鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(令和6年7月9日(火曜)11時31分~11時37分)
【質疑応答】
- 問)
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安倍晋三元首相が亡くなってから8日で2年が経ちました。
機動的な財政出動をアベノミクスの柱として掲げていた安倍氏の財政運営に対する評価を改めて教えてください。
安倍氏は生前、国債発行によってハイパーインフレや円の暴落は起こっていないとして、財務省の説明は破綻しているなどとも述べていました。行き過ぎたインフレに対しては直ちに緊縮財政を行えばいいとも発言していましたが、これらについての大臣の見解を教えてください。 - 答)
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まず安倍元総理の財政運営でありますが、アベノミクスと言われるものは、大胆な金融政策及び民間投資を喚起する成長戦略とあわせて機動的な財政政策、いわゆる3本の矢を推進していたことで、デフレではない状況をつくり、GDPを高め、雇用を拡大するなど、日本経済の成長に大きな役割を果たしたと、そのように認識をしております。
一方で、日本の財政状況は、債務残高対GDP比が主要国の中で最悪の水準にありまして、さらに新型コロナウイルス感染症や物価高騰への対応にかかる累次の補正予算の編成によりまして、より一層厳しさを増しているという状況であります。
こうした中で、潤沢な国内の家計金融資産等を背景に、低い金利水準で安定的に国債が国内で消化され、財政に対する信認が確保されてきたことなどから、ハイパーインフレのような経済ショックはこれまでのところ発生しておりませんけれども、ひとたび財政の持続可能性や財政運営に対する信認が失われた場合には、金利の急上昇や過度なインフレが生じて国民生活に多大な悪影響を与える可能性は否定できないのだと、そのように考えています。
さらに、そのような状況が現実のものとなった場合に、これに対処すべく緊縮財政に舵を切るとすれば、身近な行政サービスのために十分な予算を確保することができなくなって、国民生活に極めて大きな負担を求めることになるおそれがあると考えております。
したがいまして、過度な金利上昇やインフレは、それが起こってから対処するのではなく、未然に防ぐことが重要であり、中長期的な財政の持続可能性への信認が決して失われることのないよう、平時から財政規律を守ることが必要であると考えているところでございます。
- 問)
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今月末の日銀金融政策決定会合に先立ちまして、今日と明日、債券市場参加者と日銀との間で協議の場が設けられます。
国債の買入れ減額を決定するということですが、それに向けてどういった議論を期待されるか、大臣のご所見があればお願いいたします。 - 答)
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その協議の場については、具体的に説明を受けているわけではありません。ある意味重要な協議だと思いますので、どういった協議が行われていくのか、それは注意深く見て行きたいと思います。
特にこちらからどういった協議をしてほしいとか、そのようなことはございません。
- 問)
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三菱UFJ銀行の行員が公表前の顧客企業の情報を親族らに漏らした疑いがあり、インサイダー取引で親族らが利益を得ていた可能性があるとの報道がありました。
これについて、三菱UFJフィナンシャル・グループと同行は最近、顧客企業の情報を共有することに関して、規制違反が明らかになったばかりですけれども、大臣のご所見をお願いいたします。 - 答)
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インサイダー取引の懸念があるということにつきましては、証券取引等監視委員会において調べているということなのだと思いますが、ご承知のとおり証券取引等監視委員会は独立した職権が与えられ、それを行使するとされていることでありますので、個別の調査等について金融庁の立場でお答えすることは控えなければならないと、そのように思っています。
(以上)