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加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣記者会見の概要

(令和7年5月4日(日曜)17時55分~18時07分)

【冒頭発言】

本日私はASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議及び日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議に出席をいたしました。会議の概要を申し上げます。
ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議の主な議論でありますが、まず、世界及び地域の経済状況などについて、米国の関税措置の影響も含めてメンバー間で意見交換を行いました。議論の詳細は差し控えますが、足下の状況認識を互いに共有し、経済・金融の安定化に向けて連携していくことの重要性を再確認したところであります。
次に、日本が2023年に共同議長を務めた際に議論を開始した「緊急融資ファシリティ」が、このたび創設に至りました。今後、各国の所要の国内手続を経て本格稼働し、パンデミックや自然災害などの外生ショック発生時に迅速な資金供給が可能となります。
AMRO、ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィスでありますが、これについては、財務省国際局の渡部康人次長が次期事務局長に選出されたことが歓迎され、同氏の力強いリーダーシップの発揮へ期待が示されました。
さらに、災害リスクファイナンスについて、今後3年間のロードマップの基本コンセプトに合意をいたしました。同ロードマップにおいては、地震などにおける政府向け保険の開発支援など、各国財政当局による災害リスクへの備えの強化に向けた作業を具体化してまいります。
そのほか、初めての試みとして、ASEAN+3の財務大臣が財政政策に関する意見交換を行う財政政策対話が実施をされました。成長戦略と財政規律の両立、高齢化社会への対応といった各国財政当局が共通して直面する課題について意見交換を行いました。
なお、本日の会議を受けた共同声明は、明日議長国より公表される予定であります。
以上、ご紹介したASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議に先立って、例年どおり日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議も開催され、日中韓でASEAN+3で取り扱う議題について、互いの考え方を共有したところであります。
また、先ほど行われましたADB民間セクター支援イベントでは、私からADBの民間セクター支援強化の取組を効果的に後押ししていくため、ADBに設立された新たな信託基金、AMAPに2,000万ドルの貢献を行う旨を表明いたしました。
なお、昨日は中国の藍仏安財政部長、トンガのアイサケ・エケ首相兼財務大臣、ADB神田総裁、また本日はインドネシアのスリ・ムルヤニ財務大臣とのバイの会談を行ったところであります。

【質疑応答】

問)

本日の日中韓の会議で、各国からトランプ大統領の関税政策について、どのような話題が出たのでしょうか。もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

答)

冒頭申し上げましたとおり日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議では、ASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議で取り上げられる議題、経済情勢に関する政策対話と金融協力の強化でありますが、各国で考え方を共有いたしました。
また、世界及び地域の経済情勢については、米国の関税措置などの影響も含めて意見交換を行いました。私からは、米国に対し一連の関税措置の見直しを強く求めつつ、協議を日本国として進めているということを紹介いたしました。

問)

同じくASEAN+3の方でどのようなご発言があったのか、特に東南アジアでは、高い相互関税の税率が公表されていますけれども、それに対しての懸念の声ですとか、そういった声が上がらなかったのか。また、日本としてはどのような立場で発言をされたのかというところと、もう1点、別件になるのですけれども、加藤大臣は、2日のテレビ東京の番組で米国債を安易に売らないとの発信が日米の関税交渉のカードとしてあるかを問われて、交渉カードとしてはあるというご発言をされていましたけれども、改めてどういった意図でご発言されたのかという点について教えてください。

答)

まずASEAN+3については、先程の日中韓と重なりますけれども、足下で世界経済の不確実性が高まっている状況において、ASEANと日中韓が一堂に会して世界及び地域の経済に関する認識を互いに共有するとともに、地域金融協力が果たすべき役割を再確認し、さらにそれを強化する。これについて意見の一致を見たことは大きな成果だと考えております。
また、先程申し上げましたが、今回一昨年の日本議長国の下で議論を開始した、「緊急融資ファシリティ」が創設に至りました。同ファシリティはパンデミックや自然災害といった対外ショックを起因として要請国に外貨不足が生じている場合に、他のメンバー国が外貨を共有することで迅速に支援を行うものになります。災害の多いアジアにおいて、自然災害に対する財政金融面でのレジリエンス強化や、迅速な危機対応能力の向上に資するものとして評価されたところであります。
それから別件として、5月2日のテレビ番組に関する私の発言でありますが、米国債を安易に売らないことをあえてコメントすることが日米協議の1つの手段になり得るのか、とのご質問をいただきましたので、それに対してあくまで答えたものでありますので、保有する米国債の売却に言及したものではありません。
なお、今後の日米協議を予断するものではなく、ご指摘の番組の中でも、実際に協議にあたって、今お話があった米国債を安易に売らないことのコミットというカードを、切るのか切らないのかは別の判断であると併せて申し上げたところであります。
日米協議の今後の方針や、外貨準備の運用状況及び今後の運用方針の詳細については、コメントを控えさせていただきますが、外為特会が保有する外貨資産については、我が国通貨の安定を実現するために必要な外国為替等の売買等に備え、十分な流動性を確保するという目的に基づいて保有・運用しているものであり、今後ともその方針に則って適切に対応していくこと、これは従前から申し上げているところであり、米国債の売却を日米交渉の手段とすることは考えてはいないということでございます。

問)

ASEAN+3では、米国の関税政策については現状認識の部分で懸念の声などで、ある程度一致していたのでしょうか。
また、そこから踏み込んで、アジア経済全体としてどう対応していくかなどといったところまでいったのでしようか。

答)

まず、メンバー国からは米国の関税措置について、それぞれの立場から言及があったところであります。具体的な中身については控えさせていただきたいと思います。
その上で私の方からは、自由で開かれた多国間貿易体制を推進することの重要性、日本として米国に対し一連の措置の見直しを強く求めつつ協議を進めること、また今後ASEAN+3においても地域への影響を注視しつつ、緊密に意見交換を行い、連携していくべきことなどを申し上げたところであります。

問)

アジア経済全体にとっての、アメリカの関税政策に関する今後の課題認識ですとか、先程大臣もおっしゃっていた、自由貿易体制が重要だと言っている中で、アジアの中で日本の存在感というのを今後どのように示していくべきか、併せてお聞かせください。

答)

それに関してはAMRO、ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィスより、米国の一連の関税措置のメンバー国への影響について報告が行われたところでございます。
AMROからは、米国の関税措置に係る今後の動向次第では、ASEAN+3の地域経済の成長にとって下方リスクとなり得る、また、メンバー国の堅調な内需や輸出先の多様化が影響を緩和し、サービス貿易や域内投資の活用が潜在的な成長機会となり得ること、こういったことについて説明があったところであります。
日本としても、次回がASEAN+3の共同議長国でございますから、まさに今AMROがいった後者の方ですね、潜在的な成長機会となり得ること、そうした機会をつくるべくASEAN+3の中でのこれまでの議論を踏まえて、さらにそれを進め、より地域の経済の安定化、そしてさらなる発展、これにしっかりと努めていきたいというように考えています。

問)

それは議論をリードして日本としてのプレゼンスを高めていきたいと。

答)

そういうことですね。

問)

共同声明というのは、今日は手続上採択まではされているのでしょうか。

答)

会議においては採択をされております。
その上で、最後の文法上と言うのでしょうか、そういったものを最終チェックした上で明日公表するということでありますので、内容自体は確定しております。

問)

関税政策で懸念という意味では一致はしたというように捉えてよろしいのですか。

答)

具体的な書き方は明日公表されますので、それをぜひご覧いただければというように思いますけれども、先程申し上げましたように、米国の関税措置に関しては様々な意見が出されたところであります。

(以上)

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