鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(令和6年8月2日(金曜)10時52分~11時06分)
【質疑応答】
- 問)
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日銀の利上げ決定とFRBの9月の利下げ観測が強まった影響で、外国為替市場で円高が急速に進んでいます。日本経済への影響をどのようにご覧になっているかお聞かせください。
また、7月29日までの1か月で5.5兆円の為替介入を行っていたことが公表されました。当面は相場が荒れる展開も想定されますが、政府の対応方針について改めてお聞かせください。 - 答)
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まず足元の為替相場の動向が日本経済に与える影響についてでありますが、これは一概に申し上げることは難しいですけれども、一般論として申し上げますと、輸出入物価の変化を通じた企業の海外売上や費用への影響でありますとか、利子・配当など海外からの所得への影響など、プラス面・マイナス面双方の影響があるものと考えています。
また為替相場の急激な変動は、企業の経営計画によっては、経営活動の不確実性を高め、それが国民生活にも悪影響を及ぼすおそれもあると、そのように考えます。
政府といたしましては、今後とも為替相場の変動が日本経済や国民生活に与える影響を的確に分析をしながら、適切に対応していきたいと考えております。
それから為替介入の話でありますが、6月27日から7月29日の介入総額が5兆5,348億円であったことを先日公表いたしました。 その上で、足元の為替の動向でありますとか見通しについてはコメントを控えますけれども、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要でありまして、政府としては、引き続き為替市場の動向をしっかりと注視してまいりたいと考えております。それが1つの政府の対応であると、そのように思っております。
- 問)
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日経平均株価が一時2,000円を超えて値を下げるなど大幅な下落となっています。
背景にはアメリカの景気後退への懸念なども指摘されていますが、現状での大臣の受け止めと、また今後の日本経済への影響をどのようにご覧になっているのか、お伺いします。 - 答)
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株価は金利や為替の影響を受けるものだと思いますが、内外の経済状況でありますとか企業の活動など、いろいろな要因によりまして市場において決まるものでありますので、日々の動きについて、その要因などを一概に申し上げることは難しいのだと思います。したがってコメントは控えたいと思っております。
いずれにしても、引き続き緊張感を持って市場の動向を注視しなければならないと思っています。
- 問)
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今回ほぼ全面安の展開になっております。これが日本の国民生活に与える影響が何かあるのかどうか、どのようにご覧になっているでしょうか。
- 答)
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ここ1日、2日の動きをもってこれから先のことをいろいろ推測するということも必ずしも適切ではないと思います。
トレンドとしてこれから長期にわたって何かあるということであれば、これはいろいろ考えなければならないと思いますけれども、今は市場の動きを注視するということが重要だと思います。
- 問)
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日銀の利上げを受けまして、利払費への影響というところでお伺いしたいと思います。財務省は4月にも試算を出していると思うのですが、今回の日銀の利上げがこうした見通しに影響を与えるかどうか伺いたいと思います。
- 答)
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今回の日銀の決定が国債の需給や長期金利に与える影響について申し上げるということはなかなか難しいのでありますが、仮に金利が上昇し続けることになれば、政策的経費が圧迫される、これは利払費が増えるからでありますが、こうした状況によって国民生活や地域経済に必要な予算が行き届かなくなることは決してあってはならないと、そのように考えております。
したがいまして、政府としては、これまで以上に気を引き締めて財政健全化に取り組み、財政余力を可能な限り生み出す努力をしていくことが重要であると考えます。
そして、併せて適切な国債管理政策、これも重要でありますので、市場環境を注視し、市場との丁寧な対話を行いながら、国債の確実かつ円滑な発行に努めていかなければならないと、そのように考えています。
- 問)
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水曜日のぶら下がりの会見で政府と日銀の共同声明は当面見直す必要はないというふうにおっしゃったかと思います。これはまだそちらに書かれている物価安定の目標ですとか、まだ到達できていないデフレ完全脱却まで距離があるというような見方を反映してでしょうか。
- 答)
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いろいろな要素はありますが、総合的に考えて、今の状況であえて共同声明を見直さなければならないという状況にはないものと、そのように判断しています。
- 問)
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昨日、総理とパレスホテルで会食をされていたかと思うのですが、どのようなお話をされたのでしょうか。総裁選の話なども出たのでしょうか。
- 答)
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いろいろともろもろの話をいたしました。
特に申し上げるようなことはありませんけれども、総裁選挙のことも含め、様々なことをお話しいたしました。
- 問)
