメリットがあるということも、ご負担が生じるということと併せてメリットについてもご理解をいただければと、そのように思っております。
そして今回の改刷につきましては民間事業者の皆さんになるべくご負担をかけず、円滑に改刷への対応を進めていただけますように、1つは、新紙幣のサイズを現行券と同様にするほか、改刷の公表は2019年4月9日に行ったわけでありますが、それから約5年間の対応期間を設けて計画的に実施をしてきたところでございます。
そのような中でよく言われるのは、金銭機器の対応の見通しということだと思いますが、例えば24年6月末時点の見通しでは金融機関のATMは9割以上対応ができる、それから自動釣銭機、これはレジですけれども、8ないし9割が対応可能、それから鉄道の券売機についても8~9割大丈夫ではないか、というような見通しを立てているところであります。
もっとも飲料自動販売機についてはまだ2~3割しか対応できないのではないかと、こういうような見通しもあるわけでございますが、こうしたものは順次更新をしていく中で対応するものが増えていくんだと、そのように理解をしております。
何らかの補助金等の予定があるかということでありますが、政府といたしましては、過去の改刷のときと同様に、改刷対応を目的とする補助金等の助成は予定していないところであります。

問)

為替についてお伺いしたいんですけれども、為替市場では円安の流れが続いていまして、GDPの下方修正など、より円売り材料に円買い材料よりも注目されている状況が続いておりますが、このことについてどのようにお考えでしょうか。

答)

為替の動き1つ1つにコメントしないというのは従来からの方針でございますし、毎回記者会見でご質問があって、それにお答えをしているところでありますけれども、為替に関する考え方はこれまで申し上げてきたとおりであります。
そのようなことでご理解をいただきたいと思います。

問)

安倍元総理が2年前の部会でドル円300円になったら非常に景気がよくなるみたいな発言をされたことが最近浸透していますけれども、やはり過去12年間、与党として円安政策を行ってきたということと、現在の38年ぶりの円安には因果関係があると考えていらっしゃいますでしょうか。
それとも無関係というふうにご覧になっているか、その辺のコメントをお願いいたします。

答)

相場ですね、これはいろいろな要因が絡み合って市場において決定されるものであります。物価動向でありますとか経常収支でありますとか、あるいは市場参加者のセンチメント、またそれによる投機の動きなどもその時々出てくるということでありますので、今ご指摘になられたことが全て今の為替の状況につながっているかといえば、それは一概にそうは言い切れないんだと思います。たくさんある要素のうちの1つではあるかもしれません。

問)

今の質問の裏表なんですけれども、逆に今世界の金融市場は非常に不安定で、リスクオフな動きになれば円安も止まり、また株安円高に戻るという見方もあると思うんですけれども、どちらかというと大臣はそちらを念頭に置かれていらっしゃるということでしょうか。

答)

そのことについて私がここで1つ1つ解説的なことを申し上げることもあまりふさわしくないんだと思います。
先程申し上げたとおり、いろいろな要因によって市場において為替水準は決まっていくわけでありますので、財務大臣という立場では、これは市場の動きを注意深く見守っていくということなんだと思っております。

問)

昨今、記者会見で為替に関して質問させていただくと、それに対してお答えいただいているという形かと思うんですけれども、市場では大臣が昨今、口先介入という形でされてもあまり反応が見られなくなっているというような声も上がっています。
これについて、やはり同じ文言を繰り返すことによって口先介入の効果が薄れてしまうというような懸念もあるんでしょうか。

答)

これは私がしゃべったことをどのように料理をされて、記事にされるかは、それは皆様方にかかっているわけでありまして、私として別に口先介入をしようとか、するとか、そういったことではなしに、まさに皆さん方から質問があるから、それに対して私の立場をお答えしているということであります。
したがいまして、どのようにそれを評価して記事にするかというのは、まさに皆様方のお仕事であるわけでありますが、その効果とかその影響について、私からはコメントする立場にはないといいますか、コメントはしないということだと思います。

(以上)

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