加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(令和6年12月27日(金曜)10時52分~11時02分)

【冒頭発言】

まず冒頭、令和7年度予算と税制改正大綱について。
令和7年度予算の概算につき、本日の臨時閣議で決定いたしましたので、概要を申し上げます。まず、令和7年度予算については、一般会計歳出総額は対前年度当初で3.0兆円増となり、過去最大となる115.5兆円となっており、その内容について申し上げれば、先般成立した令和6年度補正予算と合わせて、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするとともに、我が国が直面する構造的な変化に的確に対応していくための予算であります。
具体的には、複数年度で計画的に取り組むこととしている、AI・半導体分野の投資促進やGX投資促進を官民連携のもとで着実に進め、成長力を強化するとともに、こども未来戦略に基づく子育て支援の本格実施や、防衛力の抜本強化の着実な実施といった、内外の重要課題への対応のほか、地方創生交付金の倍増、内閣府防災担当の予算定員の倍増など、重要政策に予算を重点配分しております。
また、骨太方針に基づき、これまでの歳出改革努力を継続する中で、過去最大となる78.4兆円の税収を見込んでおり、これらの結果として、新規国債発行額は28.6兆円と、対前年度6.8兆円の減と、平成20年度以来17年ぶりに30兆円を下回る水準となっております。
令和7年度財政投融資計画につきましては、成長型経済への移行に向けて、地方創生などの分野に資金を供給することとしております。
また、令和7年度税制改正の大綱も本日の閣議で決定をいたしました。
本日の閣議決定を踏まえ、今後、来年の通常国会への予算案等の提出に向けて作業を進めてまいります。

【質疑応答】

問)

先程閣議決定された新年度当初予算案について、新規国債発行が減った一方で国債費が増えたりですとか、あるいは予算規模が過去最大になったりですとか、財政規律が働いていないのではとの見方もありますが、大臣はどのようにお考えでしょうかというのが1点です。
2点目、PB黒字化の見通しはどのようにお考えかお聞かせください。

答)

まず先程申し上げましたが、令和7年度予算案は令和6年度補正予算と合わせて、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものにするとともに、我が国が直面する構造的な変化への的確な対応、国民の皆様の安心・安全の確保を行っていくためのものであります。
一般会計の歳出額は、国債費の増額に加えて社会保障関係費や防衛関係費の増額、税収の増加に伴う地方交付税交付金等の増額などにより、確かに過去最大額となっておりますが、経済・物価動向などに配慮しつつ、これまでの歳出改革努力を継続する中で、重要な政策に重点化をしているほか、複数年度で計画的に取り組んでおります、防衛力の抜本的強化、こども・子育て支援については、しっかりと財源を確保した上で歳出額を増加させております。さらに予備費については、特定目的予備費を、今年度1兆円を計上したものを来年度は計上しないなど、財政規律も踏まえた対応もしているところでありますので、そういった中で、先程申し上げた公債金が平成20年度以来、17年ぶりに30兆円を下回る水準となっております。
またPB黒字化の見通しについてのご質問でありますが、令和7年度予算などを踏まえた国・地方のプライマリーバランスについては、経済対策・補正予算で措置された施策の執行時期などの精査も踏まえて、来年初に内閣府が中長期試算という形で示されるものと承知をしておりますので、現時点でそれについてコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても経済あっての財政との考え方の下、力強く経済再生を進める中で、財政健全化も実現し、経済再生と財政の健全化の両立を図っていく、こういった姿勢で引き続き取り組んでいきたいと考えております。

問)

今ご発言があったPBのところで1つ確認ですけれど、25年度はまさに目標の達成年度に当たるということです。目標そのものは今堅持されているということでよろしいのでしょうか。
それと話は変わりますけれど、為替がまた足元で円安方向に振れている状況かと思います。今後、年末年始ということで、これから海外市場などで振れが大きくなってくることも予想されると思いますが、そのような動きにどのように対処されていくお考えか、併せてお願いいたします。

答)

PB黒字化目標については、骨太方針にも記載されているとおり、たしか目指しと書いてあり、その姿勢はこの間変更はないということであります。
為替についてでありますけれども、これは従前から申し上げている見解に変更はございませんので、改めて申し上げますと、為替市場の動向や為替介入について具体的に言及することは、市場に不測の影響を及ぼすおそれがあることから差し控えるものの、足元では一方的なまた急激な動きも見られます。為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、政府としては投機的な動向も含め、為替市場の動向を憂慮しており、行き過ぎた動きに対しては適切な対応をとってまいりたいと申し上げているところであります。

問)

税収の見積りが過去最大となる中、一部野党あるいはSNSなどでは減税を求める声というのも強くなっています。改めて財務大臣としてのこうした声に対するお考えをお願いします。

答)

令和6年度補正後と比較すると税収は確かに5.0兆円。ただこの中身は、定額減税の剥落など制度的な要因による増減収が3.1兆円、経済動向、すなわち給与生産消費の改善による増収がプラス1.9兆円と見込んでいるところでございます。
今お話があった点でありますけれども、ただそうした税収増を歳出に充ててもなお、7年度予算案では特例公債を含め28.6兆円の新規国債を発行するという状況であります。他方で、先般の補正予算では13.9兆円の歳出増を伴う大規模な経済対策も一方では実施をしてきているところであります。
税収増を新たな財源として、そういった意味でそこだけ切り取って大規模な減税ができるという、そうした見方は必ずしも適当ではないというように考えています。

問)

本日日銀から12月会合の議事要旨が公表されまして、その中で先程の質問と関連しますが、円安による物価上昇のアップサイドリスクに言及する意見もありました。157円台後半に入ってきていますけれども、為替による物価上昇のリスクをどの程度懸念されていますでしょうか。

答)

為替の物価上昇のリスクというのは、逆に言うと為替がどうなるかということが前提になるわけで、為替がどうなるかについては先程の質問と同様、市場に与える影響等を踏まえて、そうした議論は差し控えさせていただいているので、それを前提に物価の話をするというのもなかなか難しいということはご理解いただきたいと思いますが、日銀は日銀として政府との間の合意文書を踏まえた上で、引き続き適切に対応をしていただけるものというように考えております。

(以上)

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