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日銀の政策金利の0.2%の引上げとともに国債の買入れを2026年1-3月期までに月額3兆円まで減らしていくという話が出ております。
この間ずっと6兆円で来ていて、財務省の発行している国債は、実質的には日銀が引き受けるという状態になっており、そこに依存していると思うのですが、今後3兆円まで減っていく中で国債の円滑な消化というものは見通せているのでしょうか。
今までそこに頼ってきたわけですから、今後、そこにうまくアジャストできないということもあり得ると思いますし、それがマーケットの懸念でもあると思うのですが、大臣はどのようにご覧になっているのでしょうか。 - 答)
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これから銀行等、金融機関等により引き受けていただく必要があると思います。そういうことで市場との対話ということも、これからしっかりやっていく、そういった中においてしっかりとした国債管理政策をとっていきたいと、そのように思っています。
- 問)
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消費税のことを伺いたいのですが、所得税の定額減税を行う際に、大臣はデフレ脱却を着実なものにするための一時的な措置であるということをおっしゃっています。
今も、最近発表になった実質賃金では26か月マイナスであり、家計は非常に厳しい状況なわけですけれども、こうした中で、例えば元明石市長の泉さんが、消費税の軽減税率分は生鮮食品などについては一時的にゼロにすべきだということで野党共闘を呼びかけていたり、れいわは消費税廃止を言っています。
昨日自民党の石破さんにインタビューをしたのですが、その際に彼は減税というところまでは踏み込みませんでしたが、消費税については対象範囲や税率をもうちょっと機動的にすべきなのではないか、できるようにした方がいいのではないかという話もありました。
主要国の経済政策を見るときに、減税というのは大きな要素の1つで、そういった意味で今回岸田政権も所得税減税をしたのだと思いますけれども、もう一段デフレ脱却という意味では、消費税を一部でも少し減らすなど、消費税減税の可能性というのは、財務省は経済政策として考えないのでしょうか。 - 答)
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定額減税のときに私は、デフレ脱却を確実なものにするということは申し上げていないわけでありまして、長年染みついてきたデフレマインドを払拭する、そのきっかけにしなければいけないということを申し上げたわけであります。
そして消費税の引下げ、税率のことにつきましては、今現在の政府の立場はご承知のとおりだと思いますが、全世代型の社会保障制度を進める上で重要な財源でありますので、これを今、消費税率を下げる、またはその対象を変えていくということは考えていないということであります。
- 問)
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先程の日銀とのアコードにも関わるのですが、まだ見直しは考えていないということですが、消費者物価指数は直近で2.6%であり、2%を超える状況が10か月も続いています。
もう10か月も続いて、ほぼ1年になっているわけであり、デフレを脱却していると見るのが普通だと思うのですが、大臣はまだデフレは脱却できていないと考えるのか、そうであるとすれば今2.6%になっているという、それがずっと1年近く続いているという状況をどのように評価するのでしょうか。 - 答)
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物価が高騰していることの要因というのは様々あり、一概には言えないと思いますが、やはり1つはウクライナへの侵略もありまして、国際市場におけますエネルギー価格、あるいは食料価格、そういったものが高止まりしていた。それはだんだん今下がりつつありますが、一方において、日本は資源も、それから食料も海外に依存する度合いが大きいわけでありまして、円安がずっと続いてきたという中において、輸入物価がそれによって高騰したということが1つの要因だったと思います。
こうしたことが、例えば、為替の動向というのはプラス・マイナスありますけれども、今一番懸念しているのはやはり輸入価格への影響でありますから、今後この円安が是正をされるのであれば、こうした20何か月続いているものも、ある程度の範囲までは下がってくるのではないかと、そういったことを期待しており、そういう意味におきましても市場の動向というものを注意深く見ているということでございます。
そういったことでありまして、デフレ脱却かどうかということについては、デフレではない状況にはなっていると思いますが、これからも後戻りをしないということがあって初めてデフレ脱却と言えるのだと思います。
まだ後戻りする可能性を否定するところまでは行っていないということで、デフレ脱却まではまだ至っていない、宣言もしていない、こういうことだと思っています。
- 問)
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デフレではない状況ということは言えるのでしょうか。
- 答)
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はい。度々国会でもそのことは表明しています。
- 問)
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先ほど為替の動向ということをおっしゃいましたけれども、これが安定すれば脱却宣言も視野に入るということでしょうか。その基準は。
- 答)
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様々な要因を考えて、もう後戻りしないということになれば、そこでデフレ脱却宣言というものも出せる状況になるのではないかと、そのように思います。様々な要因を考えなければなりません。
- 問)
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それは財務省が判断するのでしょうか。
- 答)
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内閣府も含めてで。むしろ新藤大臣のところでしょうか、いろいろ経済というところでは。
(以上)